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高音質がウリの国産フラッシュプレーヤー ケンウッド「M256A3」 |
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発売日:2月下旬 標準価格:オープンプライス 実売価格:14,800円(256MB) 19,800円(512MB) |
■ “高音質”を謳う国産フラッシュオーディオプレーヤー
iPod shuffleの登場後、にわかに脚光を浴びたフラッシュオーディオプレーヤー市場。しかし、その中にMDやCDプレーヤー市場で中心となった国産メーカーの姿はほとんどない。アップル以外のメーカーも、クリエイティブ、アイリバー、iAUDIO(バーテックス リンク)、Rio、MPIO(アドテック)などの海外勢が主流となっており、時折ソニー/アイワ製品を見かける程度という状況だ。
パッケージはシンプルなデザイン |
HDDプレーヤーについては、ソニーのほかに東芝やオリンパスなどの国産メーカーも発売しているが、フラッシュメモリプレーヤーについては、ほぼ海外勢がしめる市場といってもいいだろう。そうした状況下でケンウッドがデジタルオーディオプレーヤー市場への参入を表明。第1弾としてフラッシュオーディオプレーヤー「M256A3(256MB)」、「M512A3(512MB)」を2月末より発売する。
実売価格は512MBモデルで19,800円前後、256MBモデルで14,800円前後。同社では「オーディオ専業メーカーならではの高音質をユーザーに訴求していく」ということからも、音質には期待が持てそうだ。
なお、512MBモデルはホワイト(-W)/ブラック(-B)/オレンジ(-D)/ブルー(-L)の4色のカラーバリエーションを用意。256MBモデルではホワイト(-W)/ブラック(-B)の2色をラインナップする。今回は256MBモデルのブラックを試用した。
■ 本体の質感は高いが既視感のあるデザイン
同梱品 |
パッケージは小型で、デジタルオーディオプレーヤーにありがちな派手さとは無縁のシンプルなデザイン。付属品もヘッドフォンとネックストラップ、USBケーブル、単4電池というシンプルなものだ。
ボディの仕上げはとても良く、光沢ある表面塗装と高い工作精度は国産ブランドらしさを十分に感じさせる。とはいえ、よくよく見てみると、どこかで見覚えのあるデザイン。Creativeのフラッシュプレーヤー製品にそっくり……。調べてみると本体デザインもCreativeの国内未発売製品に非常によく似ている。
ケンウッドによれば、「今冬の発売を目指し、発売時期を第一優先で開発したためパートナー企業と協力して製品化した」としている。しかし、ヘッドフォンは同社のMD/CDプレーヤーで利用していたものをブラッシュアップしているほか、製品の検品も同社の山形工場で行ない、市場流通製品のクオリティの均一化を図ることで、「従来のケンウッドの製品のファンやユーザーにも満足してもらえる製品を目指した」という。
本体前面に液晶ディスプレイ、その右脇に再生停止ボタンを備える。上面には「スライドジョグ」と呼ぶMENUボタン兼ジョグレバー、ボリューム上/下ボタン、HOLDスイッチを装備する。液晶に正対し、左脇にネックストラップホールとヘッドフォン出力、右脇にUSB端子を備える。底面には単4電池を収納できる。
前面に液晶ディスプレイと再生/停止ボタンを備える | ヘッドフォン出力とストラップホールを装備 | PCとの接続はUSB 2.0経由で行なう |
上面にHOLD/MENU、ボリュームボタンを装備 | 底面に電池ボックスを装備 | 背面 |
電源は単4アルカリ電池 | イヤフォンは同社製のMDプレーヤー付属のものを改良。ユニット径は維持しながら大口径化し、音質向上を図った |
iPod shuffle(左)やiAUDIO 5(右)との大きさ比較 |
■ 転送ソフト/操作性ともにシンプル
Kenwood Media Explorer |
PCとの接続はUSB 2.0。MP3ファイルの本体への転送は付属のソフトウェア「Kenwood Media Explorer(以下KME)」を利用する。対応OSはWindows Me/2000/XP。転送のみに機能を絞ったシンプルなソフトで、プレーヤーをパソコンに接続し、Windowsのエクスプローラ的に利用できる。パソコンからはリムーバブルストレージの「Kenwood Media Explorer」として認識される。
オーディオデータの転送は、PCから任意のファイルをKMEにドラッグアンドドロップするだけ。ドロップすると著作権保護フォーマットに変換する旨のメッセージが示されるので、ここでOKとすると転送が始まる。62.2MBのMP3ファイルを転送した際の転送時間は40秒。WMAのDRMもサポートしている。
