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第160回:ゾンビは強力に、ホラー色は後退 |
怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。 |
バイオハザード II アポカリプス デラックス・コレクターズ・エディション |
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価格:4,179円 発売日:2004年1月26日 品番:TSDD-34799 仕様:片面2層2枚 収録時間:本編約94分 特典約104分 画面サイズ:シネマスコープサイズ(スクイーズ) 音声:1.英語(ドルビーデジタル5.1ch) 2.英語(DTS) 3.日本語(ドルビーデジタル5.1ch) 字幕:日本語/吹替用/音声解説 発売元:ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント |
DVD「バイオハザード II アポカリプス」は、ミラ・ジョボビッチ主演のアクションホラー映画。カプコンの人気ホラーアクションゲーム「バイオハザード」を実写化した前作のヒットは記憶に新しいが、予算も人員も大幅アップして、昨夏公開された。
映画は大ヒットとは至らないようだったが、もともとのバイオハザード(米国では「RESIDENT EVIL」)もDVD化以降にファンをつかんだ。本作では、テレビCMなどのDVDのプロモーションも気合が入っており、店頭でも平積みされていた。
今回発売となった「バイオハザード II アポカリプス デラックス・コレクターズ・エディション」は、本編ディスクと特典ディスクの2枚組み。先着購入特典として、数量限定で非売品の「バイオハザード II アポカリプス を10倍楽しむスペシャルDVD」がプレゼントされるらしいのだが、28日に都内の量販店で購入したときには既に配布終了していたようで、手に入らなかった。
なお、発売元は、前作の東芝デジタルフロンティアからソニー・ピクチャーズ エンターテインメントに変更となっており、同時に発売された前作とのセットパッケージ「バイオハザード&バイオハザード II DVDツインパック」は両社が発売元となっている。
監督はアレクサンダー・ウィット。脚本は前作で監督/脚本を担当したポール・アンダーソン。出演はミラ・ジョヴォヴィッチ、シエンナ・ギロリー、シャレッド・シャレッド・ハリスほか。
■ ホラー色が後退し、迫力アクション映画に
前作「バイオハザード」は、「T-ウイルス」という謎の生物兵器の漏洩により、人々が次々にアンデッド(ゾンビ)化。ミラ・ジョヴォヴィッチ扮する主人公のアリスが、ゾンビで溢れる研究施設「ハイブ」からの脱出を試みるというストーリーだった。
「バイオハザード II アポカリプス」は、ストーリ的にも繋がっており、ハイブからの脱出で力尽きたアリスの目覚めから始まる。アリスが意識を取り戻したのは「T-ウィルス」を開発した「アンブレラ・コーポレーション」の地上研究施設の中だった。
しかし、その研究施設からウィルス汚染が拡大、アリスが目覚めた頃にはラクーンシティ全域が、既にウィルスに汚染されゾンビが徘徊する街となっていた。感染の拡大を恐れラクーンシティは閉鎖。逃げ場を失った人々は逃げ回るが、街は徐々にゾンビに支配されていく。アリスは腕利きの警官であるジル(シエンナ・ギロリー)などと、ゾンビに立ち向かう。
そこへ、全ての元凶であるウイルスを発明した博士から電話が入る。彼は街が4時間後に爆破されることを告げるとともに、アリス達の脱出を手引きする代わりに、自分の娘の救出を要求する。取り残された特殊部隊のオリヴェイラ(オデッド・フェール)らと協力し、脱出を試みるが、そこに、実験により極限まで能力を高め、人間の制御下に置かれたアンデッド「ネメシス」が立ちはだかる。
前作では、ハイブのスタッフがゾンビ化。信頼していた仲間が、ゾンビ化して敵に代っていくという愛憎劇がひとつの重要なテーマになっていたが、本作ではゾンビへの変異という要素はさほど重要視されていない。アリスとネメシスの対決ということになり、この2者の対決シーンが本作の最大の見せ場となる。
地下から市街地に活動エリアが拡大されたことで、アリスらのアクションは益々派手に、そしてパニック状態の市民、さらに冷酷なオムニトロン社上層部の姿などのさまざまな要素が追加される。アクションや、エキストラの数など、スケール感は前作よりもはるかに高まっているが、アクションホラーやスプラッタ色は、前作よりは弱まっており、「ちょっと気持ち悪いゾンビが出てくるアクション映画」という印象だ。
そうした意味では前作より間口は広くなったようにも感じる。しかし、地下のハイブで追い詰められていく、絶望的な状況の緊張感は前作の方が高い。また、本作でアリスが群を抜いて強くなりすぎていることも、安心して観ていられれる要因かもしれない。
■ 恐怖を煽るサラウンド効果
映像は、シネマスコープをスクイーズ収録。画質は良好で、青寄りの色調が、適度な未来感とゾンビに囲まれた街の閉塞感をうまく演出している。ミラ・ジョヴォヴィッチらの肌も青寄りなのだが、その色が本作の雰囲気には非常に良く合っていると感じる。夜の街や墓地、教会など、全編を通して暗いシーンが続くが、暗部の階調はしっかりと表現され、見通しが良いのが印象的だ。
