【CES】東芝、有機ELタブレットや米国仕様の4K TV

-21:9の5.1型などタブレット強化。スマートホームも


東芝 DP&S社大角社長が7型有機ELタブレットを披露

 東芝は、2012 Internatinal CESの前々日となる8日にプレスカンファレンスを開催。有機ELを採用したタブレットを発表するなど、タブレットを「今回のCESの最大のテーマ」と位置付け、積極的にアピールした。

 タブレットのほか、米国向けのVODサービス対応Apps、米国向けの55型4Kパネル搭載グラスレス3Dテレビなども発表している。



■ 有機ELタブレットや21:9タブレットなど。「タブレット重視」

東芝の新タブレット4モデル

 タブレットは参考展示モデルとして、7.7型の有機ELパネル搭載モデルや、5.1型/21:9アスペクトのワイド液晶モデル、最大サイズの13型を搭載したタブレットを出展。また、日本で発売している「AT700」とほぼ同仕様の薄型10.1型モデルも米国で発売開始する。

 有機ELモデルの解像度などは未定だが、PenTile配列ではなく通常画素配列のパネルを採用予定。有機ELの提供メーカーは非公開。「タブレット業界初の有機EL搭載を目標にしており、仕様もこれから決めるが、重量は350gを切り、厚みも8mmを切りたい」とのこと。2012年度の中頃の発売を目指している。


7.7型有機EL搭載タブレット
画質をアピール有機ELモデルの背面。カメラも内蔵している厚さも8mm以下が目標

 5.1型ワイドモデルは、21:9という横幅の広い、変わったアスペクト比のパネルを採用し、同社でもっとも小型のタブレットになる。21:9のパネルは「開発からパートナーと協業して進める」とのことで、シネマスコープサイズの映像をほぼフル画面で視聴できるほか、ネットブラウズや2画面表示などで有効な活用シーンを探りながら事業化を目指すとしている。発売時期は未定。

 13.3型はスペック検討中の段階だが、「(720pなどの)HDを超える解像度のパネルを採用予定」とのことで、横1,600ドット程度になりそうだ。加えて、「(東芝DP&S社社長の)大角からはこの中に地上デジタルチューナを入れられないか? とも言われている。日本の発売が先行することになるが、厚さは1cmを切り、重量も1kgを切るという目標」としており、2012年度の中頃までの発売を目指す。


5.1型ワイドタブレット背面。カメラも搭載している
13.1型タブレット10.1型タブレット
テレビ連携のタブレット用アプリを展開

 東芝デジタルプロダクツ&サービス社の大角正明社長は、「これまでのCESでは大型テレビが中心となっていたが、今年はタブレットが商品としては最大のテーマ」とタブレットを強化する姿勢を強調。将来的なスマートホーム対応の鍵を握るデバイスと位置付けるとともに、2012年度に北米市場向けにAVコントローラ「メディアガイドApp」や「リモートApp」などを提供し、差別化していくことを紹介した。

 メディアガイドAppは、米国向けテレビで導入する番組情報サービス「MediaGuide」の情報をタブレットに表示し、タブレットからテレビの操作を可能にするもの。MediaGuideは地上波、CATV、VODなどをまたいでジャンル表示や検索などが行なえるため、利用サービスを気にすることなく、好きな番組にアクセス可能とする。番組情報の詳細表示や、キーワード確認なども行なえる。

 リモートAppは、CATVやSTB、AVアンプ、BDプレーヤーなどを操作できるタブレット用のアプリとなる。

 こうした施策やスマートホームとの連携などの差別化を図ることで、Androidタブレット内でのシェア10%獲得を目指す。また、2012年の発売が見込まれるWindows 8タブレットの展開も検討していく。

テレビ連携のタブレット用アプリを展開プロダクト&ソーシャル・インターフェース部部長の片岡秀夫氏がデモ

■ 米国の4Kテレビはエッジライト型LEDに

55型4Kのグラスレス3Dテレビ北米モデル

 液晶テレビの新製品として、55型4Kパネルを搭載し、裸眼3Dに対応したグラスレス3Dテレビの米国モデルも出展している。日本モデルとの大きな違いは、LEDバックライトが直下型ではなくエッジライト型となったこと。これにより薄型化や薄さを活かしたデザインを実現した。デザインが重視される米国市場向けの対応で、欧州や中国、インドなどでも2012年前半に4Kグラスレスモデルを発売予定という。

