シャープ、60型以上の大型TVで北米市場シェア7割超に

-米国だけで100万台達成。ELITEブランドも寄与


国内モデルの70型AUOQS「LC-70X5」

 シャープは、北米市場における60型以上の大型液晶テレビ事業について説明会を開催。2011年の北米における60型以上の販売目標100万台を達成する見込みなど、好調な事業の進捗を報告した。

 薄型テレビの単価下落が続く中、北米市場においてシャープは60型以上の大型に集中。台数構成比で60%以上、金額構成比では80%以上を目標とし、収益の確保とブランドイメージの確立を図る。

 シャープ エレクトロニクス コーポレーションの高橋興三 会長兼社長は「昨今、テレビの時代は終わったのではないか、と言われている。部材さえ集めれば誰でも作れるという報道も増えている。しかし、実際に北米向けのテレビをメキシコで作っていますが、大型の製造はノウハウの塊。日本が得意とする生産工程における摺合せが必要なんだな、と現場を見ると実感します」とシャープの強みを説明。統計資料を元にシャープが大型テレビを強化する理由を説明した。


シャープ エレクトロニクス コーポレーションの高橋興三 会長兼社長米国市場の60型以上のテレビシェア推移大型テレビは18モデルまで拡充

 北米市場の大型テレビにおいては、リアプロジェクションが大幅縮小し、’10年にはほとんどなくなった。それに代わって50型以上の薄型テレビは拡大。60型以上は毎年2倍の伸びで、'11年の予測は102万台。前年比262%と見込む。「液晶テレビ市場は成熟したが、60型以上は全く新しいカテゴリ、市場といえる。枯れたはずの液晶テレビ市場だが、新しい市場がそのなかに作られている」と分析する。

 シャープは2011年初頭から60型以上の大型テレビを強化。4月には70型を投入し、年初に約40%であった台数シェアは、11月第4週には77.8%まで拡大。金額シェアも年初の3割程度から70.5%まで拡大した。'10年に4モデルだった60型以上モデルは、'11年には4月に18モデルまで拡充。7月に70型、9月に80型を追加したことで、その販売の伸びも加速したという。

 なお、18モデルのうち、2モデルはパイオニア「ELITE」ブランドで販売している。パイオニアの意見を取り入れながら、シャープが設計/開発しているものだが、ELITEブランドが強い北米では、「ELITEを作っているシャープ」としてブランドイメージ向上効果があるという。また、高級AV専門店でも販売網拡充が行なえたという。

北米市場の大型テレビはリアプロから薄型テレビにシフト市場全体も'13年までは伸びるが、60型以上は伸び続けると予測北米市場では60型以上の市場が前年比2倍に
薄型テレビ市場のなかで60型以上だけが伸び続ける液晶テレビのサイズ別需要動向ELITEブランドで、シャープのイメージも向上

 '11年モデル投入前は3,300店舗だった販路も70型投入後に4,700店舗、80型投入後に9,400店舗まで拡大。2012年4月には12,000店舗まで増加する見込み。また、顧客満足度向上のための会員制サポートプログラムも開始。リモートで画質調整や故障診断を行なう「AQUOS ADVANTAGE LIVE」も実施している。

 北米市場の2011年度目標の100万台も「カナダを含まず、アメリカだけで達成できそう」と好調をアピール。「景気悪化と言われているが、アメリカの年末商戦の動きは非常に良い。シャープのテレビの認知が上がっている中、ドアの前の一番いいところにおいてもらっている」と説明。また、2012年も「市場が飽和したという感じは全くない。'11年よりさらに伸びるだろう」とした。

国内モデルの70型AUOQS「LC-70X5」2011年度の目標は100万台以上

 他社の追随については、「シャープでは第10世代の工場を持っている。他社はまだ持っていないし、今から大型のパネルに投資するという判断は難しいだろう。対抗する方法はいろいろある」という。

 大型以外のボリュームゾーン向けテレビについては、「大型だけ販売店にというのはラインナップの面からは難しいので、30~40型などもやっていいく。ただ、戦略としては明確に大型。社内では52型でも中小型といっている。量販店にもその方針でウェルカムだといわれている」とした。


(2011年 12月 8日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]