■ Panasonicが内蔵メモリモデル
テープ、HDD、光メディア、そしてメモリと、カムコーダの記録は激しいメディアチェンジを繰り返してきた。しかし各メーカーとも、最終的にはメモリか? というコンセンサスがようやく取れてきたようである。そう言う意味ではSDカードのプロモーション的な意味合いもあったとは言え、Panasonicが7年も前にD-SnapでSDカードに動画を撮ってみせたコンセプトというのは、正しかったわけである。 さてそんなPanasonicだが、ついに同社初の内蔵メモリモデルとなる「TMシリーズ」をスタートさせた。HDD記録のHSシリーズ、SDHCカード記録のSDシリーズと共に、新しいシリーズとして展開されることになる。
しかし個人的に最大の目玉は、305万×3というHD OverのMOSを搭載してきたことだ。以前画素ずらしの3MOS機をレビューしたが、他社が単板で実現する高精細感と比較すると、正直言って「全然ダメ」だった。ようやくこれで、これまで同社がこだわってきた3板式のメリットが出せるようになるだろう。
まず内蔵メモリとSDHCカードのデュアル記録モデル、TMシリーズ。最上位の「TM300」は、32GB内蔵メモリ搭載。レンズは35mm換算で44.9~539mmの光学12倍ズーム。米国での価格は1,299.95ドル。 日本では未発表の「TM20」は内蔵メモリ型のエントリー機で、上記のような高解像度3MOSは搭載しない。内蔵メモリは16GBで、光学16倍ズームレンズを搭載。米国での価格は649.95ドル。
「HS250」は日本では未発表だが、スペック的にはHS300と同等で、マニュアル撮影機能とビューファインダをなくして小型化したモデル。価格は999.95ドル。 「HS20」も日本未発表で、80GB HDD搭載のエントリーモデル。スペック的にはTM20と同じで、価格は799.95ドル。
SDHCカードスロットのみのSDシリーズは、今回日本では発表されていないが、米国では「SD20」というモデルが発表されている。スペックはTM20と同じで、価格は599.95ドル。
H90はスペック的にはH80と同じで、HDD容量を80GBに強化したモデル、S26はSDHCカードスロットのみのシンプルなモデルだ。価格はH90が499.95ドル、H80が449.95ドル、S26が329.95ドルとなっている。 なお上記モデルはすべて4月発売となっている。
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■ ついに顔認識を搭載したキヤノン
現在デジカメ、カムコーダともに顔認識は注目の技術だが、キヤノンはこれまでカムコーダには顔認識を搭載してこなかった。その代わりAF用外測センサーを設けて、高速AFが売りとなっていた。 しかし今回発表された新モデルで、顔認識を搭載してきた。デジカメ側で搭載してきた機能とほぼ同等で、35人の顔を自動認識し、同時に9人までのフレームを表示する。また横顔など従来難しかったような状況でも認識、さらに一旦顔認識が外れても肌色を追従することで、露出変動をおさえるようになっている。 また今回は動画/静止画機能が自動で切り替わる、「デュアルショットモード」を搭載した。従来機では、動画モードで静止画を撮影すると、同時記録でなくてもハイビジョンサイズになっていたが、デュアルショットモードでは静止画のシャッターボタンを半押しで静止画モードに移行し、高解像度の静止画撮影が可能。
さらに画像処理プロセッサも新世代の「DIGIC DV III」となっている。従来機では、ホワイトのラティチュードが狭く、白潰れしてしまう傾向があったが、今回のモデルでは解消されている。
フィルタ径で58mmとなる新開発の光学10倍大口径レンズを搭載、撮像素子も新開発の1/2.6インチ、8.59メガピクセルのCMOS。レンズ脇にはマニュアル撮影用のコントローラを設け、フォーカスや露出などを割り当てることができる。自動開閉するレンズカバーも内蔵しているが、まぶたのように上下に開くのがユニークだ。価格はS10が1,399ドル、S100が1,199ドルとなっている。
なおキヤノンは伝統的に、下位モデルは光学系スペックが違うだけで、画像処理エンジンやソフトウェアをケチらないので、こちらもDIGIC DV III、デュアルショットモード搭載である。価格はHF20が999ドル、HF200が849ドルとなっている。
ただし画像処理エンジンはDIGIC DV IIのままだ。このシリーズはコンシューマというより、業務用サブカメラ的な位置付けになってきたのだろう。
