気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第23回:「テレビパソコン」を自作する!!
TVキャプチャカード「NEC SmartVision Pro 2 EX」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

「ADAMS EPG+」なるサービスが始まるそうで

 ここ1~2年ですっかり一般的になったのが「テレビパソコン」。最近ではサービスもいろいろと充実してきて、かなり使いやすくなっていると聞く。ん~、そろそろ自分も「テレパソ」デビューしてみようかな、と思う今日この頃。

 特にNECの「SmartVision」シリーズは、18日に開始予定のインターネット番組情報配信サービス「ADAMS-EPG+」用の対応モジュールを16日に公開。最新のサービスにも対応している気になる製品だ。ううむ、今はじめるならコレかな。

 しかし、自宅で使用中マッシーンのCPUは「K6-2 300MHz」。3年ほど前に自作したもので、流れの速いPCの世界では完全に「お爺さん」。当然、現在販売されているTVキャプチャユニットには全く対応できない。そろそろマシンを更新したいと思っていたし、ここは「テレパソ」自作PCを作ってみるか。

 ということで、構成を考えてみる。予算は10万円くらい。SCSIカードなどの拡張カード類や、OSは現在使用中の「K6-2」PCから流用するとして、購入するのはマザーボード、CPU、HDD、DVD-ROM、メモリ、ビデオカードといったところか。

 キャプチャユニットは、USB接続の「SmartVision Pro 2 for USB」だと外部ユニットが邪魔そうなので、PCI接続の「SmartVision Pro 2 EX」(以下EX)にしよう。エンコーダがソフトウェアな分、価格も安いしね。

 ついでに使い勝手が悪く、ファンもうるさいケースも更新しないとな~。20日からの「海の日」3連休もあることだし、やってみますか。


灼熱のアキバでお買い物

 さて、3連休第1日。照り返しのきつい猛暑のアキバに午前11時到着。ケースまで含めたほぼ全面リプレースとなるので、1日つぶすことを覚悟してお買い物に望む。

 マザーボードは、「Smart Vision Pro2 EX」の動作環境に「問題アリ」とされていないチップセットで、現在店頭在庫の中心になっている「Dステップ」CPUにも対応できる(であろう)「intel 815EP B-step」搭載の「Iwill BD133u」を選択。このボードには5.1ch出力と、光/同軸デジタル入出力をサポートするサウンドチップ「CMI-8738 6ch MX」をオンボードで搭載しているので、ついでに光/同軸デジタル入出力拡張I/Oブラケット「Iwill Super Audio」も購入。ちなみに、マザーは14,800円、ブラケットは2,270円。

 CPUは、ゲームをするわけでもなく、パワーを必要とするアプリケーションも使ってもいないので、「EX」の動作環境「Celeron 733MHz」よりひと回り速い「Celeron 800MHz」のリテールパッケージを購入。HDDは、流体軸受けベアリング採用で静音性も期待できる、5,400rpmの「富士通 MPG3409AH-E 40.9GB」を選択。CPUは8,890円、HDDは10,500円。

 ビデオカードは、「それなりに速くて、安い」ということで、「ATI RADEON VE 32MB」のバルク版を選択。ケースは、ドロワー式でアクセス性が高く、電源FANも比較的静かな「YCC」シリーズの250W版が安かったので購入。ビデオカードは11,240円、ケースは9,999円。

 あとは、静音性の評価が高いシチズン製FDD、安かったサムスン製8倍速DVD-ROM、メモリは133MHzの256MBバルクを購入。FDD1,980円、DVD-ROM4,800円、メモリ3,350円。

 そして、肝心の「EX」のお値段が16,800円。合計して消費税分を足してみると、約9万円と相成った。ふむ、ちょっと予算があまりましたな。でも10万円はギリギリのラインだったから、1万円でも余って助かりましたわ。

 買い物終了時間は19時ごろ。炎天下の秋葉原を歩き回り、最後には重いケースまで抱えていたため疲労が激しく、最寄りの駅に到着したところでダウン。タクシー使って運びましたよ……。結局、21時前に自宅についたころには何もする気が起こらず、組み立ては翌日に持ち越し、となりました。

