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第159回:日本語音声が収録されるも、DVDとしての満足度は? |
怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。 |
ナイトライダー シーズン1 コンプリートDVD-BOX |
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価格:17,800円 発売日:2004年12月17日 品番:UUSD-70102 仕様:片面2層8枚組み 本編収録時間:約142分(本編)/約88分(特典) 画面サイズ:4:3 音声:英語(ドルビーデジタル2.0ch) 日本語(ドルビーデジタル2.0ch) 字幕:日本語/英語/スペイン語/ポルトガル語 発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン |
'80年代に大ヒットした海外ドラマ「ナイトライダー」。日本で放送されていたろは、ちょうど中学生ぐらいだったと記憶しているが、当時通っていた中学校で「ナイトライダーごっこ」というわけのわからない遊びが流行っていたことが懐かしく思い出される。
現在でも、自動車がしゃべるとか、知能を持つという技術が出てくると、必ずといっていいほど「ナイトライダー(K.I.T.T.)を実現」と引き合いに出される。そのあたりは、人型ロボットにおける「鉄腕アトム」と同じだろう。
また放送されていた当時は、LEDが左右に流れるカーアクセサリーを「ナイトライダー」と称して、よく売っていた。さらに、今でもWeb上で、実際に個人で「ナイトライダー」を作っている人を見かけたりする。
「ナイトライダー」に子供心を鷲づかみにされた当時の子供達は、既に自由にお金を使えるようになった。ということで、DVD化を熱望する声も大きくなったが、なかなか実現しなかった。現在の「ER」や、「SEX and the CITY」などは、制作時からDVDなどのパッケージメディアでの展開が想定されているので、DVD化もそれほど問題なくすんなりいく場合が多い。
しかし、'90年代より前の海外ドラマだと、日本で放映する時に順番がばらばらになったり、音楽が変わったり、大幅な編集が入ったりしていることも少なくない。そのため、DVD化する際に権利関係はもとより、日本での放送時に短くしてしまったため、日本語吹き替えが足りなかったりする問題も発生する。また商習慣上、映画よりもTV番組のパッケージ化の方が、権利関係の処理が大変ということもある。
そのため、「はたしてDVD化される日がくるのだろうか?」と思っていたのだが、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンが2003年9月に、代表的な6話を抜粋したDVD-BOX「ザ・ベスト・オブナイトライダーKITT BOX」を11月に発売すると発表。待望のDVD化にかなり盛り上がったのだが、発売も近づいた11月に日本語吹替え音声を収録しないという仕様変更が発表され、落胆させられることになった。
個人的には野島昭生のK.I.T.T.、佐々木功のマイケル・ナイト、中村正のデボン・マイルズでなければ、「ナイトライダー」とは思えない。結局、このBOXを購入することはなかった。
そして、ついに12月17日に日本語吹替え音声を一部収録した「ナイトライダー シーズン1 コンプリートDVD-BOX」が発売された。全22話収録で、17,800円(809円/話)と安くはない上、日本語吹替え音声を“一部収録”というのが気になるが、今後これ以上進展があるともあまり思えないので、購入してしまった。
BOXケースには最近多いデジパックではなく、トールケースを4個収納。最初に店頭で見たときには、DVD4枚で17,800円は高いと思ったのだが、各トールケースに2枚づつの計8枚セットになっている。なお、トールケースはAmary Doubleではなく、ケースの両側に1枚づつ収納するタイプとなっている。
■ なぜか、パイロット版はDISC7に収録
極秘潜入調査中に、マイケル・ロング秘密捜査官(ハッセルホフ)は、顔面に銃弾を受け瀕死の重傷を負ってしまう。しかし、大富豪が設立したナイト財団から外科手術で新しい顔と身分を与えられ、マイケル・ナイトとして生き返る。
さらにナイト財団から、人工知能「K.I.T.T.」を搭載し、人間の言葉を話し、戦車並の防御力を持ったスーパー・カー「ナイト2000」も提供される。マイケルは、ナイト財団の創始者ウィルトン・ナイトの遺志を継ぎ、ナイト2000とともに、法の目を逃れる凶悪な犯罪者たちに立ち向かう……。
