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パナソニック、世界初の4K/60p撮影対応ミラーレス「GH5」を3月23日発売、約24万円

 パナソニックは、4K/60pの動画撮影や、高解像度で映像撮影を行ない、そこから決定的瞬間を1,800万画素/秒間30コマの静止画として切り出す「6Kフォト」機能を搭載したミラーレスのデジタルカメラ「LUMIX DC-GH5」を3月23日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はボディのみで24万円前後、標準ズーム「LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S. (H-FS12060)」が付属するレンズキット「DC-GH5M」は27万円前後。

「LUMIX DC-GH5」

 マイクロフォーサーズのミラーレスカメラ。1月に米国で開催された「CES 2017」で海外発表されていたが、日本での発売日や価格が明らかになった。イメージングネットワーク事業部の山根洋介事業部長は、「写真と動画のハイブリッドフォトグラフィーを切り開く旗艦として発売したGH4の、静止画、そして動画をさらに進化させ、このトレンドをさらに進めていくLUMIX史上最高峰の製品」と紹介。GH4は4K/30p撮影に対応していたが、GH5ではミラーレス一眼として世界で初めて、4K/60pの撮影に対応。4K/30p/4:2:2/10bit撮影もサポートする。

「LUMIX DC-GH5」

 有効2,033万画素の新開発Live MOSセンサーを搭載。ローパスセンサーを省き、リアルな解像力と、4K/60p動画撮影に対応する高速読み出しを実現。読み出しスピードはGH4の約1.66倍になり、ローリングシャッター歪も抑制している。

有効2,033万画素の新開発Live MOSセンサー

 画像処理の「ヴィーナスエンジン」も新開発。新技術「マルチピクセル輝度生成」と「インテリジェントディテール処理」により、レンズの解像性能を余すことなく再現できるという。「新3次元色コントロール」で、明度・彩度・色相別により豊かな色調を再現。高感度時は「高精度マルチプロセスNR」で、ノイズ・信号成分を緻密に見分け、立体感や繊細なディテールまで描写できるという。

 高速処理化により、センサー全域の読み出しによる4K60p動画撮影にも対応。GH4はセンサーの中心部分から読み出しを行なっていたが、GH5は全域から読み出せるため、レンズの焦点距離を活かした高画質な撮影が可能。

 カメラ本体内での4K/60pの動画撮影に対応。4Kの解像度は4,096×2,160/3,840×2,160ドット。激しい動きのある被写体でも、ローリングシャッター歪を抑えながら、コマ落ちが少ない自然でなめらかな映像が撮影可能。ミラーレス一眼で世界初となる、4K/30p/4:2:2/10bit撮影もサポート。4:2:0 8bitに比べ2倍の色情報、全体では64倍の情報量を持ち、カラーグレーディング時の微妙な色調整、ダイナミックな色変換、CG合成用の高品位な素材記録など、プロ向けに適した記録フォーマットとなる。

 この4:2:2 10bit 4K30p動画記録を、カメラ本体だけでSDカードに記録できる。さらに、SDカード記録をしない場合は、4:2:2 10bit 4K60pでのHDMI出力も可能。4月にはファームアップでフルHD/4:2:2 10bitにも対応予定。夏には4:2:2 10bit ALL-Intra記録、4K HDR(ハイブリッドログガンマ方式)、高解像アナモフィックモード、USBテザー撮影も可能になる予定。

今後のファームアップ情報。4K/HDRにも対応する

 記録フォーマットはMOV/MP4/AVCHDに対応。記録時間に制限はない。記録モードは[C4K] (4,096×2,160ドット/23.98p/400Mbps/4:2:2/10bit ALL-I)や、[4K] (3,840×2,160/59.94p記録/150Mbps/4:2:/8bit LongGOPなど。

 グローバルの放送周波数に合わせた「システム周波数切換(59.94Hz/50.00Hz/24.00Hz)」、「4:2:2 10bitモニタリングスルー記録」や、編集に適したダイナミックレンジのガンマカーブ効果が得られる「フォトスタイル設定(709ライク/シネライクD/シネライクV)」、スローモーション、クイックモーション撮影のVFR(バリアブルフレームレート)記録などもサポート。輝度レベル設定、波形モニター表示、ゼブラパターンなど、映像制作に便利な機能も備えている。

