【バックナンバーインデックス】

新発売のAV機器をいち早く紹介


話題のDVDレコーダ クロスインプレッション
ソニー「RDR-A1」
松下電器「DMR-E20」



■ RDR-A1(9月21日発売)


入出力端子部 リモコン

 DVD-R/RWへの録画が行なえるDVDレコーダ。プログレッシブ再生に対応し、i.LINK経由でDVからの入出力も可能。7月発売のパイオニア製「DVR-7000」(標準価格198,000円)のOEM機と思われる。

 同社のハイエンド向けDVDプレーヤー「DVP-S9000ES」などを踏襲するフラットなデザインを採用。ボディカラーをシャンパンゴールドとし、前面パネルに大型のディスプレイを配置。「DVR-7000」とはまた違った、高級感あるデザインとなっている。


 リモコンも、ソニー製品に通じるデザインのものが同梱されている。再生、停止などの主要なボタンは蓄光式。また、リモコン下部にはクリックシャトルを搭載し、フレームのサーチが行なえる。また、クリックシャトルの中心にはジョイスティックが備え付けられており、メニューのカーソル移動などを操作する。

ディスクトレイ 前面パネルにはDV端子も装備 前面右の操作パネル部

 また、プログレッシブ出力に対応し、D2出力、コンポーネント出力端子を搭載。ノイズリダクションは「YNR」(輝度)、「CNR」(色)、「QNR」(量子化)の3種類を、個別に9段階で設定できる。ただし、録画時にQNRは使用できない。そのほか、シャープネス、白レベル、黒レベル、色の濃さなどの調節が可能。高画質化回路として、3次元Y/C分離や、「TBC(Time Base Corrector)」も搭載している。

 映像入力は、S映像とコンポジットを各3系統ずつ搭載。加えてi.LINK(S100、DV端子)を前面に装備し、DVカメラからの取り込みと、ディスクに記録した映像の書き出しに対応している。ただし、PCのDV端子との接続はサポートしていない。

タイトル名は漢字入力が可能 プレイリスト ビジュアルメニュー

プレビューを見ながら圧縮率の設定ができる ノイズリダクションは3種類 画質設定では黒レベルやクロマディレイも設定可能

【記録時間】
録画モード記録時間
VRモードSP(標準)約120分
MN
(マニュアル)
レベル1~32約360分~61分
ビデオモードV1約60分
V2約120分
 記録対応ディスクは、DVD-R/RW。DVD-Rはfor General Ver.2.0をサポートしている。VR(ビデオレコーディング)モードでは、ビットレートを映像に合わせて自動的に可変する「VBR(Variable Bit Rate)」の使用も可能。

 また、DVD-RWではSPモード(標準)とMNモード(マニュアルモード)を選択でき、マニュアルモードでは計32レベルから任意のレベルを選択できる。SPは約2時間の録画が可能。MNモード時設定時には、画質の劣化具合やビットレートをプレビュー画面で確認できる。

 ビデオモード時には「V1」と「V2」の2段階のビットレートを選択可能で、録画時間はそれぞれ約60分、約120分となっている。


 DVD-RW使用時には「ビジュアルメニュー」と呼ぶサムネイル画面を表示できる。サムネイルからチャプターを選択でき、サムネイルに表示するフレームも任意に指定可能。また、ほぼすべてのメニューで、画面下方に簡単なヘルプを表示する。なお、タイトル名には漢字も使用できる。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200107/01-0712/
□関連記事
【7月12日】ソニー、プログレッシブ対応DVD-R/RWレコーダ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010712/sony.htm


■ DMR-E20(7月1日発売)


映像入出力端子部 リモコン

 138,000円という従来の約半額で発売されたDVD-RAM/Rレコーダ。現在は11万円弱で販売されていることが多い。DVD-RAM推進派の松下電器ながら、DVD-R for General Ver.2.0へのビデオモードでの記録が可能。また、DVDレコーダとしては初めてタイムワープ(追っかけ)再生が行なえるのも特徴(DVD-RAM使用時のみ)。

 タイムワープ再生は、リモコンのほか、本体前面右側の「タイムワープローラー」で操作する。「タイムワープローラー」を下に回すと1分先、上に回すと1分後に移動。押し込むと再生が開始される。リモコンで操作した場合は、一律30秒前から再生する。

 また、タイムワープローラーを押し込んでから5秒間は、再生画面が録画中画面の右下にインポーズ表示され、録画中の画面と比較が可能。タイムワープローラーを長押しすることで、2画面表示に固定することもできる。

