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シンプルかつ軽快動作の-VRディスク活用ソフト
ユーリードシステム 「DVD DiskRecorder」
発売日:2月20日発売
標準価格:12,800円


■ 珍しい-VR活用ソフト

 「DVD-VR」はDVD-RWやDVD-RAMで利用される書き換え型の記録フォーマット。特にDVD-RAM/RWレコーダユーザーにはおなじみのフォーマットだが、パソコンでの取り回しについては便利とは言いがたい。

 基本的にはDVDレコーダのVR編集機能を使えばいいのだが、例えば家族で使っている場合、家族が録画した番組を見ていたり、録画していれば編集作業はできない。家族が寝静まるのを待ってから、ちまちまと編集作業を行なうというのは、ちょっと寂しい。そうした意味ではパソコンベースのVR編集というのも一定の需要はあると思われる。

 最近では「TMPGEnc DVD Author 1.5」や、「WinDVD Creator 2 Platinum」、「DigiOn TVR、PowerProducer」など-VR編集対応ソフトが増えてきたが、いずれもキャプチャソフトやオーサリングソフトの拡張として、VRに対応した製品だ。

 そうした中で発表されたユーリードの「DVD DiskRecorder」は、VRの読み込み用ソフト。最初にニュースリリースを読んだ時は、-VR対応のオーサリングソフトかと思ったのだが、良くよく読んでみるとDVDビデオ規格で直接ディスク作成することはできないようだ。

 とはいえ、VRの読み込みに特化した製品というのは珍しい。ちょうどPSXのVRモードでの使い勝手の悪さに辟易としていたので、これで少しはまともな環境が作れるかもしれない。



■ 操作は軽快。ちょっとシンプルすぎる編集機能

起動時のウィザード選択画面

 対応OSはWindows 98 SE/Me/2000/XP。UIはとてもシンプルなもので、起動すると[ディスクの新規作成]、[ディスクの再編集]、[ディスクに直接録画]、[ディスクをコピー]の4つのウィザード選択画面が立ち上がる。

 ディスクの新規編集は、PC上のビデオファイルからVR形式のDVDディスクを作成する機能。ディスク上の、MPEG-1/2、WMV、AVI、QuickTime、VOB、DAT、MicroMVなどのビデオファイルのほか、DVDレコーダなどで作成したDVDビデオの[VIDEO_TS]フォルダや、DVD-VRの[DVD_RTAV]フォルダを選択し、DVDからの読込みにも対応する。また、テレビキャプチャカードなどから直接MPEGキャプチャも可能。


ビデオ読み込み画面 VRモードのディスクから[DVD_RTAV]を指定して読み込み 読み込む再生リストを選択

キャプチャ時にシーン選択や、不要箇所のトリミングなども行なえる

 DVDから読み込んだディスクは、HDDに格納され、CMカットなどの編集が行なえる。WMVやDivXのファイルもMPEGに変換して読み込むことができる。

 編集画面は極めてシンプル。現在位置を示すポイントを使ってCM部分を探し、フレーム単位でカットしたい部分を探して分割ボタンをクリックする。するとプログラムとして分割され、そのプログラムを[再生リスト]画面でプレイリストとして順序を決定するだけ。

 なお、松下の「DVD-MovieAlbum」などでは可能なタイトル名入力・変更には対応していないが、DVDレコーダで作成したディスクのタイトル情報は、DVD DiskRecorderでの編集後も引き継がれる。

 そもそも、DVDレコーダなどで付けたタイトルをDiskRecorder上で確認することすらできないので、この仕様がこのソフトのコンセプトなのだろう。しかし、「パソコンのキーボードを使ってタイトル名を入れたい」という用途ではまったく使えないので、その点には注意が必要だ。


プログラム画面でフレーム単位の編集が可能 プログラムを並び替えて、再生リストを作成する

 あとは、出力ビットレートを指定するとDVDへのVR形式で書き出される。記録モードは[高画質]、[標準画質]、[長時間]、[高画質・高音質(LPCM)]、[Half-D1]、[CIF]などが用意される。また、カスタム設定も可能で、MPEG-2の場合1,775kbps~9,000kbpsまでのビットレート選択やCBR/VBRの指定もできる。なお、フレーム単位編集だが、-VR規格に準拠したファイルであれば編集箇所のみ再エンコードを行なうスマートレンダリング機能により高速に出力できる。-VR規格外のMPEGファイルであれば、再エンコードを行なった後、ディスクへの書き込みを行なう。出力形式はDVD-VRのみ。