 膨大な情報量のデータを処理するため、内部の発熱と、その排熱も膨大になる。GH5では独自の放熱・低電力設計をさらに強化。温度上昇を抑制している。

放熱などを工夫して、時間制限無しの録画を可能に

 記録メディアはSDカードで、ダブルスロット仕様。順次(リレー)記録、バックアップ(サイマル)記録、振り分け記録から選択できる。

記録メディアはSDカードで、ダブルスロット仕様

 オプションとしてXLRマイクアダプタ「DMW-XLR1」も3月23日発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は4万円前後。XLRマイクをGH5に接続できるようにするアダプタで、高品位なステレオ音質での記録が可能。ボリューム・ゲイン・ローカット・オートレベル制御のスイッチも備えている。さらに、MOV形式で録音する際は96kHz/24bitのハイレゾ音声で、4K映像と共に録音できる。

XLRマイクアダプタ「DMW-XLR1」

ビデオスピードクラスV90のメモリーカードも発売

 なお、3月23日にはUHS-II、ビデオスピードクラスV90に対応したSDメモリーカードも発表。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は128GBの「RP-SDZA128JK」が55,000円前後、64GBの「RP-SDZA64GJK」が28,000円前後。防水/耐温度/耐衝撃/耐エックス線/耐磁石/耐静電気機能も備えている。

UHS-II、ビデオスピードクラスV90に対応したSDメモリーカードも同時発表

 読み出し速度は最大280MB/秒、書き込みは最大250MB/秒を実現。最低保証速度90MB/秒のビデオスピードクラスV90に対応する。

 例えばGH5で[C4K] (4,096×2,160ドット/23.98p/400Mbps/4:2:2/10bit ALL-I)で撮影する際は400Mbps、つまり約50MB/秒の書き込み速度が必要だが、V90対応のSDカードであれば余裕をもって対応できるという。

決定的瞬間を約1,800万画素で残せる「6Kフォト」

 約1,800万画素の高画素で、秒間30コマの連写が可能な「6Kフォト」機能も搭載。「4Kフォト」は秒間60コマに進化、目では捉えられない瞬間も残せるという。なお、6Kフォトでは、H.265/HEVCのMP4で録画し、画像選択後にJPEGで書き出す。4KフォトではMPEG-4 AVC/H.264のMP4。

 6K/4Kフォトで撮影し、秒間30/60コマ連写から1枚選んで保存する際に、前後のフレームを使用した画像合成処理「ポストリファイン機能」を使うことで、高速で動く被写体の撮影時に発生しやすいローリングシャッター歪み現象も補正。高感度撮影時のノイズを低減できる「時空間ノイズリダクション」の補正処理も組み合わせ、「一瞬をさらに美しく自然な描写で仕上げられる」という。

 AFも強化。空間認識技術「DFDテクノロジー」も進化させ、最速0.05秒のAF速度を実現。DFDテクノロジーの処理速度はGH4から約6倍に高速化、検出精度は最大約8倍高精度化、動き補償回路による動き耐性も向上し、動く被写体に対するAF追従性能が飛躍的に向上したとする。

 AF時のフレームレートは、GH4比で約2倍の480fps。AF追従連写は、最大記録画素の20.3メガの場合で約9コマ/秒。

 AF枠はGH4の49点から225点に大幅増加。より細分化されたAF枠になっており、細かな設定も可能。右手の親指で操作できるジョイスティックも新たに搭載し、正確かつスピーディにフォーカスエリアを選択できるという。

右手の親指で操作できるジョイスティックも新たに搭載

 筐体は防塵、防滴設計で、軽量かつ耐久性のあるマグネシウム合金フレームを採用。シャッター耐久回数は20万回、マイナス10度までの耐低温設計も採用した。ファインダーは0.76倍、約368万画素の有機EL。背面のモニタは3.2型で約162万画素。

