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パイオニア、DSDネイティブ対応AVアンプ最上位「LX87」
ESS製DAC採用。デジタルアンプ部強化。「LX77」も
(2013/8/7 13:00)
パイオニアは、AVアンプのフラッグシップモデル「SC-LX87」と、下位モデル「SC-LX77」の2機種を9月下旬に発売する。どちらも9.2chアンプで、価格は「SC-LX87」が35万円、「SC-LX77」261,000円。
2機種に共通する特徴は、全チャンネルイコールパワーの「ダイレクト エナジーHDアンプ」を搭載している事。さらに、DACは新たにESS製のものを採用した。また、ハイレゾ音源再生では、24bit/192kHzのWAV/FLAC/AIFFなどの再生に対応するほか、DSDファイルの再生にも対応。LX87/LX77の両モデルで、USBメモリなどに保存したDSDの5.6MHz、2.8MHzのファイルを再生でき、LX87はUSB DAC機能も搭載。PCとUSBで接続し、DoP方式で転送したDSD 2.8MHzのネイティブ再生もできる。
ダイレクト エナジーHDアンプを進化。DACはESS製
従来から採用している「ダイレクト エナジーHDアンプ」は、Direct Power FETのドライバーIC(大電力部)と、アナログ小信号を処理するオペアンプICを分離。2つのパーツを離す事で互いの信号処理への干渉を防ぐほか、ここにより高品位な専用デバイスを使うことができ、音質が向上したという。また、入力段や出力段に使っているパーツも再選定を行ない、最終的に半数以上の部品が新しいものになっているという。
DAC部にはESSの32bitタイプ「SABRE 32 Ultra DAC」を全チャンネルに採用。LX87/77のどちらも、8ch用DACである「ES9016S」を1基、さらにパイオニアの2chアンプである「A-70」に搭載するため、「ES9016S」をベースに2ch用に起こしたDAC「ES9011S」も搭載。合計2個のDACを内蔵。全チャンネル同一クオリティを実現している。
また、DACは専用のDAC基板に搭載。ノイズを受けにくい環境を作り、安定した強固なグランド構造により、DACの持つ変換精度を活かし、情報量や表現力豊かな音を再現できるという。さらに、同一基板上で最短な配線距離や専用の電源供給を行なう事で、I/V変換を理想的な状態に保っている。
DSD再生能力に違い
LX87にはUSB DAC機能を搭載。リアパネルのUSB B端子とPCを接続。32bit/192kHzまでのFLAC/WAVの再生ができ、伝送にはアシンクロナス伝送を採用し、ジッタを低減。AIFF、Apple Lossless、MP3、AAC、WMAファイルの再生も可能。さらに、DoP方式を使い、DSDの2.8MHzデータも再生できる。この場合、AVアンプのDSPをDSDデータのまま通り、DACへ入力し、処理されるDSDネイティブ再生となる。
さらにLX87/77のどちらも、フロントのUSB A端子から、USBメモリなどに保存した音楽ファイルを再生可能。DSDも再生でき、この場合は2.8MHz/5.6MHzの両方をサポート。AVアンプ内部でDSPもスルーし、DACに入力するDSDDirect再生となる。USB A端子では他にも、24bit/192kHzまでのWAV/FLAC/AIFF、24bit/96kHzまでのApple Losslessの再生に対応。MP3/WMA/AACも再生できる。
【DSD再生機能の違い】
機種名 | USB-B (USB DAC機能) | USB-A (USBメモリなどから再生) |
SC-LX87 | ネイティブDSD (DoP方式/2.8MHz) | DSDダイレクト (2.8MHz/5.6MHz) DSDのPCM変換再生 (2.8MHz/5.6MHz) |
SC-LX77 | - | DSDダイレクト (2.8MHz/5.6MHz) DSDのPCM変換再生 (2.8MHz/5.6MHz) |
SC-LX57 | - |
また、「オーディオスケーラー」機能も搭載。入力された音声を32bit/192kHz、または32bit/176.4kHz(CDを整数倍した場合)に拡張して処理する機能で、好みに応じて解像度やサンプリングレート、フィルタ効果のマニュアル設定も可能。
ビット拡張の「Hi-bit32 Audio Processing」と、サンプリングレートをアップして可聴帯域内のノイズを低減させる「Up-Sampling」、プリエコーを取り除いて音の輪郭をクッキリさせる「Digital Filter」で構成されている。なお、「Hi-bit32 Audio Processing」と「Digital Filter」機能はマルチチャンネル音声に対しても適用できる。
AVアンプを制御できるスマートフォン向けアプリ「iControlAV 2013」にも、「オーディオスケーラー」操作機能を追加。サンプリングの切り替えなどを手軽に行なえる。また、アプリの「STATUS VIEWER」を使う事で、元データが「オーディオスケーラー」でどのように拡張され、再生されているかを確認する事もできる。リモコンに専用ボタンも用意する。
AirPlayに対応し、PCのiTunesやiPhoneなどからの音楽を、LAN経由で再生可能。DLNA 1.5にも準拠し、対応PCやNAS(ネットワークHDD)などから、FLAC/WAV/AIFF/Apple Lossless/MP3/AAC/WMAフォーマットを再生できる。FLAC、WAV、AIFFは24bit/192kHzまで、Apple Losslessは24bit/96kHzまで対応可能。
4K映像に対応
最大出力は、LX87が360W×9ch(4Ω)、LX77が340W×9ch(4Ω)。バーチャルワイド/ハイト/サラウンドバック、という3つの仮想スピーカーを自動的に設定する事もでき、5.2chスピーカーの環境で、最大11.2chの仮想音場が作れる「バーチャルスピーカーズ」機能を搭載。3Dコンテンツでは、奥行き感に合わせた「バーチャルデプス」も利用可能。
