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iPod mini追撃の一番手? Outlook連携機能も搭載
タッチパネルUI搭載の1インチHDDプレーヤー
クリエイティブメディア 「Zen Micro 5GB」
発売日:11月下旬
標準価格:オープンプライス
実売価格:32,800円


10色のカラーバリエーションが用意される

■ 10色カラバリで機能一新の1インチプレーヤー

 昨年来、1インチHDDプレーヤー市場の立ち上げに大きく寄与したのは、Rio NitrusとMuVo2であることは疑いない。しかし、Rioとクリエイティブがしのぎを削っていた市場は、7月のiPod mini登場以来すっかりアップルに持っていかれてしまった印象だ。正確にはiPod miniが市場を大幅に拡大したといえるのだろうが、相対的に他のプレーヤーのプレゼンスが低くなった感は否めない。

 そうした中、RioはRio Carbonを、一方のクリエイティブは完全に一新した新プレーヤー「Zen Micro」を投入。特にZen Microは、10色カラーバリエーションなどiPod miniをなぞりながら、機能を一新。インターフェイスも大型液晶とタッチパネルを生かしたHDDプレーヤーらしいものとなり、FMチューナやボイスレコードに加え、Outlookと連携した簡易PDA機能などを搭載。1インチプレーヤーに考えられる機能を一通り搭載しながら、MuVo2シリーズから引き続き、交換可能なリチウムポリマーバッテリを搭載するなど非常に意欲的な製品だ。

 価格は32,800円と、iPod miniの28,140円と比較すると若干割高ではあるものの、機能的にはZen Microのほうが充実している。一新されたZen MicroはiPod miniの牙城を崩すことができるのだろうか?



■ 青色LEDなどで高級感を演出。パッケージデザインも大幅向上

パッケージ

 パッケージは従来のCreative製品のブリスターパックから一新され、紙パッケージの洒落たデザインのものとなった。「iPod意識している」感はあるが、素直に収納しやすくデザイン的にもかなり良くなったと感じる。

 同梱品は、リモコンやUSBケーブル、ACアダプタ、ネックストラップ、イヤフォン、キャリングポーチ、ベルトクリップなど。ACアダプタの充電口はUSBミニ端子で、本体のUSB端子に接続して充電する。

 本体は1.4型/160×104ドットのブルーELバックライト付き液晶ディスプレイを装備し、液晶下の操作部にはタッチパネルを採用する。タッチパネルに触れるとブルーに点灯し、時間がたつと徐々に消えていくなど高級感の演出も充分。いままでのCreative製プレーヤーとは比較にならないぐらい格好いい。本体の操作はタッチパネルのほか、リモコンでも行なえる。

 WMA/MP3/WAVの再生に対応し、対応ビットレートは、WMA/MP3ともに8~320kbps。WMAのDRMもサポートする。SN比は98dB。ヘッドフォン出力は7mW×2ch。本体上部にイヤフォン出力やUSB端子などをまとめている。

 外形寸法は約51×19×84mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約108g(バッテリ含む)。iPod mini(50.8×12.7×91.4mm/103g)と比較するとやや厚いが、高さは少し低い。ブルーのイルミネーションや背面の丸みを生かしたデザインなど本体の質感はiPod miniと比較しても上回っている印象。個人的にはZen Microのデザインのほうが好みだ。

本体前面。1.4型/160×104ドット液晶を装備。操作はタッチパネル。タッチパネルに触れるとブルーのLEDが点灯する 上面にヘッドフォン出力と電源/ロックスイッチ、USB端子を備える 側面。厚みは19mmと他の1インチプレーヤーと比較するとやや厚め
背面。球面を生かしたデザインは高級感がある バッテリは着脱可能となっている
同梱品 リモコンも付属する ベルトクリップはスタンドとしても利用できる

iPod miniとの比較



■ 多彩な転送ソフト。タッチパネルには慣れが必要

 オーディオデータの転送は付属ソフトの「Creative Media Source」や「Zen Microメディアエクスプローラ」、もしくは「Windows Media Player 10」などから行なう。

ストレージ領域を設定することでUSBストレージクラスのデータストレージとしても利用できる。ただし、USBストレージ領域にオーディオデータをコピーすることはできない Creative Media Source

 USBストレージクラスでのオーディオ転送には対応しない。ただし、USBストレージクラスの専用領域を設けて、データのバックアップなどには利用できる。ストレージ領域の設定は、メインメニューの[エクストラ]→[オプション]から行なえる。設定可能なストレージ領域は128/256/512MB、1/1.5/2GB。なお、ストレージ領域を設定した場合は、その領域にオーディオデータを転送することはできない。

 Creative Media Sourceは従来のCreative製プレーヤーにも付属していたソフト。インストール時にフル画面を占有するのは個人的に好きではないが、使い勝手は悪くない。機能的にも再生回数情報などからプレイリストを自動生成する「スマートプレイリスト」や、録音機能、Excite Music Store用のプラグインなどが用意されている。WAVからMP3のオーディオコンバータも装備する。

