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ソニー、DSDネイティブ再生/無線リアスピーカー対応のAVアンプ。4万円の普及機も

 ソニーは、4K/HDR映像のパススルーなどに対応したAVアンプ2モデルを5月21日より順次発売する。ベーシックなモデル「STR-DH770」が5月21日に発売し、価格は4万円で。DSDネイティブ再生やWi-Fi利用のワイヤレスサラウンドにも対応した上位モデル「STR-DN1070」は6月18日発売で、72,000円。

上位モデル「STR-DN1070」

 いずれも7.1chのAVアンプで、両機種共通の特徴として、最新の4Kコンテンツのパススルーに対応。4K/60p/4:4:4や、HDR、HDCP 2.2の映像をサポートし、4K映像を高音質なサウンドと共に楽しめるとしている。

ベーシックモデルの「STR-DH770」

 ドルビーTrueHDやDTS-HD Master AudioなどのHDオーディオに対応。また、デジタル音場処理技術でフロントスピーカーだけで仮想的にサラウンド音場を構築する「S-Force PROフロントサラウンド」も搭載する。なお、立体音響のドルビーアトモス(Dolby Atmos)やDTS:Xには対応しない。最大出力と定格出力は、DN1070が165W×7ch/100W×7ch、DH770が145W×7ch/90W×7ch(いずれも6Ω)。

S-Force PROフロントサラウンドのイメージ

 STR-DN1070は、現行モデルSTR-DN1060の後継機種で、DSDネイティブ再生やEthernet/Wi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n、2.4/5GHz)のネットワーク機能に対応。AVアンプとしての基本的な音質向上と、新たなサラウンド再生機能も搭載した上位モデルとなっている。STR-DH770は現行のSTR-DH750の後継機種。なお、もう一つの現行機STR-DN850は4月で生産完了となる後継モデルが無いため、AVアンプのラインナップは2製品となる。

STR-DN1070
STR-DH770

新DAC搭載の「STR-DN1070」。スピーカー追加でワイヤレスサラウンドも

 上位モデルのSTR-DN1070は、'14年モデルから搭載している広帯域パワーアンプや、'15年モデルからの高精度プリアンプを継承しつつ、新たに32bit対応DACチップを搭載。このチップのメーカーは公表していないが、DSDネイティブ再生に対応したほか、クロックジッターの影響を受けにくいスイッチド・キャパシタ方式により、小信号の歪みが少なく高音質化を実現したという。

STR-DN1070の新DACチップ
プリアンプIC
DN1070のパワーアンプブロック

 32bit対応DACにより、入力から32bit DSPで処理された出力を32bitのままでDA変換。「ソニーが今まで培ってきた高度なDSP技術による各機能全てが32bit DAコンバートによりグレードアップする」という。DAC電源も強化され、新開発された高音質の表面実装キャパシタを、高容量のLDOとともに使用。周辺回路のパターニングの検討により、高い解像度で安定した低域を実現したとしている。

 DSDファイルは5.6MHz、5.1chまでサポート。なお、DSDネイティブ再生はメニュー内で切り替えることで利用可能となり、その際はDSPがバイパスされるため、音場補正などを含むDSP機能が利用できない。

DSPチップ

 基板の高密度化に伴い、小型表面実装抵抗を必要とする回路が増えてきたが、リード部品よりも高音質なものが無かったという理由から、ソニーは部品メーカーと共同で高音質表面実装抵抗「ファインサウンドレジスター」を開発して搭載。専用の抵抗素材や構造に加えて電極に純銅を使用。「情報量が多く素直でリッチな音質を達成した」という。ファインサウンドレジスターには、高音質の象徴として表面に「f」の文字が刻印されている。

STR-DN1070のデジタルボード部
「f」の文字が入ったファインサウンドレジスターを採用
シャーシ
STR-DN1070のWi-Fiアンテナ部

 ネットワーク機能を持つSTR-DN1070は、DLNAやAirPlay再生のほか、Google Castもサポート。スマートフォンからの操作で、対応する音楽配信サービスなどが利用できる。

 新たに、スピーカーとのワイヤレス接続機能を強化。10月に予定されているアップデートにより、SongPal Linkの2つの機能「ワイヤレスサラウンド」と「ワイヤレスマルチルーム」に対応する。

 ワイヤレスサラウンドは、Wi-Fi搭載の対応スピーカーを、サラウンド再生のリアスピーカーとして利用可能にする機能。対応スピーカー第1弾である、ソニーのWi-Fi/Bluetooth搭載モデル「h.ear go(SRS-HG1)」(オープンプライス/実売28,000円前後)を2台用意することで、ワイヤレス接続のリアスピーカーとなる。ワイヤレス接続時の伝送フォーマットは非公開。

ワイヤレスサラウンドのイメージ
ワイヤレスリアスピーカーとして使える「h.ear go(SRS-HG1)」

 ワイヤレスマルチルームは、複数のSongPal Link対応スピーカーなどを連携させ、別々の部屋で同時に音楽を楽しめる機能。PCやNAS、USBメモリ内の楽曲や、Google Cast対応アプリのコンテンツが利用でき、家じゅうで同じ曲や別の曲を同時に再生できる。

ワイヤレスマルチルームのイメージ

Bluetooth/NFCに対応

 両機種ともBluetoothを搭載し、スマートフォンなどの音楽をワイヤレスで受信して聴くことが可能。NFCで、対応スマートフォンとワンタッチでペアリングできる。Bluetooth接続時も高音質で伝送できるLDACもサポートしている。Bluetoothの操作はSongPalアプリで行なえる。

 自動音場補正機能を搭載し、上位モデルのDN1070は、自動位相マッチング機能「A.P.M」も利用できる「アドバンストD.C.A.C.」。DH770はA.P.Mに対応しない「D.C.A.C.」を備える。DN1070は、MP3やAACなどの圧縮音源をアップコンバートして高域補間などを行ない音質を改善する「DSEE HX」も搭載する。

 両機種とも、フロントハイスピーカーを使って高さ方向の音場を表現できる「HD-D.C.S. フロントハイ」に対応。DN1070は、有線接続時のマルチルーム機能を搭載。5.1chや3.1chで余っているスピーカー端子を独立して使用し、メインルームとは別で2部屋(Zone3)まで分けて使える。

 HDMIは、DN1070が6入力/2出力で、DH770が4入力1出力。その他の入力端子は、コンポジット×2、、光デジタル×1、同軸デジタル×1、アナログ音声×4。出力端子はコンポジット×1、サブウーファ×2、ヘッドフォン×1を用意する。ウォークマンやiPhoneとデジタル接続して高音質再生できるUSB端子も前面に装備する。

 USB再生の対応フォーマットは、DN1070がDSD(5.6MHz)と、WAV/FLAC/AIFF/Apple Lossless(ALAC)の最大192kHz、MP3/AAC/WMA。DH770は、WAV/FLACの48kHzまでと、MP3/AAC/WMA。

DN1070の背面
DH770の背面

 消費電力はDN1070が190W(待機時0.4W)、DH770が180W(同0.3W)。外形寸法と重量は、DN1070が430×329.4×172mm(幅×奥行き×高さ)、10.5kg。DH770が430×329.4×156mm(同)、7.8kg。付属品は、音場補正用のマイクや、FMアンテナ線など。同梱するリモコンは、DN1070が「RMT-AA20U」、DH770が「RMT-AA231U」。

DN1070の付属リモコン
DH770の付属リモコン

(中林暁)