実は今回のBOXを購入して改めて観るまで、このバックストーリーはすっかり忘れていた。ちなみに、このエピソードは、DICS7に収録されている「電子頭脳スーパーカー誕生」だ。米国で'82年9月に、パイロット版として放送されたものだが、このBOXでは各DVDの収録時間の調整のためか、最も最初の作品がDICS7に収録されいているという奇妙な状態になっている。
なお、ナイトライダーは、アメリカで'82年から'89年にかけて90話を放送され、日本では'84年にテレビ朝日系の「日曜洋画劇場」で登場し、'87年よりテレビシリーズの放送が始まっている。
基本的には一話完結なので、どのエピソードから観ても問題ない(ナイト2000の機能がバージョンアップするので、その点は前後するが)のだが、「電子頭脳スーパーカー誕生」だけは、一番最初に見たいところ。しかし、そのことは、DVD-BOX中にはどこにも案内がされていないいのは不親切だろう。
作品全体を通して、'80年代らしくいかにもアメリカぽい派手なシーンが多い。ハッセルホフの綺麗にカールしたヘアースタイルや、暑そうなのに皮ジャンにブーツという姿だったり、米国で受けそうな、見事なハンサムさも輝いている。
番組では、必ずK.I.T.T.とナイトとの掛け合いがありユーモアが形作られる。オリジナルのK.I.T.T.の声は重みのある声質だが、日本語の吹き替え(野島昭生)では軽めで、雰囲気にあってると思うのは、日本人だからだろうか。
なお、今回のDVD-BOXには第1シーズンの全21話に加え、'91年制作の「新ナイトライダー2000」が収録されている。新ナイトライダー2000は、数年前にテレビ東京で放送されている時に観て、ハッセルホフがちょっと中年太りしていて悲しくなったことを覚えている。収録されているタイトルは、下表のとおり。全収録時間は計約1,168分に及ぶ。
タイトル | 日本語 吹き替え 音声 | 収録時間 | |
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DISC 1 | 重戦車砲撃綱大突破 | ○ | 約49分 |
荒野の大戦争!地獄の暴走族 スコーピオン対ナイト2000 | ○ | 約49分 | |
炸裂サミーの壮絶スタントショー | × | 約49分 | |
DISC 2 | 死の山荘脱出作戦! ナイト2000殺しのバリケード大突破!! | ○ | 約49分 |
命をつなぐ水 渓谷の水を守りぬけ! | × | 約49分 | |
デボン逮捕!決死の脱獄 迫る巨大トレーラー!橋上の対決 | ○ | 約48分 | |
DISC 3 | 激闘!善と悪2台のナイト2000 | ○ | 約48分 |
決死の替え玉作戦!ナイト2000凶悪武装軍団(秘)計画を暴け!! | ○ | 約49分 | |
消えた証人を探せ!ナイト2000波止場の大激突!! | ○ | 約49分 | |
DISC 3 | 激闘!善と悪2台のナイト2000 | ○ | 約48分 |
決死の替え玉作戦!ナイト2000凶悪武装軍団(秘)計画を暴け!! | ○ | 約49分 | |
消えた証人を探せ!ナイト2000波止場の大激突!! | ○ | 約49分 | |
DISC 4 | 潜入!殺人アカデミー テロリストの野望を砕け | × | 約49分 |
大統領暗殺犯を追え!記憶喪失の美女の謎 | × | 約49分 | |
闇の武器商人を追え!マイケル決死の潜入捜査! | × | 約48分 | |
DISC 5 | 爆殺!狙撃!事故続出!恐怖のサバイバルレースに勝て!! | ○ | 約49分 |
殺しの暗号トパーズの謎!大追跡!ジェット機に飛び乗れ! | ○ | 約49分 | |
偽礼大量生産!!平和な町にはびこる組織犯罪 | × | 約49分 | |
DISC 6 | 激突!キット対マイケル 悪魔の洗脳!奪われたナイト2000 | ○ | 約49分 |
危機一髪!ナイト2000 窮地の女性を救え! | × | 約49分 | |
陰謀を暴け!トラック乗りを狙う強盗 | × | 約49分 | |
DISC 7 | コンピューター泥棒を追え!ナイト2000大追跡ジャンプ!! | ○ | 約49分 |
電子頭脳スーパーカー誕生 | × | 約96分 | |
DISC 8 | 死の銃撃戦!マイケル・ナイト2000 | × | 約49分 |
新ナイトライダー2000 | × | 約95分 |
■ ナイト2000と、BTTFのデロリアンのデザインは同じデザイナー
22作品のDVD Bit Rate Viewerでみた平均ビットレートは、おおよそ6~7Mbps。23年前にスタートして7年続いた番組なので、最初の「電子頭脳スーパーカー誕生」では、全体的に色がツブレ気味で、画質が荒れている箇所もあるがしかたないところだろう。しかし、全体的にはノイズが少なく、クリアな画質に仕上げている。昔のTV番組であることを考えれば十分な画質を確保している。
