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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第102回:ついに出ちゃいます「SONY BDZ-S77」
〜 これがブルーレイディスクレコーダの正体だ! 〜


■HDTVをディスクに録りたい

 テレビ放送が今後どのようなカタチになっていくのか、もっとも影響力の大きい地上波デジタルが始まってみないことには何とも言えないところではある。しかし多くの人の期待は、デジタル放送になればHDTV番組がわんさか増えるにちげえねえ、これでうちのワイドテレビもヒラメ顔表示からようやく解放かよ、というところだろう。

 そうなると必要になるのが、やはりHDTVが録画できるレコーダである。現在、BSデジタルのHDTV録画は、D-VHSという図式が一般的のようだ。だがSDTVでは、既にテープのようなリニアなメディアから、ディスクというノンリニアなメディアにシフトし始めている。せっかく次世代のテレビ時代を迎えようというのに、録画メディアが前世代にバックしちゃうのはどうよ、とD-VHSユーザーでさえそう思っているに違いないのである。

 そこで、俄然注目を集めるのが、ディスクメディアでHDTVが録画できる「ブルーレイディスクレコーダ」というわけである。この手の製品は、昨年ぐらいから様々な展示会で各メーカーから参考出品されていたが、いよいよこの春、その世界第1号機が市場に出る。

 今回はこのブルーレイディスクレコーダ、「SONY BDZ-S77」(以降S77)を取り上げる。


■ 外観はとにかく重厚

 ブルーレイディスク(Blu-ray Disc、以下BD)に関しては、規格とかいろいろ知っていかなければならないことは多いのだが、まずはホレ、物欲全開の方のためにルックスから入っていくことにする。

 とにかくコイツ、宅急便の兄さんから受け取った瞬間からムムムと大苦戦する重さである。カタログ値で14kg。母子手帳によると(なんでそんなの持ってんだ)、14kgといえばだいたい4歳ぐらいの子供の体重と同じである。棚とかに乗せるつもりの人はとりあえず4歳児を乗せてみて大丈夫かどうかを調べてみるといいだろう。4歳児はどうやって手配するのか筆者はしらん。

 ボディは、見える部分は全部アルミ削り出しという、どっしりしたもの。正面下部のパネルは写真で見ると激しく斜めに出っ張っているように見えるかもしれないが、実際はほぼ垂直に張り付いている。形が台形なのでそのように見えるのである。

ほぼ全面アルミのカタマリの本体 フロントパネルにはブルーレイロゴの彫り込み

 パネルを閉じた状態で見えるスイッチは、電源、パネルの開閉、ドライブの開閉のみ。このボタンがイカしてて、静電タッチセンサーになっている。よくエレベータのボタンなんかでありますな。つまり押しても凹んだりしないのである。むー金かかってるぅ。

 開閉ボタンを押すと、電動でしずしずとパネルが下に降りてくる。そういうところを編集部がばっかだなぁ(笑)、わざわざムービーで撮影しちゃってるのでそれを見て頂こう。

BDZ-S77 フロントドアオープンMOVIE
MPEG-4
s77.asf
(1.09MB)

 パネル内部にはドライブユニットと、その両側に操作ボタン類がある。表記は当然英語オンリー。また内部パネルは両側からブルーの照明によって照らされるという凝りようだ。ブルーといえば、前面上部のディスプレイ部もブルーのハーフミラーになっている。メディアを入れると、中央部にブルーの点線が表示される。

左側には録画・再生などのボタンとB-CASカードスロットがある 右側はメニュー操作系ボタンが並ぶ トレイにはこんな感じでメディアが収まる

頑丈なケースが特徴のブルーレイディスク

 そしてこれがブルーレイディスクだ。片面単層で、23GBの容量を持つ。メディアはケースに完全に囲われており、表からはメディア表面は見えない。

 裏面に開口部があり、メディア側面にある歯車を回すことで記録面が露出する。ローティングと同時に開口部が自動的に開くという仕組みだ。メディアのローディングには、およそ30秒程度かかるようだ。

 背面に回ってみよう。端子類はほとんど左側に集まっている。まず入力は、地上波アナログRF、BSデジタル/アナログRFのほか、アナログAV入力が2系統。出力は各アンテナのスルーと、アナログAV出力が3系統。うち1つはD4端子となっている。

 またデジタルオーディオ出力として、コアキシャルと光出力が1つずつある。背面に2つあるi.LINK端子は、別のブルーレイレコーダとリンクするためのものだ。マニュアルによると、BDレコーダ以外とは繋がらないと書いてある。それから前面パネル内に、DVカメラ用のの入出力端子として、i.LINK端子が1つある。

