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~ シンセ内蔵で使い勝手が大幅に向上 ~ |
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アップルでmusetexの製品発表会が行なわれた |
Digital PerformerはMIDIシーケンスソフトであるPerformerをベースに、オーディオ機能が統合されて進化したMacのDAWで、Logic、Cubaseと並ぶMacの3大DAWのひとつ。特に、古くからMacで音楽制作をしている人にPerformerファンは多く、MIDIの打ち込みでは今でも絶大な支持を集めている。Logic、Cubaseが昔からドングルを必要としている中、Digital Performerだけはドングル不要というのも、使いやすさという面で支持される要因のひとつかもしれない。
そのDigital Perfomerの新バージョンがDP5。最大の特徴は、プラグインではなく、DP5自身に統合されたソフトシンセが6つ搭載された、ということだが、実際どんなソフトに仕上がっているのか試してみた。
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Digital Performer 5、UIなどの変更はほとんどない | パッケージ |
最初にちょっと面食らったのは、こうしたメジャーソフトの大きなバージョンアップではあるが、登場してきたのがPower PC用のアプリケーションであるということ。間もなくIntel Mac版も登場するということだが、やはりまだソフト開発メーカーにとっては、Intel Mac対応というのは大変なことなのかもしれない。そろそろ大きいPower Mac G5も不要かな……などと思っていたが、まだ当面は持っておいたほうが無難のようだ。
DAWもそろそろ機能向上はし尽くした感じであり、それはDigital Performerでも同様。そのため、DAW本体機能としては、前バージョンのDP4.6とはユーザーインターフェイスを含め、あまり変わってはいない。そこでMOTUがとった手段は、使えるバーチャル・インストゥルメント(=ソフトシンセ)の標準搭載。どのDAWでもこうした展開はしているが、DP5ではプラグインではなく、DP5そのものに組み込むという手段をとった。構造的には従来のバージョンと同様、MASとAUの2つのプラグインに対応しているが、新たに搭載された計6つのソフトシンセはプラグインでないため、動作が軽いという。とりあえずPower Mac G5で試したところ、いずれのソフトシンセもサクサク動いてくれた。
具体的には、「PolySynth」「BassLine」、「Model 12」、「Nanosampler」、「Proton」、「Modulo」の6つ。それぞれを簡単に紹介していこう。
PolySynthは見ればすぐに分かるように、Rolandのアナログシンセの最後のモデル、Juno-106をイメージして作られた80年代風のポリフォニックシンセ。確かに、プリセット音を聴くとJunoっぽい感じの音がする。実家に置いてきてしまったので、最近は音を出していないが、昔はJuno-106をかなり使っていたので、PolySynthは馴染みやすく、音作りのしやすい音源だ。
ただ、Juno-106のエミュレータかというと、そうではない。確かにデザインやコンセプトはそっくりだが、DCOのオシレーター数が結構増えている一方、フィルタにLFOがかけられない代わりに、LFO側にビブラートのパラメータが用意されていたりと、少しずつ違う点がある。中でも気になったのが内蔵コーラスだ。DAWを使っているので、あえてソフトシンセ内蔵のエフェクトを使うこともないのだが、Juno-106独特のキラキラサウンドを作り出すコーラスと違うのだ。そんな細かいことに文句を言ってもしょうがないが、音源としてはなかなか使えるシンセである。
BassLineはminiMOOGやProphetなどを彷彿させるモノフォニックのシンセベース。パラメータ数は少ないが、なかなか太い音が出てカッコイイ。とくにローパスフィルタの効きがいいので、いろいろな音が作れる。またこれに搭載されているオーバードライブもうまくマッチしてくれる。
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PolySynth | BassLine |
Model 12はオーソドックスなサンプリング・ドラム。12パートのプログラマブルドラムで、TR-808、909をサンプリングした音色がズラリと並ぶ。とはいえ、テクノサウンド用に限らず、一般的なアコースティックドラムサウンドも数多く収録されているので、ドラム音源としてはオールマイティーに利用できる。また、12パートそれぞれをパラでミキサーに出力することができ、さらに6つのAUXセンドも可能なため、ミキサーとエフェクトを組み合わせることで、かなり多彩な音作りが可能だ。またプリセット音色以外にもAIFF、WAV、SD2のそれぞれのサンプリングサウンドを取り込んで利用することもできる。
