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パイオニア、DSDネイティブ対応AVアンプ最上位「LX87」

ESS製DAC採用。デジタルアンプ部強化。「LX77」も

左から「SC-LX87」、「SC-LX77」

 パイオニアは、AVアンプのフラッグシップモデル「SC-LX87」と、下位モデル「SC-LX77」の2機種を9月下旬に発売する。どちらも9.2chアンプで、価格は「SC-LX87」が35万円、「SC-LX77」261,000円。

 2機種に共通する特徴は、全チャンネルイコールパワーの「ダイレクト エナジーHDアンプ」を搭載している事。さらに、DACは新たにESS製のものを採用した。また、ハイレゾ音源再生では、24bit/192kHzのWAV/FLAC/AIFFなどの再生に対応するほか、DSDファイルの再生にも対応。LX87/LX77の両モデルで、USBメモリなどに保存したDSDの5.6MHz、2.8MHzのファイルを再生でき、LX87はUSB DAC機能も搭載。PCとUSBで接続し、DoP方式で転送したDSD 2.8MHzのネイティブ再生もできる。

SC-LX87
SC-LX77

ダイレクト エナジーHDアンプを進化。DACはESS製

 従来から採用している「ダイレクト エナジーHDアンプ」は、Direct Power FETのドライバーIC(大電力部)と、アナログ小信号を処理するオペアンプICを分離。2つのパーツを離す事で互いの信号処理への干渉を防ぐほか、ここにより高品位な専用デバイスを使うことができ、音質が向上したという。また、入力段や出力段に使っているパーツも再選定を行ない、最終的に半数以上の部品が新しいものになっているという。

パワーアンプ基板
「ダイレクト エナジーHDアンプ」の進化内容

 DAC部にはESSの32bitタイプ「SABRE 32 Ultra DAC」を全チャンネルに採用。LX87/77のどちらも、8ch用DACである「ES9016S」を1基、さらにパイオニアの2chアンプである「A-70」に搭載するため、「ES9016S」をベースに2ch用に起こしたDAC「ES9011S」も搭載。合計2個のDACを内蔵。全チャンネル同一クオリティを実現している。

SABRE 32 Ultra DACのロゴがフロントパネルに刻印されている
DAC構成の詳細

 また、DACは専用のDAC基板に搭載。ノイズを受けにくい環境を作り、安定した強固なグランド構造により、DACの持つ変換精度を活かし、情報量や表現力豊かな音を再現できるという。さらに、同一基板上で最短な配線距離や専用の電源供給を行なう事で、I/V変換を理想的な状態に保っている。

SC-LX87
SC-LX77

DSD再生能力に違い

 LX87にはUSB DAC機能を搭載。リアパネルのUSB B端子とPCを接続。32bit/192kHzまでのFLAC/WAVの再生ができ、伝送にはアシンクロナス伝送を採用し、ジッタを低減。AIFF、Apple Lossless、MP3、AAC、WMAファイルの再生も可能。さらに、DoP方式を使い、DSDの2.8MHzデータも再生できる。この場合、AVアンプのDSPをDSDデータのまま通り、DACへ入力し、処理されるDSDネイティブ再生となる。

 さらにLX87/77のどちらも、フロントのUSB A端子から、USBメモリなどに保存した音楽ファイルを再生可能。DSDも再生でき、この場合は2.8MHz/5.6MHzの両方をサポート。AVアンプ内部でDSPもスルーし、DACに入力するDSDDirect再生となる。USB A端子では他にも、24bit/192kHzまでのWAV/FLAC/AIFF、24bit/96kHzまでのApple Losslessの再生に対応。MP3/WMA/AACも再生できる。

再生方式によって異なる、DSD信号の処理工程
DSDファイルの対応一覧表
ハイレゾファイルの対応一覧表

 【DSD再生機能の違い】

機種名USB-B
(USB DAC機能)
USB-A
(USBメモリなどから再生)
SC-LX87ネイティブDSD
(DoP方式/2.8MHz)
DSDダイレクト
(2.8MHz/5.6MHz)
DSDのPCM変換再生
(2.8MHz/5.6MHz)
SC-LX77DSDダイレクト
(2.8MHz/5.6MHz)
DSDのPCM変換再生
(2.8MHz/5.6MHz)
SC-LX57

