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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第392回:メモリ化が加速する各社のカムコーダ
~ Panasonicも内蔵メモリ化、JVCはデュアルSDHC ~



■ Panasonicが内蔵メモリモデル

今年も超横長のPanasonicブース

 テープ、HDD、光メディア、そしてメモリと、カムコーダの記録は激しいメディアチェンジを繰り返してきた。しかし各メーカーとも、最終的にはメモリか? というコンセンサスがようやく取れてきたようである。そう言う意味ではSDカードのプロモーション的な意味合いもあったとは言え、Panasonicが7年も前にD-SnapでSDカードに動画を撮ってみせたコンセプトというのは、正しかったわけである。

 さてそんなPanasonicだが、ついに同社初の内蔵メモリモデルとなる「TMシリーズ」をスタートさせた。HDD記録のHSシリーズ、SDHCカード記録のSDシリーズと共に、新しいシリーズとして展開されることになる。

 しかし個人的に最大の目玉は、305万×3というHD OverのMOSを搭載してきたことだ。以前画素ずらしの3MOS機をレビューしたが、他社が単板で実現する高精細感と比較すると、正直言って「全然ダメ」だった。ようやくこれで、これまで同社がこだわってきた3板式のメリットが出せるようになるだろう。

新開発の撮像ユニット部 旧モデル(SD9)で撮影したレジチャート 高解像度3MOS機で撮影したレジチャート。かなり解像感が向上している

 この高解像度3MOS搭載機は、HDC-TM300、HDC-HS300/HS250の3モデル。日本で発売のモデルとは多少ラインナップが違ってるので、シリーズごとに整理していこう。

 まず内蔵メモリとSDHCカードのデュアル記録モデル、TMシリーズ。最上位の「TM300」は、32GB内蔵メモリ搭載。レンズは35mm換算で44.9~539mmの光学12倍ズーム。米国での価格は1,299.95ドル。

 日本では未発表の「TM20」は内蔵メモリ型のエントリー機で、上記のような高解像度3MOSは搭載しない。内蔵メモリは16GBで、光学16倍ズームレンズを搭載。米国での価格は649.95ドル。

内蔵メモリ型最上位機「HDC-TM300」。モードダイヤルの形がおもしろい 内蔵メモリ型のエントリーモデル「HDC-TM20」

HDD搭載の最上位機「HDC-HS300」

 HDD搭載のHSシリーズ、最上位の「HS300」は120GB HDDを搭載、もちろんSDHCカードとのデュアル記録である。米国での価格は1,399.95ドル。

 「HS250」は日本では未発表だが、スペック的にはHS300と同等で、マニュアル撮影機能とビューファインダをなくして小型化したモデル。価格は999.95ドル。

 「HS20」も日本未発表で、80GB HDD搭載のエントリーモデル。スペック的にはTM20と同じで、価格は799.95ドル。

 SDHCカードスロットのみのSDシリーズは、今回日本では発表されていないが、米国では「SD20」というモデルが発表されている。スペックはTM20と同じで、価格は599.95ドル。

ビューファインダなしの小型モデル「HDC-HS250」 80GB HDD搭載のエントリーモデル「HDC-HS20」 SDHCカードスロットのみの「HDCーSD20」

ものすごく隅っこに展示されていたかわいそうな扱いの「SDR-H80」 分解モデルのみ展示というこれはこれでかわいそうな「SDR-S26」

 SD解像度モデルとしては、光学70倍ズームレンズを搭載したSDR-H90/H80/S26の3モデルが登場した。日本では「H80」のみ発表されている。

 H90はスペック的にはH80と同じで、HDD容量を80GBに強化したモデル、S26はSDHCカードスロットのみのシンプルなモデルだ。価格はH90が499.95ドル、H80が449.95ドル、S26が329.95ドルとなっている。

 なお上記モデルはすべて4月発売となっている。

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■ ついに顔認識を搭載したキヤノン

日本ではiVISだが、米国でのブランドはVIXIA

 現在デジカメ、カムコーダともに顔認識は注目の技術だが、キヤノンはこれまでカムコーダには顔認識を搭載してこなかった。その代わりAF用外測センサーを設けて、高速AFが売りとなっていた。

 しかし今回発表された新モデルで、顔認識を搭載してきた。デジカメ側で搭載してきた機能とほぼ同等で、35人の顔を自動認識し、同時に9人までのフレームを表示する。また横顔など従来難しかったような状況でも認識、さらに一旦顔認識が外れても肌色を追従することで、露出変動をおさえるようになっている。

 また今回は動画/静止画機能が自動で切り替わる、「デュアルショットモード」を搭載した。従来機では、動画モードで静止画を撮影すると、同時記録でなくてもハイビジョンサイズになっていたが、デュアルショットモードでは静止画のシャッターボタンを半押しで静止画モードに移行し、高解像度の静止画撮影が可能。