ただ残念なのは最も新しい、'91年に制作された「新ナイトライダー2000」の画質があまりよくないこと。破綻しているほどではないが、全体にノイズが乗り、エッジに偽色が出ている。銀残しとか、そういった表現手法を越えているという印象だ。それより古い作品の方が、フィルム収録の奥行きのある質感が出ていた好印象だった。
音声は英語、日本語ともにドルビーデジタル2.0chで、ビットレートは192kbps。テレビ番組なので、迫力の音響というわけではないが、あの懐かしいテーマソングが聴けるだけでも嬉しい。音質や画質は一部の作品で気になるものもあるが、20~30型のTVサイズでみる分には、それほど不満は感じないだろう。
このDVD-BOXで、なによりも残念なのは、22作品中11本、つまり半分の作品に日本語吹き替えが入っていないことだ。日本語吹き替えが収録されていない作品は、日本で放映されていないか、あるいは日本語吹き替えでなく字幕で放映されたため(新ナイトライダー2000など)、日本語吹き替え音声が存在しないからという事情は理解できる。
しかし、同じBOXの中で収録されている作品で、日本語吹き替えが付いたり、付かなかったりするのは非常に観づらい。もちろん、すべて字幕で観ると割り切ってしまえばいいのだろうが、それはそれでこのBOXの魅力が半減するように思う。また、DVDのメニューも英語のみで、字幕にスペイン語やポルトガル語が収録されていることからも、同じ仕様で世界中に出荷されるのだろう。
映像特典はDISC1~7に、1つづつ収録されている。しかし、特典も全て英語のみ。日本語音声も字幕もなし。付属の19ページの小冊子に対訳が用意してフォローしている。この点も、がっかりさせられた。特典のタイトルは、下表のとおり。ボリュームはあまりないが、内容は興味深いものが多かった。
特典のメインは「KNIGHT RIDER:UNDER THE HOOD」。2004年に収録されているようなので、ハッセルホフ('52年生まれ)は50歳を越えていることになる。
この中で、ハッセルホフはナイトライダーとの出会いについて、「台本を読んで、電撃的な出会いを感じた」と表現している。また、テーマ曲を留守電メッセージの中に使用していることも明かしている。
ライター/クリエター/エグゼクティブプロデュサーのグレン・A・ラーソンは、「も1人の番組の主役は、'82年型ポンティアック。ターボジェット後輪駆動2ドアクーペのトランザムに心を決めていた。アメ車としては、珍しかった美しいボディラインに魅せられた」と語っている。 番組がヒットし、「番組のファンがポンティアックの販売代理店で、ナイトライダーと同様のスキャナー、フロント、ダッシュボードを装備したトランザムが欲しいと騒ぐものも少なくなく、困り果てたポンティアックは、番組のプロデュサーに、番組に起用されている車がトランザムであることを伏せて欲しいとお願いしに来た」というエピソードも明かされている。
ちなみに、当時ナイトライダーのイラストが描かれたランチボックスが発売され、現在はスミソニアン博物館に展示されているということだ。
また、スタント車は時速160マイルで走行する車、3秒で時速60マイルに加速する車、長い距離を飛ぶ車、短い距離を飛ぶ車、泥のシーンに使う車、炎のシーンに使う車と数多くの種類があったという。
さらに電子頭脳スーパーカー誕生に、ハッセルホフと、ラーソンのオーディオコメンタリーを収録。約23年前の作品を観ながらなので、昔話に花が咲くおやじ状態で、ジョークも連発。ラーソンがオーディションで主役にハッセルホフを選んだ理由を「ギャラが安かったから」というと、ハッセルホフは「所詮、昼メロ役者だったからな」と応じたり、「このパイロット番組に出演した人の8割は、すでに死んでいるな」とか、本当だか、冗談だかわからない話が繰り広げられる。
コメンタリーの中で「当時、世間への発表を控えていたポンティアックの新型モデルを使うことにした。製造ラインにあった最初の2台をもらってきた。他の販売代理店などとの取引が決まっていたそうだが、ポンティアックがこの番組に興味を持ち、最初の2台をプレゼントしてくれた」と舞台裏が明かされる。
また、ナイト2000の外装・内装デザインは、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のデロリアンも手がけた、マイク・シュフェイが裏方として作り上げたということも語られる。コメンタリーの最後に、ハッセルホフ「K.I.T.T.迎えに来てくれ、おまえと新シリーズを作りたいんだ」と話していたのが印象に残る。 そのほかには、ナイト2000の撮影について、スタントコーディネータのジャック・ギルが解説する「KNIGHT MOVES」も興味深い。特にナイト2000を無人で動いているように見えるように、シートの中に隠れてアクセルやブレーキ操作をしていたということには驚かされた。シートに隠れているところに、ハッセルホフが乗り込んだ場合はどっちが操縦するかで何度ももめ、シートの下からハッセルホフを小突いたりしていたという。