メモリ記録のSD解像度モデルとしては、FS22/FS21/FS200が登場した。違いはメモリサイズのみで、順に内蔵32GB、内蔵16GB、内蔵なし。従来機に比べてさらに体積で17%小型化した。またFS200のみ、シルバー、ブラック、レッドの3色展開となっている。
■ ダブルSDHCスロットでメモリ化に走り出すEverio
前作ではMPEG-2とAVCHDのデュアルコーデックを搭載していたが、今回のHDモデルはAVCHDオンリーとした。エンコーダチップも専用で開発し、前デュアルチップよりも約30%低消費電力化したという。 今回はHDD搭載モデル、SDHCカードデュアルスロットモデルの2タイプに分けられる。SD解像度モデルも同デザインで展開、主要モデルがそれぞれ3色のカラーバリエーションを持つという、大量投入となった。 HDモデルの共通スペックだが、レンズはコニカミノルタ製でF1.9、光学20倍ズーム。撮像素子は1/4.1インチ 3.05メガピクセルのCMOS。1080/60i記録した映像を1080/60pに変換出力する機能を搭載している。記録モードとしては、24MbpsとなるUXPモードを新設し、キヤノンのHF、HF Sシリーズと並んだ。 「GZ-HM200」は、SDHCカードスロットを2基搭載したモデル。スロット1から2への連続記録が可能なほか、動画はスロット1、静止画はスロット2といった使い分けもできる。3月発売予定で、価格は579.95ドル。
またCEATECで既に公開されていたが、薄型のAVCHDモデルも実働モデルが展示されていた。こちらはSDHCカードスロットは1つで、今年夏の発売を予定している。
「GZ-MS130」は16GB内蔵メモリとSDHCカードスロット1基のモデルで、色はブラックのみ。「GZ-MS120」はSDHCデュアルスロットモデルで3色展開。価格はMS130が349.95ドル、MS120が299.95ドルとなっている。
「GZ-MG680/670/630」は、それぞれ120GB、80GB、60GBのHDDを搭載したモデルで、三色展開はMG630のみ。メモリスロットはmicroSDとなっている。価格は順に549.95ドル、479.95ドル、429.95ドル。
こちらもデュアルSDHCカードスロット搭載という点では同じだが、記録ファイルのコンテナがAppleの編集ソフト「Final Cut Pro」専用のQuicktime(mov)ファイルとなっている。これまでフィールドレコーダではmovファイルに記録するものはあったが、カメラ単体でダイレクトにmovを生成するのはこれが世界初となる。
レンズはフジノンのF1.8光学10倍ズームレンズで、画角は35mm換算で39~390mm。フィルター径は48mmで、専用コンバージョンレンズも発売される予定。撮像素子は新開発の1/4インチのプログレッシブ3CCDで、画素数は公開されていないが、プレスリリースによれば画素ずらしのようである。 画像処理エンジンは、以前Everioにも搭載されたことのある「HDギガブリッドDuo」だが、MPEG-4記録には対応しない。 驚くべきはその軽さで、標準バッテリ込みで1.4kgしかない。このクラスのカメラとしてはソニーの「HVR-Z7J」あたりが定番だが、これはバッテリなしで2.4kgであることから、その軽さがわかる。カメラマンではなく、ディレクターがハンディで回すカメラとしては、これぐらいの重量が妥当だろう。 これまでプロ用機は専用開発チームが設計を担当してきたが、今回のモデルはコンシューマ機の開発メンバーが合流し、共同設計したという。プロスペックを満たしつつ小型・軽量化するノウハウは、コンシューマチームが担当した。発売は今年の4月を予定しており、価格は50万円前後になる予定。
また同時発売モデルとして、同スペックのショルダー型「GY-HM700」も発売される。実機は公開されなかったが、スペックとしては実用重量4kg以下、レンズマウントは1/3インチで光学14倍のキヤノンレンズが付く。また既に発売されているSxSのカードレコーダ「KA-MR100G」も付けられるという。GY-HM700の詳細は、2月に発表される。
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□International CESのホームページ(英文)
(2009年1月10日)
[Reported by 小寺信良]
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