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DAZNのJリーグ配信はライブ視聴が50%超。番組制作体制を説明

 スポーツライブストリーミングサービスの「DAZN(ダ・ゾーン)」は5日、東京 大門のオフィスを公開し、Jリーグを中心とした同社の番組制作体制について説明した。

 DAZNは、2017年シーズンのJ1/J2/J3リーグ全試合を独占ライブ/見逃し配信しているほか、試合中にマルチ画面で複数の試合を並行してライブ視聴できる新番組「Jリーグ・ゾーン」もスタートするなど、Jリーグを中心に、サッカー(Jリーグのリーグ戦全試合、ブンデスリーガ全試合、セリエA等)、野球(広島東洋カープ、横浜DeNAベイスターズ、MLB等)、バレーボール(Vリーグ等)、モータースポーツ(F1等)など、国内外130以上、年間6,000試合以上の主要スポーツ映像を配信している。月額視聴料金は1,750円。NTTドコモの回線契約者を対象にした「DAZN for docomo」の場合、月額980円。

Jリーグ以外の配信映像を扱うメインのコントロール室

Jリーグ中継の品質向上に協力。ライブ配信が5割強

 今回公開された大門のDAZNオフィスでは、実況解説やダイジェスト映像作成などの制作業務が行なわれている。DAZNのオフィスはロンドンが中心となり、大門とミュンヘンの拠点を結んでおり、全てのコンテンツはロンドンで管理されているという。

 Jリーグ放送については、'16年まではスカパーが映像制作を行なっていたが、'17年シーズン以降はJリーグが映像を制作。DAZNはJリーグに協力し、中継映像の品質向上のための撮影機材や中継技術、制作機材などに投資している。例えば、昨年までは各地域の放送局や制作者をスカパーが取りまとめていたため、試合の映像の上に表示するグラフィックスなどが、局や制作者によってまちまちであった。DAZNでは、このグラフィックスの機材や見せ方を統一した。

Jリーグブランドの映像を制作

 さらに、J1リーグ中継の場合、2016年までは基本6台だったカメラ配置を、'17年は9台に拡張し、各スタジアムでほぼ同構成に統一。こうした工夫により、Jリーグ映像としての統一感を高めている。

J1のカメラは標準で9台に

 Jリーグの映像については、「付加価値を高める映像」をDAZNが製作する。中継映像自体は、Jリーグが(DAZN協力のもと)現地で製作し、DAZNに提供されるが、DAZNではリプレイやハーフタイム中のダイジェスト映像などを独自に作成。DAZNのユーザーに提供する。

実況・解説ルーム
MAルーム
リプレイ映像を編集

 特にリプレイによる演出を強化。すべてのカメラをリプレイ対応としたのも2017年シーズンJリーグ中継の特徴だという。試合がある土日だけでなく、金曜日にプレビュー番組、月曜日にはレビュー番組も制作。さらに、試合中にライブ映像だけでなく、放送中の試合の注目シーンだけを集めてマルチ画面で見せる新番組「Jリーグ・ゾーン」も配信する。

 Jリーグ・ゾーンでは、メイン画面で注目試合を放送しながら、同時に開催中の試合で大きな動きがあるとそちらにスイッチ。例えばゴールシーン、あるいはゴールが期待されるセットプレイなどがあれば、その試合に切り替わる。1画面で最大3つのライブ配信を見ることができ、スタッツやSNS投稿内容を表示するサブ画面、各試合のスコアを表示するアンダーバーも用意される。DAZNのディレクターが2人体制でリアルタイムで番組を見ながら、映像を切り替えるため、試合時間に注目シーンをまとめて体験できる。

Jリーグ・ゾーンの制作シーン

 DAZNコンテンツ制作 本部長の水野重理氏によれば、「Jリーグ・ゾーンは(アメリカンフットボールの)NFL Redzoneを参考にした」とのこと。また、J1、J2だけでなく、J3も含めて試合が見られるため、「J3リーグの選手に触れ、レベルの高さを感じてもらうなど、よりJリーグを知っていただくきっかけにしたい」とする。

DAZNコンテンツ制作本部長の水野氏

 DAZNのJリーグ配信では、視聴数のうちライブ視聴が50%強、ダイジェストを含む見逃し配信が40%で、その他がプレビュー番組などとなっている。また、デバイス構成比では、モバイル、PC、テレビがほぼ均等に分かれているとのこと。

 海外の競技やDAZNが購入しているコンテンツについては、試合の部分は国際映像がそのまま使われるが、日本語の実況や解説、サッカーであればハーフタイムのダイジェスト映像などは日本側で製作する必要がある。そうした制作体制も備えており、実況・解説用のブースは10室設けられている。なお、Jリーグ中継では、基本的にJリーグが試合会場で実況・解説も含めて収録しているという。

サブのコントロール室。ブンデスリーガのリプレイ映像なども制作している

 DAZNの画質は「HD画質」とされているが、解像度は最高フルHD、フレームレートは最高25フレーム程度。PAL(50i)ベースでシステムを構築しているため、こうした仕様になっているとのこと。また、遅延(ディレイ)については、「OTT(インターネット上でサービス展開する事業者)として宿命的な課題で、どの伝送路でどういう帯域をユーザーが持っているかわからず、またデバイスに依存してしまう。コーデックの改善やCDN(コンテンツ配信ネットワーク事業者)との協力などで、改善できる可能性は探っている。また、NTTと共同で行なっているスマートスタジアムなどの取り組みもそうした活動の一環」とした。