また、K.I.T.T. OWNER'S MANUALは、コントロールパネルが3画面に渡って表示され、カーソルで選択すると、説明が表示されるという趣向だ。面白いコンテンツだが、ここも全て英語で表示される。詳細は、小冊子の対訳と見比べながらということになる。
特典タイトル | 特典内容 | |
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DISC 1 | KNIGHT RIDER:UNDER THE HOOD(約16分) | デヴィッド・ハッセルホフ、ライター/クリエター/エグゼクティブプロデュサーのグレン・A・ラーソン、「ナイトライダー・レガシー」の共著者 ジョー・ヒュースらのインタビュー映像 |
DISC 2 | K.I.T.T. OWNER'S MANUAL | K.I.T.T.のマニュアル。コントロールパネルが3画面に渡って表示され、カーソルで選択すると、説明が表示される |
DISC 3 | BLUEPRINTS GALLERY(約3分) | 牢獄、ナイト財団邸宅、ナイト・トラックの図面を見ることができる |
DISC 4 | PHOTO GALLERY(約3分) | 撮影現場でのスチール写真集 |
DISC 5 | KNIGHT MOVES(約6分) | ナイト2000の撮影について、スタントコーディネータのジャック・ギルが解説 |
DISC 6 | KNIGHT SOUNDS(約6分30秒) | ナイトライダーの音楽について、メインテーマなどを作曲したスチュー・フィリップスらが解説 |
DISC 7 | "KNIGHT OF THE PHOENIX" COMMENTARY WITH DAVID HASSELHOFF AND WRITER/CREATOR GLEN LARSON | 電子頭脳スーパーカー誕生のデヴィッド・ハッセルホフと、グレン・A・ラーソンによるオーディオコメンタリ |
■ 50歳を越えたナイトに会える。ファンなら買っておきたいが……
前述のように、日本語吹き替えが半数しか収録されていなかったり、特典も日本語化されていなかったりと、作品に対する“愛”がないと感じる部分も多いが、映像特典で50歳を越えたナイトを見ることができたのは、収穫だった。
ファンなら購入して損はないと思うが、残念な部分は残る。内容的には今現在の男の子が観ても面白いとも思うだろうが、その場合でも日本語吹き替えがあった方がいいのは確か。この点は、なんとかならないものだろうか……。
また、今回のBOXは「シーズン1」と銘打たれているので、売れ行きが悪くなければ順次、全90作が全てDVD化されることを期待したい。
●このDVDについて |
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前回の「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 特別版」のアンケート結果 総投票数856票 | ||
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□ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンのホームページ
http://www.universalpictures.jp/
□製品情報
http://www.universalpictures.jp/knightriderseasononebox/
□関連記事
【2004年9月10日】ユニバーサル、「ナイトライダー」と「Aチーム」を再DVD-BOX化
-第1期シリーズ全話を収録、日本語音声も収録予定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040910/upj.htm
【2003年11月13日】ユニバーサル、DVD「ナイトライダー」、「Aチーム」の音声仕様を変更
-日本語音声を省略して英語のみに
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031113/upj.htm
【2003年9月24日】ユニバーサル、'80年代の米国TVドラマシリーズをDVD化
-ナイトライダーや特攻野郎Aチーム、超人ハルクなど4作品
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030924/upj1.htm
(2005年1月24日)
[AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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