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ソニー、“紙のように読み書きできる”A4サイズデジタルペーパー

 ソニーは、PDFなどの電子文書を“まるで紙のように読み書きできる”を追求したデジタルペーパー「DPT-RP1」を6月5日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は8万円前後。

 A4サイズ相当となる13.3型/1,650×2,200ドットの高解像度電子ペーパーディスプレイを搭載したデジタル端末。重さ約349g、厚さ約5.9mmと10型以上のディスプレイ採用では、世界最薄最軽量という。16GBのストレージメモリを内蔵し、うち11GBがユーザー領域。約1万ファイルのPDFを保存できる。

 前機種のデジタルペーパー「DPT-S1」は、現在、文献や論文などの文書を扱う大学教員や医師、大量の紙を扱う税理士や弁護士などに利用され、ペーパーレス化を実現しているが、2世代目の「DPT-RP1」は、利用者の声を参考に、より紙のような使い勝手を実現できるよう、一層の軽量化を図ったほか、前機種よりもページ送り速度を最大約2倍に高めるなどで、読みやすさを向上した。ディスプレイも高解像度化し、さらに字体を滑らかに表現、図や表の拡大にも対応する。

 また、独自開発したノンスリップパネルを画面に採用。ペン先の滑りを抑え、適度な抵抗感を持たせることで、より紙に近い書き心地を実現している。2種類の芯から好みの書き味を選択可能。また、ペン先と描画位置のズレが少なく、ペンの動きに対する遅延も少ないため、手書き時の違和感を抑えられているほか、新採用の静電容量タッチパネルと充電式アクティブスタイラスペンの組み合わせで、画面の端まで細かく書き込めるという。

 文書を見比べるための2画面表示や、ペンによる手書きのコピー&ペースト、[☆]、[*]の2種類のマークによる検索機能なども搭載する。

 CPUは、Mervell IAP140。IEEE 802.11a/b/g/n/ac無線LANやBluetooth Ver.4.2を搭載する。

 PC用アプリ「Digital Paper App」も用意し、パソコンとの間でファイル転送や管理をワイヤレス経由で行なえる。microUSB経由での有線接続にも対応。アプリの同期機能を使うことで、フォルダやクラウドストレージなどと簡単に連携できる。対応OSはWindows 7/8/10とMac OS X。

 また、パソコンの印刷メニューからプリンターとして「デジタルペーパー」を選べば、様々なファイル形式のドキュメントやメール、Web画面などをPDFに変換して、デジタルぺーパーに転送できる。

 充電時間は約3.5時間(ACアダプタ)/約5.5時間(USB)、バッテリ駆動時間は約3週間(Wi-Fi OFF)/約1週間(Wi-Fi ON)。外形寸法は約302.6×224×5.9mm(縦×横×厚み)。スタイラスペンやUSBケーブル、替芯、芯抜きなどが付属。スタイラスペンの電池持続時間は約1カ月。

 法人や業務向けの展開を見込んでおり、パートナー企業との業務システム連携が行なえる「デジタルペーパー連携サーバーソフトウェア」を有償で提供。WebAPIを利用して、業務システム連携を可能とし、高いセキュリティの中でのドキュメント管理が行なえるという。具体的には大学のレポートやフィードバック、医療現場における同意書や問診票などの院内文書のデジタルペーパー化、介護現場や製造現場における書類改修や送付に伴う移動の軽減などを見込んでいる。

 なお、4月10日付けで、ソニーセミコンダクタソリューションズと電子ペーパーを手掛けるE Ink Holdingsが、電子ペーパーディスプレイ事業を運営する合弁会社設立で合意。電子ペーパーを活用した商品や関連するアプリケーション、連携プラットフォームの企画・開発・設計・製造・販売などを展開する。

 商品やアプリケーションを提供するほか、パートナー企業とのサービスやシステム連携などを、様々な業態の事業者に働きかけ、市場の活性化や新市場の創造を推進。「将来的には電子ペーパーディスプレイを、社会基盤を構築する一つのツールにまで普及させる」という。

 合弁会社は台湾に登記され、日本における子会社は4月に発足予定。新会社の資本金は420百万台湾ドル(約15億円)。合弁会社の主要株主となるE Ink子会社と、ソニーセミコンダクタソリューションズの合計出資比率は約70%で、残りの株式については、ベンチャーキャピタル企業が保有する見込み。