気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第24回:「New Edition」の実力はどうよ?
MTV1000と同じチューナを搭載「WinDVR PCI New Edition」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

そういえば「SmartVision」ってiEPG非対応なんでした

 前回は「SmartVision PRO 2 EX」を、「ADAMS-EPG+」サービス開始にあわせて決め打ちで購入したものの、その際アキバを物色中に発見した、とあるブツが気になってました。その名も「WinDVR PCI New Edition」。評価の高いビデオカード、ハードウェアエンコーダカードなどを出しているメーカー、カノープスの新製品であります。

 まあ、新製品といいつつも、実は前製品「WinDVR PCI」から、搭載のTVチューナの改善と、リモコン機能のオミットという2点を変更しただけで、添付ソフトなどは全く同じのマイナーチェンジバージョンではあります。が、しかし、TVチューナのコネクタが固定式になり、指摘されていた受信性能も改善されているということ。

 リモコン機能のオミットは、前製品で「一部ロットのリモコンケーブルに発火の可能性」があったため、安全を確保するために省かれたということでしょう。残念ではあるけれども、考えてみれば、個人的にはPC環境でリモコンの必要性はあまり感じないんだよね。PCって大抵マウスが手元にある状態でしか使わないでしょ? 「SmartVision」をリモコンナシで使用していても特に不便を感じなかったので、まあ、自分は「リモコンの有無」を気にしません。

 ところで、「SmartVision」の不満点がもうひとつ。それはiEPGに対応していないことであります。「ADAMS-EPG」や「bitcast」、文字放送にも対応している高機能なのに、なぜがiEPGには非対応。「ADAMS-EPG」はとても便利なサービスだと感じるけれども、iEPGも使いたいしなぁ。

 というわけで、「WinDVR PCI New Edition」(以下New Edition)をゲットすべく、アキバへと出立したのであります。


同じ価格帯だがアプローチの異なる製品

 で、買ってきました「New Edition」。お値段は17,200円。価格帯的には「SmartVision PRO 2 EX」と同等といっていいでしょう。パッケージを確認すると、最高画質の640×480ドット、ビデオビットレート6Mbpsでの録画で要求しているCPUスペックは、なんとPentium III 1GHz/Athlon 900MHzとかなりハイスペック。

 むむ、あまり確認せずに購入したのだけれども、この時点で自分の環境、Celeron 800MHzには対応してないッスよ。でも、ま、標準品質の640×240ドット、ビデオビットレート5Mbpsの録画に要求しているCPUが、Pentium III 450MHz/Dron 600MHzと、まあ、そこそこのレベル。これならCeleron 800MHzでもOKでしょ。

 さらにパッケージを確認してみると、チューナはFMラジオの受信も可能で、CATVの13~63chにも対応している優れもの。「SmartVision」では地上波TVのVHF/UHF帯のみの対応で、FMラジオはもちろん、CATVの受信は不可能、とマニュアルに明記してありました。ふむ、自分はCATVの導入も考えていたので(大家さんに断わられましたが)CATVへの対応はポイント高いです(ただ、自宅地域のCATVは、映像入力に接続するチューナボックスタイプなので、あまり関係ないのですが)。

 録画予約機能はiEPGに対応。その上、将来的には「ADAMS-EPGにも対応予定」との記述があり、「ADAMS-EPG」の便利さを感じた自分には期待も大きい。カノープス製品は、こまめにソフトやドライバのアップグレードを行なっているので、きっと近い将来アップデートモジュールを公開してくれるでしょう。

 さて、次いで同梱物を確認。パッケージの内容は、キャプチャカード本体、CD-ROM×2枚、S/コンポジット/ステレオRCA入力端子のついた「複合コネクタケーブル」×1、RF(アンテナ)延長ケーブル×1、内部オーディオ用/外部オーディオ用ケーブル×各1、そしてLow-Profile用ブラケット×1。という内容。

