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新発売のAV機器をいち早く紹介


斜め投写可能なホームシアター向け液晶プロジェクタ
ソニー
VPL-HS1
「Cineza(シネザ)」
9月10日発売
価格/オープンプライス

(店頭予想価格:単体のみ28万円前後、スタンドなど付属モデル30万円前後)



■ 外観

正面 右側面
上面 背面


■ 主な特徴

スタンド設置状態 本体下部の土台は、前後左右回転の3方向アジャスト機構付き。スタンド使用時には取り外す

 重量約4kgのコンパクトな液晶プロジェクタ。単体販売のほか、高さを調節できる専用フロアスタンド「IFU-HS1」や、コンポーネント入力nなどが可能になる切り替えボックス「IFU-HS1」をセットにしたモデルも販売される。セットモデルの店頭予想価格は30万円前後の見込み。単体のみでは、S映像とコンポジットのみ入力できる。

 液晶パネルは0.7型の800×600ドットのものを3枚使用。480i、480p、1080i、750pの各ビデオ信号、RGB信号は水平19~72kHz、垂直48~92Hzに対応している。レンズは1.2倍の手動ズームレンズを採用。光源は120WのUHPランプで、ファンは本体前面に取り付けられている。

 投写サイズは40~150インチで、100インチ時の最短投影距離は4.2~4.5m。150インチ時は6.3~6.8mとなっている。アスペクト比の切り替えは「4:3」と「16:9(スクイーズ)」のみ。

 Cinezaの最大の特徴は、左右方向の台形歪み補正機能「サイドショット機能」を搭載していること。このため、本機をスクリーンからずれた場所に設置し、斜めから投写した場合でもまっすぐな画像が得られる。もちろん、従来からある上下方向の台形補正も併用できる。

 また、本体下部はアジャスタ機構になっており、左右約20°、上下約10°、左右の傾き約2°までの調節が可能。専用スタンドにも同じ機構のアジャスタが付いており、まったく同じ感覚で調節できる。

 画質面では、水平/垂直方向、信号レベルの3つを検出し、液晶パネルのドット毎に異なるガンマ特性を補正する「3Dガンマ補正回路」を搭載。また、クロスカラーやドット妨害が少ない3Dコムフィルターを採用している。

 映像入力端子は、本体にコンポジットとSビデオを各1系統づつ搭載。本体と専用の入力ボックス「IFU-HS1」を「PJマルチケーブル」と呼ぶ専用ケーブルでつなぐことで、コンポーネント×1系統、S映像×1系統、コンポジット×2系統が追加される。

入力ボックス「IFU-HS1」

 画質調整項目は、「コントラスト」、「ブライトネス」、「色の濃さ」、「色合い」、「シャープネス」(PC入力時は「RGBシャープネス」)、「D.(ダイナミック)ピクチャー」、「ガンマモード」、「色温度設定」など。このうち、「D.ピクチャー」は、黒浮きを低減するため、黒を強調した補正を行なう。「ガンマモード」は「グラフィックス」と「テキスト」の2種類で、「色温度設定」は、低・中・高の3段階。

 また、上記パラメータをプリセットした「ダイナミック」、「スタンダード」、「リビング」といった3種類の画質モードも搭載。付属リモコンにも専用ボタンが用意されている。加えて、任意の調節値を3種類まで保存可能。

各種設定画面。左から基本設定、画質調節、設置設定。ヨコ台形歪み補正は本体操作パネルでも行なえるが、縦方向はメニューからのみ調節可能。

 また、本体前面にメモリースティックスロットを装備。デジタルカメラなどで撮影したメモリースティック内の静止画像を投影することができる。9画面分割によるサムネイル表示やスライドショー、画像の90°回転、メモリースティックのフォーマットなどがCinezaで行なえる。

 なお付属のリモコンは自照式で、左側面の「LIGHT」ボタンを押すことにより各ボタンが発光する。また、本体の赤外線読み取り部は、前面と背面の2箇所に設置されており、本機の前方、または後方からの操作が可能。

背面端子パネル。右から2番目がPJマルチ端子 フォーカスレバー(上)とズームレバー(下) 本体後部の操作パネル。内蔵スピーカーはステレオ

付属のリモコン メモリースティックスロット ファンは吸気、排気を1つづつ前面に搭載



■ 編集部のファーストインプレッション

 今回は、80インチ(4:3)のマット系スクリーンに、DVD-VideoやBSデジタルから録画した映画などを投写してみた。DVDプレーヤーにはビクターの「XV-D721」を使用。D-VHSデッキには松下電器「NV-DH1」、BSデジタルチューナには「TT-D2000」を使用している。各機器とCinezaとは入力ボックスを経由し、コンポーネントケーブル(カナレ)で接続した。投写距離はほぼ最短の3.3m。

