気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第25回:スーパービデオCDをバーニング!
CDライティングソフト「nero 5.5 BURNING ROM」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

テレビパソコンで録画した番組をDVDプレーヤーで

 なんだかんだがありましたが、自作したPCの「テレビパソコンライフ」はそこそこ順調に進行中。まだ不安定なPCに信頼が置けないので、保存したい番組はビデオデッキで、とりあえず気になる番組は「テレビパソコン」で、それぞれ録画しております。

 しかし、「とりあえず見るだけ」と思っていた番組にも意外と面白いものがあり、40GBの容量を誇るデータドライブも、もはや20GB近くまで使用しているありさま。

 ううむ、これは何とかせねば。しかし、備えあれば憂い無し。こんな事態を解決してくれそうなブツはもう手元にございます。それはプロジーの販売するCD-R/RWライティングソフト「nero 5.5 BURNING ROM」なのであります。

 この「nero 5.5」、多々あるライティングソフトの中でもかなり多機能な部類に入るソフトで、WAVEデータの波形編集やノイズリダクション機能を持つエディタや、MP3エンコーダ(30回限定。1,500円のライセンス購入で無制限に)などに加えて、なぜかCD-ROMをHDD上に再現するCD-ROM仮想化ソフトまで付いてくる多機能ぶり。通常パッケージの標準価格は12,800円だが、「WinCDR」や「B's Recorder」など他のCD-R/RWソフト、「CD革命Virtual」などのCD-ROM仮想化ソフトからの「乗り換え版」も用意されており、こちらの標準価格は6,800円。

 ふむ、CD-R/RWドライブを購入するときは大抵ライティングソフトが付いてくるので、ほとんどのユーザーはこの「乗り換え版」が購入可能でしょう。当然、自分もこちらを手にいてれおります。

 で、なんで「nero 5.5」を買ったのか。思い出していただきたい、あのDVDプレーヤーZENIX「Z-2000」のことを。最初は薄型で黒いデザインに引かれたのだが、その実態は機能テンコ盛りのかなり使えるプレーヤー。で、「nero 5.5」は、「Z-2000」を使用する中で「超級VCD」こと、スーパービデオCD(Super VCD)の再生に対応しているかも、という疑惑を晴らすために購入したものなのです。

 そう、この「nero 5.5」はスーパービデオCDの作成に対応しているライティングソフト。「テレビパソコン」の映像を記録するのにDVD-Rを使っては、ドライブ、メディアとも予算的に負担が大きいのが現状。安価なCD-Rに、MPEG-2フォーマットのDVDライクな映像を書き込めるメリットは大きいのでありますよ。ということで、今回は「nero 5.5」でスーパービデオCDを焼いてみることにします。


そもそもスーパービデオCDとはなんぞや?

 ということで、「nero」マニュアルのスーパービデオCDの部分を改めて読んでみる。まず「スーパービデオCDとは」と題された、規格の解説から始まっていた。

 要約すると、「欧米諸国中心で高価なDVDに憂慮した中国政府が中心になって、VideoCDの上位規格として策定した中国のローカル規格。MPEG-2映像をCDに書き込める」ということらしい。姉妹サイトPC Watchの記事、鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」でも解説されているのでご参照のほどを。

 なるほど、中国のローカル規格だから、香港から来た「Z-2000」で読み込めるのね。フォーマット形式はNTSCの場合だと、解像度480×480ドット、フレームレート29.97fps、映像ビットレートが最大2.6Mbps。音声はMPEG-1 Layer2で、サンプリング周波数44.1kHz、ビットレートは64~384kbpsの可変。モノ/2ch/4chでの記録が可能、となっている。

 480×480ドットというのは正方形の特殊なフォーマットだが、TVに映すときには4:3の映像になるようだし問題はないかと。他の仕様も、まあ、普通。少々ビットレートが低いのが気になるけれども、容量の少ないCDに入れることを思えば致し方ないでしょう。

 中国では一般的に使われているフォーマットみたいだし、なによりもMPEG-2映像を安価なCD-Rに記録できるのは魅力的。かさばるビデオテープに比べてCD-Rならばスペースも節約できるしね。ふむ、安価で省スペース、それなりに高画質な記録メディア。なかなかよろしい規格ではありませんか。


フォーマットに対応するソフトは「TMPGEnc」だけ?

