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「音楽CD制作スタジオ」 録音/編集、CDからコピー、ポータブル、オーディオCD作成、データCD作成などが可能 |
いろいろなことができるソフトだが、最も大きなターゲットは、アナログのレコードやカセットテープを素材にし、それを元にしてCDを焼くという用途。つまり、以前にも取り上げたSteinbergのClean!や、MAGIX Audio Cleaningと近いコンセプトのソフトなのだ。
まずは、概要について紹介しておこう。このソフトはCakewalk Pyro 2003という名ではあるが、従来のCakewalkシリーズや現SONARシリーズとはまったく異なるソフトとなっている。つまり、MIDIシーケンサやオーディオのMTRソフトというわけではなく、ユーザーインターフェイスも従来シリーズとは異なるものに仕上がっている。画面を見てもわかるように、大きく分けて以下の5つの機能から成り立っている。
「録音/編集」は、波形編集ソフト的なもので、ここで直接録音を行なったり、録音あるいはファイルから読み込んだ波形を編集することができる。ただ編集といっても単にカット&ペーストなどを行なうのではなく、後で詳しく紹介するノイズリダクションやイコライザーをかけたり、フェードイン/フェードアウトなどボリュームに関する処理を行なう。
直接録音の画面 | イコライザー | フェードイン/フェードアウトなど |
そして、「オーディオCD作成」は、CD-Rドライブを用いてオーディオCDを作成するための機能。ファイルをドラッグ&ドロップで並べていくことにより、波形が並んで表示されていく。この各曲の先頭や最後にフェードイン/フェードアウト処理を施すとともに、各曲を重ね合わせてクロスフェード処理とすることも可能。また、1つの曲を複数のトラックに分割することもできるので、ライブなどで収録した曲を切っていくことができる。ただし、曲間の時間を設定したり、拍手やMCを曲間として設定することはできない。
CDからのリッピング機能。CDDBにも対応している | 各曲を重ね合わせたクロスフェード処理も可能 |
ラベルファクトリー2LE |
そして最後の「データCD作成」は、単純にデータCDを作る機能。単にファイルをドラッグ&ドロップで持ってきて焼くだけのものなので、MP3 CDを作るなどの使い方ができるだろう。
一方「音楽CD制作スタジオ」には、Pyroのほかにランドポートの「ラベルファクトリー2LE」というソフトがバンドルされている。これは、CDラベルを作成するためのソフトで、様々なテンプレートが収録されている。Pyroとは完全に独立した別ソフトであるが、便利に使うことができそうだ。
■ ハムノイズには弱いがまずまずのNR機能
さて、ここからが本番。実際に、ノイズリダクションを施すとどんなサウンドになるのだろうか? ここでの実験は以前に行なったものと同じ素材を用い、3種類のノイズを取り除いていくことにする。Areareaという女性2人組のユニットの曲に、ヒスノイズ、クラックルノイズ、ハムノイズを乗せたものをそれぞれ用意し、そのノイズを除去するという方法だ。
ノイズ除去ボタンの設定だけで、簡単にノイズ除去が可能 | 詳細設定画面 ※製品版ではこの画面も日本語化される |
この操作は、前出の録音/編集の画面で行なう。まずヒスノイズについては、ファイルを読み込んだ上で、ノイズ除去ボタンをオンすればOK。この状態で再生させればノイズが消える。デフォルトの状態で気に入らなければ、細かくパラメータを設定することも可能。ここには、LevelとReductionという2つのパラメータが用意されているが、いくつか試してみたところ、初期設定が最も効果的で音もよかったので、これの結果を載せておく。
なお、Clean!やMAGIX Audio Cleaningの場合は、自動的にパラメータを設定する機能があったが、Pyroにはそうした機能がないため、自分で設定しなくてはならない。実際に、オリジナルと聞き比べてみていかがだろうか? ノイズはしっかり取れているが、ほかのソフトと比較してずば抜けて良い性能とはいえない。まあ、平均点くらいだ。
【自動設定によるノイズリダクションの効果】【オリジナル】 約469KB(original.mp3) | |
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ノイズリダクション前 | ノイズリダクション後 |
【オリジナル+ヒスノイズ】 約472KB(hiss.mp3) |
【オリジナル+ヒスノイズ】 約472KB(hiss2.mp3) |
【オリジナル+ハムノイズ】 約471KB(hum.mp3) |
【オリジナル+ハムノイズ】 約471KB(hum2.mp3) |
【オリジナル+クラックルノイズ】 約472KB(cracle.mp3) |
【オリジナル+クラックルノイズ】 約473KB(cracle2.mp3) |
Remove ClicksとRemove Cracklesの2つのパラメータが用意されている ※製品版ではこの画面も日本語化される |
次にハムノイズだが、それ専用のボタンというものは見当たらない。EDIROLではなく、Cakewalkのサイトで確認してみるとハムノイズにも対応とあるので、ヒスノイズと同じ機能を用いてノイズを除去することにした。が、これはパラメータをどのようにいじってもうまく除去することができない。一応、結果は同じくMP3データで収録しておくが、ノイズはほぼそのまま残っている。
最後にチェックしたのがクラックルノイズ。Pyroには、クリック除去というボタンがあるのでこれを利用する。この設定画面を見ると、Remove ClicksとRemove Cracklesという2つのパラメータがある。この違いは微妙な感じだが、いずれもレコードのプチプチしたノイズを取り除くのに用いることができるため、それぞれを70%に設定した状態で保存してみた。この結果についても聴いていただきたい。これはクリックとクラックルという2つの仕組みからアプローチしたためなのか、ほかのソフトと比較してもまずまずの実力を発揮してくれた。
以上、最新のノイズリダクションソフト、「音楽CD制作スタジオ~ケイクウォーク パイロ2003日本語版」について紹介した。音を聴いた限り、特別すごいソフトとはいえないが、MP3/WMAユーティリティとしても利用でき、CDライティング用としても使用できる。さらにラベル作成ユーティリティも搭載した上で9,800円という価格なので、コストパフォーマンスは悪くはないだろう。とにかくいい音を求めるというのであれば、以前紹介したClean! およびMAGIX Audio Cleaningの結果と聞き比べて判断してほしい。
□エディロールのホームページ
http://www.roland.co.jp/DTMP/
□製品情報
http://www.roland.co.jp/products/dtm/CW-PY2.html
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(2002年11月11日)
= 藤本健 = | ライター兼エディター。某大手出版社に勤務しつつ、MIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase VST for Windows」、「サウンドブラスターLive!音楽的活用マニュアル」(いずれもリットーミュージック)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。 |
[Text by 藤本健]
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