ディスクトレイ 前面端子部 本体右の操作部

 「RDR-A1」と異なり、プログレッシブ再生には対応していない。高画質化機能は、3次元Y/C分離などを搭載。ノイズリダクションは、画面全体に適用する「3D-NR」、ブロックノイズ用の「Block NR」、輝度差の高い部分に出現するもやのようなノイズを取り除く「Mosquito NR」の3種類を組み合わせて使用できる。

 映像入力端子は、Sビデオ×3系統、コンポジット×3系統と、「RDR-A1」と同数を備える。ただし、DV端子は非搭載。映像出力にはD1、コンポーネントを各1系統装備し、S映像×2系統、コンポジット×2系統も搭載している。音声出力には、アナログ2系統と、光デジタルを1系統備える。

プログラムナビ ディスク管理画面 ハイブリッドVBRの設定

【記録時間】
録画モード記録時間
XP約1時間
SP約2時間
LP約4時間
EP約6時間
 DVD-RAM、DVD-Rともに「ハイブリッドVBR」と呼ぶ可変ビットレート方式での記録が可能。録画モードはXP、SP、LP、EPの4種類で、4.7GBのDVD-RAMメディアを使用した場合、最大記録時間はXPが約1時間、SPが約2時間、LPが約4時間、EPが約6時間となる。

 タイムワープ録画はDVD-RAMのみで対応。DVD-RAMに録画した番組は「プレイリスト」と呼ぶ画面で確認でき、再生、消去などはこのプログラムナビから行なう。RDR-A1のビジュアルメニューとほぼ同じ位置付けのメニューで、同じく最大6個のサムネイル画面が表示される。ただし、DVD-Rの場合は「プログラムナビ」というサムネイル非表示のメニュー画面となる。なお、タイトル名入力は、ひらがな、カタカナ、英数、記号のみに対応する。


□松下電器産業のホームページ
http://www.matsushita.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn010529-3/jn010529-3.html
□製品紹介
http://www.panasonic.co.jp/dvd/ad/e20/index.html
□関連記事
【新プ】第10回:追っかけ再生ができるDVD-RAM/Rレコーダ「Panasonic DMR-E20」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010628/npp10.htm
【5月29日】松下、135,000円のDVD-R録画対応DVD-RAM/Rビデオレコーダ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010529/pana.htm


■ 両機種の機能比較

 RDR-A1
DMR-E20
DVD-RWDVD-RDVD-RAMDVD-R
【録画・編集機能】
VBR記録×
タイムワープ記録×××
DV取り込み/書き出し××
ディスク予約×××
誤消去防止××
漢字入力××
【対応記録ディスク】
DVD-R
DVD-RW×
DVD-RAM×
【入出力端子】
映像入力S映像3系統3系統
コンポジット3系統3系統
映像出力D1系統
(D2)
1系統
(D1)
コンポーネント1系統1系統
S映像2系統2系統
コンポジット2系統2系統
音声入力アナログ3系統3系統
音声出力同軸デジタル1系統
光デジタル1系統1系統
アナログ2系統2系統
i.LINK
(DV)
1系統
【本体サイズ】
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
430×367×115mm430×351×120mm
重量約7.2kg約6.1kg



■ 画質の比較

VPL-HS1(Cineza) CREATIVECAST Professional
 録画テスト用素材として、カノープス株式会社の動画素材集「
CREATIVECAST Professional」(標準価格19,800円)を使用。

 DV形式のファイルをDVテープに書き出し、そのテープをDVデッキ「ソニー WV-DR5」で再生。WV-DR5内蔵のRFコンバータで2chのTV信号として出力し、RDR-A1と、DMR-E20のアンテナ入力に接続した。これにより、各レコーダのチューナの性能も見ることができる。

 画質チェックには、ソニーの液晶プロジェクタ「VPL-HS1(Cineza)」を使用し、録画した映像を同じ機種を用いて投射した。

 スクリーンは4:3の80インチ(マット系)。VPL-HS1(Cineza)は初期設定のままで、DVDレコーダとはコンポーネントケーブル(カナレ)で接続している。


 また、比較用に各モードで録画した動画を左の画像とほぼ同じフレームで一時停止し、デジタルカメラ(COOLPIX995)のフル解像度で撮影。その後640×480ドットにリサイズして掲載した。