お買い物ブツ一覧。ケースは重いので写せませんでした


充実の機能とソフトウェア

 3連休2日目となる翌日。う~、だるい。その上筋肉痛だぜ、こんちくしょう……。くそ重いパーツを持って、炎天下の中を歩き回ったため、疲労は回復していない。ちなみに、ヘルスメーターで荷物を計ったところ、約17kgありました。そりゃ疲れるわな。

 とりあえず、「EX」を確認。対応OSは、Windows 98 SE/Me/2000。録画可能フォーマットはMPEG-1/2となっている。パッケージの中には、キャプチャカード、ステレオミニケーブル、マニュアル、CD-ROM、その他ユーザー登録用の書類など、と必要最小限の構成。リモコンも接続可能だけれども、こちらは別売。しかし、秋葉原では在庫が確認できず、今回は見送り。ただ、NECの通販サイト「amuseplus」では3,580円で販売しています。

 ブラケットには、アンテナからの入力を受けるF型コネクタのアンテナ端子、コンポジットのビデオ入力端子、ステレオミニプラグの音声入出力端子がそれぞれ1系統用意されている。カード上のTVチューナユニットは、思ったよりも小さめ。S端子も装備されていないし、ハードウェアエンコーダがついている訳でもない。カード自体は、なんというか、フツーの作り。

 とはいえ、海外製品では対応していないことの多いステレオ放送もOK。TV放送から番組情報を取り込む「ADAMS-EPG」サービスや、データ放送「bitcast」サービス、ついでに文字放送の受信も可能と、他メーカーの製品に比べるとずいぶん多機能。もちろん、「タイムシフト」機能もついてます。オマケに編集ソフト「Ulead VideoStudio 5 SE Basic(MPEG-2プラグイン付き)」もついてくる。ふむふむ、「機能、ソフトは充実している」と言っていいでしょう。

 けど、パッケージにはアンテナケーブルが入ってないね。仕方ない、買ってくるか。で、近所の量販店で3mのケーブル(980円)を購入して準備完了。組み立てスペースを確保するため、部屋も少々片付けて、組み立て作業開始であります。

同梱品一覧。マニュアルは全242Pと分厚い カード本体。チューナはアルプス電気製らしい ブラケット部。S端子ではなく、コンポジット入力


組み立て時間は約5時間、OS導入に約4時間

 ということで、組み立て開始。筋肉痛の体に鞭を打ち、くそ重いPCケース(約13kg)と格闘してドロワーを引き出し、「ネジが細けえよ」と内心でつぶやきながらマザーボードを設置。ソケットにCPUを差し込んで、「コア欠けするんじゃなかろうか?」と脅えつつ、CPUに同梱のファンを無理やり取り付け一段落。ふう、久しぶりに自作するけど、結構体力がいるのですな。特に、CPUファンのバネが硬く取り付けに1時間ほど費やしてしまいましたよ。

 その後もミシミシという音を聞きながらメモリ、カード類をマザーに取り付けたり、旧マシンからドライブ類を引っぺがして設置したりで、かなり手間取りながらも約5時間で組み立てがようやく終了。ふ~、前日の疲れもあって、少々キツイ作業だったが、ようやく完成したか……。ここで時間はもう20時。OS導入の前にとりあえずメシ食うべ。

 で、メシから帰って21時。「コア欠けしてないか?」と恐れつつ電源を入れてみると、無事に起動。ふ~、良かったよ、いつもながら緊張する瞬間だったけれども、「パーツは結構丈夫」なのが認識できますなぁ。

 が、ここでちょっと問題発生。買ってきたCPUは800MHzなのに、BIOSは「Celerom 533MHz」と認識している。あれ? もしかして不良品?

