■ ひっそりと発売された、ソニーの新型学習リモコン ソニーが新製品を出す場合、消費者から見てわかる広報活動のグレードがある。大まかに分けると、力の入れ方の高い順に以下の4通り。
そんな、学習リモコンの新機種である、ストレート型の「RM-VL1000U」と卓上型の「RM-AV3000U」が、9月に開催されたプライベートショー「Sony Dream World」で公開された。いずれも発売日は10月10日。前述のとおり、この製品のニュースリリースは発行されず、ひっそりとカタログ情報に追加された。もし、Sony Dream Worldがなかったら、店頭に並ぶまで気づかなかっただろう。
■ 私とリモコン 個人的な話をすると、昔から結構リモコン好きである。原点までたどると、MSX2のジョイスティックポートを利用して、赤外線受信ユニットと送信ユニットを自作。MSX2を学習リモコン化し、好きなだけ予約録画をしようと企んだ。結局、MSX2とビデオデッキが離れすぎていて、とても使い辛かったという記憶だけが残っている。
それでも1万円近い価格に躊躇したが、結局購入。周囲の反応も「リモコンに1万円も出すの?」というのがほとんどだった。 このRC-2000MKII、購入直後は「デカイ」、「単三電池を4本使うので重い」、「プリセットがPhilipsとマランツしかない」など不満がかなりあった。幸いDVDプレーヤーはマランツ製だったが、さすがにそれ以外のTVやビデオデッキなどは他社製。結局プリセットはあってなきがごとくで、学習にはかなり時間がかかった。 と、当初は不満一杯だったのだが、徐々に使いやすいようにキーを割り当てていくうちに、その大きなボディーも手になじみ、手放せなくなってしまった。今では、Clip-Onを除いて、各機器に付いてきたリモコンは仕舞い込みまったく使っていない。
というように、それなりにご機嫌に使ってきたのだが、やはり毎日使うものなので、傷みも激しく、そろそろ、買い換える必要があると思い始めていた。 そこに登場したのが、「RM-VL1000U」と「RM-AV3000U」である。学習リモコンで日本の有名どころといえば、「クロッサムシリーズ」や、ソニー、ビクター、日本マランツが思い浮かぶ。また、海外では、Philipsの「Pronto」シリーズが有名だ。しかし、ここはやはり新機種を試さないといけないだろうと考えたが、「RM-VL1000U」と「RM-AV3000U」にどちらにするかを決めかねていた。 そして、店頭でブツを確認。「RM-AV3000U」は大きすぎて、製品コンセプトどおり卓上において使わないと使い辛そう。片手に持ちながらの操作というのは無理そうだ。それに、タッチパネル液晶方式。なんとなく、液晶を直接指でタップするというのは、操作感が好きになれない。それと、やはり値段。店頭価格で2万円以上というのは、やはり考えしまう。
ということで、結局素直に「RM-VL1000U」を購入した。購入価格は9,600円(税抜き、10%のポイント還元あり)と、「RM-AV3000U」の半額以下だった。
■ 概要をチェック 購入後まず、中身を検めると、リモコン本体と、動作チェック用単3マンガン電池2本、取扱説明書、メーカー番号一覧表、ユーザー登録葉書とシンプルな内容。VL1000Uの主な特徴を挙げると以下のようになる。
最大外形寸法は69×30×217(幅×奥行き×高さ)、重量約189g(電池込み)。電源は単3電池2本で、カタログではアルカリ電池使用時で約5カ月持つという。
RC-2000MKIIと比べると長さはあるがかなりスリム。また、電池も単3が2本でいいので、使用時の重量も軽い。学習可能キー数は約550、カタログスペックの動作距離は約10m(正面)となっている。 ボディは前にいくほど広がり、厚みが薄くなっている。一言で形容するならば「しゃもじ」。型番からいっても、同社の「RM-VL700U」に液晶を追加した、上位モデルといえるだろう。しかし、本体カラーがVL700Uの黒のボディーにブルーとグレーのボタンという落ち着いた配色に対し、VL1000Uのボディは銀色。特に液晶部の周辺は光り輝いている。サイバーな感じではあるが、リモコンとしては目立ちすぎるように思う。リモコンでよく発生する、どこかに紛れ込んだ時には見つけやすそうではあるが……。 液晶にバックライトはあるものの、各ボタンは自照式どころか、蓄光式でもなく、暗いところでの操作は慣れないと難しい。こういったところからも、ライトユーザーを想定していることがうかがえる。 本体の一番上に液晶を配し、液晶の左側に各種モード切替ボタン、右側に電源ボタンと、液晶に対応したボタン「ラベルボタン」がある。液晶は6ライン表示で、一番上にモード名や操作機種名、一番下に現在時刻が表示される。その間に挟まれている4ラインが、右側の4つのラベルボタンにそれぞれ対応しており、液晶に表示されているコードが送信されることになる。 その下に再生や停止などの基本操作キーがあり、ダイレクト選局ボタン(1~12)を配置。一番下を持ったときに、親指が来る位置にカーソルスティックがある。このスティックは押し込めるようなっており、決定ボタンとして使用できる。そして、その下には音量上下と、チャンネル上下が並ぶ。