転送されたMP3/WMAファイルは、暗号化され拡張子が.kxmとリネームされる。このファイルを転送元のパソコンに書き戻し、拡張子を[.mp3]に戻しても再生できなかった。
データディスクとしてはUSBストレージクラスに対応しているが、KMEで転送したファイル以外はプレーヤー側から認識されない。USBストレージとして利用し、上記の62.2MBのMP3ファイルを転送した際は約25秒で転送終了した。暗号化のために転送速度は2/3以下になってしまっているが、ストレスを感じるほど遅いわけでもない。なお、同じMP3ファイルをiTunesからiPod shuffleに転送した際の転送時間もKMEと同じ40秒となった。
フォルダのままでの転送も可能だが、ROOTフォルダ以下の1階層までしか認識されない。2階層、3階層のデータを転送する時にも警告メッセージが出ないので、転送したと思ってプレーヤーを起動しても再生できないので最初はとまどった。パソコン上で、[アーティスト名]-[アルバム名]の順でフォルダを作成して管理していると、[アーティスト]のフォルダを転送しても認識されず、[アルバム]を転送すると認識されるということになる。せめてもう2段ぐらいのフォルダ階層には対応して欲しかった。
なお、KMEではプレイリストの転送などには対応しない。基本的に転送後は数字-アルファベット順に再生されるので、アルバムの曲順に再生したい場合はタグ情報を[01]-曲名としておけば問題はない。任意の曲順で作成したい場合はKME上の「カスタムソートボタン」を選択し、ここで曲順を指定する。プレイリストのようにPC上で作成した曲リストを転送するだけで、音楽データを転送する機能も欲しかったところだ。
転送時に著作権保護のための暗号化が行なわれる | 転送ファイルの拡張子は.kxm。フォルダ階層は1階層までプレーヤー側で認識される。複数階層でも転送時に注意がでないのはやや不親切か | カスタムソートで曲順を変更 |
なお、Windows Media Player 10からは転送することはできない。テストしてみるとデータの転送は行なえるものの、いざ再生する段階で本体から認識されない。KMEの作りが気に入らない場合や、プレイリスト機能などを活用できないという意味で、非常に寂しい。個人的にはUSBストレージクラスを使った音楽転送に対応できないのであれば、Windows Media Playerからの転送はサポートして欲しいと思う。
再生画面 |
本体の操作は非常にシンプルで、再生/停止ボタンを1秒強長押しすると、電源が投入される。MENUボタンでミュージックモードを選択し、あとは再生ボタンを押すとROOTフォルダ以下のファイルを再生する。
ミュージックモード時の操作は、MENUジョグの左右で曲のバック/スキップ、左右長押しで曲の戻し/送りが行なえ、ボリュームボタンでボリューム上下が可能。フォルダ階層は、ROOTフォルダ以下の1階層までは認識できるので、MENUボタンを押して[フォルダ移動]を選択してフォルダ間の移動も行なえる。ただし、1階層から認識できないのは重ね重ね残念ではある。対応フォルダ数は最大50個、曲数は最大256曲。
フォルダ階層も1階層は認識できる。日本語表示に対応する | メインメニューで機能を選択 |
曲頭に01-などのナンバーをつけておけばその順番で再生できるので、通常のアルバム再生などには問題ない。プレイリスト機能などは備えていないが、KMEで任意の再生曲順設定を行なっておけば、任意の曲順で再生できる。液晶の表示情報は少なめだが、操作性自体は非常にシンプルなので、特に操作に迷うことはないだろう。もっとも基本操作体系はMuVO NXと同じなので、1年半前にすでに実現されていたインターフェイスではあるが。
MENUボタンを押すとフォルダ移動/再生モード/イコライザ/バスブースト/削除/設定/ミュージック/録音ファイル/マイク録音/FMラジオが選択できる。音楽以外のモードの選択や各種設定はここで行なえる。
再生モードでは、1曲リピート、シャッフル再生などが選択できる。複雑なことはできないが、シンプルな操作体系のため、とまどうことはないだろう。
■ 造りの良いヘッドフォンが魅力
ユニット径を維持したまま大口径化 |
この製品のウリでもある音質については、プレーヤーにほかのヘッドフォンを接続してみても、S/N比が高くバランス良く出力される。基本的なスジのいいプレーヤーと感じる。低域はやや足りない印象もあるが、バスブーストやイコライザの選択でカバーできる。
ヘッドフォンは15mm径のタイプ。iAUDIO製品付属のものにもよく似ているが、ケンウッドのMDプレーヤーなどで従来より採用されていたものをリファインしている。15mm径とさほど大きくはないが、従来モデルのユニットサイズを維持しながらユニット自体を大口径化することで、音質を向上させているという。
実際に聴いてみると確かに音質は良好で、中高域にかけての艶やかさが印象的。「聞いていて、気持ちよくなるような音色にチューニングしている」(同社)。解像感は高いが、ゆったりとした音場感が気持ちよく、プレーヤー付属のイヤフォンとしてはかなり高品位といえる。
