ミニレビュー

リモート視聴で録画番組の消化が捗る。DVDも付いたピクセラ無線TVチューナを試す

 筆者は普段、テレビ番組をリアルタイムで見ることは少なく、BDレコーダに録画しておいて、時間のあるときにまとめて見ている。しかし、最近は視聴が録画に追いつかず、見ないまま消してしまうことが増えてきた。特にアニメなどは番組数が多いので、とりあえず録れるだけ録っておき、評判がいい作品から見ていくため、1話も見ずに1クール終了時にまとめて消す、といった事態も起きている。特にドラマやアニメの改編期などで、HDD残量の制限から仕方なく前クールの番組を観ずに消した経験を持つ人も多いのではないだろうか。

 自宅は寝室とテレビを置いている部屋が分かれているのだが、所有するBDレコーダがDLNAに対応しておらず、録った番組はテレビの前に座って見るしかない状況なのも辛い。録画した番組をもっと効率的に消化するためにも、寝室や外出先でも見られるようにしたい。そこで試したのが、9月に発売されたピクセラのDVD対応ワイヤレスTVチューナ「PIX BR310L-DV」だ。ワイヤレス接続したiPhone/iPadで地デジやDVDが視聴できる製品で、直販サイトでの価格は21,960円(税込)となっている。

PIX BR310L-DV。iPhoneやiPadに対応している

簡単に接続・設定。シンプルUIのアプリも使いやすい

 BR310L-DVは、本体に地上波/BS/CSデジタルチューナを搭載しており、家のテレビアンテナとルータに接続することで、別室などでもiPhone/iPadから無線LANルータ経由でテレビ番組をワイヤレス視聴できる。特徴としてスロットイン式のDVDドライブも内蔵しており、DVDもワイヤレスで視聴可能だ。テレビなどへの映像出力は備えておらず、ネットワーク視聴専用の製品となっている。

PIX BR310L-DV
正面。DVDドライブはスロットイン式
背面。接続端子もシンプル

 別売のUSB HDDを接続すれば録画が可能で、レコーダとしても利用できる。さらに、アプリ内課金(300円)により、3G/LTEや無線LAN経由で外出先からテレビ視聴/録画再生といったリモート視聴や、録画予約なども可能となる。

32型テレビ横に置いたところ

 さっそく本体にアンテナケーブルとLANケーブルを接続する。アンテナケーブルは別途用意が必要。電源は付属のACアダプタを使用する。本体サイズは無線LANルータぐらいの大きさで、テレビの横などに置いてもそれほど邪魔にならない。外形寸法は89.5×150×191.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約850gとなっている。

 リモコンは付属しておらず、設定や操作は全てスマホ/タブレットのアプリで行なう。必要なアプリは「ワイヤレスTV」と、DVD視聴に必要な「ワイヤレスDVD」の2つで、どちらも無料。設定はワイヤレスTVアプリで行なうので、DVDを見ない場合はワイヤレスDVDアプリをインストールしなくてもよい。対応機種はiOS 6.1.3/6.1.4と、iOS 7.0/7.1以降(iOS 8にも対応)のiPhone 4S/5/5s/5c/6/6 Plus、iPad 2、第3/4世代iPad、iPad Air、iPad mini、iPad mini Retinaディスプレイモデル、第5世代iPod touch。Androidには対応していない。

 今回は手持ちのiPhone 5(iOS 7.1.2)に2つのアプリをインストールし、チューナと同じLANに接続してから設定を開始。表示される画面に従ってチャンネルスキャンすると、スキャン終了後にテレビ視聴が始まる。初期設定はこれだけでなので、誰でも簡単に出来そうだ。

アプリを立ち上げると"かんたん接続設定"画面が表示される
無線LANで接続されているチューナの製造番号を選択する
地上波/BS/CSから必要に応じてチャンネルスキャンを行なう
iPhone 5(縦表示)でのテレビ番組の視聴画面

 テレビ番組を視聴してみると、画面の上部には番組名とタイムバーが、下部には音量調整バーと録画ボタンがあり、その下にメニューアイコンが並んでいる。アイコンは、「視聴」、「番組表」、「録画番組」、「予約」、「その他」と全部で5つ。詳細な設定は「その他」にまとめられている。なお、デバイスの向きにより縦・横どちらの表示も可能で、横にした方がテレビ画面の表示領域は大きくなる。

