パナソニック、通期見通しは'01年度以来の大幅な赤字に
-テレビ赤字が影響。テレビ事業は大規模構造改革へ
パナソニックは31日、2011年度第2四半期(2011年7月~9月)の連結決算を発表。その会見で、2011年度通期業績見通しを下方修正することを明らかにした。
2011年度の年間業績見通しを大幅に修正した |
2011年6月20日公表値に比べて、売上高で4,000億円減の8兆3,000億円、営業利益は1,400億円減の1,300億円、税引前損失は5,300億円減のマイナス4,300億円の赤字、当期純損失は4,500億円減のマイナス4,200億円の赤字とする。
4,000億円を超える赤字は、2001年度以来。当時は、その後に「破壊と創造」と呼ばれる事業部制廃止などの大規模な構造改革が行なわれた経緯がある。
「薄型テレビおよびそれに連携する半導体事業が大きな赤字の要因。テレビ事業は2008年度以来、赤字が続いている。アプライアンスや電工・パナホーム、FAなどは高い収益を維持しており、テレビ事業、半導体事業の赤字を改善すれば大きく変わる。テレビと半導体を抜本的に変えていくことが中心となり、次の事業転換に向けた生みの苦しみのなかにある」(パナソニックの上野山実常務取締役)などと語った。テレビや全社的な構造改革については別記事で紹介している。
パナソニックの上野山実常務取締役 |
営業利益では、固定費削減効果などで967億円の改善があるものの、販売減による減少で1,127億円減、原材料高騰で140億円減、材料合理化および価格低下で820億円減、為替影響で280億円減とした。また、営業外損益のなかで、事業構造改革費用として、約4,000億円を上積みし、5,140億円を計上。その多くがテレビ事業と半導体事業とした。
通期の薄型テレビの出荷計画も、当初計画の2,500万台から1,900万台へと下方修正。内訳はプラズマテレビが500万台、液晶テレビは1,400万台とした。
パナソニックの上野山実常務取締役は、「構造改革の追加や前倒しなどを見込み、年間業績見通しを修正する。一刻も早く課題事業に手を打ち終え、来期以降の業績回復に努める」とした。
タイの洪水については、「今回の業績修正には影響がないとみている。タイには3つの工場があるが、生産の置き換えによって、下期についての影響は限定的だと見ている」と語った。
営業利益悪化の主な要因 | 営業外損益の主な内容 |
■ 2011年度上期業績は赤字転落
パナソニックが発表した2011年度上期(2011年4月~9月)の連結決算は、連結売上高が前年同期比8%減の4兆52億円、営業利益は72%減の476億円、税引前純損失は前年同期の1,446億円の黒字から、マイナス1,593億円の赤字、当期純損益は747億円の黒字から、マイナス1,362億円の赤字となった。
上野山実常務取締役は、「欧米の景気低迷、円高の進行などにより減収減益。課題事業の抜本的な構造改革に着手し、税引前利益や純利益は大幅な赤字」とした。地域別では、国内が7%減の2兆364億円、米州が13%減の4,842億円、欧州が9%減の3,843億円、中国が1%減の5,857億円、アジアが5%減の5,246億円となった。
海外の重点新興国については、売上高が前年同期比12%増となった。中国では18%増、インドでは40%増、ロシアでは11%増、ベトナムでは2%減となった。
デジタルAVCネットワーク |
セグメント別では、デジタルAVCネットワークの売上高が14%減の1兆4,325億円、営業損失がマイナス181億円(前年同期は613億円の黒字)。「ブルーレイディスクレコーダなどは好調に推移したものの、薄型テレビや携帯電話などの不振で減収。また、テレビの売上げ減や価格下落の影響が減益の要因となった」という。
上期のテレビの出荷台数は前年並みの965万台。内訳は、プラズマテレビは前年同期比30%減の286万台、液晶テレビは22%増の678万台。
セグメント別年間見通しの修正 |
テレビの売上高は25%減の3,683億円、そのうちプラズマテレビが35%減の1,611億円、液晶テレビが15%減の1,755億円。デジタルカメラは12%減の859億円。BD/DVDレコーダは15%増の714億円、そのうちBDレコーダおよびプレーヤーが22%増の622億円となった。
同ドメインにおける主要会社の業績では、薄型テレビなどを担当するAVC社の売上高が5%減の7,191億円、営業損失が310億円悪化のマイナス490億円の赤字となった。
アプライアンスの売上高は前年同期比3%増の6,589億円、営業利益は7%増の526億円。エアコンの売上高は13%増の1,674億円、洗濯機は5%増の662億円、冷蔵庫は3%増の707億円。「エアコンが好調だったことに加え、洗濯機や冷蔵庫なども堅調。売上げ増加や材料合理化などにより増収となり、営業利益率は8.0%に向上した」という。
電工・パナホームは、売上高が前年同期比5%増の8,792億円、営業利益は3%増の316億円。デバイスの売上高が前年同期比14%減の4,115億円、営業損益は前年同期の255億円の黒字から、マイナス74億円の赤字。三洋電機は、前年同期比19%減の6,693億円、営業損益は前年同期の61億円の黒字から、マイナス269億円の赤字。その他事業では、売上高が1%減の5,539億円、営業利益が4%増の239億円となった。
アプライアンス | 電工・パナホーム | パナソニック電工 |
デバイス |
(2011年 10月 31日)
[Reported by 大河原 克行]