 カード本体は背が低く、いわゆる小型の「ブック型PC」にも対応できるLow-Profile用ブラケットも付属。小型PC志向の方には有力な選択肢かと。

 内部オーディオ用ケーブルは、マザーボードやサウンドカード上にある音声入力端子に接続するためのケーブルで、外部接続しなくてもサウンドカードにTVの音声を送ることが可能。自分のPCの背面はUSBケーブルやらLANケーブルやら、その他のケーブルで大変なことになっているので、PCの内部で接続できるメリットは大きいデス。

 唯一残念なのが、「複合コネクタケーブル」。これは本体のブラケット部にあるDIN端子に接続するS/コンポジット/ステレオRCAのコネクタ。つまり、本体に直接ケーブルを差すことはできず、このコネクタを介しての接続になる、ということ。まあ、Low-Profileサイズにチューナまで搭載しているので仕方ないのだけれども、背面が大変なことになっている自分にはちょっと……。

 RF延長ケーブルは、浅い接続になることもあるコネクタを深く接続するためのもので、長さも20cm程度と短いもの。しかし、クオリティへのこだわりを感じます。

 ともあれ同梱物を見てみると、できるだけ多くのユーザーに対応できることを目指しているように思われます。FMラジオ/CATV、Low-Profileにも対応し、音声は内部接続可能。ふむ、ユーザーの選択肢が広い構成といっていいでしょう。対して「SmartVision」はTVの視聴/録画環境を高めるため、それ以外の機能は目もくれない、というような構成に思えます。カード本体に載っているチップ(A/Dコンバータと思われる)を見てみると、両者ともConexantの「FUSION 878A」を搭載しているご様子。なるほど、カードの性能自体は似たようなものでも、機能などのアプローチが異なるのですな。


同梱品一覧。マニュアルも全68Pとシンプル ブラケット部。FM/TV用に2つのRF端子がある

ブラケット取り付けネジを外して、Low-Profileに変更可 「複合コネクタケーブル」。外部入力もS端子で接続可能 搭載チップ。Conexant「FUSION 878A」は「SmartVision」と同じもの


ソフト構成はシンプル・イズ・ベスト

 カードを改めて見ると、目立つのがチューナの巨大さ。「SmartVision」はコンパクトだったけれども、「New Edition」はカード面積の1/3程度を占めている。まあ、FMラジオ/CATVもサポートすることを思えば妥当な大きさというところ。それにPCに装着してしまえば外側から気になることではないから、気にすることでもないでしょう。

 などということを思いながら、とりあえず接続。「New Edition」の対応OSは、Windows98 SE/Me/2000で、「SmartVision」と同じ。ケースの側面板を外し、PCIコネクタに押し込み、接続終了。電源を入れると、先週導入したWindws 2000で自動的に認識し、ドライバ導入画面へと進み、指示どおりにCD-ROMを挿入することで導入完了。あとはCD-ROMのインストーラの指示どおりに操作するだけで収録ソフトも無事導入できました。

 そうそう、書き忘れていたけれども、2枚のCD-ROMは、1枚はピクチャーレーベル仕様、もう1枚は単色プリント仕様で、収録内容はまったく同じ。なぜ同じものを2枚入れたかというと、「ピクチャーレーベルのCD-ROMで一部ドライブとの組み合わせでエラーが発生する症状があるため、念のためにもう単色プリント版を同梱している」そうな。ユーザーフレンドリーな対応といってよろしいと思います。

 さて、少々話しが逸れましたがソフトです。収録ソフトは、TV視聴/録画ソフトのインタービデオ製「WinDVR」と、FMラジオ聴取ソフトのカノープス製「Canopus FM Tuner」の2点のみ。たくさんソフトの収録されていた「SmartVision」と比較すると少々物足りないが、「他のソフトはお好みで追加してください」という考えなのかもしれない。「SmartVision」に付属の編集ソフト、「VideoStudio 5 SE Basic」は自分の好みに合わず、結局使ってないからなぁ。こういうアプローチもありかと。

 納得はしていたものの、現時点で「ADAMS-EPG」に対応していないことは不満点といえば不満点。「将来的に対応する予定」とあるものの、時期が明確にされているわけでなく、「近い将来」と期待するしかないわけで、「ADAMS-EPG」の便利さにほれ込んだ自分は待つ期間が長く感じそう。

