独ULTRASONE、新ハイエンドヘッドフォン「Edition 10」
-シリーズ初の開放型。日本先行発表。29万4,000円
独ULTRASONEは1日、ハイエンドヘッドフォン「Edition」シリーズの最新モデル「Edition 10」を発表した。発売日は10月20日、価格は29万4,000円を予定。2010年にちなみ、全世界で2,010台セットの限定販売となる。日本ではタイムロードが販売を担当する。
同モデルは、8月6日から開催される香港ハイエンドオーディオショウで世界に向けた正式発表を予定しているが、それに先駆け、Editionシリーズのユーザーが多い日本で、特別にワールドプレミア発表会が開催され、ULTRASONEからCEOのMichael Willberg氏らも来日した。
Edition 10 | 本体に使われているのと同様に、ゼブラノ材を使ったヘッドフォンスタンドも付属する | 装着したところ |
Editionシリーズとして初のオープンエアー型のヘッドフォン。Edition 8と同様に、ハウジングにはプラチナのグループに属する「ルテニウム」と、ゼブラノという高級木材をブラッシュ仕上げしたU型のパーツを組み合わせて(インレイ:はめ込み細工)使用。デザインは「自然界からイメージし、蝶が羽根を広げた姿をイメージした」というもので、ハウジングに放射状に切れ込みが入っており、そこから音が抜けるオープンエアー型としている。
ドライバはこれまでのEditionシリーズと同じ、チタンプレイテッド(マイラーにチタンをメッキ)の振動板を採用した新開発のもので、サイズは40mm径。オープンエアー型としたことで、ドライバの能率を向上させる必要があり、マグネットを強化する事で、Edition 8と比べて10%の向上を実現したという。再生周波数帯域は5Hz~45kHz。能率は99dB。インピーダンスは30Ω。
ハウジングのパーツ。放射状の切れ込みによりオープンエアになっている | ハウジングパーツの裏側。ユニットの前に設けられたプレートに、独特の形状の穴が空いている。これが頭内定位を解消する「S-Logic Plus」の根幹だ | 内部パーツの構成イメージ |
新開発のケーブルを採用している |
なお、通常はアンバランスだが、バランス接続に改変する事も可能。入力端子も通常は標準プラグだが、バランス接続タイプではキャノン端子になるという。詳細は今後決定する。
独自技術である、頭内定位を解消する「S-Logic Plus」や、MUメタルでシールドすることで、低周波数領域電磁波を98%まで低減する「ULE」テクノロジーも引き続き採用している。
イヤーパッドにはエチオピアンシープスキンの本革を使用。ヘッドパッドにも同様の本革を使っている。バンド部分はアルミニウム製で長さ調節が可能。内側にシリアルナンバーも記されている。ケーブルを含まない重量は282g。
イヤーパッドはエチオピアンシープスキン。厚手でやわからく、肌触りはしっとりとしている。よくみると小さな穴が無数にあいており、試行錯誤を伺わせる |
クリーニングクロスと木製の収納ケース、本体に使われているのと同様に、ゼブラノ材を使ったヘッドフォンスタンドも付属する。
バンド部分はアルミニウム製。長さ調節も可能だ | ゼブラノ材を使ったヘッドフォンスタンド |
■ 音質インプレッション
Edition8 Palladium |
音の前にデザインは、写真を見てもわかるように、色使いや構成パーツなどはEdition8 Palladiumと良く似ており、手触りも含めて「ハウジングが大型になったEdition8 Palladium」というイメージがピッタリ合う。そのため、重くなっているイメージがあるが、数値で比べると、コードを除いた重量はEdition 10が282g、Edition 8が260gと20gしか差がない。そのため、実際に手にとると、視覚的な大きさからイメージするよりもずっと軽く感じる。
Editionシリーズは、モデルによるが、密閉型ならではの芳醇で、しなやかなサウンドが特徴。かつ、個々の音がしっかりと主張する情報量の多さやダイナミックさも合わせ持ったモデルと言うイメージがある。
木製の収納ケースが付属する |
オープンエアのヘッドフォンでは、この“スッキリ感”に引っ張られ、中低域が乏しく、悪く言うと「スカスカ」した味気ない音のモデルもあるが、Edition 10の場合は、従来のEditionシリーズにあった、中低域の芳醇かつしなやかな、量感のある描写も併せ持っているのが特徴。ボリュームをそれほど上げなくても、ズシンと沈み込む低音が、量感を伴って頭を揺さぶる。中低域だけに注目すると密閉型のような迫力があり、オープン型と密閉型の“いいとこどり”を図ったモデルとも言えそうだ。
ただし、高域の抜けは極めて良好なのだが、試聴機では若干高域の音色に硬さが残っているのが感じられた。ハウジングの付帯音ではないようなので、鳴らし込んでいけば、硬さのぬけた自然な高音に変化していくことだろう。
294,000円という価格は、ゼンハイザー「HD800」(実売約15万円)やEdition8 Palladiumをも超え、民生用のヘッドフォンとしては孤高の存在となりそうだ。ライバルとなると同じ開放型の「HD800」だと思われるが、この2者の比較では、前述のように中低域の描写に違いがあり、解像感を追求しつつ、必要な低域をしっかり描写するHD800と、音楽の楽しさや芳醇さという独特のキャラクターとともに中低域を分厚く描写するEdition 10と違いを表現する事もできそうだ。ヘッドフォンの1つの究極形としても、一聴の価値があるサウンドだ。
■ イヤーパッドが音質に大きく影響
Edition 10の最大の特徴は、シリーズで初めてオープンエアー型のハウジングを採用した事。CEOのMichael Willberg氏は「Editionシリーズ以外ではオープン型も手掛けており、以前からEditionシリーズでもオープン型を創りたいという気持ちが我々にあり、また市場からもそういう要望があった」と語る。
しかし「オープン型になると、密閉型よりもイヤーパッドによる音の違いが出やすいという問題があった。革を変えると音は激変する。我々はEditionシリーズで、本革をイヤーパッドに使っているが、その本革を使いつつ、高い音質を得る事に今回成功したという事だ」と経緯を語る。
デザインについては「自然界の、とりわけ蝶のデザインを取り入れた。これによりエアフローが最適化され、反響や振動を抑制。なおかつ、ハウジングの硬度もキープできる形状になっている」という。
日本市場を初披露の場に選んだ理由については、「我々にとって最も重要なマーケットだからだ。Editionシリーズが成功する礎となった市場であり、皆さんに感謝する意味も込めて、今回初披露させていただいた」と笑顔を見せた。
CEOのMichael Willberg氏 | ハウジングのデザインは蝶をイメージしたという | 司会はヘッドフォン好きだというDJ TARO氏が担当 |
(2010年 8月 2日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]