ニュース
【Inter BEE】アストロデザインが8K放送向け製品投入へ
東芝は広色域4KモニタやHybridcast検証システムなど
(2013/11/14 14:48)
11月15日まで幕張メッセで開催されている国内最大の放送機器展「Inter BEE 2013」のブースから、アストロデザインの4K/8K対応製品や、東芝の広色域の4K液晶モニタ、RoviのHEVC関連技術などをレポートする。
アストロデザインは8Kカメラヘッドを小型化
既に多くの4K/8K関連製品を揃えているアストロデザインは、新たに8Kカメラヘッドの小型化などを含め、放送局などが現在のHDから4K/8K放送へ移行するための関連機器の充実を進めている。
参考出展されたのは重さ2kgの8K/SHVカメラヘッド「AH-4800」。NHK技研公開などでも展示されたもので、駆動回路を約10cm角の筐体に収め、小型化を実現した。撮像素子はNHKエンジニアリングシステムの2.5型/3,300万画素CMOSセンサーで、7,680×4,320ドット/60fps撮影に対応する。レンズはPLマウント。出力は12チャンネルパラレル光出力。
2016年のスーパーハイビジョン実用化試験放送を見越して、今年度末の製品化を目指す。価格は未定。8K/RAW記録が可能な小型レコーダ「HR-7512」などと組み合わせて利用でき、「これまでHDカメラでしか入れなかったロケ場所でも8Kで撮影でき、利用の幅が広がる」としている。定点撮影により、監視や防災といった用途も想定している。
スタジオ/ライブ撮影などでは、AH-4800にヘッドアダプタ(TX光伝送装置)の「AT-4803」や、CCUアダプタ(RX光伝送装置)などを組み合わせ、業界標準の光複合ケーブルで伝送可能。4K/9.6型のビューファインダでフォーカスをアシストし、8K撮影がより現実的になるという。組み合わせとして8Kモニタの「DM-3810」も展示していた。こうした8K関連新製品は、'14年内には出そろう予定だという。
東芝
東芝は、12日に発表した広色域の業務用32型4Kモニタ「TUM-32PRO1」や、Hybridcast関連技術などを展示していた。
TUM-32PRO1は、32型で解像度3,840×2,160ドットの4K液晶モニタ。Adobe RGBカバー率99%という広色域が大きな特徴で、テレビなどで培った超解像を含む画質技術を投入。価格はオープンプライスで、実売価格は157万5,000円。写真や映像編集のほか、広告、デザイン、服飾などでの利用を主に想定している。
輝度は300cd/m2、コントラストは1,000:1、視野角は上下、左右176度。バックライトは直下型LED。表面は低反射フィルムを使用し、映り込みを軽減する。明るさやコントラストなどの設定をLAN経由でPCから行なえるほか、付属の測定機「i1 D3」を使ったカラーキャリブレーションも可能となっている。
9月から開始され、東芝REGZAの「58Z8X」などを含むテレビで利用可能なHybridcast関連では、動作検証用のテレビ「47Z8」やタブレット「REGZA Tablet」、 Hybridcast用サーバー、コンテンツ検証用のPCを1パッケージ化した検証システムを紹介。 Hybridcastの特徴である、番組進行に合わせた情報表示なども検証可能としている。
RoviのHEVC対応「MainConcept SDK」など
Roviのブースでは、4K/8Kへの対応も予定しているHEVC対応コーデックソリューション「MainConcept SDK」などに関する展示を行なっている。
開発者向けに提供している「MainConcept SDK」では、1つのコンテンツから複数の画質のバージョンを一度に作成可能。これは、Roviが提供している動画配信サービス向けソリューション「DivX Streaming」などで搭載しているアダプティブストリーミング(回線速度に応じて画質を自動変換する)において、1コンテンツで最大11種類の画質バージョンが必要になるため。この作業を1度にまとめて行なえることにより、サービス提供者は大幅に時間を短縮できるとしている。
なお、既報の通り、Roviは12日にパナソニックシステムLSI事業部(パナソニックSoC)とのライセンス契約を発表。パナソニックSoCのテレビ/BD向け次世代IC製品に、RoviのDivX HEVC技術を搭載することで合意した。ただし、この契約は、あくまでパナソニックSoCのICにDivX HEVC技術が採用されることが決まったもので、VIERAにそのICが搭載されるかどうかまでは含まれていないという。