AV端子類は左側に集まっている BD専用のi.LINK端子

 そのほか電話のモジュラーがあるが、これはBSデジタルチューナなどでおなじみのように、ユーザーのステータスを局へ送信するために使われる。

 リモコンもシルバーで、なかなか高級感のある作り。材質は樹脂だが、塗装が凝っている。中央部のジョイスティックがメニュー操作用、その下にあるレバーが早送り用となっている。実際の使用では頻繁に使うものゆえ、表示は日本語になっており、操作性が重視されている。

 リモコン底部には「開」ボタンがあり、これを押すと上部がスライドして開く。中にチャンネルボタンや録画ボタンなどがある。

高級感のあるリモコン 内部にはチャンネル件テンキーなどがある


■ 使い方は超カンタン

 では実際に番組を録画してみよう。デジタル放送をダイレクトに録画する場合は、もうデータそのまま記録するだけなんで、画質設定みたいなものはない。この録画モードをDR(ダイレクトモード)と言い、HDTVなら1080iでも720pでも1枚のメディアに2時間記録できる。

 デジタルそのままじゃなくてSDに再圧縮してもいいや、という場合は、HR、SR、LRの3モードが利用できる。録画時間は下記の通りだ。

記録時間とビットレート
録画モード 記録時間 ビットレート
DR HDTV 約2時間 最大24Mbps
DR SDTV 約4.4時間 最大11Mbps
HR 約3時間 平均16Mbps
SR 約6時間 平均8Mbps
LR 約12時間 平均4Mbps

 もちろん地上波アナログ放送の録画にはDRモードは使えないので、上記HR、SR、LRの中から選ぶことになる。DV端子経由のDVカメラからの録画も同じだ。だが実際には、45万円もする機材を買ってアナログ地上波を圧縮で録るってのもどーかと思うので、これ以降はBSデジタル波をDR録画するという話に集約する。

 予約の流れを見てみよう。リモコンの「番組表」ボタンを押すと、BS番組表が表示される。これで録画したい番組を選択し、「録画予約」を選択するだけだ。予約録画に関しては、HDDレコーダなどを使ったことがある人なら簡単に使えるだろう。

 録画した番組を見るには、リモコンの「タイトルリスト」を押すと、ディスクの録画リストが表示される。見たい番組を選択して再生するだけだ。DR記録では同時に放送されているデータもそのまま記録されているので、「d」(連動データ)ボタンを押せば、データ内の情報にアクセスできる。放送中に行なっているのとまったく同じ、完全にタイムシフターとして機能すると考えていいだろう。

番組表から簡単に録画設定できる 「タイトルリスト」ボタンではリスト表示だが…… 「システムメニュー」から入っていけばサムネイル表示も可能


■ 外部機器は……

 ではそのほかの機能を探っていこう。まず気になるのは、i.LINKを使ってほかのHDTVレコーダと繋がらないのか、という点だ。S77にはHDDが搭載されていないので、記録容量としてはメディア1枚分の2時間である。狙った映画などを録る分にはこれでも構わないが、留守録などして貯めておくには不十分。できればHDDレコーダと繋がったりしてほしいものだ。

メニュー上で機器名は出るが、選択できない
 試しにアイ・オー・データのHDDレコーダ「Rec-POT」を接続してみた。一応S77側では機種などは判別できているようだが、Rec-POTをディスクモード、D-VHSモードどちらにしても、表示がグレーアウトしてリンクすることができない。やはりマニュアルどおり、BDレコーダ以外とはリンクできないようだ。

 BDレコーダといっても現状はS77しか存在しないので、同じ機種同士でダビングできるぐらいしか使い道がない。別機種のHDDレコーダやD-VHSで録ったものからのダビングというのは、今のところできないもとのして考えた方が良さそうだ。

【4月7日追記】
 編集部で追試を行なったところ、4月2日掲載記事の検証に使用した「Rec-POT (HVR-HD80)」と、「Rec-POT S (HVR-HD120S)」が2台とも故障していたことが判明しました。そこで、HVR-HD80をもう1台と、D-VHSデッキ「松下 NV-DH1」を用意して再検証を実施。その結果を掲載します。

 再検証により、S77がHVR-HD80/NV-DH1に双方向でダビング可能なことが確認できました。ただし、いくつか制限があります。まず、S77同士を接続した場合に使用する「i.LINKダビング」モードは使用できず、「再生側で再生スタート、録画側で録画開始」という操作を、それぞれ手動で行なう必要があります。

 もちろん、コピー制限がされている番組はダビングできません。また、S77は単体のBSデジタルチューナと異なり、内蔵のBSデジタルチューナで受信した信号はi.LINKに出力されていません。

 そのため、S77で受信した番組をi.LINKで接続した外部機器に直接録画できず、録画予約を外部機器に設定することもできません。加えて、単体のBSデジタルチューナのような、外部機器の操作用オンスクリーンメニューが用意されていないため、S77から外部機器を操作することはできません。外部機器側で操作する必要があります。

