気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第49回:定番アップスキャンコンバータの新製品
細かいところまでパワーアップ「マイコンソフト XRGB-2plus」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

あのコンバータの新製品

 どんな分野にもパイオニアと言える製品はあるもので、そういう製品は類似製品が多数発売された後もその存在感を示し続ける「定番」というブランド力を持つものです。

 アップスキャンコンバータ分野の定番と言えば、何といっても「XRGB」。しかし、そのパイオニアはずいぶん前の「XRGB-2」を発売以降、モデルチェンジがありませんでした。が、今回ついに新製品が発売されたのであります。それが「XRGB-2plus」であります。

 価格はオープンプライスだけれども、店頭での価格は25,000~29,000円程度といったところ。第47回で紹介した「SmartTV」よりは高額な商品。しかも、TVチューナなどというものは搭載しておりません。プログレッシブ化もされません。

 しかし、「XRGB-2plus」には「SmartTV」にはない魅力があるのです。最大の違いといえばアナログRGB21ピン端子を搭載している所ですが、それはあくまで一番目立つ部分。アップスキャンコンバート、という目的を同じくしながら、アプローチの違いは大きく感じました。ということで、今回はこちらの製品をご紹介いたしましょう。


コンポーネントはじめました

 前モデルとの違いは、なんといってもコンポーネント(D1)入力に対応したところ。これは「SmartTV」にもRCA3ピンで搭載されてました。違うのはアナログRGB21ピン端子。プレイステーション2(PS2)で接続した場合に限られると思いますが、RGB21ピンケーブルで接続した場合でもコンポーネント入力が可能になっております。

 PS2はリモコン対応以降のDVDプレーヤーソフトだと、DVD出力はコンポーネントに強制的に変換されるので、最近のソニー製「WEGA」シリーズテレビに装備されているPSone/PS2との接続端子「AVマルチ」は、「Y色差入力(コンポーネント)」に対応しているのが普通。しかし、当方の保有しておる「WEGA」は「Y色差入力未対応」。RGB21ピンでコンポーネント入力ができるというのは大変便利であります。

 大きな追加点、VGA(640×480ドット)解像度へのアップスキャンに加え、XGA(1,024×768ドット)解像度に新たに対応。オマケにカード型リモコンが付属して、リモコンでの操作も可能になりました。ふむふむ、前モデルで足りなかった部分を補ったバージョンアップのようですな。

 それでは、本体を確認してみましょうか。まず、ディスプレイへの出力用のアナログRGB15ピン出力×1、PC画面をスルー出力させるためのアナログRGB15ピン入力×1。そしてPCからの音声を受けるステレオミニ入力×1と、音声出力用のステレオミニ出力×1。これを本体背面に装備。

 次いで入力端子は、アナログRGB21ピン×1、そしてD1/ステレオRCA×1を前面に、S/ステレオRCA×1と、コンポジット/ステレオRCA×1をば背面に装備しております。  S/コンポジットそれぞれにステレオRCA入力がついたのも変更点。前モデルでは音声がS/コンポジット兼用で、ステレオRCA入力は1系統のみでしたからなぁ。

 スルー出力用のアナログRGB15ピン入力を除いた外部入力をまとめると、アナログRGB21ピン×1、D1/ステレオRCA×1、S/ステレオRCA×1、コンポジット/ステレオRCA×1の計4系統を装備。「SmartTV」はステレオRCA×1のみで、コンポーネント/S/コンポジットで1系統の音声入力を兼用していたことを思えば、「多彩な入力に対応」と評してよろしいかと。

 同梱品はケーブル類がメイン。特に変換ケーブルがめずらしく、コンポーネント→D1変換ケーブル×1、コンポーネント→RGB21ピン変換ケーブル×1を同梱しております。コンポーネント→RGB変換ケーブルは、通常のRCA5ピン(色差3+音声2)のコンポーネントケーブルをRGB入力端子に接続するためのもの。RGB入力端子はコンポーネント入力にも対応しているため、コンポーネント入力を2系統にすることもできるのです。

 その他にもステレオミニケーブル×1、ステレオRCA延長ケーブル×1、ステレオミニ→ステレオRCA変換ケーブル×1、そしてアナログRGB15ピンケーブルを同梱。もちろん、ACアダプタ、カード型リモコンも入っておりました。

