■ 記録型DVDドライブ安くなりました 今回紹介するのは、アイ・オー・データの「DVR-ABN4/TV」。テレビキャプチャカードとDVD±RWドライブをセットにして、パソコンでDVD録画をしようというコンセプトの製品。8月の発表当初の標準価格は33,000円だったのだが、発売直前に27,500円まで値下げされた。きっとドライブの仕切値が下がったのだろう。 2年ちょっと前のDVD-R/RWドライブ登場時の価格(9万円強)を思い出すとなかなか感慨深いものがある。ということで、早速新宿の家電量販店にて購入。販売価格は24,800円でポイント還元15%。実質的には22,000~23,000円といったところ。 すでにデスクトップPCを持っていれば、この製品を使ってかなり安価に「パソコンでTV録画」を実現できる。世間では家電のDVDレコーダや、ハイブリッドレコーダが流行っているが、「パソコンでTV録画」を改めて見直してみたい。 ■ 低価格キャプチャカードとDVD±RWドライブをセットに
ハードウェア的に目新しいところは無く、DVDドライブはNEC製の「ND-1300A」、キャプチャカードはPhilips製チューナを搭載し、A/D変換チップはCONEXANTの「Fusion 878A」。 ソフトウェアはデジオンの録画/編集ソフト「DigiOn TVR L.E.」がバンドルされているほか、ビデオ編集ソフト「movieFOLiO」、オーサリングソフト「B's neoDVD Plus 5.0」、DVD再生ソフト「B's MoviePlayer」、DVD/CDライティングソフト「B's Recorder GOLD BASIC Ver.7」、パケットライティングソフト「B's CLiP5」などが同梱される。 ドライブの最大記録速度は、DVD-R 4倍速、DVD-RW 2倍速、DVD+R 4倍速、DVD+RW 2.4倍速、CD-R 16倍速、CD-RW 10倍速。最大読み込み速度は、DVD±R/RW 5倍速、DVD-ROM 12倍速、CD-ROM 40倍速。バッファ容量は2MB。縦置きにも対応する。 また、テレビキャプチャカードは、アンテナ入力のほか、S映像×1系統、コンポジット×1系統を装備。音声入力はアナログ×1系統、音声出力端子は、アナログ出力×2系統を備えている。
■ -VR対応がウリのDigiOnTVR L.E.をバンドル
基本的にTV録画機能はDigiOnTVR L.E.により提供されるので早速こちらを利用してみる。対応OSはWindows 2000/XP。 バンドルされている「DigiOnTVR L.E.」は、小寺氏のレビューでも扱ったDigion TVRの下位バージョンで、主な違いはドルビーデジタル音声の読込み/書き込みができないこと。そのほかの仕様はほぼ同等となっている。 DigiOn TVRでは、HDDへ記録する「Video File」モード、DVD-RAMへ記録する「-VRモード」、DVD+RWに記録する「+VR」モード、HDDに蓄積したビデオファイルをDVDビデオ化する「DVD-Video」モード、Video CDを作成する「Video CD」モードが用意され、モードを選択することで録画メディアが切り替わる。 DigiOn TVRのウリは、-VR記録と+VR記録に対応し、DVDへの直接記録が可能なこと。特に-VRに対応した単体売りソフトは珍しいので、デジオンもDVD-RAMレコーダのユーザーなどにその点を積極的にアピールしている。 ただし、-VRでの記録/編集が行なえるのは、DVD-RAMのみで、DVD-RWメディアには対応しない。DVD-RWメディアを入れて-VR記録を試みたが、RAMメディアを利用するようエラーメッセージが表示された。
もともと、DVD-RAMレコーダで録画した-VR記録ディスクを自由に編集できることを最大のセールスポイントとしているソフトだけに、なにもDVD±RWドライブとバンドルしなくてもいいのでは、と思ってしまった。 DVD録画/編集ソフトとしての機能は充実しており、DVD±RWへの+VRフォーマットでの記録が可能なほか、DVDビデオ形式でCD-R/RW、DVD-R/RW/+R/+RWへの記録も可能となっている。ただし、DVDに記録した映像の編集の際に、DVD-VRではCMカットが行なえるのに、DVD+VRだとCMカットが行なえないなどやや不便な点もある。 HDDに記録する「Video Files」モードでは、CMカットも行なえるので、編集を前提にした場合は、HDDに録画して、後でDVD化するほうが使い勝手がいいように感じた。DigiOnTVRの最大の特徴がうまく生かせていないのがもったいないところだ。 なお、録画予約はタイマー予約のほか、テレビ番組表サイト「インターネットTVガイド」のEPG情報が利用できる。さらにケータイなどからメールで予約できるreserMailも使える。
DVDビデオのオーサリング機能も備えており、CMカットなどの編集であればこちらのほうが利用しやすいが、ドルビーデジタル音声での書き出しが行なえない。 付属のオーサリングソフト「B's neoDVD Plus」では、ドルビーデジタル出力が可能だが、DigiOnTVR L.E.との連携機能などがないのがやや残念なところだ。 ■ 画質は必要十分 画質については、とりたてて高画質という印象は無いが、満足できるクオリティを持っている。A/Dコンバータチップも低価格キャプチャカードの定番ともいえる「Fusion 878A」のため、受信環境さえ良ければ特に目立った欠点も感じられない。
■ 25,000円でデスクトップPCがDVDレコーダに 目新たしい機能はないが、やはり驚かされるのは価格。現在4倍速DVD-R/+R対応の±RWドライブは2万円程度で購入できるが、「記録型DVDドライブが欲しい」と思った時に、ドライブ単体とさほど変わらない金額で、キャプチャカード/録画ソフト込みで購入できるというのはかなり魅力的だ。 本来、「DigiOnTVR L.E.」を生かすのであれば、DVD-RAM対応ドライブのほうがいいと思われるが、最新のDVDマルチドライブの価格は27,000~35,000円程度で、「DVR-ABN4/TV」のほうがはるかに安い。 RAMレコーダのユーザーでパソコンと連携して使いたい人や、本格的にパソコンをHDDレコーダとして利用したいというユーザーであれば、もう少し投資して本格的な環境を作ったほうがいいかもしれない。しかし、DVDレコーダを持っているが、裏番組用のサブ録画機としてパソコンを活用したいといったユーザーには最適だろう。また、記録型DVDドライブの購入を検討しているユーザーには、録画機能はかなり強力な付加価値としてアピールすると思う。「25,000円でデスクトップパソコンがDVDレコーダになる」と考えれば、かなりお買い得な製品だろう。□アイ・オー・データのホームページ (2003年9月26日)
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