 「視聴」は、番組表や設定画面などから番組視聴画面に戻るボタンだ。自宅内の無線LAN(IEEE 802.11a)接続時に、他の画面から視聴画面に戻るのにかかる時間は約5秒前後。チャンネルを変える場合も同じくらいの時間がかかる。それほど苦にはならないが、通常のテレビのようにチャンネルをザッピングして見たい番組を探すような使い方だと、待ち時間が長く感じる。ちなみに、iPhoneのホームボタンを押してホーム画面に戻り、そこから再度アプリを立ち上げると、映像が映るまでに約20秒くらいかかる。

iPad(第3世代)での視聴画面

 画質は初期設定では「高画質」になっているが、「その他」の視聴設定から「標準画質」、「低画質」に変更できる。いずれも解像度は1,280×720ドットで全画面表示されるが、低画質にするとモヤモヤとしたモスキートノイズが増え、フレームレートが落ちて動画の滑らかさが失われる。iPhone 5の4型の画面ではそれほど気にならないレベルだが、iPad(第3世代)の9.7型の画面ではノイズが目立ち、特にスポーツなどの動きが多い映像では残像感が気になった。自宅のLAN内で見る場合は高画質に固定したほうがいいだろう。なお、同じアンテナ線に繋いだテレビの受信映像と比較したところ、アプリの視聴では約5〜6秒遅れて表示された。

番組表

 「番組表」はテレビと同様、各チャンネルの放送予定が一覧表示されるもので、ここからチャンネルを移動したり、録画予約を行なうことが可能だ。表示チャンネル数は、iPhoneの横画面表示だと3チャンネルほどで、iPadではもっと多く表示できる。ピンチイン/アウトで番組表を拡大/縮小でき、縮小してより多くのチャンネルを表示することも可能。スクロールや拡大/縮小などの操作はとてもスムーズだ。

 番組表は1日に2度(午前4時台と午後4時台)放送波を通して自動取得され、7日先の分まで表示できる。なお、自動更新の時間帯にワイヤレスTVアプリを使用している場合や予約録画を行なっている場合、チューナに電源が入っていない場合は更新が行なえないので、その際は手動更新を行なう。

 「録画番組」と「予約」では、録画番組の視聴と予約の確認を行なえる。録画にはUSB HDDが必要で、最大2TBまで対応している。初めて接続するHDDは、メニューから初期化を行なう必要がある。チューナを1つしか内蔵していないため、録画中は他のチャンネルを視聴できない。録画しながらの追っかけ再生は可能だ。

USB HDDは最初に初期化が必要
番組表から録画予約が可能
予約した番組は「予約」から確認できる

 「その他」の視聴設定では画質のほか、字幕・文字スーパーの表示のオン/オフや音声切替、テレビ視聴とネット検索が同時に行なえる"ながら見"機能のオン/オフも可能。ながら見機能をオンにすると、画面の下半分がブラウザになり、番組出演者の情報などをネットで調べることができる。テレビ視聴の片手間にネットを見れるのは便利だが、テレビの表示画面が小さくなるので常にオンにするわけにもいかず、利用したいときはいちいちメニューに潜って設定を変更しなければならないので、使い勝手はあまりよくない。テレビ視聴画面から、サッと1フリックでブラウザを呼び出せると便利だと思うので、アプリの改善を期待したい。

設定メニュー
視聴設定
ながら見モードの画面。下半分がブラウザになる

300円でリモート視聴も。屋内でも快適視聴

 「ワイヤレスTV」アプリでは、アプリ内課金で300円を支払うと、外出先から3G/LTE回線や無線LAN経由で、リアルタイムのテレビ視聴や、録画予約/再生が可能になる。ワンセグ/フルセグチューナを内蔵していないiPhone/iPadでもリアルタイム視聴が行なえるので、リモート視聴環境をまだ構築していないなら、ぜひ利用したい機能だ。

 リモート視聴を行なうには前準備が必要で、アプリ内課金後、最初に自宅の無線LAN内でチューナに端末を登録する。チューナには6台まで登録可能で、未登録の端末からは録画予約しか行なえない。また、同時にリモート視聴できるのは1台のみで、他の端末が利用している場合は、テレビ視聴や録画再生/予約なども行なえない。規格上の制限として、90日に1回は自宅LAN内でログインする必要がある。

リモート視聴機能の購入画面
リモート視聴の接続設定
端末の登録画面
3G/LTE回線で接続するとアラートが表示される

 リモート視聴をオンにしてアプリを立ち上げると、毎回最初に接続モードを選択する画面が表示される。接続モードは「自宅」、「外出先(すべての機能)」、「外出先(録画予約のみ)」の3つだ。さらに、自宅と外出先(すべての機能)モードでは画質も選択する。自宅モードの場合、「高画質/標準画質/低画質」の3つから、外出先(すべての機能)モードではそれらに加え、「低速回線用画質」が選択できる。選択した接続モードや画質に関わらず、3Gや4G/LTE回線経由で接続する場合は、チューナに接続する前に「Wi-Fi以外の通信回線でチューナに接続します」とアラートが表示される。