 素材は「CREATIVECAST Professional」中のVol.1「メトロポリス」。以下のサムネイルは、赤枠内を実画素数(160×120ドット)で切り出したもの。なお、デジタルカメラの設定は露出、ホワイトバランス、シャープネスともにオートで、撮影後の画質補正も行なっていない。

 また、条件を揃えるため、録画した機器で自己再生し、RDR-A1ではインターレースで出力した。



―RDR-A1―

ビデオモード
V1 V2

VRモード
レベル32(9.36Mbps) MN28(5.20Mbps) MN6(2.52Mbps) MN1(1.70Mbps)


―DMR-E20(DVD-RAMのVRモード)―

XP(約10Mbps) SP(約5Mbps) LP(約2.5Mbps) EP(約1.8Mbps)


 また、ファイナライズ済みのDVD-RをPCで再生し、静止画キャプチャした画像も掲載した。こちらは同素材集のVol.4「アクアマリン」を使用。ビデオモードのため、RDR-A1はV1、V2のみとなっている。

 JPEG圧縮のみをかけ、リサイズ、補正は行なっていない。解像度は720×540ドット。ただし、DMR-E20のEPモードは352×264ドットとなっている。キャプチャにはサイバーリンク株式会社の「PowerDVD VR-X」を使用した。


―RDR-A1―

V1 V2


―DMR-E20―

XP SP LP EP


 DVD-Rに記録した動画ファイルも掲載した。RDR-A1はビデオモードの2種類、DMR-E20はXP、SP、LP、EPの各モードを用意した。素材はVol.5「メトロポリス」の空撮シーン。

 基本的にはファイル名の拡張子を「mpg」に変更しただけだが、各ファイルを10秒に揃えるため、ビデオモードでは30秒単位でしか録画できないRDR-A1で録画した動画のみ、TMPGEncで30秒から10秒に切り出している。なお、DVDレコーダによる録画は9月3日に行なった。

RDR-A1
V1V2
rdr_v1.mpg(約11.1MB)rdr_v2.mpg(約5.6MB)

DMR-E20
XPSPLPEP
e_20xp.mpg(11.4MB)e_20sp.mpg(6.8MB)e_20lp.mpg(3.3MB)e_20ep.mpg(2.2MB)

MPEG-2の再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載したMPEG-2画像の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。


■ 操作性比較

 テスト録画などで、両モデルに最も長時間操作したスタッフによる操作性の評価。

●RDR-A1

 リモコンの使用感は秀逸。カーソルキーはジョイスティック式なので、親指を置きっぱなしでカーソル指定でき、決定もキーを押し込むだけ。指をリモコンから離すことなく素早い指定が出来る。

 しかし、メニューの構成/ボタン配置が煩雑でわかりにくかった。編集時もステップ数が多く、わずらわしさを感じる。ビットレートが細かく設定できるのは良いと思うのだが、32段階もあると設定時の手間もかかり、どれを選べばいいか迷ってしまう。

●DMR-E20

 カーソルキーが下部にあるリモコンは少々操作し辛いが、慣れれば問題ないだろう。メニュー構成はまだブラッシュアップの必要を感じるものの、マニュアルなしでも何とか理解できる。

 編集作業も直感的に操作可能で、プレイリスト編集はなかなか面白い。操作に慣れるまでの時間はRDR-A1より短いだろう。

[fujiwa-y@impres.co.jp]


■ 編集スタッフのファーストインプレッション

●RDR-A1の“”なところ

  1. プログレッシブ出力が可能
  2. i.LINK(DV端子)の搭載
  3. 多彩な録画レート
  4. 画質設定項目が豊富
  5. プレビュー画像を見ながらの録画モードが選択できる
  6. リニアPCM録音に対応
  7. 漢字入力への対応
  8. クリックシャトル、ジョイスティック付きのリモコン
  9. 質感の高い筐体
●RDR-A1の“×”なところ

  1. ビデオモードでは30秒単位でしか録画できない
  2. DVD-Rへの録画にはVBRが使用できない
  3. DVD-Rへの録画ではビットレートが2種類しかない
  4. 競合機より高価
  5. 競合機より奥行きが長い
 まず、プログレッシブ出力を評価したい。28型CRTでDVD-Video「ヒマラヤ杉に降る雪」を見てみたが、ノイズリダクションに頼らずとも、かなりSNの良い画像を見ることができた。画質調整も最新プレーヤー並みに高機能。よほどのハイエンド志向でない限り、プレーヤーとしても満足できるレベルにある。
 それでいて、シャトル付きのリモコンや32段階の録画レートなど、録画機としてもマニアックな面を持つ。プレビュー画像を見ながらの録画モード選択もすばらしい。ただし、全般的にレスポンスがいまひとつ。DVD-R/RWでなくDVD-Videoをトレイに入れたときでも、再生まで20秒くらい待たされるときがある。
 一番の問題は価格か。安く入手したい人、ソニーマニアでない人には、OEM元のパイオニア製「DVR-7000」を薦めたい。 [orimoto@impress.co.jp]