 また、リッピング/転送に機能を絞れば、Windows Media Player 10でも同様にオーディオ転送などが可能なので、追加ソフトをPCにインストールしたくなければ、WMPでも代用は可能だ。


Zen Microメディアエクスプローラ プレイリスト作成も可能となっている

 ユニークなのは新たにバンドルされた「Zen Microメディアエクスプローラ」。ファイルインポートやプレイリスト作成や、Zen Microとライブラリ上のデータを自動同期する機能も装備する。

 また、エクスプローラMP3/WMAなどのオーディオファイルのほか、Windowsの住所録/スケジュールソフト「Outlook」との同期機能を有している。MacintoshではiPodで付属のiCalとの連携機能などがあるが、Windows環境では珍しい機能といえるだろう。

 オーディオデータなどの転送のほか、エクスプローラ風のインターフェイスから、Zen Microをデータストレージとして扱える。動作も軽快で、個人的にはメディアエクスプローラが一番使い勝手が良いと感じた。


 本体前面のボタンは、全てタッチパッドとなっており、上部が、再生/停止、早送り/戻しなどの再生操作、中央が上下選択/決定やボリューム上下、下部がBack/メニュー呼び出し、オプションメニュー表示とエリアごとに機能が分かれている。

メインメニュー

 タッチパッドの感度は、高/中/低の3段階から選択できる。デフォルト設定で「中」となっているが、最初はやや感度が高すぎると感じた。しかし、操作体系がシンプルなこともあり、慣れれば一番操作しやすく思えた。なお、階層移動は比較的ミス無く操作できるのだが、ボリュームやアルバム選択画面など、中央のパッドを縦になぞる上下操作には慣れるまでに時間を要した。

 タッチパッドの感度設定に慣れれば戸惑う回数も少なくなるが、操作後は必ずロックしないと誤って触れてしまい、混乱することもある。

 メインメニューのライブラリから検索メニューにアクセス可能となっており、プレイリスト/アルバム/アーテスト/ジャンル/全てのトラック/レコーディング/ブックマーク/DJなどの検索モードが用意される。ここでモード選択して、楽曲を選べば再生がスタートする。

 アルバム/アーティスト検索や再生画面などのデザインはiPodと非常に良く似ている。機能的には似ているので、どのメーカーも基本構成は近いのだが、カチカチと鳴るクリック音も含め、似過ぎな気もする。逆に言えば、iPodユーザーがUIを見て戸惑うことはほとんど無いともいえるが……。

再生画面。左がZen Micro、右がiPod mini。画面デザインが非常によく似ている
ライブラリ検索画面 検索画面からブックマーク登録が可能

DJ機能

 検索メニューの「レコーディング」は本体録音したFMやボイスの再生モード。「ブックマーク」は本体で作成した再生リスト順に再生する機能だ。ブックマークへの登録は、曲の再生中に、タッチパネル右下のオプションボタンをクリックし「ブックマーク保存」で登録を行なう。

 面白いのは「DJ」機能だろう。本日のお勧めアルバム/オールシャッフル/よく再生するトラック/再生していないトラックの検索モードから楽曲を自動的にリスト再生するものだ。

 オールシャッフルは完全シャッフル機能。また、お勧めアルバムは、その名のとおりお勧めのアルバムを再生するモードだ。どういうアルゴリズムで再生アルバムを選択しているのか良くわからないが、比較的再生頻度の高いアルバムが優先的に選択されているように感じた。

リモコン iPodのリモコン

 リモコンは、クリップ付きのシンプルなもの。表面に再生/停止、曲送り/戻し、ボリュームボタンを装備。側面にHOLDスイッチと、MENUボタンを装備する。液晶が無いのでアルバム/アーティストの検索や変更は行なえないが、基本的な再生操作には充分だ。

 本体でFMラジオを選択していれば、プリセット局の変更も行なえる。また、モードボタンでFMとトラック再生の切り替えも可能だ。



■ ヘッドフォン一新! 音質も良好

付属のイヤフォン iPod付属のイヤフォン

 Zen Microの大きな進化点のひとつとして挙げられるのは、ヘッドフォンが一新されたこと。

 MuVoシリーズをはじめ「Creative製オーディオプレーヤーの付属ヘッドフォンはクセが強すぎる」、と何度も書いてきたが、ようやく新ヘッドフォンとなった。デザイン的にはiPodの付属ヘッドフォンに良く似ているが、質感も悪くない(イヤーパッドを外すとだいぶ安っぽいが)。音的にも低域こそやや不足を感じるものの、クセのない素直なものになった。飛びぬけて高音質というわけではないが、付け心地も悪くない。そのままでも充分使えるクオリティになったというだけでも、前のヘッドフォンに比べると大きな前進だ。

 ヘッドフォンを変更しても、S/Nが高く、低域から高域までそつなく出力される。iPod miniと比較すると、低域の量感や中高域のヌケのよさなどが感じられた。ソニーのNW-HD3には中域に押しの強さと、独特の勢いがあったが、Zen Microはよりニュートラルで落ち着いた印象。飛びぬけて個性的な部分は無いが、バランスよくまとまっており、特に不満を抱くようなことも無かった。