DVD Bit Ratge Viewerでみたの平均ビットレート |
平均ビットレートは6.55Mbps。本編が約94分で、別途特典ディスクが付属する割にはさほど高くないが、画質では不満はほとんど感じなかった。音声は英語をドルビーデジタル5.1ch(384kbps)とDTS(768kbps)の2種類、日本語はドルビーデジタル5.1chのみ収める。
主にDTSで聞いたが、硬質な音は前作を踏襲し、シャープな音像が気持ちいい。最大の聞かせどころは教会でのゾンビとの対決シーン。前作でも登場した4ツ足のゾンビをさらに強化したような新ゾンビが教会内を飛び回るシーンは、リアチャンネルを派手に効かせた音作り。高速移動の感触が鋭い移動感を伴って表現される。
前作の舞台は地下だったが、本作では地上に出たこともあり、市街戦や爆発シーンの音響もだいぶ派手になった。その分前作に感じたゾンビがゆっくりと倒れこむような鈍い低音などが、さほど怖くなくなったようにも感じるが、誰もが楽しめるアクション大作らしい音作りになったと思う。
本編ディスクに特典として、製作スタッフ、キャスト、脚本家&プロデューサーの3種類の音声解説を収録。また、ゲームの予告編や、オリジナル劇場予告編なども収めている。
特典ディスクには、メイキング・ドキュメンタリー集、未公開シーン集、NGシーン集、ポスター・ギャラリーなどを収録。メイキングは約50分で、ゲームプランや、視覚効果、ゾンビの振り付けなどについて、キャストやスタッフから語られる。
前作は「ゲリラのようなスタイル」で、比較的低予算で作られたが、「DVDでブレイクしてファン層が拡大したため続編が作れた」とのことで、今作では「よりゲームの世界観にこだわった(製作のジェレミー・ボルト)」という。ジル役のシエンナ・ギロリーも「ゾンビを待つ動きなど、ゲームを参考にした」と語っている。
驚いたのは、ビルから駆け下りるシーンなど、ダイナミックなアクションの多くがCGだと思っていたが、ほとんど実際のアクションとCG、ミニチュアなどを組み合わせているという点。もちろんゾンビなどではCGも多用しているのだが、ミラや、マーシャルアーツ経験のあるシエンナやオデッド・フェーなどは、ほぼ全てのスタントをやりたがったため、監督などのスタッフは危険なスタントの見極めに苦労したという。
また、「ゾンビの動き」という項目も面白い。「目の焦点を緩め、まぶたの力を抜き、全ての筋肉を緩める」などの動きの説明や、とにかく人間にくくっついてくる「禅ゾンビ」、流動体になりきった「流動ゾンビ」などの新たな動きについても説明される。もっとも一番面白いのは、Tシャツ、短パン姿のゾンビ候補たちが4日間かけてゾンビの動きを習得している姿かもしれない。
舞台となるラクーンシティの撮影は、トロントで行なったという。中西部の目立たない都市という設定で、シカゴやNYのような市街地を持ちながら、同時に大都会より閉鎖的な雰囲気があるという条件にぴったりだったという。また、トロントでは2003年にSARSが流行したこともあり、映画産業が大打撃を受けたが、そうしたこともあり撮影には非常に協力的で、街の幹線である橋も撮影のために3日間封鎖した明かされている。
■ 迫力のサバイバル・アクションに
ジャケットの背面には「緊迫と衝撃が増殖するサバイバル・アクション」と書いてあるが、ホラー/スプラッタ色が薄くなったことで、比較的ファミリーでも楽しめるアクション映画になった印象だ。
苦戦の伝えられる第2作だが、個人的には娯楽大作として素直に楽しめた。相変わらず、結末にはゾンビ映画らしさも残しており、今後どうやってストーリをつなぎ、どんな展開が待っているのか、次作にも期待を持たせる作品に仕上がっている。
●このDVDについて |
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□ソニー・ピクチャーズ エンタテイメントのホームページ
http://www.sonypictures.jp/
□「バイオハザード II アポカリプス デラックス・コレクターズ・エディション」の製品情報
http://www.sonypictures.jp/homevideo/residentevilapocalypse/title-navigation-1.html
□「バイオハザード&バイオハザードII DVDツインパック」の製品情報
http://www.sonypictures.jp/homevideo/catalog/catalogDetail_JPDVDBP-199.html
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【2003年1月28日】【DVD】ゾンビまみれで心拍数急上昇!!
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(2005年1月31日)
[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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