■ デジタル撮影、その威力は?
エピソード2といえば、'99年に製作に着手したジョージ・ルーカスが「デジタルでの上映しか認めない」と発言、エピソード2公開(2002年)までに2,000台のデジタルシネマシステムを希望したなど、デジタルシネマがらみの話題が多い。 ただし、現状ではデジタル上映が可能な劇場が少なく、世界で94カ所、国内で10カ所が対応したのみ。つまり、ほとんどの劇場では、今まで通りにフィルムで上映していたという。かくいう私もフィルム上映を見た1人。TIに加えてEastman Kodakもシステム提案をするなど、にわかに周辺が騒がしくなってきたデジタルシネマだが、配信を含めた新しいビジネスが拡がるのはもう少し先なのかもしれない。 デジタルシネマの今後より興味深いのは、撮影にフィルムカメラではなく、デジタルカメラを使用した点だろう。エピソード1では間に合わなかったソニーの24Pデジタルカメラ(シネアルタ)を全編で使用。特にDVD購入者にとって気になるのが画のクオリティだ。DVDビデオに落とし込む場合も、フィルムからデジタルへのテレシネがないため、「ひょっとしたらエピソード1以上の画質かも」との深読みをしてしまう。
そうした過剰な期待もあって、今回も発売後すぐに入手した。近所のTSUTAYAが「予約購入者のみ500円引き」というキャンペーンをやっていたので、発売1週間前に予約。そして発売日前日の朝10時、店員が並べようとしているパッケージを奪いレジへ向かった。
■ 画と音に不満はなし ケースはエピソード1と同じく、クリアカラーのトールケース。2枚のディスクが収納できる、いわゆるアマレーダブルケースを採用している。ジャケットを除くと、エピソード1のケースとデザインがほぼ同じなので、並べたときにも統一感がある。 ディスクのレーベルも前作のコンセプトを踏襲しており、本編ディスクが悪役、特典ディスクが主人公という組み合わせ。ちなみに本編ディスクに描かれている悪役は、エピソード1がダース・モール、エピソード2がジャンゴ・フェットだ。慣れないうちは主人公の方を本編だと思いがちだが、エピソード1ユーザーなら、もう間違えることはないだろう。 封入資料も前作同様シンプルだ。入っているのは本編ディスクのチャプタリストと、特典ディスクの紹介を兼ねた2ツ折のパンフレットだけ。そのほか、ジョージ・ルーカスつながりということで、DVD版の「ウィロー」(FXBA-23035)の広告が入っていた。 パッケージには、音声や映像の仕様と並んで「デジタル版素材からのダイレクトな製作」とある。その画質だが、確かにエピソード1よりノイズが少なくなり、クリアで抜けが良い。前作以上に描きこまれた建物や乗り物がよりリアルに見えた。 また、全体的に階調性も豊かで、雲や人の肌などにも疑似輪郭は出ていない。暗いシーンでノイズを感じることも少なかった。もっともピントがいまひとつのシーンや、輝度さのある部分でジラつきを感じることはあったが、総じて高画質だといっていい。平均ビットレートは6.2Mbpsだった。
一方、音声は英語、日本語ともドルビーデジタルEXで収録。これもエピソード1からの伝統だ。ビットレートはともに448Kbps。 聞かせどころはチャプタ28のサイズミック・チャージ。前方から拡がりながら迫る衝撃波が、何ともいえない質感で迫ってくる。このシーンはLFEもするどく、劇場で聞いたときと同じ感動を味わえた。このほかにも、チャプタ38の工場内や、チャプタ40からの集団戦闘から開戦にかけてなど、サラウンドやLFEに圧倒されるシーンは多い。もちろん、ライトセーバーも健在だ。前作と同じく、動きに合わせた音移動とLFEが気持ちいい。今回は出番が多いので、たっぷり楽しめるだろう。 なお、エピソード2にも「THX OPTIMIZER」が用意されている。これは、ウィザードに沿って映像と音声の調整を行なうというもの。設定内容は、映像が白レベル、黒レベル、色の濃さ、シャープネスなどで、音声が各スピーカーのレベル、位相。サブウーファとそのほかのスピーカーとのクロスオーバーを調節する項目もある。一通り終えたところで、「これで監督の意図した映像・音声になりました」とのメッセージが出るところも同じだ。 また、本編には音声解説も収録。出演者は、ジョージ・ルーカスをはじめ、リック・マッカラム、ベンバートなどシリーズでおなじみの面々。解説者が6人もいるので、「間が空いて退屈だ」ということはない。ジョージ・ルーカスは、アナキン・スカイウォーカーの少しずつ変化する心理を解説。派手なアクションの前で霞んでいた部分を改めて明らかにすると同時に、シリーズとの関連を示唆してくれた。
■ 特典には「R2-D2物語」も 特典ディスクの充実度も、エピソード1からの伝統だ。内容は、削除シーン、ドキュメンタリー、ミュージック・ビデオ、トレーラー集など。削除シーンは、製作中止となったシーケンスをDVDのために再製作したものだ。全部で8つのシーンを収録しており、登場人物を深く追ったシーンや、政治の状況を解説したものが多い。特に、照れるパドメが微笑ましい「パドメの実家」はファン必見。 デジタルシネマについては、「Webドキュメンタリー」の1番目が詳しい。この「Webドキュメンタリー」もエピソード1からおなじみのコンテンツで、公開前に公式サイトで披露されたもの。今回もドキュメンタリーとしての完成度が高く、全部で12話を収録している。デジタルシネマだけでなく、ILMによるCG製作やメカデザイン、模型制作、サウンドデザインといったテクニカルな話題が多いのも特徴だ。 CG製作ならドキュメンタリー「パペットからCGへ:エピソード2のデジタル・キャラクター」に詳しい。52分17秒という長いコンテンツで、キャラクターの創造からブルースクリーンを前にした撮影、ポストプロダクションまでを扱っている。この作品の場合、CGが使われたのは2,100カットに上る。とりわけ、パペットの持ち味を崩さぬよう製作されたという、CGヨーダの逸話に時間を割いている。有名になったライトセーバーのシーンも詳しく紹介されているが、個人的には「相手をしていたクリストファー・リーもCGだった」という事実の方がショックだったが。ユアン・マクレガーにしても、顔だけ、あるいは全体がCGのシーンが多く、デジタルスタントとして出演している場面が多い。ほとんど全員が何らかのCG処理を施されているという。 このほかにも内容は盛りだくさんだが、一番のおすすめは「R2-D2:ドームの中の素顔」だろう。詳しい内容は伏せておくが、何気にスティーブン・スピルバーグも出演するパロディ作品だ。内容は、一言でいうと「R2-D2出世物語」。6分強と短い作品だが、後は皆さんで確認して欲しい。
■ DVDとして上質。アクションファンなら購入すべし デジタルからのダイレクト製作、ドルビーデジタルEX、豊富な特典と、文句のつけようがないパッケージ。価格も2枚組み3,980円と廉価だ。スター・ウォーズファンはもちろんのこと、普通にアクション好きなら抑えておいて損はないだろう。エピソード1から欲しい人には「エピソード 1 & 2 ダブルパック」(6,980円)も用意されている。エピソード2単品、ダブルパックともに市中在庫は潤沢のようだ。 ところで、エピソード2の作品中、エピソード4~6につながる関連シーンがいくつか出てきた。次のエピソード3は2005年公開の予定なので、それまでにはエピソード4~6のDVD化に関する何かしらのアナウンスがほしいところだ。
□20世紀FOXのホームページ (2002年12月17日) [AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]
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