ミニレビュー

1台で何役もこなす無線スピーカー「SRS-X7」を衝動買い

音楽もTVもAirPlayにも対応。アプリには課題も

 ソニーのワイヤレススピーカー「SRS-X7」を衝動買いしてしまった。すでに発売から半年以上経過しているが、きっかけは先日AV Watchで掲載したNAS「QNAP HS-251」のレビューだ。DSD音源をストリーミングで再生するという機能を試すために一緒に借りたワイヤレススピーカー「SRS-X9」の機能が非常に魅力的で、レビューのメインであったQNAP HS-251だけでなく、SRS-X9にも大きく物欲を揺り動かされた。

SRS-X7
WA1

 というのも、筆者の場合、VAIOの周辺機器として2007年に発売されたWi-Fiオーディオ「WA1」を以前まで愛用していたからだ。基本的にはPC周辺機器なのだが、DLNAに対応することでNASの音楽を再生できる機能が便利で、筆者宅のNASはWA1で音楽を再生するためにNASのフォルダ構造をこだわって配置していたほどだ。

 とはいえさすがに7年以上も前の製品だけにスペック的に使いにくい部分も出てきた。最大の理由はMoraで購入したAAC音源が再生できなかったことだ。スペック的にはAACには対応しているものの、ビットレートの違いで再生できないのかもしれないが、楽曲購入はほぼ音楽配信に移行していることもあり、Mora楽曲が再生できないのでは困るということで、最近はWA1もほとんど利用しなくなっていた。

SRS-X9

 しかしSRS-X9なら当然のようにMoraで購入したAAC楽曲も再生できるし、Bluetoothを使ってスマートフォンの音楽を直接再生することも可能だ。音も本体スペックも7年前に比べて向上しており、スマートフォンからの操作など使い勝手も良くなっている。WA1を愛用していた筆者にとって、これぞ求めていたWA1後継機なのでは、というほど気に入ってしまった。

 とはいえSRS-X9はDSDやハイレゾ再生に対応したハイスペックモデルで、価格は実売でも45,000円近くとなかなかのお値段。一方、1つ下のモデル「SRS-X7」は、ハイレゾ非対応ではあるが、同様のネットワーク再生機能を持っており、機能的にはこれでも十分だ。価格も26,000円程度と2万円近く安価だったため、SRS-X7の購入に踏み切った。

コンパクトで美しい外観。設定はNFC対応で手軽

 レビュー時に試用したSRS-X9は横幅430mmとかなり存在感のある大きさだったが、購入したSRS-X7は横幅300mmとかなりコンパクト。重量も4.6kgのSRS-X9に対し、SRS-X7は1.9kgと片手で持ち運ぶことができる程度。デザインもX9のフラットデザインを受け継いだ高級感あふれる質感で、本体がきれいな直方体のためリビングでも設置しやすい。

SRS-X7前面
iPhone 5sとサイズ比較
片手で持ち運べる程度のサイズ

 設定は本体の電源を投入し、専用アプリ「SongPal」をインストールしたスマートフォンとBluetoothでペアリング接続、その後無線LANの設定を行なう流れ。本体側は電源を入れるだけでよく、BluetoothのペアリングもNFC対応AndroidであればSRS-X7にスマートフォンを置くだけと手軽なのが嬉しい。

本体上部にNFCを搭載
NFC対応Androidを置くだけでペアリングできる

 ただし無線LANの設定は注意が必要だ。SRS-X7にはスマートフォンで接続中の無線LANしか設定できないにもかかわらず、SRS-X7の無線LANはIEEE 802.11b/gのみの対応。つまり、スマホでIEEE 802.11aを利用している場合は、スマホをIEEE 802.11b/gに接続し直した上で設定を行なう必要がある。IEEE 802.11aで接続できない旨を伝えるエラーメッセージも表示されないので、何が問題なのかも気がつきにくい。このあたりはアプリ側でエラー表示を入れるなどの修正を期待したいところだ。