 イコライザはアコースティック/クラシック/ディスコ/ジャズ/ニューエイジ/ポップス/ロック/ボーカルの8モードのプリセットを用意。5バンドのカスタム設定も可能となっている。


 電源は取り外し可能なリチウムポリマーバッテリで、連続再生時間は約12時間。連続シャッフル再生したところ、約11時間弱で再生停止した。充電はACアダプタとUSBに対応。ACアダプタの接続端子はミニUSB端子になっており、本体のUSB端子から充電できる。充電時間は3時間(ACアダプタ)/5時間(USB)。充電端子が標準的なミニUSB端子なので、パソコンとUSBケーブルさえあれば、どこでも充電できるのもありがたい。

 リチウムポリマーバッテリは交換可能。ポータブルHDDプレーヤーでバッテリ交換可能なのはCreative製品ぐらいなので、バッテリ駆動時間や充電の容易さに重きを置く人には非常に魅力的といえるだろう。

 FMチューナ機能も搭載し、ADPCM形式でのステレオ録音も可能となっている。また内蔵マイクによるボイスレコーディングも可能で、感度はイマイチだが、メモ程度には充分使える。なお、内蔵マイク録音時にはモノラルとなる。


ACアダプタの端子はUSB ボイスレコーディング機能も装備


■ 結構便利なOutlook連携機能

CreativeシンクマネージャーでOutlook同期を実現

 Zen Microの大きな特徴のひとつとしてOutlookとの連携機能も挙げられる。MacintoshではiPodとiCalでのスケジュール/住所録連携機能があるが、Windows環境でこうした機能を搭載しているプレーヤーは少ない。Outlookでスケジュール管理を行なっている身には、非常に魅力的に感じた。

 Outlook連携は同期ソフト「Zen Microメディアエクスプローラ」のシンクマネージャ機能を利用する。メディアエクスプローラで、Outlookの「連絡先」、「予定表」、「仕事」から同期する項目を選択するだけで転送が完了する。また、連絡先はOutlook Expressのアドレス帳との同期も可能だ。


オーガナイザー画面。予定表や仕事などが閲覧可能

 転送が終われば、連絡先や予定表の使い勝手は非常にシンプル。連絡先は50音順に表示するが、人名順のため、会社名などで登録し、人名を空欄にしていると検索画面で確認できないのが残念なところ。

 予定表は1カ月のカレンダーを表示し、任意の日付を中央のスクロールパッドで選択することで、当日の予定が確認できる。会合や取材の予定などを入力して出先で会場などを確認、といった時には非常に重宝する。

 なお、「仕事」を同期してその日に何も入力していないと、予定表上で「仕事なし」と表示される。忙しいときにスケジュールをチェックして、「仕事なし」といわれるのは心外だ。仕事の同期をやめればいいだけなのだが、完全に利用していないわけでもないので、そうもいかない。「仕事」が無いときは何も表示しなければいいと思うなど、細かい制限があるものの、個人的にはOutlook同期機能は非常に魅力的。

 なお、パスワードロックなどのアクセス制御機能がないため、登録情報にはセキュアはまったくないので、くれぐれも紛失などには気をつけたい。

予定表は2カ月分が確認できる 当日の予定などが確認できる。「仕事なし」はどうにかして欲しいところ 連絡先



■ iPod miniの強力なライバルが出現!

 オーディオプレーヤーとしての基本機能は充実しており、音質なども抜け目ない。MuVo2シリーズでは「シリコンの延長」という印象が強かったインターフェイスも一新され、完成度を高めている。カラーバリエーションも豊富で選ぶ楽しみを含めて、魅力的な製品だ。1インチプレーヤーは、Rio Carbonや、M:robe(MR-100)なども発売されているが、iPod miniにとっては、かなり強力なライバルが出現した。

 価格は32,800円とiPod miniの28,140円と比較するとやや高めだが、iPod miniに対しても機能的には強力なアドバンテージがあり、音質も比較的高い。4GB(iPod mini)と5GB(Zen Micro)というHDD容量の違いも大きい。曲検索などの使い勝手以外はデザインも含めてZen Microのほうがベターと感じる。

 オーディオプレーヤーとしての完成度を高めつつ、Outlook連携などの簡易PDA機能(iPod miniもMacを使えば可能だが)などで差別化を図った意欲的な製品だ。HDDプレーヤーの次世代像として、ビデオやフォト対応がトレンドとなっているが、PCと連携するというHDDプレーヤーの特色を生かしたという点で、今後のオーディオプレーヤーの流れの1つとなることを期待したい。


□クリエイティブメディアのホームページ
http://jp.creative.com/
□製品情報
http://jp.creative.com/products/product.asp?category=213&subcategory=214&product=10795
□関連記事
【11月10日】クリエイティブ、10色カラーの5GB HDDプレーヤー「Zen Micro」
-タッチパッド採用、リモコンも付属。Outlookとの連携機能も搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041110/creat1.htm
【3月8日】【新プレ】国内発売に先駆けて米国版を試す「Apple iPod mini」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040308/npp63.htm

(2004年12月10日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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