Nanosamplerはシンプルな構造のサンプラー。見た目はAKAIを意識した作りになっていて、波形を表示して確認することも可能。最大のポイントは、非常に簡単にサンプリングデータを取り込んで、演奏することができること。パラメータ数は少ないが、かなり手軽かつ便利に活用できるサンプラーだ。
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Model 12 | Nanosampler |
Protonは、2オペレータのFM音源。ただし、YAMAHAのDXシリーズとはかなり違った音源になっている。DXが4オペレータ、6オペレータのFM音源であるのに対し、Protonはオペレータが2つしかない。しかし、このオペレータで発信されるのがサイン波に限定されず、WaveTable方式でさまざまな波形が用意されているので、かなり幅広い音作りが可能なのだ。また2オペレータだから、音作りの過程が複雑になりすぎないのもいいところ。ただ、やはりFM音源なので、組み合わせる波形やパラメータの設定によって、音はドラスティックに変わる。考えて音を作るというよりも、予想外な偶然による音作りという感じではある。
ModuloもPolySynthやBassLineと同様、減算系のシンセサイザ。2つのオシレータを波形表示させながら組み合わせて音を作っていく。作った音の管理が非常にしやすくなっていて、新しくバンクを設けたり、キーワードを入れることができる。
もちろん、これら以外にも、AUプラグインなどを併せて利用することができるが、とりあえずはこの6つだけでも、かなり幅広い音作りが可能なはずだ。
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Proton | Modulo |
目玉は以上6つのソフトシンセの搭載だが、もちろん、ほかにも細かな機能追加はされている。まずはトラックフォルダ機能。これはもう、どのDAWでも搭載されている機能だが、フォルダ構造を階層化できたり、先にまとめるトラックを選択してから、新フォルダを作ることができ、またフォルダトラックはトラック全体がグレーがかった表示になるため、整理しやすいというのもひとつの特徴だ。
メーターブリッジはすべてのトラック、入出力をレベルメータ表示させる機能で、全体のモニタリングが一目でできるのは便利だ。
そのほかにも、オーディオ波形をトリミングしたり、スライドさせるツールが追加されたり、Macのキーボードを鍵盤として利用できるMIDI Key's機能、トラックに入力される音をRecモードにしなくてもモニタリングできるインプットモニタリング機能など、細かな点で改良が施されている。
また5月末に5.01へアップデートされたことで、いくつかあったDP5のバグもつぶれたようだ。
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トラックフォルダ機能 | レベルメータ表示が強化 | MIDI Key's機能 |
なお、気になるIntel Mac対応だが、当初は今年の第2四半期中に出ると発表されていたので、もう間もなく登場しそうだ。すでにDP5を購入しユーザーが無償でアップグレードできるかどうかはまだ発表されていないが、musetexによると、もし有償だとしても「Logic」で行なわれたのと同程度、つまり数千円でのアップグレードになりそうだ。
□ミューズテクスのホームページ
http://www.musetex.co.jp/
□製品情報
http://www.musetex.co.jp/products/motu/dp/dp5/index.html
□関連記事
【1月30日】【DAL】:“Intel Mac”は音楽制作に使えるか?
~ PowerPC用DTMソフトで動作検証 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060130/dal221.htm
【2004年11月29日】【DAL】:「SYNTHESIZER FESTA 2004」レポート
~ MOTUのFireWireオーディオインターフェイスなど ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041129/dal170.htm
(2006年6月19日)
= 藤本健 = | リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。 最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL 2.X」(リットーミュージック)、「音楽・映像デジタル化Professionalテクニック 」(インプレス)、「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。 |
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[Text by 藤本健]
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