出力形式はDVD-VRのみ 書き出す再生リストを選択すると再エンコード/書き込みを開始

 作成したディスクはPSXで問題なく再生できた。操作は非常に軽快で、インターフェイスもかつてのユーリード製品からは想像もできないぐらい洗練されていてわかりやすい。もっともチャプタポイントの設定機能がないなど、機能的にとてもシンプルなことも、操作性の向上に結びついているのかもしれない。

ディスクの再編集

 [ディスクの再編集]も、HDDへのキャプチャが無い以外は、[ディスクの新規作成]と操作的には同じだ。VR準拠のファイルであれば、再エンコードを行なわずに編集結果が反映される。ただし、テストした環境では、編集したフレームからずれて出力されるように感じる箇所があった。

 [ディスクに直接録画]は、テレビチューナカードなどからキャプチャを行ない直接ディスクに記録する機能。録画モードは[ディスクの新規作成]と同じで、DVD-RAM/RWへのDVD-VR形式での記録が可能。

[ディスクのコピー]から、DVDビデオ形式のイメージファイルの作成が可能

 [ディスクのコピー]では、DVD-VR形式のディスクのイメージ化やコピーを行なう。また、DVD-VRのディスクを、DVDビデオ形式に変換してディスクイメージとして保存することも可能。

 そのイメージを、[ディスクのコピー]から、DVD-RやDVD-RWに書き込むことでDVDビデオが作成できる。このソフトでは、編集結果を直接DVDビデオ形式にオーサリングする機能はない。そのため、-VRディスクの内容を編集してDVDビデオディスクを作成するには、一旦-VR形式でディスクに書き出して、DVDビデオのディスクイメージに変換する作業が必要になる。

 この作業は手間がかかる上、非常に時間もかかる。また、メニュー画面どころか、チャプター設定すらできないので、このソフトからDVDビデオを作成しようとはあまり考えないほうがいいだろう。

 なお、-VR形式のビデオをHDDに取り込むと、デフォルト設定では[マイドキュメント]-[Ulead DVD DiskRecorder]-[1.0]-[Import_DVD]以下にMPEG-2ファイルとして保存されるので、他のソフト利用することもできる。

 DVD-VR対応のDVDプレーヤーソフト「Ulead DVD Player」がバンドルされ、作成したDVDを視聴することも可能となっている。



テレビキャプチャカードからのディスクへの直接録画に対応 ディスクのコピー画面 -VR対応のDVDプレーヤーソフト「Ulead DVD Player」が付属する



■ 素性はいいが、コストパフォーマンスはイマイチ

 「VRフォーマットとは何ぞや」ということが理解できているユーザーには非常にシンプルでわかりやすいソフトと言えるし、初級ユーザーでも比較的簡単に使えるという意味では非常に良く出来ている。

 しかし、TMPGEnc Authorや、WinDVD Creator 2も同額の12,800円で販売しており、TMPGの高度なDVDオーサリング機能やエンコードエンジン、WinDVD Creator 2 PlatinumのWMVやDivXの出力機能、DigiOn TVRのiEPGを利用した録画予約などの魅力と比較して、物足りないことは確か。個人的にはDVDドライブのバンドルソフトに最適という印象だ。


□ユーリードシステムズのホームページ
http://www.ulead.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.ulead.co.jp/aboutulead/PressPDF/0401/ddr.pdf
□関連記事
【1月13日】ユーリード、DVDレコーダの録画ディスクを活用する編集ソフト
-DVD-VR形式の読み込み/書き出しに対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040113/ulead.htm
【2003年11月21日】ペガシス、「TMPGEnc DVD Author」の最新パッケージ版
-ドルビーデジタルに対応。プラグインの単体販売も予定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031121/pegasys.htm
【2003年4月28日】ペガシス、「TMPGEnc DVD Author」がVRモードにも対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030428/pegasys.htm
【2003年4月23日】【EZ】史上最強のCMカッター登場!!
~ TVからDVDへの最短コース「TMPGEnc DVD Author」 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030423/zooma105.htm
【2003年8月27日】インタービデオ、DVD±VR対応のDVDオーサリングソフト
-DivX/AC3対応。今秋にホームシアターソフトも投入
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030827/interv.htm
【2003年11月20日】サイバーリンク、家電レコーダ完全対応の「PowerProducer」
-PowerDirectorの新版や、新ソフト「PowerCinema」も紹介
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031120/cyber.htm
【2003年5月20日】デジオン、VRモード対応のビデオ編集/テレビ録画ソフト「DigiOnTVR」
-ドルビーデジタル音声記録をサポート
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030520/digion.htm

(2004年1月23日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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