同梱品一覧。ケーブル類が豊富で、同梱物だけで接続可能 同梱のコンポーネント変換ケーブル。RGB21ピンへの変換ケーブルは他じゃ見たことない

前面パネル部。スイッチ類と、D1/ステレオRCA、RGB21ピン入力を装備 背面パネル部。S/コンポジット入力には双方にステレオRCA入力が付いた


細かいところまでこだわって機能アップ

OSDの表示。ガンマ補正はRGB各色で調節可能
 目玉の追加機能はコンポーネントへの対応でありますが、その他にも細かいところまで機能追加が行なわれ、大幅なバージョンアップが行なわれております。

 まず、画質調節機能が大幅に強化されました。ガンマ補正は、アナログ3段階だったものが、デジタルの79段階調節が可能になり、さらにRGB各色で調節が行なえるように。そのほかにもRGB各色の明るさ調節機能、黒レベル調節、シャープネスなど、前モデルから引き継いだ調節機能も多彩。

 ヘッドフォンを繋ぐ場合を考えてか、音量調節機能も付きました。リモコンにもボリューム+/-ボタン、ミュートボタンが装備され、通常のテレビのように使えそう。

 だた、前面にヘッドフォン端子は特に用意されておらず、ヘッドフォンを繋ぐ場合は背面にあるステレオミニ音声出力端子に接続しなくてはいけないため、ヘッドフォン用というよりはスピーカー用の「音声信号の出力レベルを調節して音量調節をする機能」と考えたほうがよろしいかと。

 オミットされた機能と言えばPCB(業務用ゲーム基板)への対応と、15kHz走査くらい。昔は「自分も基板買いてぇ」と思っていたものですが、収納スペースの問題やら、価格の問題やら(基板買うほどハマるゲームがないやら)で情熱も薄れてしまいました。ま、残念といえば残念ですが、現状を考えれば納得できる仕様変更だと思います。

 これだけの機能追加をしておきながら、「3」へのバージョンアップでなく、「plus」という製品名になっているのが不思議。ま、アナログRGB21ピン入力を「アップスキャンする」というコンセプトは変わってませんからねぇ。


実際の使用感はどうよ?

 とりあえず電源OFF時のPCのスルー出力は実用レベル。XGA解像度でゴーストは確認できませんでした。

 では、PS2をアナログRGB21ピンケーブルで繋いで、ソースを「RGB」にセレクト、っと。お、来ましたよ。ふむふむ、「XRGB-2」の時に感じたフリッカは多少感じるものの、結構改善されてるみたいです。気楽に見る分には特に問題ないレベル。

 が、画質の第1印象としては「XRGB-2」と大差ないかな? という感じ。やはりPCモニタ上では輝度が足りず、全体的に暗い印象になるのが最大の難点。しかし、そこは強化された画質調節を駆使して調節あるのみですわ。

 ということで、DVD「グラディエーター」を視聴しながら調整。RGB各色のガンマを調節することで、輝度に関してはある程度解消。ただし、コントラスト、彩度が多少落ちてしまったので暗いシーンでは見分けるのがつらいシーンもございました。とはいえ、当初の印象とはがらりと変わり、かなり納得できる画質。多少インターレースの縞々模様が目に付きますが、大変見やすくなりました。しかし、設定可能項目が多いから、調節は大変ですわ……。

 PS2での再生は、RGB、コンポーネントの違いはほとんどない模様。違いがわかりません。どちらも高画質ってことで。ゲームでの使用も特に問題なし。「SmartTV」でたびたび信号をロストしていたPS2ソフト「機動戦士ガンダム 連邦vsジオン」も問題なく遊べました。こちらもコンポーネント、RGBの違いはわからず。

 ゲームでの注意点としては、ガンコントローラなど、画面の走査を読み取るゲームには対応していない点。これは前モデルと同じですな。最近ではプログレッシブTVに対応したガンコントローラも発売されているようだけれども、やはりPC用ディスプレイでは問題あるみたいですな。

 Sで接続した再生画質の印象も前モデルとあまり変わりナシ。ガンマ補正のおかげで輝度が上がって見やすくなってる程度かと。ビデオデッキのサーチ(再生中の早送り)では、相変わらず信号を見失うこともありましたが、再生中の画質は「走査線が間引かれたNTSCの映像をPC用ディスプレイで忠実に再現」とでも評しましょうか。解像感が高い故、3倍モードで録画したソースを再生するとアラがめだちますなぁ。

 最初に感じた画質に関しては、正直前モデルと変わらないレベルでありましたが、やはり輝度不足が(ある程度)解消されるので、より見やすい画質になっていると思います。「SmartTV」と比べると、コントラストが高いのが特徴的かと。インターレースなのに解像感も同等かそれ以上。さすがに価格が違います。ま、下に画質比較の写真を掲載しますので、判断はお任せしますが。

