ニコ動、映画のVOD/生配信開始。会員は旧作50円~

-ワーナー協力。ハリポタ最終章をBD発売と同時に


左がドワンゴの夏野剛取締役、右がワーナー・ホーム・ビデオ&デジタル・ディストリビューション ジェネラルマネージャーの福田太一氏

 ドワンゴは14日、ニコニコ動画(原宿)の新サービスとして、映画の配信を開始した。公式動画配信「ニコニコチャンネル」内に映画カテゴリを新設し、14日の13時からVOD形式の配信を開始しているほか、ニコニコ生放送のシステムを使い、あらかじめ予定された時間に、他のユーザーと一緒に映画を鑑賞する「ニコニコ映画上映会」も実施する。

 ワーナーがコンテンツ事業者として協力しており、VODに「マトリックス」や「ロード・オブ・ザ・リング」など約100タイトルをラインナップ。生配信の「上映会」第1弾としては、11月15日の24時から、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2」を配信。この作品は11月16日がBD/DVD発売であり、パッケージメディア発売と同じタイミングでの配信となる。

 いずれも有料のサービスで、ニコニコポイント(1ポイント=1円)で視聴チケットを購入する。VODは基本価格が新作400円、旧作300円で2日間視聴可能。視聴期限が無制限のエレクトリックセルスルー(EST)も1,000円を基本価格として用意。最新のコメントを取得するために、ESTでもダウンロード型ではなく、ストリーミング配信となる。なお、この価格はプレミアム会員/一般会員どちらも同じ。


配信イメージ。コメントは映像自体にかからないタイプとなる

 「ニコニコ映画上映会」は、プレミアム会員であれば新作100円、旧作50円で視聴可能。一般会員は新作400円、旧作300円。「プレミアム会員は月額525円であるため、2回(ニコニコ映画上映会を)観るならプレミアム会員の方がお得」(ドワンゴ)という。

 PCに加え、Android 2.2以上でFlash Playerがインストールされているスマートフォンなどでも視聴可能。他のOSにも順次対応していくという。


 プレミアム会員一般会員
ニコニコ映画上映会
(決められた時間に配信開始)
(ストリーミング)
新作100円
旧作50円
新作400円
旧作300円
VOD
(視聴期限2日間)
(ストリーミング)
新作400円
旧作300円
(基本価格)
EST
(視聴期限無制限)
(ストリーミング)
1,000円
(基本価格)


■VOD配信

VOD配信は100作品ラインナップでスタート

 常時配信されるVODは、「ニコニコチャンネル」内の映画カテゴリで配信される。14日13時時点で100タイトル以上をラインナップしており、以下のようなタイトルが含まれている。

 VODページでは、運営おすすめ作品や、新着作品、カテゴリ別作品などの作品情報を提供。さらに、ニコニコ映画上映会の情報や、映画情報を扱うニコニコニュース、トレーラーの視聴なども可能になっている。


  • チャーリーとチョコレート工場
  • ダークナイト
  • インセプション
  • ロシアンルーレット
  • ハッピーフィート
  • 豆腐小僧
  • マトリックス
  • ロード・オブ・ザ・リング
  • オーシャンズ11


■ニコニコ映画上映会

 イベント的に実施される上映会は、あらかじめ決められた時間に配信し、他のユーザーと共に視聴するもの。現時点でタイムシフト予約機能は無いが、今後対応する予定だという。

 上映会が予定されている作品のラインナップは以下のとおり。

 

配信日曜日タイトル
11月15日
 24時~
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
11月17日メカニック
11月18日モンスターズ/地球外生命体
11月19日ハリー・ポッター 第1章~第3章
11月20日ハリー・ポッター 第4章~第6章
11月22日ロシアン・ルーレット
11月23日ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
11月26日ハッピーフィート
11月27日燃えよドラゴン
12月3日コブラ
12月4日イレイザー
12月8日イマジン
12月10日300 <スリーハンドレッド>
12月11日オースティン・パワーズ:デラックス
12月17日ラストサムライ
12月18日マトリックス1~3+アニマトリックス
12月24日ポーラー・エクスプレス
12月25日チャーリーとチョコレート工場
12月27日ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を超える
12月30日ロード・オブ・ザ・リング 1~3
1月1日ポリスアカデミー
1月2日ポリスアカデミー2
1月3日ポリスアカデミー3
1月10日グリーン・ランタン
1月13日13日の金曜日
1月14日フルメタル・ジャケット
1月15日豆腐小僧
1月21日バットマン ビギンズ
1月22日アイアン・ジャイアント
1月28日セブン
1月29日グーニーズ

