アップル、LTE対応で4型/縦長化した「iPhone 5」
-薄さ7.6mmでコネクタも小型化。新イヤフォンEarPods
iPhone 5の「ブラック&スレート」 |
アップルは13日、LTEに対応し、画面サイズを4型に大型化した「iPhone 5」を発表した。日本での発売日は9月21日で、ソフトバンクとauが取り扱う。ソフトバンクとauのどちらも、9月14日の16時から予約の受付を開始予定。
米国での価格はiPhone 4Sと同じで、2年契約時の価格は16GBが199ドル、32GBが299ドル、64GBが399ドル。なお、iPhone 4(16GB)は端末料金が無料になり、4S(8GB)は99ドルになる。
iPhone 5の背面はツートンカラーとなり、カラーバリエーションは「ブラック&スレート」と「ホワイト&シルバー」の2色展開となる。背面パネルは、アップルのノートブックに使われている素材と同じ酸化皮膜処理したアルミニウム6000シリーズ。ホワイト&シルバーはセラミックガラス製、ブラック&スレートモデルでは着色ガラス製のインレイを上部と下部に組み込んでいる。
ブラック&スレート | ホワイト&シルバー | 2つを並べたところ |
ホワイト&シルバー | ブラック&スレート |
液晶ディスプレイが従来の3.5型/960×640ドットから、4型1,136×640ドットに大型化。さらにアスペクト比も3:2から16:9と、縦長になった。ホーム画面にアイコンが縦に6個並ぶ(iPhone 4Sは5個)。解像度は326ppiで同じ、「Retina(網膜)ディスプレイ」となっている。
これに伴い、筐体も縦長となった。123.8×58.6×7.6mm(幅×奥行き×高さ)で、高さが4Sよりも約9mm伸びたほか、薄さは4Sの9.6mmから7.6mmと、18%薄型化。重さも140gから112gに軽量化されている。横幅を維持しながら縦長にすることで、片手での操作がしやすいという。
通信機能として、新たにLTEをサポート。無線LANはIEEE 802.11a/b/g/nに対応。11nは2.4GHzと5GHzの両方に対応。最高で150Mbpsの通信が可能。Bluetooth 4.0もサポート。通信方式の違いで、GSMモデル A1428、CDMAモデル A1429、GSMモデル A1429の3種類が用意される。各国のLTEネットワークへの対応状況については、アップルのWebサイトで案内しており、日本ではKDDIがA1429(CDMA)に、ソフトバンクがA1429(GSMモデル)に対応予定。
底面。新しいLightningコネクタ(中央)やイヤフォン端子、スピーカーなど | 天面。iPhone 4Sまではここにあったイヤフォン端子が底面に移動した | 側面 |
ブラック&スレートの背面。非光沢仕上げになっている | ホワイト&シルバーの背面 | iPhone 4S(左)と5(右)の厚さ比較 |
LTE対応チップを搭載 | アジア地域のLTE対象キャリア。日本のKDDIとソフトバンクもある |
縦長筺体となった。付属のイヤフォンもEarPodsにあ |
CPUはA6となり、処理速度やグラフィックス処理機能が従来より最大2倍に高速化。これにより、より高画質なゲームがプレイできるようになり、アプリの起動など、通常の動作も高速になるとしている。
同時に、iOS 6と連携する事で電力効率を高めている。LTEを使い、Webブラウザを利用した場合のバッテリ持ち時間は8時間、連続通話は8時間、動画再生は10時間。
付属のイヤフォンも刷新。「EarPods」と呼ばれるもので、耳穴の手前の空間に入れる独特の形状を採用。様々な耳にフィットするという形状としており、スポーツ中でも落ちにくく、汗や水に対する保護力も高めたという。振動板に、固い素材と柔らかい素材の両方を使っており、アコースティックベントも計算をもとに配置。上部と下部に空気の通り穴を設け、音がこもらず聞こえるという。このEarPodsは単品でも販売され、Apple Storeでの価格は2,800円。
付属イヤフォンのEarPods | パッケージ | 2つの穴が空気の通り道となり、音がこもらずに聞こえるという |
カメラは800万画素の裏面照射CMOSセンサーを備え、1080pの動画撮影に対応。新たに動画撮影中の静止画撮影に対応した。手ぶれ補正も強化したほか、静止画のパノラマ写真にも対応した。顔認識機能も備え、カメラの起動時間も40%短縮化された。レンズは5枚構成で、F2.4。前面カメラも改良され、FaceTimeは720pで利用できるようになっている。なお、iOS 6でFaceTimeは携帯電話ネットワーク経由での利用も可能になり、iPadでも電話番号を使ったFaceTimeの発信と受信ができるようになるという。
カメラの特徴 | フルHD動画撮影時に静止画も撮影可能に | FaceTimeのカメラも720pに対応 |
通話品質を向上させるため、マイクも改良。下部だけでなく、前面上部と背面の合計3つのマイクを備え、ノイズキャンセル処理を行ない、クリアな通話ができるという。また、音声で指示を出すエージェント「Siri」の認識能力も向上するという。
また、従来30ピンだったDockコネクタが、8ピンに小型化された。新コネクタは「Lightning」と名付けられており、差し込む向きを問わないリバーシブル仕様。従来の30ピンコネクタ用機器を使うための変換アダプタ「Lightning-30ピン変換アダプタ」(Apple Store価格2,800円)も別売する。なお、このアダプタを使うことで既存のiPodスピーカーを引き続き使えるかどうかについては、日本記者向け発表会での説明員によれば「アダプタを使えばLightningからスピーカーへ音声出力が可能」とのことだった。
新コネクタのLightning | 従来の30ピンDockコネクタとの変換アダプタ(2,800円) | 0.2mのケーブルタイプの変換アダプタ(3,800円) |