 BIOS画面をよくよく見てみると、本来100MHzのはずのFSBが、旧Celeronの66MHzとなっていて、それを8倍で動作させているようだ。日本語の簡易マニュアルにはBIOSのセットアップ方法までは記述がなく、時間をかけて英文マニュアルを参照しながらFSBを100MHzに変更してようやく解決。こういう「不測の事態」への対処も自作の楽しみですな。

 で、いよいよソフトのインストール作業に。OSはWindows 2000を、手持ちのIBM製15GB HDDに新しくパーティションを切って新規に導入し、富士通の40GB HDDはデータドライブとして使用するつもり。のほほんとTVを見ながらOSをインストール、終了したところでバックアップしていったメールなどを復元、ついでドライバ類を導入。

 導入後の環境を確認し、「BD133u」のデジタル入出力は2ch専用で、5.1chには対応していない事にがっくりしたものの、問題は特になし。これでようやくソフト導入環境が整いました。

 が、ここで時間は午前1時。昨夜はたっぷり寝たけれど、疲れはまだ残っている。ダメだ、もう気力が続かない。ちゅうわけで、ソフト導入は明日ね、明日。

マザー「BD133u」。左下は別売の「SuperAudio」ブラケット すべてのパーツを組み込んだところ。250Wでもちゃんと動作しました ケース前面。ま、フツーのPCに仕上がったかと


ソフト/機能は充実だが、「ADAMS-EPG」は受信できず

 3連休の3日目。う~、だるい。おまけに筋肉痛がまだ残ってやがるぜ、こんちくしょう……。状況が改善されないまま朝を迎えつつも、環境を完成させるべく「EX」同梱のソフト群をインストールを開始。

 同梱のCD-ROMには、TV受信/録画ソフト「SmartVision/TV」、ADAMS-EPGを使った予約ソフト「SmartVision/EPG」、NECの運営するプロパイダ、「BIGLOBE」経由で外部から録画予約を行なうユーティリティ「SmartVision TV録画予約サービスクライアント」、地上波データ放送受信ソフト「bitcast browser」、「ADAMSナビ」、文字放送受信ソフト「モジモジ」と、マルチフォーマットブラウザ「Smart Gallery 2.2」、そしてユーリードの編集ソフト「Ulead VideoStudio 5 SE Basic(MPEG-2プラグイン付き)」と、盛りだくさんの内容。

 一通り導入するのにかかった時間は30分というところ。同梱CD-ROMを入れるだけで起動するインストーラから、すべてのソフトをインストールできるので、さほど手間を感じることもなかった。

 TV受信/録画ソフト「SmartVision/TV」は、起動に10秒程度かかるものの、起動してしまえば非常に快適。タイムシフト機能は、モードの変更にやはり10秒程度かかるのが気になるだけで、変更されてしまえば動作は軽快。「シーンインデックス機能」で、気になるシーンを記録でき、再生/チューナ映像時にそのシーンをクリックするだけで再生開始。うむ、これはビデオデッキにはない利便性ですな。HDDバンザイだ!

 「ADAMS-EPG」のデータは「SmartVision/EPG」で受信する。テレビ朝日系列のTV局で、毎日約2時間ごと、10分間ほど放送されているのだけれども、実は、我が家はテレビ朝日の受信状態が悪いのです……。

 一応放送は入るものの、「ゴースト3重、輪郭はにじみ、天候によってはモノクロ、ついでに音声は全てモノラル。というか、たまに同期すら合わないのはなんとかなりませんか?」と、ひどい状態。もちろんというか、当然というか、我が家では「ADAMS-EPG」データは取得できませんでした。マニュアルには「受信状態が悪い場合はブースタが必要」となっているけれども、ブースタはすでに入ってこの状態なのデス。ううむ、地上波でのEPGデータ受信はあきらめるか。

 次に、BIGLOBEユーザー専用の「SmartVision TV録画予約サービスクライアント」を試す。ふむ、インターフェイスはiEPGとは多少異なるものの、使い勝手は同等といってよいでしょう。外出先から予約を行なえるメリットは大きいけれども、ま、プロパイダを乗り換えるほどの機能でもないかな、というのが正直な感想。外出先で気になる番組を見つける、なんてことはないしねぇ。

インストーラ。インストール済みソフトは※印が付く 「SmartVision/EPG」。1週間分の番組情報を一覧できるのが便利 「SmartVision TV録画予約サービスクライアント」のマニュアル。iEPGと同等の操作性