内部パーツ
背面のモニタは3.2型で約162万画素

 別売のオプションとして、防塵・防滴・耐低温設計で縦位置撮影しやすいバッテリーグリップ「DMW-BGGH5」も3月23日発売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は35,000円前後。

バッテリーグリップ「DMW-BGGH5」を取り付けたところ

 無線LAN機能はIEEE 802.11a/n/acに対応。スマートフォンと手軽に連携するためのBluetoothにも対応。省エネながら、常時カメラと接続する事もできる。

マイクロフォーサーズで“8Kフォト”目指す

 山根洋介事業部長は、Gシリーズが切り開いてきた「写真と動画のハイブリッドフォトグラフィ」の世界を、さらに発展させるモデルとしてGH5を紹介。

右が「LUMIX DC-GH5」を手にするイメージングネットワーク事業部の山根洋介事業部長

 ミラーレス初の4K/60p、4K/30p/4:2:2/10bitの本体記録を、時間無制限で可能にした背景については、「業務用向けカメラのメンバーも開発に加わり、一緒にやってきた事が大きい。発熱が大きな問題になるが、この処理をやっている時に、他の処理をどれくらい遮断するのかなど、かなりきめ細かく取り組んだ。ボディの中でどれだけ放熱させるかなど、形状もデザインにこだわりつつ、効果的に放熱する事にも気を配っている」という。

 また、GH4から静止画、動画のどちらでも、多くのプロカメラマン、映像制作者に活用されている事例を紹介。そうしたユーザーをサポートするため、4月3日に東京・秋葉原のサービス拠点「LUMIX&Let's note修理工房」3階にて、「LUMIX プロフェッショナルサービス」を開始する事も発表。

 プロ向けの会員制有償サービスで、登録機材の保証期間延長、登録機材の修理、点検・クリーニング(特別割引有り)、修理時の代替機材及び新製品の試用機材の貸し出し、特別価格での機材販売、各種情報の提供などを実施。「新たな映像を作る架け橋として活用して欲しい」とする。

 また、GH5で実現した「6Kフォト」に関する今後の展開として、「瞬間をとらえるこの技術にさらに磨きをかけていきたい。2020年の東京オリンピックに向けて、時代は8Kに向けて進んでいる。4Kの4倍、3,300万画素の8K時代に向けて、ミラーレス一眼の世界を進めていく。センサーはより高速な映像を処理できるように、レンズはその高画質をあますことなくとらえられるように、エンジンはよりハイフレームレートやHDRにも対応できるように進化させる。静止画と動画の垣根を完全に取り払い、まったく新しい8Kの世界を切り開いていく」と語り、将来的に“8Kフォト”の実現に取り組んでいく事を示唆。

 報道陣から「マイクロフォーサーズで8Kフォトは技術的なハードルがかなり高いのではないか」と質問が飛ぶと、山根氏は、「確かにマイクロフォーサーズで8Kフォトは、セルサイズや小絞りボケなどの物理限界もでてくる。どのように8Kを実現するか、別の観点からも考えている。例えば絞らなければどうなるのかなど、どんな使い勝手で、どんな価値に繋げられるのか。本当に今、思案中。歩みを止めずに頑張っていきたい」と答えた。

将来的に“8Kフォト”の実現に取り組んでいく事を示唆

 LUMIX Gシリーズのスペック進化に合わせ、交換レンズのラインナップをリニューアルする事も発表。「H-FSA45200」(56,000円)、「H-FSA100300」(82,000円)、「H-HSA12035」(119,000円)、「H-HSA35100」(H-HSA35100)を発売し、LUMIX G8より搭載したボディ/レンズ両方の手ブレ補正を最適に制御する「Dual I.S. 2」に対応、動画撮影時の性能も向上させ、外装もより高品位なデザインに仕上げた。

 また、2月23日には「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」(H-ES12060)も発売。価格は125,000円。ライカの光学基準をクリアし、F2.8-4.0「ELMARIT(エルマリート)」の明るさを実現。4K動画撮影中のズームやパンニング時の露出変化制御、AFサーチ時の高速・高精度・静音化も実現したという。

「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」(H-ES12060)