 フォーマットの概略はわかりました。つまり、これに沿ったMPEG-2ファイルを作成するわけですな。「nero 5.5」には、堀浩行氏が無償配布しているMPEG-1/2エンコードソフト「TMPGEnc」(MPEG-2エンコードは30日の期間限定)が添付されており、エンコードはこちらで行なうことが推奨されている。そういえば当初夏に出るとされていた「TMPGEnc Professional」は、まだ出る気配がないんだよねぇ。なんか「nero」に添付の「付属ソフトマニュアル」の解説じゃ「2001年内」なんて表現になっていて、いつ発売されるかはなんとも不明。むむむ、こんな状況で30日の期間限定では、ちょっと心もとないッス。

 ということで、ほかのビデオ編集ソフトで試してみる。手始めに、「SmartVision」に添付されていた「Ulead VideoStudio 5 SE」(MPEG-2プラグイン付き)を。ほとんど使っていなかったので、当初は操作に戸惑ったが、設定で解像度、ビットレートなどを変更できることを確認できた。が、対応ビットレートは3Mbpsから。スーパービデオCDの最高ビットレート2.6Mbpsにはハナから対応していないことが判明いたしました。ぐぐ、あと400kbpsか……。

 ほかにも「ジャストシステム Megavi-DV」や、編集部にベータ版が届いていた「サイバーリンク PowerDirector」などで試してみたものの、MPEG-1のみの対応だったり、480×480ドットの特殊な解像度に対応していなかったりで全てアウト。念のために、「nero」でのSVCD作成時に読み込ませてみましたが、やはりハネられてしまいました。

 「Adobe Premire 6.0」など、編集ソフトの定番は試していないけれども、対応していたとしても、このテの定番ソフトは価格が高くて「安価」という目的に合致しない。せめて1万円代で手に入るソフトでないと……。

 ということで、「TMPGEnc」に戻る。無償なので安価。その上、MPEGエンコーダとして高い評価を受けている。ふむ、言うことナッシングじゃありませんか?

 ということで、AVIファイルを扱う感覚で、録画したMPEG-2ファイルを「TMPGEnc」で読ませてみたところ、アラートボックスが。「ファイルは開けないか、サポートしていません」。う、他のプレーヤーソフトでは問題なく再生できるファイルなので、これはサポートしていないということなのでしょうか?

無償配布されている「TMPGEnc」。「nero」には同じフリー版が収録されている MPEGファイルを読み込ませると表示されるアラート


「TMPGEnc」でMPEG-2を読めないんですが……

 その後も「TMPGEnc」の「MPEGツール」で映像と音声に分けてから改めて読ませてみたりしたものの、相変わらずアラートボックスが出てくるのみ。

 できないことを続けても仕方がないので、とりあえず「VideoStudio」でMPEG-2ファイルをAVIファイルに変換し、再度「TMPGEnc」で読み込ませてみる。あっさり認識。スーパービデオCD形式へのテンプレートが用意されていて、変換も非常に簡単。けど、AVIに変換する手間がめんどくさいなぁ。

 AVIに変換すればあっさり解決するものの、せっかくMPEG-2で記録したソースなのに、MPEG-2→AVI→SVCD用MPEG-2と、ひと手間が増えてしまうのがどうにも。なんとか解決策はないものか、と思って調べてみたところ、ありました。

 それは、茂木和洋氏が公開している「MPEG-2 VIDEO VFAPI Plug-In」。「TMPGEnc」などに対応するプラグインで、MPEG-2 Videoを扱えるようにするもの。音声やMPEG-1には対応していないけれども、「TMPGEnc」で映像(m2v)と音声(mp2)に簡単に分離できるから、音声が扱えないことはさほど問題にならないし、MPEG-1は最初から眼中にナッシング。OK、OK。大変便利なプラグインであります。

