ハーマン、JBLのフロア型3ウェイスピーカー「S3900」

-新開発250mmダブルウーファのスリム型。約35万円


S3900

 ハーマンインターナショナルは、JBLのフロア型スピーカー新モデル「S3900」を9月上旬に発売する。価格は1本35万1,750円。

 250mm径のウーファ2基と、中高域用の50mm径コンプレッションドライバ+38mm径ホーン、超高域用の19mm径コンプレッションドライバ+10mm径ホーンで構成する3ウェイ4スピーカー。

 ウーファは新開発の100FE-12ユニットを2基搭載。ナチュラルパルプをベースにグラスファイバーと特殊強化繊維を混入させて強度を高めたファイバーコンポジットパルプコーンを採用し、コーン紙前面に同心円状に施されたコルゲーション・リブにより分割振動を抑え、正確なピストンモーションを実現するという。


ウーファユニットの「100FE-12」

 強伸度や耐久性などに優れたメタ・アラミド繊維のConex製ダンパーを採用。エッジ部は、軽量/低密度ながら耐久性と耐候性に優れたSBRフォームラバー素材を用いたハーフロールエッジを採用する。ユニット前面のフロントガスケットには、モールド成形により断面形状を最適化したNBRラバーガスケットを採用する。

 ボイスコイルは、コッパーコーティング・アルミリボン・ボイスコイルを用いたエッジワイズ巻き。大型フェライトマグネットを用いた強力な磁気回路にバッキングマグネットを追加しており、磁力の強化とギャップ部への磁力集中を実現している。また、T型ポールピースを2つのフラックス・スタビライザーリングで挟んだJBL独自のNewSFG磁気回路を搭載。フレア付きのセンタークーリング・ベントがボイスコイルの発する熱やセンターキャップに掛かる背圧をコントロール。さらに、アルミダイキャストフレームの底部外周に設けられたベンチレーションスリットがダンパー部の背圧を逃し、2次高調波歪を低減する。

 中高域ユニットには、50mm径LE175系コンプレッションドライバの最新モデル「175Nd-3」を搭載。独自のダイアモンド・エッジを用いたピュアチタン・ダイアフラムの表面にアクアプラス・ダンピングを施し、歪の少ない伸びやかな高域再生が行なえるという。マグネットは、ネオジウムのリングマグネット。ボイスコイルは軽量アルミニウムで、高耐熱のKaptonボイスコイル・ボビンと組み合わせている。

 超高域ユニットは、JBL最小サイズの19mm径超精密マイクロコンプレッションドライバの最新モデル「139Nd」。エッジ一体成型のピュアチタンダイアフラムや、ネオジウムのリングマグネットにより、中高域ドライバとのスムースな音のつながりを実現している。銅コーティングのアルミ製ボイスコイルも採用する。

 中高域/超高域ドライバのホーンには、フラッグシップ機「Project EVEREST」や「K2」などの上級機種に採用された「SonoGlass」を用いた専用設計のHF/UHFコンビネーション・バイラジアルホーンを採用。ホーンをキャビネット上部に強固にマウントすることで、キャビネット自体の剛性も高め、中高域だけでなく低域の再生能力にまで貢献するという。

各ユニットやネットワーク、ターミナル部

 ネットワークには、空芯コイルや高品位フィルムキャパシターなど厳選された高音質パーツを多用している。低域用回路と中高域用回路をキャビネット内に分離/独立して配置することで相互干渉を排除。各ユニットに近接した配置とし、ネットワークの二次側配線を最短化している。

 ターミナルは、太径ケーブルにも対応する新型バインディング・ターミナルを採用。端子間に余裕を持たせた新設計の「デュアル・インプットターミナル・アッセンブリー」。バイワイヤリング/バイアンプ駆動に対応する。

 エンクロージャはリアバスレフ型で、87.8m3の内容積を確保。大口径のバスレフポートを用いることで風切り音を抑えている。バッフルには25mm厚のMDFボードを採用。さらにアルミ・ヘアライン調仕上げを施した15mm厚MDF製サブバッフルを重ねて強化。総板厚40mmとなるバッフルとSonoGlass製ホーンがユニット群を支え、さらに3枚の内部ブレーシングによる補強で箱鳴りを防いでいる。底板とMDF材によるソリッド・ベースボードを一体化することで底部も強化して底鳴きを抑制。底面に埋め込まれたインサートナット/フットにより高さの微調整が可能なクローム仕上げの真鍮製大型フットスパイクやスパイク受けも付属する。

 外装はウォールナット・セミグロス・フィニッシュの天然木突き板仕上げ。グリルにはグラスファイバーによる補強を施した特殊ABS素材によるモールドフレームを採用。ウーファー部のみを覆うグリル構造とし、グリル装着時にもホーンの音響特性を妨げないという。

 再生周波数帯域は33Hz~40kHzで、クロスオーバー周波数は850Hz/12kHz。インピーダンスは6Ω。出力音圧レベルは92dB。外形寸法は370×368×1,007mm(幅×奥行き×高さ/スパイク除く)、重量は39kg。



(2012年 8月 20日)

[AV Watch編集部 中林暁]