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7月期アニメ、どれが良かった? いち押しアニソンをハイレゾで聴く
2017年10月9日 08:00
季節(クール)の変わり目は、アニメファンにとって新番組の始まる時期でもある。今期も魅力的な新アニメが次々に放送スタート。まだチェックが追いついていないという方は、編集部による「アニメ新番組一覧」で確認することをお勧めしたい。
ところで読者の皆さんは「先月まで放送していたアニメで何を観ていたか」すぐ思い出せるだろうか? 筆者は全てを正確に答えられる自信が無い。何しろ観ていた本数が多すぎるからだ。だったら、印象に残った曲で思い出してみるのはいかがだろうか?
前回の4月クールに続き、「アニソンで振り返る7月クールアニメ」をお届けする。筆者が特に音質的にも音楽的にもオススメできる楽曲を厳選したのでお付き合い願いたい。
Re:CREATORS ED主題歌「ルビコン」(96kHz/24bit)
TROYCA制作によるオリジナルTVアニメ「Re:CREATORS」の第2期EDテーマだ。楽曲を手掛けるのは、今注目のクリエイターユニット、三月のパンタシア。
本作は、コンテンツ制作側が自分たちのことを正面から描いていた。そこで描かれるドラマは「こうであったらいいなぁ」というファンの願望ではなく、作り手は本当に愛と熱を持って作品に取り組んでいるという宣言であったように思う。それは作品を楽しむ側にとっても実に嬉しい限りだ。
ハイレゾ版をスピーカーで聴いてみる。みあの憂いを帯びたボーカルは、空気感が格別。グッと前に出る音作りで輪郭が強調されている。低域の量感も聴き所だ。シンセとバンドセクションの馴染みもよい。キーボードが効果的にオケの厚みを作っているが、決して混濁なくアレンジの意図をストレートに伝えてくれる。これは前後感を存分に使える96kHz制作だからこそと言える。
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・三月のパンタシア/ルビコン
賭ケグルイ OP主題歌「Deal with the devil」(96kHz/24bit)
MAPPA制作によるTVアニメ「賭ケグルイ」のOPテーマ。中学生時代のニコニコ生放送での配信をきっかけに、supercellのryoがプロデュースしたという、異色の新人Tiaが歌う。この曲も、作編曲はもちろんryoだ。
ギャンブルを正面から描いた学園モノとあって、初めのうちは騒動にならないかハラハラしていたが、無事に最終回を迎えた。人間の極限状態における緊張感や駆け引きがこれでもかと描かれており、作品の空気感にドップリ浸かれる没入型の傑作だった。
ハイレゾ版は、ビッグバンドをバックに妖艶なボーカルが舞い狂う圧巻の仕上がり。すべて生演奏であろうオケは、ガンガン音量を上げたくなる広いダイナミクスが聴き所。楽器音の説得力から、キレやスピード感、低域の密度まで各ステータスが軒並みハイレベルだ。Tiaによる超絶技巧のジャズボーカルも艶めかしいというか、もはやこの吐息感はエロスの領域。間奏にはドラム→アコースティックベース→エレキギターの順でソロが入るのだが、これはライブか!? と驚いた。この臨場感はハイレゾ版でこそ真価を味わって欲しい。
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・Tia/Deal with the devil
プリンセス・プリンシパル ED主題歌「A Page of My Story」(96kHz/24bit)
Studio 3Hz・アクタス共同制作によるオリジナルテレビアニメ「プリンセス・プリンシパル」のEDテーマだ。歌唱はメインヒロイン5人の声優が担当。全文英語となる歌詞はKonnie Aoki氏が、作編曲は高橋諒が手掛ける。
架空のロンドンを舞台に女子高生のスパイアクションを描いた本作は、可愛いキャラクターに対してハードなストーリー展開のギャップが魅力的であった。時系列を入れ替えて放送していく手法は本作が初ではないが、徐々に人間関係が明かされていく過程に引き込まれた方も多いと思う。
ハイレゾ版を聴くと、小編成のブラスとチェロにアコースティックギター、これらの生楽器が埋もれずに実在感を持って描かれるのがわかる。低域は特にリッチ。ローエンドは底が深く質感も高い。5人の歌声が響いても音場は窮屈にならずむしろ心地よいハーモニーだ。それがコーラスと相まって、後半の大サビに向けカタルシスを増していく。軽く鳥肌が立った。
筆者にとっては、どこか懐かしさを覚えるメロディーだった。牧歌的な曲調ながら、歌詞は叶うはずの無い少女たちの日常が儚げに綴られている。
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・アンジェ(今村彩夏)、プリンセス(関根明良)、ドロシー(大地葉)、ベアトリス(影山灯)、ちせ(古木のぞみ)/A Page of My Story
この素晴らしい世界に祝福を! 第2期OP主題歌「TOMORROW」(96kHz/24bit)
7月期のアニメではないが、珍しくも喜ばしい例として紹介したい。TVアニメ自体は今年の3月に終了しており、CD版も2月に発売されていたが、そこから半年以上経った8月にハイレゾ版のリリースが実現した。配信開始される前に、7月のイベント「ポタフェス」でも先行試聴が行なわれ、足を運んだファンもいると思う。
今回の例からもわかる通り、「CDと同時配信されなければ、ハイレゾはリリースされない」なんてことはない。実現に至ったのは、ファンの熱い声援か制作者の英断か真相は分からないが、私もすぐに買って聴いてみた。
CD版と比べて躍動感が段違いだ。音圧はそれほど変わったように感じないものの、コンプレッションがナチュラルになったことで聴感的な違いは歴然だ。音数の多さでゴミゴミとしていた音場が96kHzという大きな空間を与えられたことで、各バンドがきちんと分離して聴こえるのもたまらない。ボーカルは潤いを増して適度な色っぽさも感じる。シンバルの金属音がちゃんと生の音に聴こえてテンションもアガる。マスタリングも生楽器の質感を残した良質な仕上がりだ。
この他にも魅力的なアニソンはたくさんあった。ただ一つ、「天使の3P!」はハイレゾ版を待ち望んでいただけに、現時点でまだ登場していないのが少し残念。
音楽モノは、物語の重要な核にアニソンや劇伴が位置づけられているので、サウンドへの作り込みも尋常では無いものが多い。同作は、登場人物がDTMで作曲してヒロインたちがバンド演奏しているという、音楽制作過程を丁寧に追いかける作風だった。だからこそ、スタジオマスターである最高の品質でその楽曲も受け止めたい。そう思うのは、筆者だけではないだろう。
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・Machico/TOMORROW
使用機材
・NAS「RockDiskNext」(アイ・オー・データ機器)
・ユニバーサルプレーヤー(ネットワーク再生)「BDP-103DJP」(OPPO Digital Japan)
・AVアンプ「AVR-X6300H」(デノン)
・スピーカー「MENTOR2」(DALI)