 また、「オーディオスケーラー」機能も搭載。入力された音声を32bit/192kHz、または32bit/176.4kHz(CDを整数倍した場合)に拡張して処理する機能で、好みに応じて解像度やサンプリングレート、フィルタ効果のマニュアル設定も可能。

 ビット拡張の「Hi-bit32 Audio Processing」と、サンプリングレートをアップして可聴帯域内のノイズを低減させる「Up-Sampling」、プリエコーを取り除いて音の輪郭をクッキリさせる「Digital Filter」で構成されている。なお、「Hi-bit32 Audio Processing」と「Digital Filter」機能はマルチチャンネル音声に対しても適用できる。

 AVアンプを制御できるスマートフォン向けアプリ「iControlAV 2013」にも、「オーディオスケーラー」操作機能を追加。サンプリングの切り替えなどを手軽に行なえる。また、アプリの「STATUS VIEWER」を使う事で、元データが「オーディオスケーラー」でどのように拡張され、再生されているかを確認する事もできる。リモコンに専用ボタンも用意する。

 AirPlayに対応し、PCのiTunesやiPhoneなどからの音楽を、LAN経由で再生可能。DLNA 1.5にも準拠し、対応PCやNAS(ネットワークHDD)などから、FLAC/WAV/AIFF/Apple Lossless/MP3/AAC/WMAフォーマットを再生できる。FLAC、WAV、AIFFは24bit/192kHzまで、Apple Losslessは24bit/96kHzまで対応可能。

4K映像に対応

 最大出力は、LX87が360W×9ch(4Ω)、LX77が340W×9ch(4Ω)。バーチャルワイド/ハイト/サラウンドバック、という3つの仮想スピーカーを自動的に設定する事もでき、5.2chスピーカーの環境で、最大11.2chの仮想音場が作れる「バーチャルスピーカーズ」機能を搭載。3Dコンテンツでは、奥行き感に合わせた「バーチャルデプス」も利用可能。

 スピーカーユニットから出る音の位相を揃える「フルバンド・フェイズコントロール」も利用可能。ユニット間の群遅延(位相とタイミングのズレ)をアンプ側で測定・補正。接続スピーカー間すべての位相も揃えることで、全帯域、全チャンネルでの正確な再生を可能にする。設置環境に合わせた音響設定を行なう「Advanced MCACC」と組み合わせることで、理想的なマルチチャンネル再生環境が得られるとする。

 また、進化した「フェイズコントロールプラス」機能も搭載。ディスクや放送波マルチチャンネル音声など、音源自体に含まれるLFE成分の位相ズレをリアルタイムで解析・解消する技術だが、設定をAVアンプが自動で行なってくれるほか、低域成分をユーザーがスマートフォンのアプリから微調整する事もできる。

 デコーダはHDオーディオに対応し、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどに対応。DTS Neo:Xにも対応する。また、2機種とも「THX Ultra2 Plus」に準拠している。

 HDMIはどちらのモデルも入力×9、出力×3を搭載。4K映像のパススルーや、入力映像の4Kアップスケーリング出力も可能。4K出力時でもオーバーレイ表示されるAVアンプからの文字情報は、小さくて見にくくなる事はなく、見やすいサイズに自動調整される。フロントのHDMI端子はMHL 2.0にも対応しており、別途MHLケーブルを用いて対応スマートフォンなどに接続する事で、3D映像やマルチチャンネル音声も含めた、スマホの映像/音楽を伝送し、AVアンプから出力できる。

SC-LX87の前面端子部
SC-LX77の前面端子部

 また、パイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX55/450」とHDMI接続した場合は、独自の「PQLSビットストリーム」が利用でき、ジッタを抑えた伝送ができる。

