今年もテキサスインスツルメンツの誇るDLPテクノロジーはアップデート情報が多い。今回はDLPフロントプロジェクタの最新アップデートをレポートする。
■ シャープ、フルHD(1080p)の単板式DLPプロジェクタ「XV-Z20000」 液晶TVのイメージが強いシャープだが、ホームシアター向けフロントプロジェクタに関してはDLPを強力に推進するメーカーだ。今回シャープは、International CESにてハイエンドモデルの「XV-Z20000」と、エントリクラスの「XV-Z3000」の2機種を発表した。
●民生向けとしてはシャープ初の単板式1080pリアル対応プロジェクタ
今回公開されたものは、XV-Z11000の筐体および光学系をそのまま流用した、プロトタイプの開発途上機ということで、最終的な仕様はフィックスしていない。 「最終的には仕様は変更される可能性がある」としながらも、現時点では公称輝度は1200ANSIルーメン、公称コントラストは10,000:1を実現しているという。
カラーホイールは、現在はNDグリーンフィルターを追加した7セグメント5倍速タイプを採用しているが、階調性能重視の意図から6セグメントへの変更の可能性もある、と説明された。
実際の映像をブース内シアターで体験したが、圧倒的な解像感はさすがは1080pリアル解像度対応機といった印象。開発初期のプロトタイプとはいえ映像の完成度はなかなかのもの。出色の調整の余地はまだありそうだったが、解像感とコントラスト感については既にかなり高いレベルに達しているという手応えがあった。
●0.65型1,280×768ドット解像度DMDチップ搭載機「XV-Z3000」
1,280×768ドット解像度のDMDチップを採用することで、720pリアル解像度に対応すると共に、アスペクト比4:3の映像に対してはPCと親和性の高い1,024×768ドットの解像度で表示することができる。
公称輝度は1,200ANSIルーメン。映像の輝度レベルに応じて光量を自動調整する動的なアイリス機構と投射時の迷光を低減させる狙いで搭載された投射レンズ側のアイリス機構の二段構えのアイリス機構を採用することで、実効コントラスト比は最大6,500:1を実現する。
DDP3020によるRGB10ビットカラーダイナミックレンジによるI/P変換ロジックにより、高品位な解像度変換を行なうことが可能となっており、1080i映像の表示も従来機よりも高精度に行うことが出来るとしている。
ブース内シアターで実際の投射映像を見てみたが、絶対的な輝度の高さとハイコントラスト性を十分に実感することが出来た。
■ 東芝、投射距離40cmで40インチを実現するDVD一体型「TDP-ET20」
わずか40cmの投射距離で40インチ投射ができ、投射仰角も非常に大きく、本体を上向きにせずともほぼ直上のスクリーンに対して映像が正しい各辺が直行する矩形画面で表示が可能となっている。 以前NECが発売していた非球面ミラー投射方式の「WT600」とは異なり、短焦点レンズを採用した方式になる。投射レンズのズームはなく、本体にはフォーカス調整用リングしか備え付けられていない。 パネル解像度は854x480ドットで、DVDビデオ再生に特化した仕様となっている。公称輝度は1,100ANSIルーメン。公称コントラストは2,000:1。 本体にはステレオスピーカーとサブウーファを内蔵しており、Dolby Prologicサラウンド再生に対応している。TDP-ET20側本体で再生したDVDビデオのサウンドトラックは同軸デジタル端子経由で外部出力も可能で、手持ちのサラウンドスピーカシステムを利用することも可能だ。
外部接続も豊富で、コンポーネントビデオ入力の他、HDMI入力にも対応している。発売時期は未定としながらも2006年3月あたりを予定。日本での発売予定もあるとしている。
■ LG電子、世界初の壁掛け専用プロジェクタ「AN110」
AN110は絵画のように壁にかけて設置することができるユニークな単板式DLPプロジェクタだ。これまでにも三洋のLP-Zxシリーズがミラー付き壁掛け金具を組み合わせて壁掛け設置を提案したことがあったが、最初から壁掛け設置を前提としたプロジェクタは非常に珍しい。その実現には光源から映像エンジン、投射レンズまでを同軸上に2次元配置するための光学設計が欠かせなかったという。投射レンズは傷つき防止のために電動自動開閉システムを採用している。 外形寸法は443×92.2×254.2mm、重さ4.5kgで、だいたい15~17インチ液晶モニタ程度だ。ある程度の壁の補強が必要になるが、台などを用いずに設置できるのがAN110ならではの特長となる。 写真に写っているスタンドはオプション品で別売りとなるが、これを組み合わせれば部屋の最後尾に設置した棚などに設置することも可能だろう。 投射レンズは1.42倍電動ズーム/電動フォーカス・タイプを採用。レンズシフトは上下方向のみに対応しており、画面サイズの±12.5%の範囲で移動が可能。100インチ(16:9)の投射距離は最短で約3.8m、最長で約5.3m。壁掛け設置というコンセプトの関係から部屋の最後尾に設置するということが前提となるため、投射距離は若干長めに設置されているようだ。 1,280×768ドット解像度の0.65型DMDチップを映像エンジンに採用。16:9画面は1,280×720ドットで、4:3画面は1,024×768ドットを利用する。 公称輝度は1,000ANSIルーメン。公称コントラスト比は2,500:1となっている。カラーホイールはRGBCYMの補色系を含んだ6セグメントタイプ。名言はされていないがテキサスインスツルメンツの新カラー生成方式であるBrilliant Colorを採用したものだと推察される。
形状があまりにも独創的であるため、画質が大丈夫なのか心配されるところだが、実際の投射映像は意外にも普通。DLPらしいクリスピーなカラっとしたコントラスト感溢れる画質となっていた。
■ ヤマハからもWXGAモデル「DPX-830」が登場
公称輝度は最大1,000ANSIルーメン。電動アイリスとの連携で最大コントラスト4000:1を実現する。カラーホイールは6セグメントタイプ。テキサスインスツルメンツ新開発のDMD駆動エンジンのDDP3020チップを採用することで、ジャギー低減や解像度変換処理はフル10ビットプロセスが施され、補色生成を絡めたBrilliant Colorに対応する。
まだ開発途中のためか、色に鮮烈さが物足りない気がしたが、実効コントラストの高さは納得のいくものであった。
□2006 International CESのホームページ(英文)
(2006年1月8日) [Reported by トライゼット西川善司]
AV Watch編集部 |
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