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DAZN、Jリーグ中継の詳細発表、カメラ増設やハイライト。見逃し期間延長も検討

 Jリーグと、2017年シーズンからJリーグ全試合を独占ライブ配信するスポーツライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」は20日、2017年シーズンのJリーグ配信の詳細や、映像制作の方針などについて説明した。

Jリーグの村井満チェアマン(左)とDAZNジェームズ・ラシュトンCEO(右)

 DAZNを運営するPerform GroupとJリーグが、2017年から10年間で約2,100億円の放映権契約を締結。DAZNは、日本国名におけるインターネット・モバイル配信、IPTVサービス、有料サテライト放送、CATVなどの放映権を持ち、2017年シーズンから、J1/J2/J3リーグの全試合のライブ配信・見逃し配信を行なう。DAZNの利用料金は月額1,750円。

 2月25日のJリーグ開幕前に、沖縄・宮崎・鹿児島で開催される「2017 JリーグDAZNニューイヤーカップ」や「Jリーグアジアチャレンジ in タイ インターリーグカップ」もライブ配信。DAZNでは、Jリーグ以外にも、ブンデスリーガやセリエAなどの海外サッカー、野球、バスケットボールなど130以上のスポーツコンテンツを配信し、対応スマートテレビやスマートフォン、タブレット、Fire TV/TV Stickなどで視聴できる。

 Jリーグの村井満チェアマンは、ニューイヤーカップの制作など、DAZNでの中継がいよいよ始まることを説明。「ダズーンじゃなくてダゾーン。契約は2月からなので、積極的にプロモーションを行なっていく」と両社のパートナーシップについて強調した。

Jリーグ 村井 満チェアマン

J1のカメラは基本9台で「Jリーグブランド」品質。スローも

 2016年までJリーグを放送してきたスカパー! は'17年はJリーグ中継を行なわず、DAZNが'17年以降のJリーグ国内配信の中心となる。'17年以降の放送で大きく変わるのが、Jリーグが映像制作の主体となり、著作権も管理するということ。'16年までは、放映権だけでなく、映像制作も著作権管理もスカパーが担当していた。

 今回の契約では、DAZNが持つのは放映権のみ。映像製作はJリーグ、著作権もJリーグが持ち、公式映像や国際配信映像(WorldFeed)はJリーグが制作。DAZNはJリーグの映像制作に協力、ノウハウを共有し、サポートしていくという立場になる。

DAZNとJリーグの立ち位置
Jリーグが国際映像(公式映像を制作)

 ただし、映像制作において、DAZNはプレミアリーグなどのノウハウを元に積極的に関わっており、「中継映像は、世界と比べて遜色ない高品質を目指していく」(Perfome Imvestment Japan DAZNコンテンツ制作 水野重理 本部長)という。特に「統一感」を重視。どの中継でも「Jリーグブランド」の品質で制作することで、Jリーグの価値を高めていくとする。

 具体的には、「統一アングルのカメラ配置」を採用。2016年の中継では基本6台だったカメラ配置を、9台に拡張。J1の中継は、基本的にこの構成とし、「質を高めるだけでなく統一感を高める」という。

2017年は9カメラ体制に

 '16年は、ピッチ手前にフラットに配置するカメラ配置だったが、'17年の9カメラ体制では、スタンドや、リバースカメラと呼ぶピッチ向かい側からの撮影を強化。リバースカメラはスーパースロー撮影も可能で、ゴールに向かってくる表情や、ゴールを決めた際の選手の喜び、監督・スタッフの歓喜などをよりダイナミックに表現できるという。

 スロー撮影も強化。また全てのカメラの映像が中継車で記録されるため、使える映像も大幅に増えているという。

 カメラプランはJ1、J2、J3は同じコンセプトだが、台数は異なっており、J2は6台、J3は4台を基本とする。また各節1試合ほど、J1の注目試合などでは、最大16カメラ体制とする「J1拡張プラン」も用意し、より魅せる撮影を行なうという。

より“魅せる”拡張プランは16カメラ体制

 また、J1/J2/J3の各試合で、ハイライト番組も制作。番組の長さは3~5分程度で、試合のポイントを確認できるようになる。

 なお、制作した映像の著作権はJリーグが管理するほか、解説・実況のマネジメントもJリーグが行なうという。

見逃し配信は当初30日。ダウンロード対応も検討

 週末のJリーグ全試合の中継だけでなく、金曜日には注目試合などを紹介する「プレビュー番組」、月曜日には結果を知らせる「レビュー番組」を配信。J1、J2、J3の各リーグで毎週1番組を制作する。

プレビュー番組など、“試合を盛り上げる”番組作りも

 なお、DAZNのJリーグ中継はライブ配信(中継)のほか、見逃し配信も行なえる。Jリーグ試合の見逃し配信期間(ライブ中継終了後の配信期間)は、「いまは30日」(DAZN ジェームズ・ラシュトンCEO)となっている。

 ただし、「もっと長くして欲しいという要望が多ければ、実現に向けて努力する。90日とか120日にする方法や、ダウンロード対応も検討を続けていく。シーズンは間もなく開幕し、最初からは実現できないかもれないが、ファンの声に耳を傾けていく」という。

 またラシュトンCEOは、新しい番組制作への手法として、「NFLのレッドゾーンに近いサービスを作る」と説明。レッドゾーンは、アメリカンフットボールNFLの全てのタッチダウンを視聴できるサービスとのことで、DAZNが計画しているものは、Jリーグ中継を見ながらその他の試合のゴールシーンなどが閲覧可能になるというもの。2017年後半のスタートを目指しているという。

“テレビ”視聴を重視。「WOWOWやJ SPORTSを超える」

 DAZN ジェームズ・ラシュトンCEOは、Perfomrm Groupの事業展開やDAZNの今後について説明。日本での専門スタッフは200人を超え、スポーツ専門のOTT(Over the Top)サービスとして、映像配信やGoalなどの自社メディア、データ分析などの様々な強みを持つことを紹介。

DAZN ジェームズ・ラシュトンCEO

 Jリーグについては、ゴール/試合や、勝利試合のアウェイ率、パス成功率などの様々な指標において、高い競争力を示す、「クオリティの高いリーグ」と説明。一方で、Jリーグファンの高齢化傾向と、テレビ所有者の低下に言及し、DAZNでは「新しいタイプのスポーツコンテンツを作り出し、新たなファンを獲得する」と説明。Jリーグが開幕する2月以降、DAZNの周知に、スタジアムやテレビ、Web、交通広告などでプロモーションを実施。「2,000万ドル(約23億円)」の予算をかけるという。

Jリーグのクオリティは高い

 ラシュトンCEOは「“特にテレビで見られる?”という疑問が多く、視聴方法についてまだ混乱があるかもしれない。このキャンペーンで解消していきたい。ソニーやLG、パナソニック、シャープ、東芝などの最新スマートテレビでも見られるし、Fire TVなどをHDMIに繋いでも見られる。Xboxアプリも提供しており、PS4/PS3やChromecastも対応予定だ」とテレビ対応の強化を説明した。

最大6台登録、2台同時で視聴可能
様々なデバイスでDAZNを視聴可能

 加入者数は「非公開」。ただし、「Jリーグが加入数に大きな影響があるのは間違いなく、そのために投資を行なった。スカパーには数十万人いたし、スタジアムに通う100~150万のハードコアファンがいる。まずはこの人達に加入してほしいし、さらに拡げていきたい。DAZNの野心としては、数百万人が加入するWOWOWやJ SPORTSなどと同水準を最低限達成していきたい」とした。