専用アプリ「SongPal」経由で設定が可能
無線LANはスマートフォンが接続しているSSIDのみSRS-X7に設定できる
IEEE 802.11aで接続している場合は接続失敗のアラートのみで理由が表示されない

Bluetoothやネットワーク再生など多彩なスピーカー機能

スマートフォンの音楽アプリからBluetooth経由で再生

 多彩な機能を備えるSRS-X7だが、一番シンプルなのはSRS-X7を設定したスマートフォンの音楽をBluetooth経由でSRS-X7で再生する使い方だ。この場合はSRS-X7がBluetoothスピーカーとして動作するので、スマートフォンの音声をそのまま再生できる。

 音質はさすがというか、これまで自宅で使っていた数千円程度のBluetoothスピーカーとは段違いの音質で、特に低音がよく聴こえる。音質に関してはほぼ不満がない。なお、Bluetoothでスマートフォンの音をすべて出力している関係上、SNSやメールなどの通知音もスピーカーで出力される。音楽に集中している時にはやや残念だ。

 ただし、これだけの使い方ならSRS-X7がネットワークに対応している必要は無い。そういう使い方のみでいいなら、もう1つ下のモデルであるネットワーク非対応の「SRS-X5」を選択するのもいいだろう。ネットワークスピーカーとしてSRS-X7を購入するのであればさまざまなネットワーク対応機能を使わなければ意味がない。

 というわけでまずはWA1の頃から愛用していたDLNA再生を試すことにした。WA1の場合、本体の液晶から接続するNASを選んでいたが、SRS-X7は専用アプリ「Songpal」から接続するNASを選ぶだけ。わざわざ本体の側まで行くことなく音楽を選べるのは非常に便利だ。

SongPalのホーム画面
「Home Network」からNASを選択

 操作感はネットワーク経由のため表示までわずかに待たされるが気になるほどではなく、一度音楽を再生してしまえばあとはBluetooth経由と変わらない感覚で使える。

 ただし、問題はDLNA側の仕様で、接続するNASによって音楽の再生環境が異なる。我が家にはnasne、HVL-ATシリーズ(RECBOX)、Pogoplugという3種類のDLNA対応NASがあるのだが、HVL-ATシリーズとPogoplugはアルバム単位でのみの再生になり、アーティストの楽曲すべてを再生するということができない。DLNAの仕様のため仕方ない部分ではあるが、自宅のNASの仕様次第で使い勝手が大きく変わりそうだ。

HLV-ATシリーズはアルバム単位でしか再生できない
nasneは「すべて」から同じアーティストの楽曲を再生できる
再生画面。シャッフルやリピート機能などは備えない

 また、WA1の時はm3u形式のプレイリストに対応しており、好きな楽曲をプレイリストでまとめて聴いたり、流行の楽曲だけをまとめたリストを作ったりと楽しんでいたのだが、SRS-X7はプレイリストには非対応。直接NASに接続できるだけに、NASに保存したプレイリストをそのまま再生できれば非常に便利だったのだが、これはかなりマニアックな使い方なのかもしれない。

 このほか、SongPalの再生機能も一時停止とスキップ、音量調節程度でシャッフルやリピート機能がない。聴き慣れたアルバムを順序通りではなくシャッフルで聴きたい時にはやや不便だ。

AirPlay対応が便利。iPhoneの楽曲を簡単にワイヤレス再生

iOSやMac OSからAirPlayで接続できる

 一方、あまり期待していなかったのだが便利だったのがAirPlay対応だ。AirPlay自体がアップルの技術のため、iOSやMac OSに限られるものの、同一ネットワークにあるPCやスマートフォンの楽曲をネットワーク経由で簡単に再生できる。

 Bluetooth接続の場合は手軽とはいえペアリング作業が必要なのに対し、AirPlayはそうした事前作業も一切不要。自分の端末だけでなく、友達が家に遊びに来たときなども、無線LANに接続してもらえば簡単にAirPlayで音楽を再生できる。

