ビクター、「ロースタイル」採用のウッドコーンコンポ
-iPod/iPhoneドック/USB搭載。カラー4色/実売45,000円
ナチュラルウッドモデル(iPhone装着時) |
ビクターは、独自のウッドコーンスピーカーを搭載し、iPod/iPhone用ドックを備えたミニコンポ「EX-S1」を10月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は45,000円前後。カラーはブラック(B)、ナチュラルウッド(M)、ピンク(P)、ホワイト(W)の4色。
振動板に木材を使用したウッドコーン搭載のステレオスピーカーと、CD、iPod/iPhoneドック、USB、AM/FMチューナ搭載のメインユニットで構成するコンパクトオーディオシステム。
高音質のウッドコーンスピーカーを、女性を含めた幅広い層に訴求する目的で製品化されたエントリーモデルで、高さ12㎝のロースタイルと豊富なカラーバリエーションを特徴としている。
上段がブラック、中段がナチュラルウッド、下段左がピンク、下段右がホワイト | Dockコネクタ部。映像出力端子も天面に備えている | 背面端子部 |
天面にiPod/iPhoneドックを備え、音楽再生が可能なほか、コンポジット映像出力端子も備えており、テレビなどにiPod/iPhoneのビデオを表示することも可能。第4世代以降のiPodとiPod photo/mini/nano/classic/touch、iPhone/3G/3GS/4に対応。新モデルの第6世代nanoや、第4世代touchでの動作も確認済みとしている。なお、iPod/iPhoneとの接続はアナログ。
USBコネクタを備え、接続したUSBメモリやマスストレージクラス対応のポータブルオーディオプレーヤーなどに収めたMP3/WMA(DRM非対応)も再生可能。ただし同社のAlneo「XA-M40/20/10」など一部動作しないプレーヤーもあるという。
サランネット装着時(ピンク) |
CDプレーヤーは音楽CDに加えMP3/WMAを収めたCD-R/RWも再生できる。AM/FMラジオも搭載する。
最大出力20W×2chのデジタルアンプを搭載。出力LPFコイルには低DCRのOFC巻線を採用する。上位モデルのEX-A150で採用したオペアンプや、高音質コンデンサを搭載している。
スピーカーはウッドコーンの8.5cm径フルレンジユニットを搭載。小径の振動板を採用するにあたり、ダンパーに「不均等コルゲーション形状」を採用。内周から外周に向けての凹凸差を大きくしたことで振幅のリニアリティ(直線性)とヒステリシス(往復の誤差)を改善させている。
そのほか、従来のウッドコーンコンポと同様にポールピース部に銅キャップを採用。さらに、ボイスコイルは4N OFCワイヤーを平角線に加工して4層に巻くことで占積率を高め効率を向上、素直な中音域を実現したという。
新開発のダンパー形状を採用したスピーカーユニット | アンプ部の説明 |
スピーカーのエンクロージャ内部には補強桟と補強板を配置し、剛性を向上。バッフル面の外と内に1本ずつチェリー材の響棒を配し、ローハイトな筐体ながら上下方向の音の広がりを確保したという。そのほか、内部配線とスピーカーケーブルには18番線OFCワイヤーを採用し、より高品位な音質を実現したとしている。
ステレオミニの音声入力とヘッドフォン出力も各1系統装備。消費電力は24W(待機時0.5W以下)。外形寸法と重量はメインユニット部が214×263×136mm(幅×奥行き×高さ)、2.3㎏で、スピーカーが155×236×122mm(同)、2.0kg。リモコンが付属する。
スピーカー。バッフルの前面(左側)と背面(右側)に響棒が取り付けられている | スピーカーの底板 | エンクロージャ構造の説明 |
■ iPodスピーカーからのステップアップにも
ビクターのウッドコーンスピーカー採用ミニコンポは、2003年に「EX-A1」を発売してから、40代~50代の男性オーディオをコアターゲットとし、14万円のハイクラス向け「EX-A150」まで、高級モデルとして展開してきた。今回のEX-S1はパーソナルな空間だけでなく、リビングやダイニングなど、より広い空間での利用も想定。ウッドコーンのエントリーモデルであると同時に、iPodスピーカーなどのユーザーに対するステップアップモデルとしても訴求する。
今村智氏 |
17日に行なわれた発表会では、ウッドコーンの優位性や、新モデルの開発ポイントなどを同社ホーム・エンタテインメント事業部 パーソナルAV統括部 技術部 開発グループ シニアエンジニアリングスペシャリストの今村智氏が説明した。
一般的な振動板素材である紙も、元は木から作られているが、木から紙が作られる工程で繊維がバラバラになることを指摘。「コンクリートに例えれば、鉄筋がセルロース、鉄線がヘミセルロース、コンクリートがリグニンに相当する。木の繊維をほぐすと、鉄筋/鉄線がズタズタに切られ、欠陥住宅のようなコンクリートの状態になる」とした。
一方で量産には長い年月を要したウッドコーンの開発経緯について、スルメからヒントを得た“日本酒に浸す”ことにたどり着いたというエピソードを紹介。日本酒の持つ保湿力を活用し、高温でプレスした際も木材の水分が一気に蒸発してしまわず、割れない弾力性を持ったまま成形可能になった。また、形状を保つために木材専用の熱硬化性樹脂を使っているが、樹脂を使い過ぎるとプラスチックのような音になり、木材の良さが損なわれるため、適度なバランスで木の音色を残すために4年の歳月をかけたという。
ウッドコーン振動板の成形過程 | 同社ウッドコーンスピーカーのラインナップとユーザー層 | 都内のカフェにて行なわれた発表会で、デモ機が置かれたシートの下は、実はシステムキッチン。こういった場所に置かれてもいい音が出ることをアピールした |
吉村智至氏 |
また、新モデルの特徴であるデザインについては同社経営企画部 デザイングループ クリエイティブスタジオの吉村智至デザイナーが説明した。
吉村氏はEX-S1について、「従来のEXシリーズのようにシンプルなラウンドスクエアボディを継承しながら、生活の中で優しくフィットする。人と機器の関係を親和させるデザイン」と表現。
メインユニットとスピーカーの高さをそろえた「ロースタイルデザイン」により、「従来のオーディオ機器に比べ圧迫感を出さず、テーブルやシェルフ、ローボードなどどんな場所にもフィットする」とアピール。天面のデザインも、メインユニットとスピーカーに一体感を持たせ、手前に向かってなだらかなカーブを描く“触りたくなるような”デザインにしたという。また、カラーも女性に人気の高いピンクを採用し、「幅広い層に魅力を伝えたい」と述べた。
(2010年 9月 17日)
[AV Watch編集部 中林暁]