■ 珍しい-VR活用ソフト 「DVD-VR」はDVD-RWやDVD-RAMで利用される書き換え型の記録フォーマット。特にDVD-RAM/RWレコーダユーザーにはおなじみのフォーマットだが、パソコンでの取り回しについては便利とは言いがたい。 基本的にはDVDレコーダのVR編集機能を使えばいいのだが、例えば家族で使っている場合、家族が録画した番組を見ていたり、録画していれば編集作業はできない。家族が寝静まるのを待ってから、ちまちまと編集作業を行なうというのは、ちょっと寂しい。そうした意味ではパソコンベースのVR編集というのも一定の需要はあると思われる。 最近では「TMPGEnc DVD Author 1.5」や、「WinDVD Creator 2 Platinum」、「DigiOn TVR、PowerProducer」など-VR編集対応ソフトが増えてきたが、いずれもキャプチャソフトやオーサリングソフトの拡張として、VRに対応した製品だ。 そうした中で発表されたユーリードの「DVD DiskRecorder」は、VRの読み込み用ソフト。最初にニュースリリースを読んだ時は、-VR対応のオーサリングソフトかと思ったのだが、良くよく読んでみるとDVDビデオ規格で直接ディスク作成することはできないようだ。 とはいえ、VRの読み込みに特化した製品というのは珍しい。ちょうどPSXのVRモードでの使い勝手の悪さに辟易としていたので、これで少しはまともな環境が作れるかもしれない。
■ 操作は軽快。ちょっとシンプルすぎる編集機能
対応OSはWindows 98 SE/Me/2000/XP。UIはとてもシンプルなもので、起動すると[ディスクの新規作成]、[ディスクの再編集]、[ディスクに直接録画]、[ディスクをコピー]の4つのウィザード選択画面が立ち上がる。 ディスクの新規編集は、PC上のビデオファイルからVR形式のDVDディスクを作成する機能。ディスク上の、MPEG-1/2、WMV、AVI、QuickTime、VOB、DAT、MicroMVなどのビデオファイルのほか、DVDレコーダなどで作成したDVDビデオの[VIDEO_TS]フォルダや、DVD-VRの[DVD_RTAV]フォルダを選択し、DVDからの読込みにも対応する。また、テレビキャプチャカードなどから直接MPEGキャプチャも可能。
DVDから読み込んだディスクは、HDDに格納され、CMカットなどの編集が行なえる。WMVやDivXのファイルもMPEGに変換して読み込むことができる。 編集画面は極めてシンプル。現在位置を示すポイントを使ってCM部分を探し、フレーム単位でカットしたい部分を探して分割ボタンをクリックする。するとプログラムとして分割され、そのプログラムを[再生リスト]画面でプレイリストとして順序を決定するだけ。 なお、松下の「DVD-MovieAlbum」などでは可能なタイトル名入力・変更には対応していないが、DVDレコーダで作成したディスクのタイトル情報は、DVD DiskRecorderでの編集後も引き継がれる。 そもそも、DVDレコーダなどで付けたタイトルをDiskRecorder上で確認することすらできないので、この仕様がこのソフトのコンセプトなのだろう。しかし、「パソコンのキーボードを使ってタイトル名を入れたい」という用途ではまったく使えないので、その点には注意が必要だ。
あとは、出力ビットレートを指定するとDVDへのVR形式で書き出される。記録モードは[高画質]、[標準画質]、[長時間]、[高画質・高音質(LPCM)]、[Half-D1]、[CIF]などが用意される。また、カスタム設定も可能で、MPEG-2の場合1,775kbps~9,000kbpsまでのビットレート選択やCBR/VBRの指定もできる。なお、フレーム単位編集だが、-VR規格に準拠したファイルであれば編集箇所のみ再エンコードを行なうスマートレンダリング機能により高速に出力できる。-VR規格外のMPEGファイルであれば、再エンコードを行なった後、ディスクへの書き込みを行なう。出力形式はDVD-VRのみ。
作成したディスクはPSXで問題なく再生できた。操作は非常に軽快で、インターフェイスもかつてのユーリード製品からは想像もできないぐらい洗練されていてわかりやすい。もっともチャプタポイントの設定機能がないなど、機能的にとてもシンプルなことも、操作性の向上に結びついているのかもしれない。
[ディスクの再編集]も、HDDへのキャプチャが無い以外は、[ディスクの新規作成]と操作的には同じだ。VR準拠のファイルであれば、再エンコードを行なわずに編集結果が反映される。ただし、テストした環境では、編集したフレームからずれて出力されるように感じる箇所があった。 [ディスクに直接録画]は、テレビチューナカードなどからキャプチャを行ない直接ディスクに記録する機能。録画モードは[ディスクの新規作成]と同じで、DVD-RAM/RWへのDVD-VR形式での記録が可能。
この作業は手間がかかる上、非常に時間もかかる。また、メニュー画面どころか、チャプター設定すらできないので、このソフトからDVDビデオを作成しようとはあまり考えないほうがいいだろう。
なお、-VR形式のビデオをHDDに取り込むと、デフォルト設定では[マイドキュメント]-[Ulead DVD DiskRecorder]-[1.0]-[Import_DVD]以下にMPEG-2ファイルとして保存されるので、他のソフト利用することもできる。 DVD-VR対応のDVDプレーヤーソフト「Ulead DVD Player」がバンドルされ、作成したDVDを視聴することも可能となっている。
■ 素性はいいが、コストパフォーマンスはイマイチ 「VRフォーマットとは何ぞや」ということが理解できているユーザーには非常にシンプルでわかりやすいソフトと言えるし、初級ユーザーでも比較的簡単に使えるという意味では非常に良く出来ている。 しかし、TMPGEnc Authorや、WinDVD Creator 2も同額の12,800円で販売しており、TMPGの高度なDVDオーサリング機能やエンコードエンジン、WinDVD Creator 2 PlatinumのWMVやDivXの出力機能、DigiOn TVRのiEPGを利用した録画予約などの魅力と比較して、物足りないことは確か。個人的にはDVDドライブのバンドルソフトに最適という印象だ。 □ユーリードシステムズのホームページ (2004年1月23日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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