 また、Bluetoothの場合、別の端末で接続すると再度ペアリングが必要になる場合があり手間なのだが、AirPlayの場合はそうした手間もかからない。複数人で交代しながら自分の楽曲を再生する、といったシチュエーションではAirPlayのほうが便利だ。

 ただし、AirPlayを使うにはSRS-X7とiOS端末が同一のネットワークに接続する必要がある。自宅の無線LANを友達とはいえ他人に貸し出すのは気が引ける、という人にとってこの機能は使いにくい。SRS-X7自体がアクセスポイントとして動作するモードがあれば、友達を自宅に招いた時などもより便利に使えそうだ。

ステレオミニケーブルを使ってテレビスピーカーとしても利用

SRS-X7の背面にはステレオミニジャック端子を搭載

 SRS-X7はワイヤレス接続だけでなく、ステレオミニケーブルを使った有線接続にも対応している。筆者宅ではこれまでOlasonicのテレビ用スピーカー「TW-D5TV」を使ってテレビの音声を出力していたが、これをSRS-X7に切り替えてみることにした。なお、この接続には両端がオス型のステレオミニケーブルを別途購入する必要がある。

 筆者は音にこだわりがあるほうではないので、TW-D5TVとどちらが音がいいかという点まで評価はできないが、テレビ(REGZA 42Z7000)のスピーカーと比べると圧倒的な音質の良さを感じる。また、基本的にテレビ専用であるTW-D5TVに対し、SRS-X7なら普段はテレビの音を流しつつ、音楽を聴きたい時にネットワークスピーカーに切り替える、という使い分けが便利だ。とかくテレビ周りはコンセントの奪い合いになるため、SRS-X7をテレビ用スピーカーとして使えばコンセントの使用数を増やすことがない、というのも嬉しい。

 ただしいくつか難点もある。ステレオミニジャック経由で入力した音は本体上部の「AUDIO IN」ボタンまたはSongPalから切り替える必要があるが、AirPlayなど他の機能を利用した場合、テレビの音を聴くには再度AUDIO INに戻す必要があり、これを忘れるとテレビから音が出ない。筆者は毎朝テレビを目覚まし代わりに設定しているのだが、設定を戻すのを忘れて音がテレビから流れず目が覚めなかったというミスも発生してしまった。

ステレオミニジャック経由の音声は「AUDIO IN」を常にオンにしておく必要がある

 また、スピーカーが前面に向けて指向性が強く、横方向では若干音が聞こえにくい。筆者宅はテレビがリビング向けに設置しつつ、横方向にある寝室からもテレビが見られるよう若干斜めに角度を調整して配置しているのだが、この配置で寝室からテレビを見ようとすると若干音が遠くに聞こえる。この点はTW-D5TVのほうが聞きやすかった。

 このほか、SongPalの初期設定ではオートスタンバイがオンになっており、15分以上使用しないと電源が自動でオフになってしまう。テレビ用スピーカーとして使う場合はこの機能をオフにしておかないと、テレビを消して寝ている間にスピーカーの電源もオフになってしまい、結果としてテレビの音が出なくなるので注意しよう。

 とはいえ、このあたりは配置の工夫で解決できそうな点であり、それ以上にコンセントの使用数を増やさなくていいことが筆者にとってはメリットなため、テレビ用スピーカーとしての役割はSRS-X7に担ってもらうことにした。

Music Unlimitedで定額制音楽配信も楽しめる

国内のラジオを聴取できるradiko。ただしエリア外のラジオ局を聴取できるプレミアムは非対応
世界各国のラジオやインターネットラジオが聴取できる「tunein」

 SRS-X7は自宅の楽曲だけでなく、さまざまな音楽サービスにも対応している。ラジオは国内のラジオ放送をインターネット経由で聴取できる「radiko」のほか、世界中のインターネットラジオやラジオ放送が楽しめる「tunein」に対応。さらにソニーの定額制音楽サービス「Music Unlimited」にも対応する。