 

 ニコニコ動画ならではの企画や、ユーザーを巻き込んだ企画も展開予定で、例えば人気生主(生配信の配信ユーザー)が実況する映画鑑賞会や、ユーザー主催の映画上映会なども検討されているという。なお、配信時のビットレートなどは通常のニコニコ生配信と同程度としている。



■「ニコ生」のVOD配信も検討

 14日に開催された記者発表会には、ドワンゴの夏野剛取締役と、ワーナー・ホーム・ビデオ&デジタル・ディストリビューション ジェネラルマネージャーの福田太一氏が登壇した。

発表会の模様。司会(左)は政治ジャーナリストで映画評論家でもある角谷浩一氏が担当。「ハリー・ポッターは皆が観ている作品なので、このシーン、あの時の、ホラホラと言いたい事が沢山ある。それをコメントできるのが最高」(角谷氏)。夏野氏は「ハングオーバーシリーズを、お酒を呑みながらコメント付きで楽しみたい!」など、各作品についてのトークも盛り上がった

 夏野氏は今回のサービスについて、「上映会はレッドクリフや攻殻機動隊などで、プロモーション主体でこれまでも実施した事があるが、それを常にやっていこうというもの。コメントがつくと、動画がより楽しくなるのは御存知の通りだと思うが、それを突き詰め、ハリウッド映画もさらに面白く観られるのではないかと考えた。映画のDVDを買う人は、何回も観るし、観るたびに見方も変わる。また、誰と観たかも重要になる。そこに目をつけ、ニコニコ動画で映画そのものを観ちゃえという、人類史上例がない映画鑑賞スタイル」と説明。

 なお、コメントの表示方法は、「ニコニコチャンネルの一部で導入されている、映像の上に小さな文字でコメントが流れるタイプになる」(夏野氏)という。

 ワーナーの福田氏は、「ワーナーの本社も含め、以前からニコニコ動画には非常に注目していた。幹部が来日した際も、夏野さんにお時間をいただき、ニコニコ動画について説明していただいた。彼らもコメント付きの映像を観て、物凄く盛り上がっており、表示方法も含めて“これでOKだから行け!!”という話になった。そして、今回ニコニコ動画の新サービス展開ということで、最初のパートナーとしてまっさきに手を挙げさせていただいた」と、経緯を説明。

 さらに福田氏は、「サービスの開始が、ハリー・ポッター最終章のデジタル配信の開始日と重なったのは非常に光栄な事。今後も映画作品だけでなく、フリンジやスーパーナチュラル、ゴシップガールなど、テレビシリーズの作品も提供させていただき、皆さんに楽しんで頂きたいと思っている。このサービスが、映画のターニングポイント、起爆剤になればと考えており、ハリウッド映画と日本の若い世代の関係も構築していきたい」と、意気込みを語った。

 夏野氏も、「今後も様々なコンテンツ事業者とライセンス契約を結び、ラインナップを充実させたい。邦画も含め、逐次発表していけると思う。新しい映画の視聴スタイルを作り、映画市場を一緒に広げていきたい」とする。

 さらに夏野氏は、「現在、ニコ生で配信した番組が、(ライブラリとして残らず)どんどん消えていってしまうのは、いかがなものかとも思っている。権利上ダメなものはダメだけれども、OKなもの、残せるものは残して、有料などでもう一度見られるようにしていきたい」と、ニコニコ生放送のライブラリVOD配信実現にも意欲を見せた。



(2011年 11月 14日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]