 早速ダウンロードして、サイトの「使用方法」を参照。プラグイン本体は「m2v.vfp」。オプション設定用のプログラム「m2vconf.exe」を起動することで、「m2v.vfp」の設定を行なうことができる。が、「何を選べば良いかわからない場合は、デフォルトのまま決定してください」とのこと。うむ、何を選べばわからないのでデフォルトのまま決定。

 これでプラグインの設定が完了し、あとは「m2v.vfp」を「TMPGEnc」と同じフォルダに置いて、「TMPGEnc」を起動。あらかじめ分離しておいたMPEG-2ファイルをそれぞれ読み込ませてみたところ、見事読み込みました。おお、ブラボー、AVIへ変換する手間を思えばなんと便利なことか。

「MPEG-2 VIDEO VFAPI Plug-In」。使用するのはexeとvfpファイルのみ 読み込んだところ。MPEGファイルもこれで安心


ネックは時間のかかるエンコード

 MPEG-2読み込み問題はこれにて解決。では、あらためて「TMPGEnc」でのスーパービデオCD用エンコードして、「nero」でSVCDを焼いてみることにしましょう。

 「TMPGEnc」では、エンコードするフォーマットに合わせたテンプレートが用意されていて、もちろんSVCD用のもアリ。テンプレートを適用してデフォルトのままエンコードすることもできるけど、フォーマット中で許される細かい設定の変更も可能。ふむ、さすが定評のあるエンコーダ。細かいところまで行き届いている、という印象を受けます。

 スーパービデオCD用テンプレートから変更できる主な設定項目は、可変レート(VBR)、固定レート(CBR)などの「レート調整モード」、インターレース、ノンインターレース、3-2プルダウンの「エンコードモード」、動き補完の精度を決める「動き検索精度」など。あとの項目はSVCDのフォーマットのため、変更は不可らしいです。

 いろいろ試してみたところ、エンコードモードは「ノンインターレース」、レート調整モードは「固定品質(CQ)」、動き検索精度は「動き予測検索(高速)」がよろしいかと。組み合わせ全てを試したわけではないけれども、ほかの設定だとDVD再生時に動き補完が追いつかず、ちらついていました。

 それにしても、MPEG-2エンコードというのは時間がかかるものなのですね。約27分の番組(パワーパフガールズです)をSVCD用にエンコードするのにかかった時間は、Celeron 800MHzでざっと2時間。高画質を売りとする「TMPGEnc」だからこそなのだろうけど、ううむ、こんなに時間がかかるものとは知らなかったぜよ。

スーパービデオCD用のテンプレートを読み込んだ状態の設定ダイアログ


「nero」の操作はとても簡単。エンコードも簡単にして欲しい……

 とにかく、できましたよ、「nero」で焼けるSVCDフォーマットのファイルが。触れなかったけれども、これまでたくさんのファイルを「SVCDフォーマットじゃねーよ!」と蹴られていたので感慨もひとしお。

 なんだか「TMPGEnc」の紹介のようになってましたが、ここからは「nero」です。スーパービデオCDの作成は、ファイルさえ用意してしまえば非常に簡単。逆にフツーのMPEG-2ファイルからSVCDフォーマットのMPEG-2ファイルを作成するのに「千里の道を歩むが如し」でありました。ま、思い込みで知識もなしに始めたのもマズかったんだけどね。

 で、SVCDの作成。まず、「新規作成」を選択すると、どんなCDイメージを作成するかを選択するテンプレートが開くので、ここで「スーパービデオCD」を選択。

 すると「スーパービデオCD」作成に際しての設定タブが表示されるので、NTSC/PALの選択や、ISOのタイプ選択、ボリュームラベルの書き込みなどを設定。が、ここはデフォルトで進んでしまってもOK。というか、デフォルトで全部設定してあります。

 このタブから「新規作成」ボタンを押すと、SVCD用の編集ウィンドウが開かれる。あとは、右のファイルブラウザから、SVCDフォーマットのファイルを選択して、左のスーパービデオCD編集ウィンドウに移す。で、あとは焼くだけ。映像ファイル以外はテンプレート選択時で全て用意されていて、あっけないほど非常に簡単。

