【IFA2009】船井、ワイヤレスのように見える液晶TVなど
-“Androidテレビ”やBD内蔵テレビも展開
IFAの展示会場でユニークな展示を行なっているのが、船井電機だ。同社は自社ブランドや、米国におけるPhilipsブランドのテレビ事業なども行なっているが、主軸とするのはOEM事業。今回は、ワイヤレステレビ“風”のテレビの新提案やGoogleが主導するAndroidをOSに使ったテレビなどを出展している。
■ ワイヤレスのようで、そうではない「Air Mount TV」
Air Mount TV |
ユニークな提案といえるのが「Air Mount TV」という宙に浮いたようなデザインのテレビ。透明なパネルの上部にテレビが現れたようなデザインとなっており、BDプレーヤーからの映像をHDMI経由で入力している。
一見すると、テレビから電源やHDMIケーブルがつながっていないように見えるデザインとなっている。しかし、実際は“ワイヤード”のテレビとなっている。テレビ部は40型でLEDバックライトを採用。薄型化と軽量化により壁掛け可能なデザインを実現した。
実はHDMIと電源のケーブルを透明なEthernetケーブルで代用しており、そのケーブルを透明なパネル上のテレビ台に通すことで視認し難くしている。HDMI入力の変換にはイスラエルValens Semiconductorの「HD Base T」技術を採用。入力した信号をEthernetとしてテレビに入力し、テレビ側の専用チップで復調する。
背面を見てもケーブルが無いように見える | スタンド部を透明のEthernetケーブルを通している |
また、HD Base Tでは、100M以上のケーブルでもHD信号を4本同時に伝送できるという利点もあるという。さらに映像信号だけでなく、Ethernetや、USBなどの各種信号の双方向通信も可能なため、外部機器からのテレビ制御などの活用も可能となる。
HD Base T用のチップを積んだコンバーターで、HDMI信号と電源をEthernetで伝送。今回のデモでは2本のEthernetケーブルを使っている | 100m以上のケーブル引き回しも可能になる |
Wireless HDを使ったテレビを開発中 |
特徴はコストが安いことで、Wireless HDなど、既存のワイヤレス技術を使うと5~8万円のコスト増になるところを2万円以下には抑えられるとのこと。同社ではAMIMONのチップセットを使ったワイヤレステレビを製品化しているほか、SiBEAMチップセットを使ったWireless HD搭載のテレビも開発しているが、より安価で“線が気にならない”製品としてAir Mount TVを企画したという。
今回の展示での意見を聞きながらの製品化を見込んでいたが、開幕初日の段階で非常に評判がいいため、早ければ2010年の前半には商品化できるのではないか、としている。
■ Android搭載テレビとリモコン的に使えるモバイル端末
Android搭載液晶テレビ | コンテンツをテレビからモバイル端末に転送 |
また、携帯電話などで採用が始まっているGoogleが開発を主導するOS「Android」を使った42型液晶テレビやポータブルデバイスを展示している。
ポータブルデバイスをテレビの「リモコン」として利用でき、ほぼ共通のGUIをテレビ/モバイルデバイスの双方で実現。また、テレビに記録したコンテンツをモバイル向けにムーブする機能のデモなども行なっている。
ポータブルデバイス側にはキーボードも備えており、テレビ用のコンテンツを購入する際にクレジットカード番号を入力する、などの利用方法も想定。テレビショッピング対応のテレビなどとしても提案できるとする。また。MPEG-4など動画再生も可能なプレーヤーとしても利用できる。
Android搭載モバイル端末 | Android搭載TVとモバイル機器の利用モデル | モバイルプレーヤーの主な仕様。2Wayのキーボードも装備する |
今回開発したテレビは、特殊なLSIなどを使っているわけではなく、Androidの搭載自体は、それほどの処理能力は必要とされないという。ただし、搭載する機能により求められる処理能力も変わるため、顧客の声を聞きながら製品化に向けて作業を進めるとしている。
キーボードを使ってテレビのコンテンツ決済端末として応用 | 2Wayのキーボードを装備 | テレビから動画転送して再生可能 |
■ BD内蔵テレビやサウンドバーも展示
Blu-ray Disc関連でも多くの展示を行なっており、42型液晶テレビにBlu-rayプレーヤーを搭載した製品などを披露。BD内蔵テレビは既に米国での発売が決定しているという。
42型のBlu-ray Disc内蔵テレビも装備 | 側面にスロットイン型のBDドライブを備えている |
加えて、BDプレーヤーの新モデルとして、BD-LIVEに対応したほか、vTunerのインターネットラジオ機能を備えた製品も出展。BDやDVDの再生だけでなく、11,000以上のvTuner登録局から好きな音楽を指定して、再生することも可能。200ドル以上での販売を想定している。
BD-LiveやvTunerに対応したBDプレーヤー | 各種インターネットラジオを楽しめる |
Audysseyと共同開発したサウンドバー |
また、サウンドバー(フロントサラウンドシステム)も参考展示。12個のユニットと総合200Wのデジタルアンプを搭載し、6チャンネルの音声入力をテレビ下部に設置した一本の“バー”でサラウンド再生するシステム。Blu-rayや薄型テレビとの組み合わせを想定し、商品化に向けて開発を進めているという。
Audysseyと共同開発しており、MultiEQ XTなどAudysseyのサラウンド技術を搭載。フロントのスピーカーだけでも自然なサラウンドを実現するほか、Dynamic Volumeによる急峻な音変化の抑制などの機能も有している。HDMI入力やアナログ音声、光デジタル音声入力などを装備する。ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどのビットストリーム音声に対応するかどうかについては、価格やOEM先の要求に応じて、決定するという。
利用イメージ | 主な仕様 |
また、BDプレーヤーのコンセプトモデルやLEDバックライトを採用した液晶テレビなども出展していた。
BDプレーヤーのコンセプトモデル。BDドライブをやや大きくしたボディからワイヤレスでテレビに映像/音声伝送 | LEDバックライト搭載の液晶テレビも |
(2009年 9月 6日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]