イコライザモード |
より大きなユニットを搭載したヘッドフォンを付属して、高音質を売りにする製品もあるが、「以前、音質にこだわって大口径化したこともあるが、女性ユーザーから“耳にはいらない”という声が大きかったこともあり、サイズを維持したままでの高音質化を図った」という。このあたりは国内市場で長くポータブルプレーヤーを手がけてきたが故のノウハウといえるだろう。
イヤフォンも含め音質には満足だが、遮蔽性はさほど高くないので地下鉄などで外部の音を拾いがち。イヤーパッドをつけるなどの工夫が必要かもしれない。また、バスブースト機能も搭載しており、バランスを大きく崩すことなく低域を補強してくれるので、屋外での利用時にはバスブーストONで利用するぐらいがちょうどいいと感じた。
イコライザはロック/ポップス/クラシック/ジャズ/ノーマルの5つのプリセットを用意。5バンドのカスタムEQも備えている。
また、ボイスレコーディングの録音形式は、IMA ADPCM(4bit/8kHz/モノラル)。特徴的なのは拡張子が.kxmとなり暗号化されること。独自形式となるがPCに転送する際に通常のWAVEファイルに変換される。内蔵マイクの感度はさほど良くないが、会議の録音などには十分だろう。FMチューナもオートスキャン機能で簡単に局登録が可能。録音形式はIMA ADPCM形式(4bit/16kHz/ステレオ)で、こちらも.kxm形式となる。
電源は単4アルカリ電池で、駆動時間はカタログ値で12時間(MP3 128kbps)/10時間(WMA 64kbps)。128kbpsのMP3を中心に連続再生したところ約15時間30分で再生停止した。
FMチューナを搭載 | ボイスレコーディングに対応 | 録音したファイルはWAVに変換してPCに転送 |
■ オーディオメーカーの強みを生かした製品展開に期待
新鮮さはあまりないが、シンプルな操作性と音質には好感が持てるところ。他社との協力製品とはいえ、国内メーカーならではの質感の高さと音質へのこだわりや、日本市場ならではのノウハウを随所に感じさせる。
ただ、転送ソフトは単機能で頻繁に曲を入れ替えるなどの用途にはあまり適していない。海外メーカーのようにUSBストレージクラスに対応できないにしても、もう少しライブラリ管理機能を強化してほしい。もしくは、Windows Media Playerからの転送に対応してくれればいいのだが……。
こうしたデジタルオーディオプレーヤーの場合、MDやCDと違って、デジタルオーディオプレーヤーの売り場に行っても知っているメーカーがないという人も多いだろう。市場が成熟するにつれ、国内ブランドの信頼感が重要になり、同社でも40歳代以上の年代へのブランド力を生かした販促展開なども図るようだ。こうした国内メーカーの参入により、市場に広がりが出ていくことを期待したい。
もっとも、オーディオメーカーならではの同社の強みを生かした製品も期待したいところ。ケンウッドによれば、「夏商戦を目処に、カーオーディオやホームオーディオ製品との連係機能を備えたHDDオーディオプレーヤーも企画している」とのことで、同社独自の新しいデジタルオーディオの世界を見せてくれそうだ。
□ケンウッドのホームページ
http://www.kenwood.co.jp/jhome.html
□ニュースリリース
http://www.kenwood.com/j/press/press20050128.html
□製品情報
http://www.kenwood.co.jp/j/products/home_audio/personal/m512a3_m256a3/index.html
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【1月28日】ケンウッド、FM/ボイスレコード対応で16.5mm厚のMP3/WMAプレーヤー
-「高音質」をウリにデジタルオーディオ市場に参入
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【1月13日】ケンウッド、256/512MBのフラッシュプレーヤーを今春投入
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050113/kenwood2.htm
【2004年11月15日】ケンウッド、HDD/シリコンオーディオ市場に来春参入へ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041115/kenwood.htm
(2005年2月18日)
[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]00 | ||
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