XRGB-2plusとSmartTVの画質比較
再生DVD:ダイナソー
(c)Disney Enterprises,Inc.
XRGB-2plus SmartTV

 しかし、XGA解像度では、リフレッシュレートがちょっと低いだけに、走査線が見えてしまうのが……。う~ん、解像感はVGAとさほど変わず、VGAでも十分に見られる画質だから、無理してXGA使うことはないかな。気楽に視聴するにはVGAでよろしいと思います。

リモコン。小さく、薄いので収納も簡単だが、逆になくしそう……
 それにしても便利なのがリモコン。特に使えるのが音量の調節機能。もうらくらく。スピーカーに繋いでいても、ヘッドフォンを付けていても、手元で行なえるってのが良いです。ま、受光範囲がちょっと狭めなのが玉にキズですが、ディスプレイの位置が近いPC環境であれば十分使えると思います。

 もちろんOSDの調節やソースの切り替えなどもリモコンから行なえます。おお、いままで本体に手を伸ばさないと操作できなかったことを考えればなんと操作しやすくなったことか。特に、ソースセレクトは4系統すべてダイレクトに選択可能なところがよろしい。電源をOFFにすればすぐにPC画面に切り替えられるのでPCを使いながらの切り替え時も便利です。もう本体に手を伸ばしてちまちまと調節なんかできないよ~。

 使用してみて、前モデルからより使いやすくなった点を挙げるとすれば、RGB21ピンがコンポーネント対応になったことと、リモコンが付いたことが2大巨頭ですな。ただ、リモコンは小型なカード型なので、なくしてしまいそうで不安だけれども……。


PS2などのゲーム機、ビデオデッキなどに

 不満点といえば、RGB21ピン端子、D1/ステレオRCA端子が前面についているものだから、常時繋ぐ場合だと見苦しくなってしまうところくらいでしょうか。リモコン受光部が見える位置にないと意味がないから、置き場所は悩みどころ。

 プログレッシブに対応してないとか、ビデオデッキのサーチで信号ロストするとかは、前モデルで納得しているため、あまり不満には感じませんでした。

 前モデルの機能性を引き継ぎながら、さらに使いやすく、細かい設定が可能になり、時代に即した改良が行なわれているのはたいへんよろしいです。実際、リモコンも付いて操作が簡便に行なえるようになった上に、画質調節はアルファデータの「SmartTV」とは比べものにならないほど細かく、故に納得して行なえます。PC用ディスプレイと家庭用テレビとではコンセプトが違うため質感が大幅に違いますが、これだけの調節機能があるのなら大抵の環境で納得できる調節ができると思いますよ。

 幸い、我が家の「MT-8617」はアナログRGB入力が2系統ございますので、「SmartTV」は気楽なテレビ視聴用に、「XRGB-2plus」はゲーム機、ビデオデッキの外部入力用に、という使い分けになりますかね。

 「XRGB-2plus」ではビデオデッキでのサーチ時以外に信号をロストすることもなく、ゲーム中の使用も快適。PS2のDVD再生もコンポーネントとRGBもほぼ同等(つーか、違いがわからない)の高画質。我が家で一番デカいディスプレイでゲームも快適に楽しめるし、PC用のDVDソフトプレーヤーのようにコマ落ちに悩まされることもない。

 もちろん、S/コンポジット端子にビデオデッキなどのTVチューナを搭載した機器を繋げればTV放送を楽しむこともできますが、自分としてはより高画質なコンポーネント(D1)、RGBで接続できるゲーム機器での使用をプッシュしたいと思います。

 PS2はRGB21ピン専属として、D1端子に2台目のゲーム機を繋ぐとしたら、Xboxかゲームキューブ(もしくは松下の「Q」)なんかいかがでしょう? 最近「動物番長」のCM見て「イカす!」とか思ってるですが。自分。

□マイコンソフトのホームページ
http://www.micomsoft.co.jp/
□製品情報
http://www.micomsoft.co.jp/xrgb2plus.html
□関連記事
【魁】第47回:TVチューナ搭載アップスキャンコンバータ
 アルファデータ「SmartTV/AD-STV102」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020129/saki47.htm
【魁】第10回:PC用ディスプレイでTVを見よう
ゲームもきれいに映る?「マイコンソフト XRGB-2」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010424/saki10.htm

(2002年2月14日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.