■ 操作は結構難しい
つまり、1ページ目に登録した機器から、3ページ目に登録した機器に切り替える場合、「SCROLL」→「SCROLL」、液晶に表示された機器選択ラベルを確認して、対応するラベルボタンを押す。もちろん、登録の仕方や、慣れである程度は解決できるだろうが、なんとも面倒。 一応、VL1000Uで操作しようと思っているのは、DVDプレーヤー2台、VHS+Hi8ダブルデッキ、Clip-On、直視管TV、プロジェクタ、照明の7種類。SCROLLボタンを使わずに機器選択するのは難しい。 また、機器選択ラベルは、ほかの機器選択ラベルからコピーできる。しかし、コピーできるのは機器単位のみで、個別のキーをほかのキーにコピーしたりはできない。 あと、ボタンで気になったのが、VL700Uでもそうだったのだが、「次曲」、「前曲」ボタンがないこと。早送り、早戻しボタンは設けられているのだが、DVDプレーヤーなら次チャプタ/前チャプタ、ビデオデッキならVISS頭出しといった機能は、チャンネル上下に割り当てられている。「次曲」、「前曲」ボタンが必要な機器は、チャンネルボタンを使うことはないと言う判断だろうが……。 また、液晶のバックライトは、単独の点灯ボタンはなく、「COMPO」、「SYSTEM」、「TIMER」、「SCROLL」、「SET」を押したときに点灯するようになっている。このことからも、暗いところでメインに使うことはあまり想定されていないようだ。
■ タイマー機能やマクロ機能を搭載 VL1000Uの最大の特徴といえるのは、時計機能を内蔵していて、タイマー機能を実現していること。最大12種類のプログラムを設定でき、曜日指定に加え、月~土、月~金、日と土、毎日も指定可能。ただし、時計はバックアップされないので、電池交換時には再設定が必要になる。もちろん、それ以外の設定内容や、学習内容は電池を抜いても保持される。 小型のテレビでは「目覚ましタイマー」機能を搭載している機種も多いが、大型テレビの場合リビングで使うことが前提でそういった機能がないものがほとんど。そういった場合にも、VL1000Uを利用すればテレビを目覚まし替わりに使うことが可能になる。 タイマーは単一操作ではなく、プログラムとして登録できるので、[テレビの電源を入れる]→[8チャンネルにする]→[音量を上げる]といったことが実現できる。もちろん、ビデオデッキのタイマー録画もプログラムできないことはないがその場合、録画開始と録画停止の2つのプログラムを登録する必要がある。 また、学習リモコンとしてはおなじみの機能「マクロ」も、最大32ステップのマクロを最大36個まで設定可能。面白いのが、デフォルトでソニー製品をすべての電源をオフにする「SONY OFF」が登録されていること。 個人的には、Clip-Onで削除する場合、ツールでメニューを出して選ぶようになっており、[ツール]-[決定]-[←]-[決定]の4ステップが必要で面倒だったので、これを早速登録した。
■ 総評 プリセットが登録されている学習リモコンのいいところは、もちろん設定が楽なこともあるが、元々リモコンにない機能が使えるようになるというのもある。具体的に言うと、今使っているテレビは入力切替が1ボタンの順送り式。しかし、VL1000Uには、プリセットでダイレクト切り替えボタンがあったので、もしやと思って押して見ると、見事に操作できた。 まあ、Clip-Onは、地上波の各チャンネル、BSアナログ、外部入力1~2を一つながりで操作するようになっている。そのため、かなり操作が煩雑になって、どうにかならないと思っていた。VL1000Uの[INPUT]ボタンを押すと、「地上波」、「BSアナログ」、「外部入力1」、「外部入力2」が切り替えられた。ダイレクト選局ボタンは効かなかったが、それでもかなり利便性がアップした。 VL1000Uのパッケージには、「シアターリモコン、ホームシアターユーザーにおすすめ」と書いてある。しかし、ボタンが自照式ではないので、プロジェクタをメインに使っている人には向かないだろう。一方、ライトユーザーなら、液晶を搭載しない半額以下の下位機種「RM-VL700U」で十分だとも思う。 学習リモコンに求めるものは、使用シーンや、人によって様々。そういった意味では、VL1000U は、結構難しい位置付けにあるといえるだろう。
□ソニーのホームページ (2002年11月22日)
[ AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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