 D-VHSデッキでは、デッキ本体やリモコンで操作できるので大きな問題にはなりませんが、HVR-HD80には操作ボタンがまったくありません。そのため、アイ・オー・データが公開している、Rec-POT用制御ソフト「AVHDD Player」などを利用して、外部から操作しなければなりません。なお、D-VHS互換モード、HDDモードともに使用可能でした。

 なお、ソニーではS77同士以外の接続はサポートしておらず、自己責任での利用となります。

【各種メディアの再生互換性】
DVD-R
DVD-RAM(VRモード)×
DVD-RW(VRモード)
DVD-RW(ビデオモード)
DVD+RW
DVD+R
MP3(CD-R/RW)×
JPEG(CD-R/RW)×
レーベルゲートCD

(編集部)

 またブルーレイディスクから来る制限だろうが、HDDレコーダなどでおなじみのスリップ再生機能がない。これは単純に転送レートの問題だろうから、将来レコーダにHDDが搭載されれば可能だろう。先日SONYが発表したプロ用規格の「青紫色レーザーディスク」ではピックアップを2つ使って高速化しているが、もしブルーレイディスクだけを使ってやろうとするならば、こういうことになるだろう。

 しかしそれにはメディアの構造も変えなければならないので、この方向性は無いと思われる。やはりスリップ再生を行なうには、HDD搭載機を待つしかないだろう。まあそうまでしてスリップ再生しなきゃならんのかオマエのイノチなのかと言われると、そうでもなかったりする。

 録画した番組の編集機能だが、AB間の削除、番組の分割といった基本機能は揃っている。DVDと違ってメニュー画面の決まり事みたいなのが無いので、DVD-RWやDVD-RAMのVRモードみたいな感じだと思っていればいいだろう。

 また、東芝のRDシリーズなどは、メディアになにが入っているかを知るためのライブラリ機能が充実しているが、S77もそういう機能は持っている。だがサンプルのメディアが1枚しかないので、これがどのぐらいの使い勝手なのかを調べることができなかった。実際の使用では、メディアを沢山消費するだろうから、この機能は重要になると思われる。

AB間削除で不要部分を削除できる タイトル分割やサムネイル付け替えといった機能もある メディアライブラリ機能もあるようだ


■ 総論

 ブルーレイは大容量でしかもHDTVがダイレクトに録画できるメディアとして、AVマニアの間では注目度が高い。しかし現状はまだ規格の全てがはっきり決まっていないこともあって、S77はかなり先物買いという気がする。

 というのも、デジタル放送はBSのみで地上デジタルは未対応、HDではメディア1枚に2時間しか録画できないというのでは、ちょっと使い勝手が悪い。まだ規格策定が進行中の2層メディアにもROMメディアにも対応しないなど、先物なりのリスクを背負っている。

 やはり普通の録画機として使うのであれば、現状のHDD/DVDレコーダのように、HDDで録って外部メディア書き出し、という便利さは捨てられないのではないか。またメディアが1枚3,500円というのも、普通に使うにはちょっとキツい値段だ。

 しかしこの本体の作りを見ると、45万円と言われてなるほどそのぐらいはしちゃうだろうなぁ、と思わず納得してしまうほど丁寧に作り込んである。低価格化が進むHDD/DVDレコーダはだんだんデザインの質が低下しているが、これは久々に高級機と呼ぶにふさわしい作り込みの機材だ。

 しばらく使ってみたが、機材の安定度はさすがだ。何らかのエラーが出ることは一度もなかった。またデジタルチューナも含めて全部一台で完結しているので、ほかの機材との連係操作の面倒がない。普通のDVDレコーダと同じような感覚だ。

 思うに今S77を買うということは、いわゆる「ジャケ買い」の世界かもしれない。ジャケ買いとはCDやDVDを買うときに、中身は全然知らないんだけどジャケットがカッコいいから買う、みたいな買い物の仕方だ。こういう買い物は、たとえいくらお金を持っている人でも、生理的にできる人とできない人がいる。そういうことができるかどうかは、持って生まれた資質なのである。

 さあさあ世界初のブルーレイディスクレコーダ45万円也。こんなカッコいい機材は、もう当分お目にかかれないだろう。あなたはこれをジャケ買いするだろうか。


■ 次週予告

 さぁて来週のElectric Zooma!だが、筆者は米ラスベガスのNAB取材のため渡米するので、いつものスケジュールでは公開されないことをあらかじめお断わりしておく。

 この国際情勢である。向こうに行ってなんかいい感じだったらアップするかもしれないし、「その前にそもそも行けるんでしょうか」って感じで臨機応変に行きたいと思う。ようするに適当なのねとか言わないように。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200303/03-0303/
□製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/BD/
□関連記事
【リンク集】ディスクビデオレコーダ関連記事リンク集
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/recorder.htm
【3月3日】ソニー、世界初のブルーレイレコーダを4月10日に発売
−BSデジタルチューナ内蔵、地上波のEPG録画も可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030303/sony.htm

(2003年4月2日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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