ミニレビュー
ソニー、ハイエンドウォークマン3機種を聴いてみた。全てがワンランク上の音に
2026年10月16日 10:05
ソニー・ウォークマンのフラッグシップ「NW-WM1ZM3/AM3」に加え、ハイエンド「NW-ZX900」の3機種が一気に発表された。短時間ではあるが、それぞれ試聴することができたのでファーストインプレッションをお届けする。
3機種ともグレード自体が大幅アップ。前機種上位モデル級に
3機種とも、NW-WM1ZM2、NW-WM1AM2、NW-ZX707の後継機として登場しているが、それぞれグレードが1段階ずつ上がっているような進化を遂げている。
価格も10万円以下だったNW-ZX707に対して、NW-ZX900は215,000円前後、NW-WM1ZM2までは届かないがNW-WM1AM3が347,000円前後、最上位のNW-WM1ZM3は655,000円前後と、昨今の物価変動を越えてグレード自体が大幅に上がったような価格帯になっている。
アップデートを確認するとその理由も理解できる。NW-WM1ZM3/AM3は、システム・メカ構造から大幅に刷新しており、外観だけ見ても大型化したほか、重量も大幅に増加。
NW-WM1AM3はAM2の約299gから約425gに、NW-WM1ZM3に至ってはZM2の約490gから約670gまで重量化し、ミラーレスカメラ「α7V」のボディのみとほぼ変わらない重さになっている。この重量も安定した低域再生を実現するために、最適化したものだという。
電源部にも大容量固体高分子コンデンサーを2基に増やして、デジタル回路とアナログ回路にそれぞれ独立して配置。本体の組み立ても、従来の基板とキャビネットを同じビス穴で締める共締めをせずに、それぞれ独立したボスを立てた「直接ビス締結」を採用している。
NW-WM1ZM3はこれに加えて、音質に作用する部分だけビスにも銅メッキ下地基メッキを採用。内部配線には、「DMP-Z1」に使用した太径キンバーケーブルを採用し、高品質な信号伝送を実現した。
そして、NW-ZX900も金メッキOFCリアシャーシを採用。バッテリーもNW-WM1ZM3/AM3と同じ大容量高音質バッテリーを搭載するなど、フラッグシップ2機種のこだわりの部材を投入。モードに制限はあるが、「S-Master HX IC」の新機能「先読み型ノイズシェーパー」も同様に搭載。こだわるあまり、ミドルクラスの枠には収まらないような、良い意味で“やり過ぎ”なモデルになっている。
音質も前機種上位機相当にパワーアップ。ZM3とAM3は差が歴然に
3機種を試聴するにあたって、それぞれの前機種も用意し、全6機種の音を聴いてみた。一通りザックリと聴いてみた感想は、ZX900はAM2並みに、AM3はZM2とほぼ同等と言って良いような音質に仕上がっている。そして、この2機種とは一線を画すリッチな低域と広い空間を感じさせるZM3という形だ。
ZX900は、高域の抜け方にZX707のニュアンスを若干感じるものの、実際に比較して聴いてみると、低域の響きや空間の広がり方はAM2の方が近い、というかほぼ同等に感じる。価格面もAM2の後継機といった方が納得できるような形ではあるのだが、確実にこれまでのZXシリーズとは別物になっている。
そしてAM3は、全体的にZM2とほぼ同じような聴こえ方になっている。これまで無酸素銅金メッキシャーシや内部のケーブルなどを駆使して作り上げてきた音を、1つ下のモデルで再現できるようになるところまで、電源周りの強化やリアシャーシ、本体設計などで詰めていったことがわかる。低域のリッチさと空間の広がりが前機種のAM2とは段違いだ。
そして、さらに深い低域再生と空間の広さがより明確に見えるようになるのが、ZM3。今回の試聴には、お馴染みの「MDR-Z1R」を使用したが、据置きアンプを使って再生しているかのように感じるほど。コンサートホールの音源ではホールの広さがかなり明確に見えてくる。人の声の存在感もかなり生々しくなる。
技術と音質の進化はめまぐるしいが、買い換えを検討する上でも、従来機と後継機でかなり価格差になっている。3機種ともグレードが変わったかのような進化を遂げているので、1つ下の後継機に乗換えるというのも手かもしれない。
正直この6機種を並べて聴いてしまうと、一番低価格帯のZX707がかなり差を付けられてしまうような立ち位置になるのだが、全て聴いた上で、このZX707の音質はそのまま、OSとバッテリーをアップデートした、10万円程度のマイナーチェンジモデルがあっても良いのではと思うくらいには、魅力のある機種に感じた。下位モデルについては「今後のことは回答できない」とのことだったが、登場を期待したいところだ。