 さらに画像処理プロセッサも新世代の「DIGIC DV III」となっている。従来機では、ホワイトのラティチュードが狭く、白潰れしてしまう傾向があったが、今回のモデルでは解消されている。

新シリーズとなる「VIXIA HF S10」

 内蔵メモリ型のHFシリーズでトレンドを作ったキヤノンだが、今回新たに上位ラインナップとなるHF Sシリーズを立ち上げた。「VIXIA HF S10」は、32GB内蔵メモリとSDHCカードスロットのデュアル記録モデル。「VIXIA HF S100」は内蔵メモリなし、SDHCカード記録のみのモデルで、スペックはS10と同じである。

 フィルタ径で58mmとなる新開発の光学10倍大口径レンズを搭載、撮像素子も新開発の1/2.6インチ、8.59メガピクセルのCMOS。レンズ脇にはマニュアル撮影用のコントローラを設け、フォーカスや露出などを割り当てることができる。自動開閉するレンズカバーも内蔵しているが、まぶたのように上下に開くのがユニークだ。価格はS10が1,399ドル、S100が1,199ドルとなっている。

内蔵メモリなしの「VIXIA HF S100」 内蔵レンズカバーがまぶたのように開閉する

 HFシリーズ後継機としては、「VIXIA HF20/HF200」が登場した。HF20が内蔵メモリ32GBで、HF200が同スペックで内蔵メモリなしモデルである。光学15倍ズームで、撮像素子は3.89メガピクセル。外測センサーやビデオライトの位置を変更して、さらにスリムになった。

 なおキヤノンは伝統的に、下位モデルは光学系スペックが違うだけで、画像処理エンジンやソフトウェアをケチらないので、こちらもDIGIC DV III、デュアルショットモード搭載である。価格はHF20が999ドル、HF200が849ドルとなっている。

さらに小型化が進んだHFシリーズの新モデル「HF20」 内蔵メモリなしモデル「HF200」

HV30からマイナーチェンジした「HV40」

 HV40は、未だ根強い人気のあるHDVモデルのマイナーアップデート版だ。AEロック、マニュアルフォーカスへの切り替え、マイクレベル調整といった機能がアサインできるカスタムキーを追加したほか、キヤノンの業務用機「XH G1S」などで搭載されている1080/24pのネイティブ記録も可能になっている。

 ただし画像処理エンジンはDIGIC DV IIのままだ。このシリーズはコンシューマというより、業務用サブカメラ的な位置付けになってきたのだろう。

 メモリ記録のSD解像度モデルとしては、FS22/FS21/FS200が登場した。違いはメモリサイズのみで、順に内蔵32GB、内蔵16GB、内蔵なし。従来機に比べてさらに体積で17%小型化した。またFS200のみ、シルバー、ブラック、レッドの3色展開となっている。

32GB内蔵メモリの「FS22」 16GB内蔵モデル「FS21」 新色のレッド「FS200」



■ ダブルSDHCスロットでメモリ化に走り出すEverio

ホテル内でプライベートショーを開催したビクター

 ビクターはCES会場にブースを出しておらず、市内のホテルでプライベートショーを行なっている。そこでEverioの新モデルを見ることができた。今回の目玉は、SDHCカードスロットを2つ装備するという、デュアルスロット機である。

 前作ではMPEG-2とAVCHDのデュアルコーデックを搭載していたが、今回のHDモデルはAVCHDオンリーとした。エンコーダチップも専用で開発し、前デュアルチップよりも約30%低消費電力化したという。

 今回はHDD搭載モデル、SDHCカードデュアルスロットモデルの2タイプに分けられる。SD解像度モデルも同デザインで展開、主要モデルがそれぞれ3色のカラーバリエーションを持つという、大量投入となった。

 HDモデルの共通スペックだが、レンズはコニカミノルタ製でF1.9、光学20倍ズーム。撮像素子は1/4.1インチ 3.05メガピクセルのCMOS。1080/60i記録した映像を1080/60pに変換出力する機能を搭載している。記録モードとしては、24MbpsとなるUXPモードを新設し、キヤノンのHF、HF Sシリーズと並んだ。

 「GZ-HM200」は、SDHCカードスロットを2基搭載したモデル。スロット1から2への連続記録が可能なほか、動画はスロット1、静止画はスロット2といった使い分けもできる。3月発売予定で、価格は579.95ドル。