 文句を言うのはここまでにして、とにかくソフトを起動しないことには話しになりません。TV視聴/録画ソフト、「WinDVR」行きまーす! ……と、デスクトップに自動作成されたショートカットアイコンをダブルクリックしてから約10秒で起動完了。ふむ、このテのTVキャプチャカードはどれも起動に時間がかかるみたいですね。

 とにかく、無事起動いたしました。インターフェイスは、インタービデオのソフトウェアDVDプレーヤー「WinDVD」と似た構成で、TV画面を表示するウィンドウと、録画/再生などを操作するコントローラの分離構成。ウィンドウ、コントローラを好きな位置に配置でき、ウィンドウのサイズも自由に変更できるるので、他の作業をしながらのTV視聴に便利そう。コントローラに配されたボタンは少なめで、「基本機能だけに絞って操作感の向上を図った」と思われるインターフェイス。ふむ、これまた多機能な「SmartVision」とは対象的ですな。それでは、TVを視聴してみましょうか。

「New Edtion」(左)と「SmartVision」(右)のカード本体 単色プリント版CD-ROMの説明書き 「WinDVR」コントローラ部


チューナの性能は良好、録画はパワーが必要?

 「WinDVR」にはオートチューニング機能があり、チャンネル設定はボタン一発で完了。チューナの性能は「SmartVision」と同等といっていいでしょう。ふむ、改善されただけあってなかなかの映り。少々干渉ノイズが感じられますが、普段使っているTV、ソニー「KV-14AF1」と同じように映ります。実用には充分なレベルではないかと。

 「SmartVision」と比較して、まず良いと感じたのはTVウィンドウが簡単に全画面表示になること。「SmartVision」も、コントロールバーの全画面表示ボタンで全画面表示になるけれども、ちょっと操作がわかりにくい。まあ、SXGA(1,280×1,024ドット)以上で全画面表示にすると、もともと解像度の高くないNTSC映像だけにちょっと画質に不満を感じるのが難点ではあるけれども。

 タイムシフト機能は、早送り/巻き戻しがあるのみで、倍率までは設定不可。ま、タイムシフトは録画中番組の確認程度にしか使わないだろうから、「付いていることに意味がある」と思います。

 iEPGでの録画予約は、コントローラの「EPG」ボタンを押すだけで、ブラウザが起動してiEPGの番組情報を掲載している「インターネットTVガイド」のサイトに移動。iEPG予約は、ここの番組表から「予約」バナーを押すことでスケジュールが登録される。うん。とっても簡単。だけれども、番組情報は3時間で区切られていて、別時間のページに移動するのに時間がかかるのが面倒。むむ、やはり予約の利便性は「ADAMS-EPG」の方が上ですね。早く対応してください。もちろん、インターネット版の「ADAMS-EPG+」にも。

 放送中の局を1画面で表示する「サーフィン機能」は、当初は便利かと思ったけれども、表示されるのが静止画のため、あまり番組の内容を理解することができず、結局チャンネルを切り替えてサーフィンする方が早いと感じました。

 録画した番組の視聴もすんなりとでき、10秒単位で設定できる「CMスキップ」機能など、視聴に際して便利な機能も搭載。基本機能を重視しつつも、便利な機能はちゃんと盛り込んでいるんですなぁ。

 この「WinDVR」で特に便利だと感じたのは、設定の変更が容易なこと。変更できる項目はそれほど多くないが、スパナを模した「セットアップ」ボタンを押すだけで設定が可能なのです。フツーのアプリケーションでは当たり前のことだけれども、「SmartVision」はそのあたりを「触らせないようにしよう」という初心者志向があるようで、どうにも煩雑。対して「New Edition」は設定変更が非常に明快。ふむ、ユーザーに使い方をゆだねているのですな。

 録画解像度、ビットレートの設定も簡単。デフォルトで「標準」、「良」、「最良」から選択でき、解像度/ビットレートなどをユーザーが設定することも可能。しかし、高画質録画には、パッケージに合ったようにやはりCPUパワーが必要なようで、Celeron 800MHzの環境だと、解像度640×240ドット、ビットレート5Mbpsの「最良」ならばなんとか、といったところ。動きの激しいシーンでコマ落ちが多少出ますが、それなりに見られる画質です。