「ADAMS-EPG+」サービス、始まってませんでした……

「SmartVision EPGローダー」。機能はデータの取得のみ
 「ADAMS-EPG」がダメなら、インターネットで番組情報を配信する「ADAMS-EPG+」サービスがあるさ。ということで、ダウンロードサイトから「ADAMS-EPG+(Plus) 対応モジュール」をダウンロード。いくつかの設定の後、データ取得ソフト「SmartVision EPGローダー」が起動した。が、ちょっとヘン。自動的にサーバーとネゴシエーションするものの、出てきたメッセージは「リストファイルの取得に失敗しました」。

 あれ? と思いつつ。ローダーのブラウザ部を見ると、「今週のお知らせ」として「ADAMS-EPG」の放送時間が記されているのみ。え~と、サービス始まってないのね。「ADAMS-EPG+(Plus) 対応モジュール」ダウンロードサイトでは、「18日頃」とあいまいな記述があったけれども。まあ、ユーザーもさほど多くないし、あえて開始日を決めて告知するほどでもない、ということでしょう。それにしてもがっくりだ……。

 とりあえず、編集部で「ADAMS-EPG」を試しましょう。予約ソフト「SmartVision/EPG」を起動して、データ放送の受信時間を設定。データ放送は10分間で、1回で全てのデータを取得はできなかったが、2回目で全て取得。データは1週間分の全局の番組情報が載っていて、記載情報も新聞のTV欄と同等と、充実している。

 予約設定は、この番組情報表から、目当ての番組をダブルクリックするだけ。すると予約設定ウィンドウが現われて、画質や時間を設定し、「OK」をクリックするだけで終了。Gコードのように数字を確認する手間もなく、非常に直感的に操作できる。なによりも、1週間分の番組情報を一覧できるのが便利。iEPGだと、日時ごとに別のページへ移動しないとならないため、アクセスの時間がかったるいのだけれども、「ADAMS-EPG」であれば全てのデータをHDDにダウンロードするので、そのアクセス時間のストレスを感じることもないのです。うう、自宅でコレが利用できないのが悔やまれますよ。


「ADAMS-EPG+」は未知数。やはり「iEPG」が本命か?

 とかいってるうちに、本日24日、「ADAMS-EPG+」サービスが始まってました。まだ使い込んではいないものの、「ADAMS-EPG」と同じデータを配信し、ローダーで読み込んだデータは「SmartVision/EPG」で参照。現在サーバー上のデータは10日分が配信されていて、使い勝手も非常に良好と思われます。が、まだ使い込んでないので利便性はまだ未知数、といったところでしょうか。

 ということで、この「EX」に不満点はほとんど無く、あえていうならば、データが巨大になること。これはMPEG-1/2フォーマットを使用している限りどうしようもないのだけれども、1時間の番組を高画質で録画したときの容量はざっと3GB。40GBのHDDをデータドライブ専用にしたとしても、録画時間は12時間といったところ。ううむ、3GBもあるとCD-Rには記録できないし、DVD-Rなどの大容量メディアはまだ高いしな。現状では保存したい番組はビデオデッキで録画、「とりあえず見たい」という番組は「EX」で録画、という使い方をするのがよろしいかと。

 ところで話しは変わりますが、秋葉原を物色中に気になる製品を見つけました。「EX」と同等のTVチューナ付きキャプチャカードで、カノープスの「WinDVR NewEdition」。前製品の「WinDVR」はあまり評判がよろしくなかったものの、指摘されていたチューナも新設計され、期待度もアップ。まあ、リモコンが省かれたのは痛いけれども。

 「ADAMS-EPG+」もまだ未知数だし、自宅で使用するとなるとこちらも気になるところ。というわけで、来週はコレ行ってみようと思います。

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□Smart Vision ワールド
http://www.amuseplus.com/smartvision/
□製品情報
http://www.amuseplus.com/smartvision/vision2ex/index.asp
□関連記事
【7月17日】NEC、「SmartVision Pro 2」をアップデート
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010717/nec1.htm
【7月17日】NEC、「SmartVision Pro 2」用の動作確認ツール
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010717/nec2.htm
【6月8日】NEC、タイムシフト録画が可能になった「SmartVision Pro 2」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010608/nec.htm
【5月22日】カノープス、「WinDVR」をマイナーチェンジ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010522/canopus.htm

(2001年7月24日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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