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輝度4倍になる“次世代有機EL発光材料”量産化へ。Kyuluxと日本曹達が資本提携
2024年11月22日 19:36
Kyuluxと日本曹達は20日、次世代有機EL発光材料である「熱活性化遅延蛍光材料」(TADF)に関する量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結した。今後、日本曹達はKyuluxに資本参加するとともに、量産体制確立に向けたプロセス開発ならびに設備投資を実施。またKyuluxは、日本曹達の量産体制構築を技術面から支援することで、世界初となるTADFの量産と安定した供給体制を実現する。
2015年に設立されたKyuluxは、有機ELディスプレイなどに用いる次世代有機EL発光材料の開発を行なう九州大学発のスタートアップ企業。
同社が開発するTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence)は、有機EL分子が熱エネルギーの助けを受けて放出する、熱活性化遅延蛍光と呼ばれる第3世代有機EL発光材料。内部量子効率が極めて高く、現在有機EL材料技術に不可欠なレアメタルが不要なことから低コスト化、高効率化の切り札と注目されている。
そして、このTADFを有機EL材料を発光させるために加える材料(アシストドーパント)として活用した有機EL発光技術「Hyperfluorescence」は、高効率・高色純度・長寿命および低コストを同時に実現する、次世代の発光技術とされる。
Kyuluxと日本曹達は2020年1月に共同開発契約を締結し、TADFの生産ノウハウの確立を目標に中間体に関する研究開発に取り組んできたが、今後の量産開始を見据え、さらなる連携が必要となったことから今年10月の資本業務提携契約締結に至ったという。
Hyperfluorescence技術を採用したディスプレイは、2019年に台湾の企業とKyuluxが共同で世界初の製品化に成功。またKyuluxには、有機ELパネルを開発する韓国LGディスプレイとサムスンディスプレイも出資している。