 自宅LAN内で視聴する場合は、どの画質でも同じ解像度(1,280×720ドット)で全画面表示されるが、リモート視聴時は選んだ画質により解像度が変化し、表示される映像の大きさも変わる。高画質は自宅LAN内と同じ1,280×720ドット、標準画質は720×405ドット、低画質/低速回線用画質は320×180ドットで、低速回線用は低画質よりもさらに画質を落としている。

 リモート視聴時に画面をダブルタップすると映像を拡大して表示できるが、解像度の低い映像を引き伸ばしているだけなので、低画質ではかなり映像が荒くなる。3G/LTE回線で見る場合は標準もしくは低画質、無線LANが使えるところでは高画質など、通信環境などに応じて画質を選ぶとよいだろう。画質の切替は「その他」の設定からも変更可能だ。

「外出先(すべての機能)」を選ぶと「低速回線用画質」も選択できる
リモート視聴時の低画質/低速回線用画質モード(縦表示)
リモート視聴時の標準画質モード
リモート視聴時の高画質モード。縦表示時のサイズは標準画質とほとんど変わらない
リモート視聴時の低画質モード(横表示)
リモート視聴時の標準画質モード
リモート視聴時の高画質モード

 電車(JR中央線)での通勤時にリモート視聴でテレビ放送や録画番組を視聴してみたところ、LTEではいずれの画質もスムーズに表示され、カクツキなども感じなかった。3Gでは高画質表示を選んだときに、まれに止まってしまうこともあったが、おおむね良好に視聴できた。

 以前使っていたワンセグ搭載のフィーチャーフォンでは、建物内などに入るとほとんど受信できなくなるため、屋外でしか使う気にならなかったが、リモート視聴は3G/LTEなどの通信電波さえ受信できれば屋内でも利用できるのが嬉しい。ただし、アンテナ表示が良好な場所でも、駅構内など人が多い場所では帯域が混雑しているのか、画質が乱れたり止まることもあった。

再生に特化したシンプルな作りの「ワイヤレスDVD」

 「ワイヤレスDVD」アプリでは、本体のスロットインドライブで再生したDVDの映像を、無線LAN経由でiPhone/iPadからワイヤレスで視聴できる。CPRMやVRモードには対応しておらず、レコーダで録画したDVD-Rなどは再生できない。また、USB HDDに録画した番組のDVDへの書出しもできない。

 こちらもUIはDVD再生に特化したシンプルな作りで、再生画面上で再生/一時停止や早送り/早戻し、チャプタースキップなどの操作が行なえる。テレビ視聴と同様、画質の変更が可能で、Webブラウザの"ながら見"機能も利用できる。

DVD視聴の画面。タップすると画面上に操作メニューが表示される

 DVDを再生すると、一般的なDVDプレーヤーと同様、自動再生やメニュー画面再生が始まる。再生開始にかかる時間も一般的なプレーヤーと同等だ。早送りやチャプタースキップを行なうと再生までに2〜3秒ほどかかるが、ストレスを感じるほどでもない。画質は地デジの「高画質」モードに比べると落ちるが、iPhone/iPadでの視聴では、特に気にならなかった。

 テレビ視聴と同様に、画面半分にブラウザを表示する"ながら見"モードも可能。映画の出演者やあらすじを知りたいときは、すぐに調べることができる。なお、外出先からのリモート視聴には対応していない。

初めてでも簡単にワイヤレス/リモート視聴。テレビを持っていない人にも

 PIX BR310L-DVは、接続や設定が簡単で、アプリのUIもシンプルで分かりやすいため、初めてワイヤレス視聴やリモート視聴を利用した筆者でも、悩むことなく使うことができた。USB HDDを繋げば録画番組もリモート視聴できるので、家ではベッドに寝転んでiPadで、移動時の電車の中ではiPhoneで、と色々なシーンで視聴でき、テレビを見る時間が倍増した。日頃、録画番組を見る時間がなかなか取れないと思っている人は、ぜひ一度リモート視聴を試してみてほしい。

 他にはない特徴としてDVDのワイヤレス再生も可能なため、DVDをたくさん持っている、もしくはレンタルDVDをよく利用する人などにもオススメしたい。DVDで映画を1本丸々テレビの前で見るにはまとまった時間が必要だが、BR310L-DVなら、テレビで途中まで視聴して、続きは防水パックに入れたタブレットで入浴しながら見るなど、テレビの前に縛られずにDVDを視聴できる。

 シンプルな機能性を追求している分、USB HDDが1台しか利用できない、チューナが1つしかないなど、BDレコーダ等の専用機と比べると見劣りする部分もあるが、2万円そこそこでワイヤレステレビ視聴+ワイヤレスDVD再生+リモート視聴が可能なので、最新ではないレコーダを所有している人がサブ機として使うのにもいいだろう。また、設定や操作を全てスマホ/タブレットから行なえ、テレビを必要としないので、テレビを持っていない人にも向いた機種といえる。

(一條徹)