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イヤフォンやACアダプタのケーブルが伸縮して丈夫に。旭化成の「ロボ電」

 CEATEC JAPANの旭化成ブースでは、伸縮する電線「ロボ電(ROBODEN)」の様々な用途が提案されている。

「ロボ電」を用いたイヤフォン試作機

 ロボ電は旭化成の繊維事業本部が世界で初めて実現した伸び縮みする電線。ケーブルの中心にある1本の伸縮素材の周りに螺旋状に芯線を巻いた構造で、金属導体のため電気抵抗が低く、伸縮しても導体同士が重ならないため断線しにくいといった特徴がある。

 名前の通り、ロボットのアームなどに使う高耐久性の配線「ROBODEN TR」として活用されているが、それ以外にもウェアラブル機器にも適していることから、情報機器向けの「ROBODEN TI」としても製品化。ウェアラブルに最適という細線で、雨や水洗いにも対応可能。

 ROBODEN TIは、伸縮率は10~40%、伸縮や屈曲の耐久は10万回(参考値)としている。配線素材は、すずメッキ軟銅線。許容電流は0.65A/芯。AWG28×4芯モデルの場合は外径約4mmで、1mあたり5,500円で愛三電機が販売している。

イヤフォンケーブルが伸縮する(縮んだ状態)
ケーブルを伸ばした状態
ロボ電の内部。芯線が螺旋状になっている
ROBODEN TIの製品ラインナップ

 今回のCEATECでは、イヤフォンメーカーとの協力でスポーツ向けのBlueoothイヤフォンに採用する試作機を参考展示。装着したマネキンを、ランニング時のように激しく上下動させても、ケーブルが跳ね上がらず邪魔にならないことをアピールしており、メーカーなどに採用を提案している。

伸縮する電線「ロボ電」のイヤフォンは激しい動作でも揺れずにフィット
ウェアラブルの例としてロボ電付きの手袋(左側)。通常のケーブルを用いた右側の手袋は、縮んだときにケーブルが浮いてしまい、外装に負担が生じる問題がある

 もう一つの例として、ACアダプタに巻きつけて収納できるケーブルを試作。一般的なACアダプタなどの場合、持ち運び時などに巻きつけを繰り返すとケーブル外装の劣化で断線のリスクも高くなる。伸縮するロボ電の場合は芯線への負担が少ないほか、巻き付けた後にケーブル先端の端子を固定するスペースを設けておけば、カバンの中などでケーブルが外れて絡まるといったトラブルも防げるという。

Lightning端子を用いたロボ電ACアダプタの試作機
側面に巻きつけて持ち運べる

 同社は内部ケーブルの多芯化にも取り組んでおり、イヤフォンのような音声だけでなく、映像ケーブルも試作。製品化は未定だがHDMIケーブルも開発中で、ポータブルプロジェクタなどとの持ち運びに便利な点をアピールしていた。

HDMIケーブルも試作
Webカメラ用のUSBケーブル
様々な太さや構造の企画見本