Lightningの特徴 | JBL(左)やB&W(右)、ボーズなどがスピーカーへのLightningコネクタ採用を予告している |
OSはiOS 6。主な強化点は既報の通りだが、アプリでは、アップル純正の地図アプリが刷新。ベクターベースで作られており、大きく拡大してもグラフィックやテキストが精細に表示でき、パンもスムーズにできるという。音声によるナビゲーションも可能。上空から見下ろしたような3Dビュー表示にも対応している。なお、iOS端末向けのiOS 6へのアップデートは、9月19日から実施予定。
地図は3Dビュー表示に対応。ただし、現時点で日本の地図を表示すると斜め俯瞰にはなるが、建物は立体表示とならない | 2点タッチでスワイプすると角度を変えられる | カーナビのような音声案内も可能。ただし、写真のような建物の立体表示は日本では未対応 |
Siriも機能強化。より多くの答えができるようになり、スポーツのスコアやデータ、映画の情報なども教えてくれるようになる。
ほかにも、フォトストリーム機能が強化され、他のユーザーとの写真共有が可能になる。さらに、OSレベルでFacebookもサポート。Siriに喋る事でFacebookに投稿したり、Facebookの友達のプロフィール情報を連絡先アプリに統合する事も可能。
位置情報取得技術として、Assisted GPS、GLONASS、デジタルコンパスを装備。3軸ジャイロ、加速度センサー、近接センサー、環境光センサーも装備する。
対応する音楽ファイルはAAC(8~320Kbps)、AAC、HE-AAC、MP3(8~320Kbps)、MP3 VBR、Audible(フォーマット2、3、4、Audible Enhanced Audio、AAX、AAX+)、Apple Lossless、AIFF、WAV。
動画フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264の最大1080/30p、ハイプロファイル4.1(最大160KbpsのAAC-LC)、48kHz、m4v、.mp4、.movのステレオ音声動画に対応。MPEG-4は最大2.5Mbps、640×480/30p、30fps、シンプルプロファイル(1チャネルあたり最大160KbpsのAAC-LC)、48kHz、.m4v、.mp4、.movのステレオ音声動画。MotionJPEGは最大35Mbps、1,280×720/30p、ulaw、.aviのPCMステレオ音声動画に対応する。
TVへのAirPlayミラーリングもでき、第3世代Apple TVへは最大1080p、第2世代Apple TVへは最大720pで転送する。
iPhone4S(参考) | iPhone5 | |
カラー | ホワイト/ブラック | ブラック&スレート ホワイト&シルバー |
容量 | 16/32/64GB | 16/32/64GB |
チップ | A5 | A6 |
通信機能 | UMTS/HSDPA/HSUPA(850、900、1,900、2,100MHz) GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz) CDMA EV-DO Rev. A(800、2,100MHz)3 Wi-Fi 802.11b/g/n(802.11nは2.4GHzのみ) Bluetooth 4.0 | GSMモデル A1428は UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz) GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz) LTE(バンド4および17) CDMAモデル A1429は CDMA EV-DO Rev. AおよびRev. B(800、1,900、2,100MHz) UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz) GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、LTE(バンド1、3、5、13、25) GSMモデル A1429は UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,900、2,100MHz) GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)、LTE(バンド1、3、5) Wi-Fi 802.11b/g/n(802.11nは2.4GHzと5GHz対応) Bluetooth 4.0 |
ディスプレイ | 3.5型Retinaディスプレイ 960×640ドット 326ppi コントラスト800:1 最大輝度500cd/m2 | 4型Retinaディスプレイ 1,136×640ドット 326ppi コントラスト800:1 最大輝度500cd/m2 |
カメラ | 背面800万画素 1080p動画撮影対応 前面VGA | 背面800万画素 1080p動画撮影対応 前面720p |
バッテリ | 3G通話最大8時間 連続待受200時間 Webブラウジング 3G:6時間 無線LAN:9時間 動画再生10時間 音楽再生40時間 | 3G通話最大8時間 連続待受225時間 Webブラウジング 3G:8時間 LTE:8時間 無線LAN:10時間 動画再生10時間 音楽再生40時間 |
センサー | 3軸ジャイロ.加速度センサー 近接センサー/環境光センサー | 3軸ジャイロ.加速度センサー 近接センサー/環境光センサー |
外形寸法 (縦×横×厚さ) | 115.2×58.6×9.3mm | 123.8×58.6×7.6mm |
重量 | 140g | 112g |
Dockコネクタ | 30ピンコネクタ | 8ピン Lightningコネクタ |
(2012年 9月 13日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]