NEC、民生機器向けの次世代高速通信I/F回路を開発

-USB2.0と比べて、転送時間を約1/40に


4月2日発表

 NECは2日、高速通信が可能なコンシューマ機器向けの次世代インターフェイス(I/F)回路技術を開発したと発表した。

 同社が開発したのは、安価で柔軟性はあるが信号劣化が生じやすいUSB 2.0などで使われる伝送ケーブルでも高速な通信を可能とする回路技術。伝送ケーブルで起きる信号波形の歪みを補正することで、高速通信が可能になるとしている。

 また、同技術を搭載したLSIを設計。2時間のハイビジョン動画をI/F別で転送したところ、USB 2.0を使った場合が約14分、USB 3.0では約80秒、同社新開発通信I/Fだと約22秒となり、データ転送時間をUSB 2.0の約1/40に短縮できたという。

 回路技術の特徴は、歪みなどが生じる安価な伝送ケーブルで、高速通信が可能になる点。歪みを完全に補正するのではなく、意図的に一定量の歪みを残した状態で信号を受信し、歪みを残した信号でも正確な受信ができるように、歪み波形の状態を判別する新規入力データ判別回路と、これに用いる判別タイミング信号の生成回路を開発。受信信号のタイミング制御による波形補正を可能にし、従来と比べて約2倍の動作速度を実現したという。

 また、入力信号の波形歪みを補正するために、1つの入力データに対して毎回補正処理を行なう従来機能とは異なり、4つの入力データごとに1回だけ補正処理を行なう機能も搭載。この回路を4つ並列に時間をずらして動作させることで、1回路での処理動作時間が長くなり、複雑な補正処理が可能。歪みやすい高速送受信環境においても、安定した通信を実現できるとしている。


(2009年 4月 2日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]