 むむむ、ここまで簡単ならエンコーダも「nero」に内蔵して欲しいものだけれども、マニュアルによると「ライセンス上不可能」なのだそうだ。残念でなりません。対応フォーマット以外の映像ファイルを移動させると、「ビデオファイルの再エンコード」ボタンのあるダイヤログが出てくるのに、そのボタンを押しても「特許ライセンスの関係により、MPEG-2のエンコーディングはできません」のアラートボックス。

 ……ユーザーには解決しようのない難しい問題があるのですね。将来のバージョンで解決されることを望みます。切に、切に。

「新規作成」時のテンプレート。「スーパービデオCD」をクリックするだけ CDイメージの編集画面。映像ファイルを左のCDイメージにドラッグ&ドロップするだけ

不正ファイルを知らせるダイヤログ「ビデオファイルの再エンコード」は飾りデス…… 「再エンコード」ボタンを押したあとに現われるアラート。ソフト作成中に横ヤリが入ったの?


問題はあるが「遊べる」フォーマット

作ってみたメニュー。ZENIXでは機能してましたが、サムスンはNGでした

 え~と、それはそれとして、約27分の映像ファイルを編集イメージにブチ込んで、ウィンドウ下に表示される「ディスク容量バー」を確認してみたところ、あら、650MBディスクがほとんど一杯ではないですか。確かSVCD規格の最大収録時間は45分のはずでは?

 で、ふと思い出したのがビットレート。あまり落とすとビデオCDと大差ない画質なので、SVCDフォーマットの最大値、2.6Mbpsに設定していたのであります。なるほど。収録時間と画質はトレードオフの関係。

 ま、「最大」はあくまでも「最大」。ノンリニアなので編集にさほど手間がかかるわけでもないから、「30分番組をCMカットして、DVDプレーヤーで視聴する」というユースならば充分でしょう。何よりもビデオテープより省スペースで収納できるのは大きなメリットですよ。

 その上、「nero」にはメニュー作成機能もついていて、DVDライクなメニュー画面を作成することも可能。マニュアルには「未対応」とあるけれども、新規作成時のタブで「メニュー」を選択して「メニュー有効」をチェックすればちゃんと作成ができてしまいます。映像メニューにはさすがに対応していないけれども、JPEG、BMPなどの静止画フォーマット画像をバックに指定でき、ファイルネームを画面上に表示して指定もラクラク。ちょっとだけDVDオーサリングの気分も味わえます。

 エンコードに時間がかかったり、収録時間が意外と少なかったりするのは、まあ、我慢できます。大量の保存には向かないけどね。しかし、何よりも問題なのは対応プレーヤーが少ない点でしょうか。「Z-2000」ではなんの問題もなく再生してくれますが、ビクター「XV-D721」では認識すらしない。サムスン「DVD-618J」では「SVCD」ランプが付いて一瞬「対応してんだ!」と思わせたものの、頭の映像ファイルだけ再生し、2番目以降は認識せず。メニュー付きのディスクは「SVCD」と認識しただけで、あとは真っ暗。あ~う~。もちろん、プレイステーション2でも蹴られました。っつうか(おそらく)CD-R用の「規格外」警告画面になってるし。

 「nero」でのSVCD作成は、メニューも作成できて非常に「遊べる」のだけれども、肝心の対応プレーヤーが少ないのがネック。そういや池袋の量販店で入手した「Z-2000」、同じ店に何度か足を運んだけれども再入荷の気配がないなぁ。

 読者からの情報によると、「『VideoStudio』と『DVD PLUG-IN』の組み合わせ(『VideoStudio GO!DVD』と同等)で作成したSVCDは『DVD-618J』で再生可能。『nero』に問題があるのではないかと思われる」そうです。(8月7日19時追加)

□プロジーのホームページ
http://www.pro-g.com/
□neroのウェブサイト(製品情報)
http://www.nero2000.com
□関連記事
【5月29日】第15回:香港から来た「超級」DVDプレーヤー
なんでもかんでも機能満載「ZENIX Z-2000」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010529/saki15.htm

(2001年8月7日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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