 また4Kのコンテンツについても、コンテンツパートナーなどとの協力を加速するほか、カメラメーカーなどとも協力し、4K環境の拡充を図る。また、4Kテレビの新モデルについても、'12年度内に第2弾の4Kテレビを発売し、それをグローバル展開する計画という。

 そのほか、13.3型で世界最薄/最軽量のウルトラブックなどの'12年米国市場向けPCや、薄型ベゼルを採用し、デザインを重視したテレビの新シリーズも発表。新テレビの日本展開は検討中としている。

日本モデルとは異なりエッジライト型LEDを採用し、デザイン性を訴求グラスレス3Dにも対応第2弾も2012年中に発売

■ スマートホームが次の目標

東芝スマートコミュニティ事業統括部長の丸山氏

 説明会では、東芝スマートコミュニティ事業統括部長の丸山竜司氏が、米国でスマートホーム事業に参入することを表明した。同事業は、IT技術を使って電力消費などを遠隔管理する“スマートメータ”と連携し、家庭向けの最適なエネルギーマネジメントを行なうことを狙ったもので、同社が買収したランティスギアと連携し、'12年末より、関連商品やサービスを展開し、電力会社の顧客向けに販売。2015年度に100億円規模の売上を目指す。

 東芝のスマートコミュニティ構想では、電気、熱、交通、ホーム、ビル、水、医療などのエネルギー管理をIT技術やセンシング技術を使って最適化してくことを目指している。スマートホームはこのうち家庭内のエネルギー消費を最適化するもので、スマートメーターをクラウドサービスと連携し、電力の見える化やピークシフトなどに取り組む。


ライフデザインボックス

 まずクラウドサービスと連携可能なスマートメーターの導入を進め、家庭内のエネルギー消費を抑制。クラウドサービス対応のゲートウェイとして「ライフデザインボックス」と呼ばれる端末の導入を図る。将来的に重視しているのが、EV(電気自動車)。大型の充電池を持つEVの普及により家庭内のエネルギーマネジメント管理が大きく変わる事を見越し、複合的/効率的なサービスを目指していくという。

 現在東芝は全世界で約20のスマートホーム実証実験に参加しており、「かなり商用に近い段階」とする。ただし、地域によって電力会社の位置づけや仕組みなども変わってくるため、地域ごとの最適化は必要とのこと。2015年度にはEV対応などを果たし、ヘルスケアやエンターテインメントも連携する統合型のクラウドサービスを実現する計画。


スマートホームクラウドサービスのイメージ第一ステップのスマートホーム概要スマートホーム事業のロードマップ
東芝 DP&S社大角社長

 東芝デジタルプロダクツ&サービス社の大角正明社長は、タブレットを強化する方針を説明するとともに、スマートホームとの連携について言及。「デジタルプロダクツと、社会インフラ事業が重なる部分がでてくる。両方をもっている東芝だからからこその強みを出していきたい。テレビやPC、タブレットは、スマートコミュニティとHEMSを結ぶデバイスになる」とデジタルプロダクツ事業の位置づけを説明。特にタブレットをその中核に位置づける。

 ただし、現時点でタブレットとスマートホームの連携は「コンセプト的な段階」とも語り、どこまでの差別化要因になるかは未知数だが、「スマートホームでデジタル機器と”つながる”ということが重要になることは確か」とし、事業の進捗に合わせて連携を強化していく方針。

東芝の考える次世代ネットワーク像タブレットのスマートホーム展開
北米市場の注力点

 2011年の事業環境は「日本のアナログ停波による需要減や価格減などの厳しい状況」としながらも、テレビの販売台数伸長率はグローバル118%を達成するなど規模を拡大できたことを報告。地域需要に密着した「ローカルフィット」商品がその伸びに寄与したとする。

 北米のテレビ市場もアナログ停波の影響により95.4%となったが、東芝の液晶テレビは伸長率116.5%と拡大。ノートPCも市場伸長率を上回るなど健闘。その理由にテレビとPCの事業統合によるシナジー効果を挙げる。

 今後も、高付加価値製品導入やボリュームゾーンにおけるEMS活用、販路拡大などにより引き続き規模拡大を図る方針で、'12年は北米のBtoC市場でテレビシェア10%、PCシェア30%を目指すとした。



(2012年 1月 9日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]