スピーカーユニットから出る音の位相を揃える「フルバンド・フェイズコントロール」も利用可能。ユニット間の群遅延(位相とタイミングのズレ)をアンプ側で測定・補正。接続スピーカー間すべての位相も揃えることで、全帯域、全チャンネルでの正確な再生を可能にする。設置環境に合わせた音響設定を行なう「Advanced MCACC」と組み合わせることで、理想的なマルチチャンネル再生環境が得られるとする。
また、進化した「フェイズコントロールプラス」機能も搭載。ディスクや放送波マルチチャンネル音声など、音源自体に含まれるLFE成分の位相ズレをリアルタイムで解析・解消する技術だが、設定をAVアンプが自動で行なってくれるほか、低域成分をユーザーがスマートフォンのアプリから微調整する事もできる。
デコーダはHDオーディオに対応し、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどに対応。DTS Neo:Xにも対応する。また、2機種とも「THX Ultra2 Plus」に準拠している。
HDMIはどちらのモデルも入力×9、出力×3を搭載。4K映像のパススルーや、入力映像の4Kアップスケーリング出力も可能。4K出力時でもオーバーレイ表示されるAVアンプからの文字情報は、小さくて見にくくなる事はなく、見やすいサイズに自動調整される。フロントのHDMI端子はMHL 2.0にも対応しており、別途MHLケーブルを用いて対応スマートフォンなどに接続する事で、3D映像やマルチチャンネル音声も含めた、スマホの映像/音楽を伝送し、AVアンプから出力できる。
また、パイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX55/450」とHDMI接続した場合は、独自の「PQLSビットストリーム」が利用でき、ジッタを抑えた伝送ができる。
メインルームのほかに、他の部屋などへもHDMI出力やスピーカー出力が可能なゾーン機能を用意。スマートフォン向けアプリの「PUSH PLAYER」機能を利用すれば、スマホ内の音楽をAVアンプに伝送し、ワイヤレス再生ができるが、アプリから出力したいゾーンを起動させ、インプットセレクトから「PUSH PLAYER」を選ぶ事で、目的の部屋にスマホの音を簡単に出力できる。この機能は、AirPlayやAndroid向けのDLNA DMR(デジタルメディアレンダラー)アプリを使った場合でも利用できる。
シャーシや電源部
両モデルとも、筐体内で鉄板を用いてアンプ部を分離。一体型ながら、セパレート機と同等のクオリティを実現したという。また、メインシャーシとパワーアンプ専用シャーシを絶縁体を介して締結する「インシュレーテッドデュアルシャーシ」も導入。プリ/パワーアンプを電気的に分離し、各ブロックに最適なグランド設計が可能になり、セパレートアンプを組み合わせたのと同等の性能・音質が得られるとする。
LX87のみの特徴として、電源部のトランスに対し、パイオニアのチューンを施すことで、筐体内で映像/音声信号に悪影響を与える磁界(ノイズ)の影響を低減。デジタル/アナログ回路独立の「アドバンスド インディペンデント パワーサプライ」との相乗効果で、さらにクリアな信号伝達を実現している。
音質チューニングでは、今回のモデルも英AIR Studiosが協力。マスコミ向けの説明会では、AIR Studiosのテクニカル ディレクターであるティム・ヴァン-ロット氏からのビデオメッセージも上映。パイオニアの技術者とスタジオで顔を合わせながら、音質評価機を試聴や対策を重ね、音質を高める作業をしている事や、例えばLX87ではHDMI入力基板、特にアップスケーラー回路で発生したノイズで音が荒く、硬くなってしまった問題を解決するため、まる2日かけたなどのエピソードが披露された。
Windows用に、初期セットアップなどが可能なソフト「AVNavigator 2013」を提供しているが、Mac向けの「AVNavigator for Mac」も新たに用意。iPad版「AVNavigator」がフル機能版に進化し、連動取説、説明動画が利用できる。
ECOモードも搭載。ピークボリュームを抑制して、使用時の消費電力を抑える「インテリジェントECOモード」や、スタンバイ時の消費電力削減も実施。「インテリジェントECOモード」は、音楽やネットラジオなど、平均音量レベルの高いコンテンツ向け、映画やライヴなどダイナミックレンジの高いコンテンツ向けと、2つのモードから選べる。
モデル名 | SC-LX87 | SC-LX77 |
最大出力(4Ω) | 360W×9ch | 340W×9ch |
HDMI | 入力×9(MHL×1含む) 出力×3 | |
音声入力 | アナログ(MM×1含む)×2 アナログ(AV)×4 光デジタル×2 同軸デジタル×2 アナログ7.1ch×1 | アナログ(MM×1含む)×2 アナログ(AV)×4 光デジタル×2 同軸デジタル×2 |
映像入力 | コンポジット×4、コンポーネント×3 | |
出力端子 | 9.1chプリアウト(端子数11.2ch)×1 アナログ音声×1 光デジタル音声×1 モニター出力(コンポーネント/コンポジット) | |
マルチゾーン | 音声出力 (ゾーン2/ゾーン3) 映像出力 (ゾーン2/ゾーン3) コンポーネント出力 (ゾーン2) HD ZONE出力 | 音声出力 (ゾーン2/ゾーン3) 映像出力 (ゾーン2/ゾーン3) HD ZONE出力 |
その他の端子 | USB、Ethernet、12Vトリガー、RS232C、IR | |
消費電力 | 370W (待機時0.1W) | |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×441×185mm | |
重量 | 18kg | 17.6kg |