 画質調節は、入力信号ごとに設定された画質で表示する「オフ」を選択。色温度設定も出荷時のままの「高」で行なっている。また、実際の使用を想定し、若干のヨコ台形歪み補正をかけた場合も試している。

●視聴ソース

 なお、画質評価の参考として、DVD-Video「ダイナソー」を投写し、デジタルカメラ「COOLPIX995」で撮影したものを別ページに掲載している。リサイズとトリミング以外には、特に補正を行なっていない。

【「ダイナソー」の画面写真】

80
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 PIANOとの比較は結局、DLP対液晶の比較になるのだろう。個人的にはPIANOのフィルムライクな絵が忘れられない。しかし、Cinezaの自由度も捨てがたい魅力だ。狭い私の部屋ではその威力を存分に発揮してくれると思う。でもPIANOだって天吊りできるし、コンポーネントが直で入力できるし……と思考は堂々巡り。
 しかしPIANOもそうだが、小さなプロジェクタって、何でこんなに可愛いらしいんだろう。
 「VPL-VW11HT」などでホームシアター向け液晶プロジェクタに注力するソニーが、市場の裾野を広げる意味で投入する小型の液晶プロジェクタ。約4kgの本体は、専用スタンドに付けたままで移動できる。

 やはり、競合するのはプラスビジョンの「PIANO」だろう。しかし、Cinezaは液晶、PIANOはDLPと、投影方式が大きく違う。購入者は両者の間で悩むことだろう。

 画質面ではDLPのPIANO有利と思われるが、Cinezaには「サイドショット」という強力なウリが存在する。また、ズームレンズや本体下部のスィーベル機構による設置の自由度も見逃せない。さらにセットモデルではスタンドが付属するなど、本当に初心者のつぼを良く抑えている。

 CinezaでDVD-VideoやBSデジタル放送の映画素材を見ると、黒があまり沈まず、輝度差のある部分および暗部の圧縮ノイズの部分でドットが目立つ。また、多少の緑かぶりを確認した。個人的には「PIANO」の方が映画ソフト向けに感じる。とはいえ、昨年くらいまでのデータプロジェクタに比べると黒浮きがかなり抑え込まれているし、速いシーンでもアラが見えない。階調性もごく自然だ。画質設定で追い込んでいけば、結構容易に望みの画調に近づけそうだ。

 そういえば、小型のプロジェクタは設置が楽な代わりに、ちょっと触っただけで投射画面がずれたり傾いたりする。その点、Cinezaの専用スタンドはずっしりと重く、かつ本体のアジャスタはロック可能。これは結構ポイントが高いと思う。ただし、本体をスタンドから外すのがちょっと面倒だ。4本のネジを使用し、しかもネジ頭は下向き。面倒なので、しまうときはスタンドに付けたまま、というパターンに陥りそう。まあ、サイドショットが可能なので、壁際に設置したまま、という使い方もできる。

 なお、今回は80インチで投影したためか、サイドショット時に画質が大きく損なわれることはなかった。また、ファンノイズも本体のすぐ前で視聴しない限り気にならない。音質的にも耳障りではない。

 従来からの「フロントプロジェクタ」という観点からすると、全体的に少し安っぽいつくりと感じる部分もあるが、設置の容易さを筆頭に、画質、操作性での完成度は悪くない。ホームシアター初心者向けとして、非常に良くできたパッケージという印象を受けた。

orimoto@impress.co.jp

60
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 問題は「家庭で大画面の迫力」にいくら出せるかだろう。ブラウン管やプラズマと比較して鮮鋭感は低め、色味も多少問題あり。ただし、スケールの大きさから来る迫力だけは抜群。セッティングも簡略化し、斜め投射によって置き場所の幅も増えている。

 が、価格と画質を考えるとまだ少々手を出しづらい。プロジェクタはまだ待ちか。

 何よりも大きなスクリーンに投影される大画面の迫力。暗いところでないと見られない、まだ高価、セッティングが面倒など、プロジェクタの弱点は多いが、この迫力だけは他の機器では味わえない。