「GZ-HM200」ブラックモデル 液晶上のシルバー部分を開くと2スロットが出現

 「GZ-HD300」は、従来どおりHDDとmicroSDカードのデュアルメディア対応モデル。さらに上位の「GZ-HD320」は、HDDを120GBとしたもので、これは本体カラーがブラックのみとなっている。両方とも2月発売で、価格は699.95ドルと799.95ドル。

 またCEATECで既に公開されていたが、薄型のAVCHDモデルも実働モデルが展示されていた。こちらはSDHCカードスロットは1つで、今年夏の発売を予定している。

「GZ-HD300」レッドモデル 「GZ-HD320」。これは黒のみ 開発中の薄型HD Everio

Everio唯一の内蔵メモリ機「GZ-MS130」 「GZ-MS120」青モデル

 SD解像度モデルとしては、コニカミノルタの40倍ズームレンズを搭載したメモリ型の新GZ-MSシリーズ、HDDタイプのGZ-MGシリーズの2展開となる。

 「GZ-MS130」は16GB内蔵メモリとSDHCカードスロット1基のモデルで、色はブラックのみ。「GZ-MS120」はSDHCデュアルスロットモデルで3色展開。価格はMS130が349.95ドル、MS120が299.95ドルとなっている。

 「GZ-MG680/670/630」は、それぞれ120GB、80GB、60GBのHDDを搭載したモデルで、三色展開はMG630のみ。メモリスロットはmicroSDとなっている。価格は順に549.95ドル、479.95ドル、429.95ドル。

120GB HDDモデル「GZ-MG680」 80GB HDDモデル「GZ-MG670」 「GZ-MG630」レッドモデル

業務用デュアルメモリスロット機「GY-HM100」

 サンフランシスコのMacworld Conference&Expoでは、業務用モデル「GY-HM100」が発表されたそうだが、ここでも実機を見ることができた。

 こちらもデュアルSDHCカードスロット搭載という点では同じだが、記録ファイルのコンテナがAppleの編集ソフト「Final Cut Pro」専用のQuicktime(mov)ファイルとなっている。これまでフィールドレコーダではmovファイルに記録するものはあったが、カメラ単体でダイレクトにmovを生成するのはこれが世界初となる。

ボディ下に2スロットを備えている 業務用機として標準的な機能を搭載 大型ビューファインダを装備

 圧縮コーデックとしてはMPEG-2のLong-GOPで、HQモードで35Mbps、SPモードで25Mbpsで撮影可能。撮影フォーマットは下表のようになっている。

画質モード解像度fps
HQ1,920×1,08059.94i/29.97p/23.98p
1,440×1,08059.94i
1,280×72059.94p/29.97p/23.98p
SP1,440×1,08059.94i
1,280×72059.94p/29.97p/23.98p

ハンドルとXLR入力部が一体化しており、外すこともできる

 プロ用ということでマイクのXLR入力などがあるが、ハンドル部ごとネジで外せるようになっている。このあたりの作りは、世界初のHDV機「GR-HD1」を彷彿とさせる。

 レンズはフジノンのF1.8光学10倍ズームレンズで、画角は35mm換算で39~390mm。フィルター径は48mmで、専用コンバージョンレンズも発売される予定。撮像素子は新開発の1/4インチのプログレッシブ3CCDで、画素数は公開されていないが、プレスリリースによれば画素ずらしのようである。

 画像処理エンジンは、以前Everioにも搭載されたことのある「HDギガブリッドDuo」だが、MPEG-4記録には対応しない。

 驚くべきはその軽さで、標準バッテリ込みで1.4kgしかない。このクラスのカメラとしてはソニーの「HVR-Z7J」あたりが定番だが、これはバッテリなしで2.4kgであることから、その軽さがわかる。カメラマンではなく、ディレクターがハンディで回すカメラとしては、これぐらいの重量が妥当だろう。

 これまでプロ用機は専用開発チームが設計を担当してきたが、今回のモデルはコンシューマ機の開発メンバーが合流し、共同設計したという。プロスペックを満たしつつ小型・軽量化するノウハウは、コンシューマチームが担当した。発売は今年の4月を予定しており、価格は50万円前後になる予定。

 また同時発売モデルとして、同スペックのショルダー型「GY-HM700」も発売される。実機は公開されなかったが、スペックとしては実用重量4kg以下、レンズマウントは1/3インチで光学14倍のキヤノンレンズが付く。また既に発売されているSxSのカードレコーダ「KA-MR100G」も付けられるという。GY-HM700の詳細は、2月に発表される。

□関連記事
【1月8日】ビクター、世界初のQuickTime形式で撮影する業務用HDカメラ
-Final Cut Proでそのまま編集。ブランドはJVC統一へ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20090108/victor.htm


□International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□関連記事
【2009 International CESレポートリンク集】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/2009ces.htm

(2009年1月10日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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