 メインルームのほかに、他の部屋などへもHDMI出力やスピーカー出力が可能なゾーン機能を用意。スマートフォン向けアプリの「PUSH PLAYER」機能を利用すれば、スマホ内の音楽をAVアンプに伝送し、ワイヤレス再生ができるが、アプリから出力したいゾーンを起動させ、インプットセレクトから「PUSH PLAYER」を選ぶ事で、目的の部屋にスマホの音を簡単に出力できる。この機能は、AirPlayやAndroid向けのDLNA DMR(デジタルメディアレンダラー)アプリを使った場合でも利用できる。

シャーシや電源部

 両モデルとも、筐体内で鉄板を用いてアンプ部を分離。一体型ながら、セパレート機と同等のクオリティを実現したという。また、メインシャーシとパワーアンプ専用シャーシを絶縁体を介して締結する「インシュレーテッドデュアルシャーシ」も導入。プリ/パワーアンプを電気的に分離し、各ブロックに最適なグランド設計が可能になり、セパレートアンプを組み合わせたのと同等の性能・音質が得られるとする。

SC-LX87の内部
メインシャーシとパワーアンプ専用シャーシを絶縁体を介して締結する「インシュレーテッドデュアルシャーシ」

 LX87のみの特徴として、電源部のトランスに対し、パイオニアのチューンを施すことで、筐体内で映像/音声信号に悪影響を与える磁界(ノイズ)の影響を低減。デジタル/アナログ回路独立の「アドバンスド インディペンデント パワーサプライ」との相乗効果で、さらにクリアな信号伝達を実現している。

AIR Studiosのテクニカル ディレクター、ティム・ヴァン-ロット氏

 音質チューニングでは、今回のモデルも英AIR Studiosが協力。マスコミ向けの説明会では、AIR Studiosのテクニカル ディレクターであるティム・ヴァン-ロット氏からのビデオメッセージも上映。パイオニアの技術者とスタジオで顔を合わせながら、音質評価機を試聴や対策を重ね、音質を高める作業をしている事や、例えばLX87ではHDMI入力基板、特にアップスケーラー回路で発生したノイズで音が荒く、硬くなってしまった問題を解決するため、まる2日かけたなどのエピソードが披露された。

 Windows用に、初期セットアップなどが可能なソフト「AVNavigator 2013」を提供しているが、Mac向けの「AVNavigator for Mac」も新たに用意。iPad版「AVNavigator」がフル機能版に進化し、連動取説、説明動画が利用できる。

 ECOモードも搭載。ピークボリュームを抑制して、使用時の消費電力を抑える「インテリジェントECOモード」や、スタンバイ時の消費電力削減も実施。「インテリジェントECOモード」は、音楽やネットラジオなど、平均音量レベルの高いコンテンツ向け、映画やライヴなどダイナミックレンジの高いコンテンツ向けと、2つのモードから選べる。

SC-LX87の背面
SC-LX87の付属リモコン
SC-LX77の背面
SC-LX77の付属リモコン
モデル名SC-LX87SC-LX77
最大出力(4Ω)360W×9ch340W×9ch
HDMI入力×9(MHL×1含む) 出力×3
音声入力アナログ(MM×1含む)×2
アナログ(AV)×4
光デジタル×2
同軸デジタル×2
アナログ7.1ch×1
アナログ(MM×1含む)×2
アナログ(AV)×4
光デジタル×2
同軸デジタル×2
映像入力コンポジット×4、コンポーネント×3
出力端子9.1chプリアウト(端子数11.2ch)×1
アナログ音声×1
光デジタル音声×1
モニター出力(コンポーネント/コンポジット)
マルチゾーン音声出力
(ゾーン2/ゾーン3)
映像出力
(ゾーン2/ゾーン3)
コンポーネント出力
(ゾーン2)
HD ZONE出力
音声出力
(ゾーン2/ゾーン3)
映像出力
(ゾーン2/ゾーン3)

HD ZONE出力
その他の端子USB、Ethernet、12Vトリガー、RS232C、IR
消費電力370W
(待機時0.1W)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
435×441×185mm
重量18kg17.6kg

(山崎健太郎)