■ 家電量販店ではお取り寄せ
そんな中、最近日本で話題を集める動物園がある。それが、日本最北の動物園「旭山動物園」だ。2004年7月と8月の月間入園者数は、上野動物園を抑えて「日本一」を記録したという。その、旭山動物園を紹介するDVD「体験!旭山動物園」が、9月29日に発売された。 前から、旭山動物園には、一度は行って見たいと思っているのだが、さすがに北海道は遠く、なかなか行く機会がない。ということで、DVDの発売情報を目にした時に、予習の意味も含め購入しようと思っていた。 片面1で収録時間も約90分と、DVDの仕様はシンプルだが、価格は2,940円と買いやすい価格に設定されている。しかし、実際に購入しようと家電量販店を巡ると、どこにもない。そもそも流通量が少ないということもあるようだが、結局いつも行っている販売店を何件も回っても在庫がなく、最終的にはTSUTAYAで発見。値引きなしなのは辛いが、なんとか購入することができた。
■ 日本で一番元気のいい動物園 最近、テレビ番組になどに登場することも多い旭山動物園は、北海道の36万都市、旭川市にある動物園。少し前は普通の動物園で、昭和50年代には50万人以上の入園者を集めていたが、その後、全国的に動物園の人気が下がり、旭山動物園もその例外ではなかった。'96年には年間入園者数が。最盛期の半分以下の260,822人にまで落ち込んだ。 危機感を持った旭山動物園では、'86年から勤務する坂東元(現在は副園長)が中心となって、「動物たちが本当に生き生きと過ごせる空間で生きて欲しいという動物への想いと、どうしたら来園者に本当に満足してもらえるかという人間の、両方の視点を大切にした動物園創り」を目指し、大幅な改革を行なった。坂東元副園長は、動物園全体の運営や施設作り、飼育係をまとめ、飼育展示係長や獣医の役割も担っている。 その効果は確実に現れ、'97年の入園者数は306,255人と上向き、その後も右肩上がりで増え続け、冬期開園を導入した'99年に421,884人、2004年には100万人を突破し1,449,474人に達した。2004年の7月と8月は、月間入園者数が上野動物園を超えて「日本一」を記録した。 現在、動物園より水族館の方が人気を集めている中で、特別に珍しい目玉の動物がいるわけでもない動物園が、入園者を増やし続けているというのは、異例中の異例。旭山動物園が人々を引き付ける理由は、動物の見せ方にある。ペンギンは泳いでいる姿を下から見ることができ、ホッキョクグマにはアクリルドーム越しに接近して、餌になった気分が味わえるなどなど、動物が自然に近い形で見ることができる工夫が凝らされている。それも、サファリパーク的なものではなく、現代的なスマートな演出を実現している。 この動物園の工夫を見れば、今まで動物園が入園者を満足させるという視点での工夫がほとんどなされていなかったということに気づかされる。 ただ、DVDでは旭山動物園の魅力が紹介されているが、旭山動物園の歴史や裏側が紹介されるわけではなく、あくまで園内の紹介でガイド的な内容になっている。「ディープ・ブルー」のような、ドキュメンタリ的な重厚な映像を期待していると、少し肩透かしを食うだろう。出演しているのも、「STVズームイン!! SUPER」キャスターの森中慎也、内山佳子と、まさにテレビの情報番組を見ているような感覚だ。 収録されているのは、「ぺんぎん館」、「あざらし館」、「ほっきょくぐま館」、「もうじゅう館」、「さる山」、「おらんうーたん館」など独自のアイディアが詰込まれた施設のほか、「もぐもぐタイム」(エサやり)、ペンギンの園内散歩などのイベント。また、水槽の中にもカメラが潜入している。 登場する動物は、キングペンギン、フンボルトペンギン、イワトビペンギン、ジェンツーペンギン、ゴマフアザラシ、ホッキョクグマ、アムールトラ、ライオン、クロヒョウ、ユキヒョウ、エゾヒグマ、ニホンザル、オランウータン、フタコブラクダ、ドブラ、マルミミゾウ、ペリカン、ダチョウ、エミュー、アカゲラ、ホッキョクギツネ、シロフクロウ、アフリカタテガミヤマアラシ、タンチョウ、アビシニアコロブス、シロテテナガザル、フラミンゴ、オオワシ、シバヤギなど。
■ 画質は良好だが、ハイビジョン撮影で見たかった
DVD Bit Rate Viewerで見た平均ビットレートは5.77Mbps。本編は86分で映像特典もないが、片面1層ディスクということもあり、低めになっている。アスペクト比は4:3。今年制作の作品なので、ぜひハイビジョン撮影で、スクイーズ収録してほしかったところだ。 画質自体は鮮やかで、ブロックノイズやモスキートノイズなどはほとんどなく、安心して見ていられる。ブラン管などの直視ディスプレイで見るのには適している画質だ。ただ、質感や奥行き感は乏しいので、プロジェクタで見ると、あっさりした印象になる。良くも悪くも、画質のよいNTSCのテレビ放送画質といえるだろう 音声はドルビーデジタル2.0chで、ビットレートは384kbps。映像の内容的にも、迫力の大音声ということはなく、普通のテレビ番組を見ているようだ。音楽も重厚なものではなく、軽快な音楽が使われている。
ちなみに、入園料は大人580円、子供(中学生以下)は無料。さらに、2006年3月31日まで入り放題の「動物園パスポート」が1,000円で、上野動物園(一般600円、中学生200円、「年間パスポート」2,400円)より少し安価。民間のアミューズメント施設にくらべれば、圧倒的にリーズナブルだ。
■ 2,940円分の価値はある 価格も2,940円と手ごろで、動物がたくさん出てきて普通の動物園では見ることができないアングルでみることができるので、子供も十分に楽しめるだろう。ただ個人的には、歴史や舞台裏についても、もっと紹介されていると嬉しかった。もう1点残念なのは、やはりハイビジョン撮影ではないことだ。画質もさることながら、やはり16:9の広い画の方が、内容にあっているように思う。 ただ、ドキュメンタリー的な内容を求めている人には向かないが、まだ行ったことがないが旭山動物園に興味を持っている人は、見て損のない内容だ。予習用として最適で、このDVDを見ると旭山動物園に行ってみたくなることは間違いない。
□ビクターエンタテイメントのホームページ
(2005年10月4日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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