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初のiPad用MIDI over Bluetooth LE音楽キーボード「Miselu C.24」。24,800円

 ソフトバンクコマース&サービスは、米Miselu(ミセル)製のワイヤレス音楽キーボード「C.24」を12月16日に発売する。価格は24,800円(税込)。世界初というMIDI over Bluetooth LE対応のワイヤレス音楽キーボードで、既にクラウドファンディングのKickstarterで製品化されたが、'15年1月からの世界発売(229ドル)に先駆けて、国内で一般販売を開始する。先行販売の特典として、「C.24」の購入者全員にiTunesカード3,000円分がプレゼントされる。

MiseluのC.24

 「C.24」は、iPad/iPhoneとBluetooth 4.0で接続して利用できる24鍵のキーボード。iPad 2以降の本体サイズに合わせたデザインで、iPadを楽譜のように立て掛けて音楽アプリなどのキーボードとして利用できるほか、iPad 2や第3/4世代iPadのケースとしても利用可能。本体中央のボタンを押すと白鍵と黒鍵が斜め上にせり出して立体的な形になり、深い打鍵が可能。平らにすると薄さは9.9mmになる。

 キーボードは24鍵で、磁石の反発力によりストローク感を持たせている。各鍵の下に光センサーを備え、音のオン/オフだけでなく鍵盤の押された距離や速度などを元にベロシティ(鍵盤の強弱)も検出され、出る音に反映される。

C.24本体
平らな状態(左)から、ボタンを押すと鍵盤がせり上がる(右)
鍵をしっかり押せる
iPadを立て掛けて使用。後ろから見たところ
iPadケースとして利用できる

 MIDI over Bluetooth LEはiOS 8の新機能で、Bluetooth LEでMIDIをワイヤレス伝送できるもの。アップルのGaragebandなどのMIDI Over Bluetooth対応アプリと連携して、ワイヤレスのキーボードとして利用できる。MIDI over Bluetooth LEに対応するのは、第3世代以降のiPadとiPad Air/Air 2、iPad mini。

 CoreMIDIに対応し、複数の「C.24」を合わせて1つのキーボードのように利用することも可能。接続自体は9台まで可能だが、CoreMIDIの仕様により、キーボードとして利用できるは8台までとなる。350以上のCoreMIDI対応の音楽アプリと連携可能。microUSB端子も備え、iPadなどと別売Camera Connection Kit経由で有線接続できる。

磁石と光センサーを使った鍵盤構造
350以上のCoreMIDIアプリと連携できる
他の音楽アプリと連携させる「KEY」
4台を並べて使用
2台を使って両手で演奏

 側面にLEDセンサーを備え、手をかざすと音域の変更などが可能。向かって左側面に、手前から奥へ振るように手をかざすと音域が高く、奥から手前に振ると低くなる。右側面に手をかざすと、ピアノのサステインペダルを踏んだ時のように音を伸ばせる。

 前述のGaragebandやコルグのFingerPiano PlusなどのMIDI over Bluetooth LE対応アプリとC.24はダイレクトに接続できるほか、MIDI over Bluetooth LE非対応のCoreMIDIアプリとC.24を連携させる無償アプリ「Miselu KEY」もApp Storeで提供している。

左側に手をかざして音域を変更できる
各パーツを分解したところ
上がメイン基板部分
iPad miniをのせたところ
フェルトのような布製の専用ケース入り
主な特徴

 リチウムイオンバッテリを内蔵し、最大20時間の連続使用が可能。外形寸法は、鍵盤を立体化した「パフォーマンスモード」時が242×201.3×28.5mm(幅×奥行き×高さ)、平らにした「ケースモード」時が242×185.7×9.9mm(同)、重量は552g。

Garagebandとの組み合わせ時
FingerPiano Plusとの組み合わせ時

“あたりまえ体操”の樋口太陽氏「鍾乳洞で作曲したい」

 Miseluは、米国シリコンバレーを拠点とするスタートアップ企業。C.24をKickstarterで製品化したことで注目されているほか、Android OS搭載で低遅延の電子楽器「Miselu neiro」を'12年のGoogle開発者向けイベント「Google I/O」で披露したことでも話題となった。C.24は同社のハードウェア第1弾製品となる。

Miseluの吉川欣也CEO

 CEOの吉川欣也氏は、カジュアルに楽しめる電子楽器としてC.24を提案。楽器演奏へのニーズはあるものの、「置く場所がない」、「高い」、「継続しない」といった点をハードルに感じている人などに対し、“モバイル”にフォーカスし、どこでもワイヤレスで簡単に楽しめる楽器であることを強調。自身も楽器を演奏するという吉川氏は、「楽器もモバイルであったほうが楽しいはず」として、ミュージシャンや楽曲制作者だけでなく、すべてのiPadユーザーを対象に、新しい音楽の楽しみ方としてアピールした。

 さらに今後の展開として、音楽ゲームなどのコントローラや、子供の教育教材、高齢者/リハビリ用デバイスとしてC.24を活用するといったことも「2nd phase」として計画していることを明らかにした。

 '15年以降の具体的なプランとしては、まずAndroid/Windowsの各OSへの対応を予告。ハードウェアとしては、タブレットやスマートフォンなどのほかに、スマートテレビやゲームコンソール、カラオケ機器などに対応していくことも検討。楽器や音楽サービスとの連携も強化していく。

カジュアルに楽しめる楽器として提案する
今後の計画

 C.24を国内販売するソフトバンクコマース&サービスは、「SoftBank SELECTION」やモバイルアクセサリー事業を展開。2014年から、海外発ブランドのモバイルアクセサリーシリーズを集めた「Global LINE-UP」を立ち上げ、C.24は同シリーズの新ラインナップとして発売される。

 ゲストとして、作曲家/サウンドディレクターの樋口太陽氏も来場。樋口氏は、テレビ番組やCMなどの楽曲を多数手掛け、COWCOWの「あたりまえ体操」の作曲と歌唱でも知られる。樋口氏は、C.24を使って「あたりまえ体操」の生演奏を行なったほか、今回のために作ったというダンスミュージック風アレンジの「あたりまえMISELU」をC.24で披露。「ワイヤレスでつながる」ことや、「CEO(Miseluの吉川欣也氏)も弾ける」といった“あたりまえ”な良さを、ダンサブルな曲でアピールした。

樋口太陽氏がC.24で「あたりまえ体操」を生演奏

 樋口氏は「平べったい鍵盤だとどこを弾いているかわからないが、C.24はコンパクトさと、演奏時のリアルさが両立されている。楽器が無くても、iPadを持っていて面白いことをやりたい人にお勧めしたい。このセットだけならカバンに入るので、草原や砂浜などで作曲したい。特にやってみたいのは鍾乳洞の中」と、C.24を使った音楽制作に意欲を見せた。

今回のために作った「あたりまえMISELU」を演奏
ソフトバンクコマース&サービス 執行役員SBS事業本部長 松田広史氏(左)と、Miseluの吉川CEO(右)の3人でセッションする場面も

(中林暁)