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DJI、ドローン操縦者に飛行制限空域など即時通知する新システム。承認で一時解除も

 DJIは、同社製ドローン向けに新しい地図システム「Geospatial Environment Online」(GEO)を、北米と欧州において12月より提供する。一時的な飛行制限空域など、ドローン(クアッドコプター)飛行時の空域情報を操縦者にリアルタイム通知する、新しいジオフェンシング・システムを備え、スマートフォン/タブレット用アプリ「DJI Go」とドローンのファームウェアをアップデートすることで追加される。

新システム「Geospatial Environment Online」を装備するiOS向けアプリ「DJI Go」のイメージ

 DJIのドローンは、飛行禁止空域など各地域の空域情報を認識するジオフェンシング・システムを実装し、安全またはセキュリティ上の懸念がある場所に侵入したり、周辺から離陸したりできないよう設定されている。

 新たにGEOを導入することで、森林火災や大規模なスタジアムでのイベント、重要人物の移動などで一時的な飛行制限がかかった空域情報を、操縦者にリアルタイムで通知可能になる。刑務所や発電所など、ドローンの飛行がセキュリティ上懸念される場所についても通知される。GEOでは米国AirMapの地理空間データを採用している。

 さらに飛行制限空域でも、承認を受けたDJIアカウントを持つユーザーであれば、制限を自分で一時的に解除できるサービスも無料で提供される。クレジットカードやデビットカード、 携帯電話番号の情報により認証されたDJIユーザーアカウントが必要で、DJIでは「当局からドローン飛行について調査された場合の正当性を裏付ける手段になる」としている。なお、米国ワシントンD.C.など国家保安上の懸念が大きいとされる禁止区域では、制限解除はできない。

 新システムについて、開発を指揮したDJIの政策法務担当副社長、Brendan Schulman氏は「数年に渡り蓄積された当社のユーザー体験のデータから、 あまりに厳しいジオフェンシングは大抵の場合、誤ったアプローチであることを示している。(ドローンの)操縦者が十分な情報に基づき、後で正当性の立証が可能な判断をすることができるシステムを代わりに提供したい」と述べている

 米国・欧州以外の地域では新システムがリリースされるまで、従来のジオフェンシング・システム(飛行禁止区域)を引き続き利用可能で、更新された空港データのみが配布される。なお、日本国内のDJI製ドローンは空港周辺のほか「総理官邸」と「皇居周辺」が飛行禁止区域に設定され、これらの周囲では離陸できない。

(庄司亮一)