 30種類以上の録画レートや、黒レベルやクロマディレイまで調整できる画質調整など、マニアが喜びそうな仕様。しかし、録画レートのプリセット値がSPしか用意されていないので、逆に初心者は戸惑ってしまいそう。あと、ビデオモード録画の最小単位が30秒なのは録画機としてはつらい。特にDVD-Rに録画して、違う番組が最後に30秒も入ったとしたらやりきれない気持ちになるだろう。
 また、ソニーらしいこだわりか、OEM機なのに、デザインやリモコンが大幅に変更されている。筐体だけを見て、DVR-7000と同じとは思わないだろう。リモコンはかなり使いやすく、筐体もカッコイイと思うが、普通の人は安くて同機能のDVR-7000で十分だと思う。[furukawa@impress.co.jp]

 不満点は、とにかく反応速度が遅いこと。特にファイナライズ処理が遅く感じる。ビジュアルメニューは確かに便利だが、サムネイル映像が出てくるまでの時間が気になる。ビデオモードでは30秒単位でしか記録できない録画は論外。停止ボタン押したら止まれっちゅうねん。ストレス溜まります。けど、リモコンはいいんだよね。ジョグもついてるし、フレーム単位の編集もラク。[fujiwa-y@impress.co.jp]


●DMR-E20の“”なところ

  1. DVDレコーダ中、最も廉価な価格設定
  2. DVDレコーダ唯一のタイムワープ(追っかけ録再)機能
  3. DVD-RでもVBRでの録画が可能
  4. DVD-Rでも、ビットレートが4種類選択できる
  5. DVD-RAMドライブ搭載のPCで編集できる
●DMR-E20の“×”なところ

  1. プログレッシブ出力非対応
  2. リニアPCM録音ができない
  3. DV端子を搭載していない
  4. 漢字入力ができない
  5. リモコンにタイムワープローラーを搭載していない
 発売当初にもお借りした機器だが、VBR対応、タイムワープ、プレイリストを使っての編集など、「ディスク録画」の面白さを改めて認識した。しかし、競合機が出てきた現在、録画画質の品質についても再認識した点が。解像度はさておき、彩度やコントラストの面でも昔のDVDプレーヤーを思わせる画質。偽色ノイズも良く乗っている。DVD-Videoも、同社の「DVD-RP91」にくらべるとノイズ、輪郭補正などの点で見劣りしている。
 とはいうものの、個人的には10万円強の実売価格と、DVD-Rへの対応もうれいしい。DVD-Videoは高級プレーヤーで見るという人、地上波の録り捨てが主な目的の人なら、いまだ高価なHDDレコーダ以上に面白い選択になると思う。[orimoto@impress.co.jp]

 E20の魅力はやはり、低価格に尽きる。この価格になったことで、DVDレコーダがやっと購入対象としてギリギリ検討できる段階に入ったと思う。あと、追っかけ再生自体は、必要な人と不要な人がいると思うが、ダブルストリームが扱えることで、録画しているかどうか気にせず再生できるのは万人に便利だろう。また、DVD-RAMは、PCでの環境がすでにある程度整っており、編集したり、タイトルを漢字で入れなおしたりできる。DVD-RAMレコーダを購入する場合は、PC用のDVD-RAMドライブも揃えた方が、より楽しさを引き出せる。[furukawa@impress.co.jp]

 (RDR-A1と比べれば)反応速度は快適。けれどもまだタイムラグがあり、不自然さを感じる。映像付きサムネイルはないが、文字情報のみのインデックスでも内容は確認できるので、特に問題は感じなかった。プレイリスト編集のみならず、ビットレート設定も4段階で設定も簡単。操作感は双方にメリット/デメリットを感じるけれども、どちらかを選べといわれれば、自分はこちらを選びます。安いし。けどねぇ、やっぱインターレース映像には画質に不満を感じます。[fujiwa-y@impress.co.jp]



(2001年9月22日)


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.