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3Dプリンタで一体成型筐体の「アーススピーカ」。モバイルバッテリのcheeroが1月発売へ

 ポータブルバッテリなどで知られる「cheero(チーロ)」は、世界初とする3Dプリンタで制作した一体型筐体の「アーススピーカ」の開発を発表した。米国ラスベガスで2015年1月6日(現地時間)より開幕する「2015 International CES」において正式発表し、CESに合わせて日本と米国で受注を開始する予定。価格は20万円前後の見込み。

「アーススピーカ」のプロトタイプ

 パッシブのステレオスピーカーで、世界初という3つの大きな特徴を持つ。1つ目は、「DMM.make AKIBA」が持つ1億5,000万円という3Dプリンタで筐体を製作し、つなぎ目などの無いワンピース、モノコック構造のエンクロージャを実現した点。2つ目は、自然な音波の流れを実現するという流線型の内部構造、3つ目は、定在波の発生を究極まで抑え込むという全方位非対称の造形。スピーカーユニットは直径約8cmで、タイムドメインラボが製造している。

製品版ではこのようなデザインになる予定
搭載ユニットはタイムドメインラボが開発

 cheeroは、スマートフォンなどのモバイルバッテリを中心としたスマートフォンアクセサリを開発・販売するブランド。「リボルテックダンボー」とコラボレーションした“ダンボーバッテリ”などでも知られる。切削機械部品やギヤといった機械部品・工具部品のメーカーであるティ・アール・エイ(TRA)の事業部として国内外で展開している。

 同社は1日にポータブルバッテリの新モデル「Power Plus 3」を発表。その発表会場で、新たな取り組みとしてスピーカーの開発について言及し、プロトタイプを披露した。

 さらに、このアーススピーカに最適化したというアナログ入出力の小型アンプも用意。タイムドメインラボが開発したもので、同スピーカーの推奨アンプとして同時期に製品化する予定で、価格は10~15万円の見込み。

タイムドメインラボのユニットを搭載したシームレスな筐体

 直径約8cmで、最大入力5Wという比較的小型のフルレンジユニットを備えたスピーカー。高速な応答性や、付帯音の無いストレートな音質を追求。スピーカーの開発を担当したcheero Sound Developmentの橋口和矢センター長は、「ヘッドフォンに近いような、ミュージシャンが録音した音を忠実に再現するスピーカー」と説明している。

アーススピーカ本体と、推奨アンプ

 他社製品でも卵型のスピーカーは存在するが、橋口氏によれば、アーススピーカは3Dプリンタで成形した独特な形状により、内部での不要な音の反射を抑えている点が大きな特徴だという。エンクロージャの素材はポリアミド。ユニットは、バッフル面にネジ留めするのではなく、筐体中央の部分にユニット背面から1本でネジ留めしている。現在は1つのエンクロージャを3Dプリンタで出力するのに約1日かかるという。背面にバスレフポートを配置する。

 ユニットも新開発で、エッジ部の継ぎ目やフレーム部による不要な反射を抑えている点などが特徴。タイムドメインラボが約4年を掛けて開発を進めていたユニットが、このスピーカーと最適な組み合わせになったという。

 同時期の製品化を目指すアンプユニットもタイムドメインラボが開発。アルミ削り出しの筐体に、5W×2chのアンプICを内蔵。音質はピュア傾向で、アーススピーカに最適化した設計だという。

スピーカーを横から見たところ
スピーカー背面
ユニット背面。1本のネジで装着
3つの大きな特徴
アンプの背面
より大型のユニットを使ったモデルも開発する予定だという
TRAの東亨 代表取締役がアーススピーカを紹介
cheero Sound Developmentの橋口和矢センター長

13,400mAhで発売時3.000円を切る大容量バッテリ「Power Plus 3」登場

モバイルバッテリの新モデル「cheero Power Plus 3」

 今回の発表会の中心は、モバイルバッテリの新モデル「cheero Power Plus 3」。製品のテーマとして「安全性」と「軽さ」を掲げつつ、低価格も追求。バッテリが原因となる携帯電話やノートPCなどの発火事故が起きていることを考慮し、国内製の電池を採用。12月6日にAmazon.co.jp限定で発売し、リリース記念価格として2,780円となる(通常価格は3,500円前後)。

 従来モデル「Power Plus 2」は容量10,400mAhで重量290gだが、新モデルのPower Plus 3は、容量を13,400mAhに増加しながら245gに軽量化。「業界最軽量」を実現したという。入力1ポート、出力2ポートで、2ポート合計3.4Aの高出力に対応する。パッケージや付属品をシンプルにしてコストを抑えるなどして低価格化を追求した。

大容量化しつつ、本体は軽量化
2台同時充電時も、合計3.4Aで出力できる
日本製電池を採用
Amazon限定で2,780円
本体の入力は2A
TRA取締役 兼 cheero USA Inc CEOの 東潤氏がバッテリ新モデルを紹介した
Amazonで購入
cheero Power Plus 3

(中林暁)