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今期注目の怪作ドラマ「下北沢ダイハード」。様々な“人生最悪”を荒唐無稽に描く

 「モテキ」や「勇者ヨシヒコ」シリーズ、「アオイホノオ」「バイプレイヤーズ」といった“怪作”を次々に送り出してきたテレビ東京のドラマ枠「ドラマ24」。2017年7月期に放送しているドラマ「下北沢ダイハード」も、これら過去作に並ぶドラマ24の代表作と呼ばれそうな魅力を秘めた作品だ。放送は、毎週金曜日 深夜0時12分~。

下北沢ダイハード(公式サイト)

 下北沢ダイハードは、下北沢を舞台に描かれる1話完結型のオムニバス作品。映画「ダイハード」にあやかったと思われるタイトルの通り、主人公が「人生最悪の一日」に巻き込まれてしまうエピソードを、人気劇作家11人がそれぞれ描く全11話のドラマだ。

 ダイハードの名を冠するものの、その中身はブルース・ウィリス出演の映画とはかけ離れたエピソードばかり。SM好きの国会議員が全裸のままスーツケースで運ばれて誘拐の現場に巻き込まれる、違法風俗店に入店したら運悪く警察のガサ入れが入る……、といった具合に、各話とも荒唐無稽な設定だらけだ。

 こうした一見ばかばかしいエピソードを、テレビ東京ならではのバイプレーヤーズが本気で熱演しているのが最大の見どころ。失礼ながら名前を聞いただけではパッと顔が思い浮かばないけれど顔は見たことがある、という名優たちが、とんでもない設定の役柄を熱演している様が最高に面白い(ちなみに第2話では「見たことがあるけれど名前はわからない俳優、というバイプレーヤーズならではのエピソードそのものがネタにされている)。

 オムニバスのため来週の話が気になるという中毒性はないものの、脚本家が異なるので毎週違った作品が楽しめるという特性に加え、演技力は折り紙付きのバイプレーヤーズと、荒唐無稽なシナリオ設定との相性がかみ合うととてつもない名作ができあがる。

 筆者のお勧めは第1話の「裸で誘拐された男」。実質30分という短い時間の中でめまぐるしく変わるストーリー展開と、最後にすべての謎が解ける伏線回収に加え、「裸でスーツケースに入ったまま誘拐現場に連れ去られるシチュエーションを興奮してしまうドM」という役柄を見事に演じきっている神保悟志との相性が素晴らしい仕上がり。張られた伏線は途中で気がつくものの、「この場面を全裸のままどう乗り切るのだろうか」と夢中になって見入ってしまった。

 人気俳優や女優が出演するプライムタイムのドラマももちろん楽しいのだが、個人的にはこういう深夜帯でしかできないドラマの自由奔放さもドラマの楽しさの1つ。オムニバスでいつからでも視聴できる手軽さに加え、最新回については無料でネット配信されているほか、GYAO!では第1話も見逃し配信中。さらに、ひかりTVでは見放題で配信しているほか、4K配信も行なっている。追加料金は発生するが、dTVやAmazonプライム・ビデオでも、過去放送回が配信されている。ぜひ第1話から視聴してほしい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)