 すっかりSRS-X7が気に入ってしまったので、もっと便利に活用しようとMusic UnlimitedもSRS-X7のためだけに契約。といってもMusic Unlimited自体は利用したことがあったため、再度契約を有効にするだけで利用開始できた。

認証コードは任意の数字5文字を自由に設定。同一ネットワークの複数機器から入力することで利用できるようになる
サポート非対応のエラーメッセージはルータ再起動で解決

 設定はMusic UnlimitedのWebサイトにログインし、「アカウント情報」から機器登録を選択、表示された登録コードをSongpal経由で登録するだけ。その後同一ネットワークで利用するための認証コードを設定する。登録コードは機器認証に利用するが、認証コードは家族なども共通で使えるまったく別のコードなので注意しよう。設定の流れはMusic Unlimitedの解説がわかりやすい。

 なお、筆者の環境ではMusic Unlimitedを登録しようとしてもエラーが頻発して設定ができなかったが、サポートに問い合わせてルータを再起動したところ無事に設定できるようになった。同様のエラーが発生した場合はルータの再起動も試してみて欲しい。

 設定エラーを乗り越えてやっと登録できたMusic Unlimitedだが、使い勝手は期待に反してあまり芳しくはない。これはハードウェアというよりもソフトの問題なのだが、例えばアプリ側でアーティストやアルバムを絞り込み、別のアルバムを見たいと思って画面を戻るといきなりトップ画面まで戻ってしまうなど、インターフェイスそのものが使いにくいのだ。

Music Unlimitedの画面
Music Unlimitedの再生画面

 また、DLNA経由の再生と同様にシャッフル再生ができないのも気になる。Music Unlimitedで特定のアーティストの楽曲をプレイリストにまとめて再生したのだが、楽曲がアルバムのリリース順に再生されるため、聴き慣れた順序過ぎて飽きを感じてしまった。Music Unlimitedのアプリ自体には全曲シャッフル機能もあるため、機能だけで考えるとスマートフォンのアプリからMusic Unlimitedのアプリを使ってBluetooth経由で再生したほうが便利かもしれない。

課題は多いながらも利便性は高い。アプリの品質向上に期待

 実際に使ってみるといろいろ課題も多いSRS-X7だが、今のところ我が家では非常に便利に使っている。通常はテレビの音を出すスピーカーとして利用しておき、仕事に集中するときや友達が遊びに来たときのBGMとしてDLNA経由やMusic Unlimitedの音楽を鳴らす、という使い方が便利。バッテリ内蔵で6時間は単独再生できるため、洗い物の際にはキッチンの脇に置いておいて音楽を楽しむなんて使い方もしている。上位機のSRS-X9はバッテリ動作非対応なので、この点もSRS-X7の魅力だ。

 筆者宅にはChromecastも導入しており、YouTubeやdビデオなどをテレビで楽しむことも多いのだが、テレビにSRS-X7を接続していることでこうしたネット動画も高音質で楽しむことができる。また、AirPlayを使って友達の音楽をSRS-X7で再生したりという使い方ができるのも楽しい。

 一方、対応アプリであるSongPalには不満も多い。シャッフル機能がなかったり、Music Unlimitedが使いにくいという前述の点のほかにも、細かなところで使いにくさが目立つ。例えば本体の音量調整は、SongPal経由でMusic UnlimitedやDLNAの楽曲を再生しているときは調整できるものの、Bluetooth経由で再生している際はSongPalからは音量を調整できず本体で操作しなければならない。こうした細かいところの使い勝手が実際に使ってみるとじわじわとストレスを感じる部分でもある。

 とはいえこうした問題は、ほぼアプリ側で解決できる点であり、製品としての使い勝手は良好だ。その製品の良さをさらに引き出せるよう、アプリの品質向上も今後は期待したいところだ。また、AirPlayであればSongPalを使う必要もないため、iPhoneユーザーがネットワークスピーカーとして使うのも便利かもしれない。

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甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)