 試しに「ユーザー設定」で変更可能な最高画質、720×480ドット、ビットレート20Mbpsで録画したところ、ガクンガクンとコマ落ちし、とても見られる状態ではありません。ああ、貧弱なCPUでは使いこなせないのですなぁ。CPUをケチらずにPentium III 1GHzにしとけば良かったか……。

セットアップ画面。録画品質も用意に変更できる 「サーフィン」中。9/16分割などの設定もできる 「SmartVision」のインターフェイス。全画面にしてもこのまま


基本機能に絞って素直に録画したい方に

「MTV1000」。チューナユニットは同じ物を使用

 ところで、「どんなものかいな?」と思って編集部から持ち出した、同じカノープス製のハードウェアエンコーダ搭載TVキャプチャカード「MTV1000」を使ってみて愕然としたですよ。同じチューナユニットを使っているのに、「WinDVR」で多少感じた干渉ノイズもほとんどなく、録画した映像も明らかにキレイ。ううむ、金額的にはストリートプライスで4万円程度。「SmartVision」+「New Edition」に投資した額に3~4,000円足すだけで買えるッスよ。品薄が続く人気商品というのもうなづけますな。

 下に「SmartVision」、「New Edition」、「MTV1000」でキャプチャした映像の見本を置いておきますが、それぞれに目指すものが違っているように思います。

 自分の感覚では、「SmartVision」は「TV視聴/録画に必要なものを1パッケージで全て提供」という姿勢。録画フォーマットもMPEG-1/2を元にした独自仕様で、MPEG-1/2には「エクスポート」機能を使わないと変換できない。が、「New Edition」にはない「シーンインデックス」機能やテンコ盛りのソフト群など、使い勝手を優先しPCになじみの薄いユーザーでも使えるような構成。

 対して「New Edition」は、TV関係のソフトは「WinDVR」のみ。ただ、Low-Profile対応など、ハードウェア面でのこだわりが感じられ、ビットレートなどの録画品質の設定も容易。PCを使いこなす自信のあるユーザー向け、といったところでしょうか。もちろん、録画フォーマットはMPEG-1/2なので、他のプレーヤーで見るのも、別途編集ソフトを用意して編集するのもラクラク。

 そして、「MTV1000」は高画質を追求するユーザー向けで、アップデータも順次公開されて更なる高画質も望めるオマケつき。その分価格も高くなっておりますが、この画質であれば納得できるでしょう。っていうか、「MTV1000買っとけば良かったな~」と思う今日このごろ。この画質見ちゃうとなぁ……。

各カードのMPEG-2録画映像(デフォルトで選択可能な最高画質)
WinDVR New Edition
640×240ドット、5Mbps
windvr2.mpg
(約7.2MB/10秒)
SmartVision Pro 2 EX
640×480ドット、7Mbps
smart2.mpg
(約8.7MB/10秒)
MTV1000
720×480ドット、8Mbps
mtv1000.mpg
(約10.8MB/10秒)
 DVカメラ「ビクター GR-DVP3」で撮影した画像を素材に、DVデッキ、 「ソニー WV-DR5」で再生し内蔵のRFコンバータで2chのTV信号として出力。それを編集部のCPU Athlon 800MHz/メモリ256MBのマシンに各カードを接続し、受信して録画した。

MPEG-2の再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載したMPEG-2画像の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。

□カノープスのホームページ
http://www.canopus.co.jp/index_j.htm
□製品情報
http://www.canopus.co.jp/catalog/wincinema/windvr-ne_index.htm
□関連記事
【5月22日】カノープス、TV録画PCIカード「WinDVR PCI」をマイナーチェンジ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010522/canopus.htm
【2月15日】カノープス、「WinDVR PCI」の一部初期ロットを回収(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010215/canopus.htm
【2000年10月20日】カノープス、TVチューナ付きMPEG-2キャプチャカード(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001020/canopus.htm

(2001年7月31日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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