 売りのヨコ台形補正機能はなかなか便利。完全にスクリーンに合わせるのは無理だが、それでも歪みはわずか。通常の試聴に違和感を感じることはなかった。持ち運びできるサイズであるし、専用スタンドも固定式ではないので、移動時のセッティングがより簡単に行なえる機能といえるだろう。

 投射距離は思ったよりも必要なようで、「10畳程度のリビングでの使用なら不便なく使えそう」という印象。少なくとも「1人暮らしの6畳間」では投射サイズは60インチ程度がやっとと思われる。

 解像感は、パネルが800×600ドットと少々解像度が低めなため、発表会などでみる高解像度機種に比べると鮮鋭感は低い。色味は赤が多少強いように思える。だが、ドットが目立つほどではなく、スクリーンに近づいて凝視すると粒上に見えるという程度。

 アニメなど階調がフラットなシーンや、もともと解像度の高いHD映像で多少色味、解像感に不満を感じることもあるが、80インチスクリーンを3m程度の距離で見て特に問題は感じなかった。DVD程度の解像度では、高解像度のプロジェクタでも高価なラインダブラなどを入れないと実力を発揮できないことを考えれば、価格に比して妥当な性能だと思う。

fujiwa-y@impress.co.jp

70
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 設置のしやすから、マニアではない、一般家庭にはオススメのプロジェクタ。今までにも、低価格の「とりあえず映ります」程度の液晶プロジェクタは、各社が発売してきた。やっと一般家庭においても、家族会議でプラズマや、CRT、直視型の液晶と並べて検討できる製品が登場したと思う。

 しかし、同価格帯には、三菱の「LVP-L2000V」や、ソニーの「VW-10HT」の中古があり、画質を優先するのであれば、そちらを選んだ方が賢明だろう。

 ホームプロジェクタとしては、初めての横方向のデジタル台形補正機能搭載。1.2倍マニュアルズームレンズを採用したほか、高さを変えられるスタンドと入力切り替え器のセットモデルも用意と、家庭での使い勝手を徹底的に考えた製品。また、アジャスタ機構も標準で装備しており、上下、左右、左右の傾きまで簡単に調整できる。今までのプロジェクタにない、画期的な設置しやすさを実現している。

 大画面がほしくても、「フロントプロジェクタは設置が面倒で、設定場所の自由度も低い。価格も高いし……」と敬遠していた人も購入対象になりそう。価格も30万円程度と、決して安くはないが、なんとか直視管ディスプレイの延長線上にある。

 パネル解像度は800×600ドット。HDTV(D3/D4)入力にも対応したプロジェクタとしては、力不足の感じもするが、価格を考えると仕方ないところか。実際の画質は、必要十分という印象。画素は、80インチ投射でスクリーンに近づけば確認できるが、普通の視聴位置(2~3m)からは、ほとんどわからない。ただ、やはり、この価格帯のプロジェクタでは、プログレッシブ変換回路はあまりよくなく、今回試したDVDのインタレース入力とプログレッシブ入力の間にはかなり差があった。

 デジタルカメラの画面写真ではわかりにくいが、肉眼で見ると、プログレッシブ入力の方が圧倒的に情報量が多い。もちろん、BSデジタルハイビジョンを入力した時の画質が一番良かったのだが、BSデジタルハイビジョンをメインに視聴するなら、画質優先の他のプロジェクタを購入した方がいいとも思う。「普段はプログレッシブDVDプレーヤで映画を見て、たまにビデオカメラをつないで子供を撮ったビデオをみんなでわいわい見る」という、もっと気軽なユーザー向けの製品だろう。

 操作系で驚いたのが、今時珍しく、アスペクト切り替えのダイレクトボタンが、本体にもリモコンにもなく、メニューからの操作になっていること。それも、「4:3」、「16:9」の2種類のみ。ワイドテレビなどでお馴染みのズームがない。まあ、4:3パネルなので、スクイーズに対応しているだけも十分ともいえるのだが……。いわば、V圧縮機能搭載の4:3テレビと同じ感覚だ。

furukawa@impress.co.jp

【主な仕様】



□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200108/01-0801/
□関連記事
【7月5日】新製品プレビュー:実売30万円を切るDLPプロジェクタ「HE-3100(PIANO)」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010705/npp11.htm
【8月1日】ソニー、斜め投射が可能なホームシアター用液晶プロジェクタ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010801/sony.htm

(2001年9月6日)


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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