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パナソニック、低遅延な360度カメラや10bitパネルのフルHD液晶モニタをNABで公開

 パナソニックは米ラスベガスにて24日に開幕した国際放送機器展「NAB 2017」に合わせ、業務用カメラなどの新製品を発表。高画質と低遅延を両立した360度ライブカメラや、10bit処理で忠実な階調表現ができるという16.5型の液晶モニタなどを紹介している。

右からカメラヘッド「AW-360C10」とベースユニットの「AW-360B10」。これらで構成する360度ライブカメラシステム

高画質で低遅延な360度ライブカメラ

 360度ライブカメラは、カメラヘッド「AW-360C10」とベースユニットの「AW-360B10」で構成する。8月発売予定で、価格はオープンプライス。

 カメラヘッドの「AW-360C10」には、4系統のカメラを搭載。そこからの出力を、ベースユニット「AW-360B10」が受けて、それぞれの映像をスティッチング、360度の全天球映像を生成する。非圧縮4K(3,840×1,920ドット)/30pの出力が可能で、業界標準フォーマットであるアスペクト比2:1、正距円筒図法形式を採用している。

 高い操作性を備え、外部にPCを接続することなく4系統のカメラ映像の露出・ホワイトバランスを撮影環境に合わせて自動制御。常に自然な映像を生成できるという。

 さらに、スティッチング時に接合部の被写体を自動で検出し、スティッチング位置を常時変更する高精度な「リアルタイム動的スティッチング機能」を搭載。継ぎ目がわからない映像になるという。

 360度映像は低遅延で接合・生成されるため、リアルタイムな映像配信が可能。離れた場所のパソコンやiPadなどのタブレット端末からLAN経由によるモニタリング、カメラ制御も可能であるため、即時性のある4K制作ワークフローを実現できるという。また、設置や撤収が簡単ながら、ケーブルの誤抜防止機能なども搭載している。

フルHD/10bitパネル採用のLCDビデオモニタ

 19型ラックマウントに対応した、業務用の16.5型液晶モニタ「BT-LH1770」を、今夏に発売予定。価格は未定。

業務用の16.5型液晶モニタ「BT-LH1770」

 広視野角・高輝度・高コントラスト比・動画応答・色再現性に優れたIPS方式を採用。解像度は1,920×1,080ドット、10bit処理により忠実な階調表現が可能という。

 入力端子は3G-SDI×2、HDMI、アナログコンポジットを備え、幅広いソースに対応。エンベデッドオーディオ対応、WFM(波形モニター)/VS(ベクトルスコープ)表示など放送業務をサポートする機能も装備。複数モニターの色合わせを容易にするユーザーファイル、USBマウスを用いたメニュー設定など、運用性・操作性にも優れるという。

 AC/DC/バッテリ駆動に対応しているため、屋外ロケや中継など機動性を求められる撮影現場にも対応できるという。

Thunderbolt 3を採用したexpressP2ドライブ

 「AU-XPD3」は、高速インターフェースThunderbolt 3を採用したexpressP2ドライブで、6月発売。価格は20万円。

インターフェースThunderbolt 3を採用したexpressP2ドライブ「AU-XPD3」

 4K映像とハイフレームレート映像を記録するため、実効データ読み出し速度最高10Gbpsの性能を持つ「expressP2カード・Bシリーズ」を活かすためのドライブ。従来品のexpressP2ドライブ「AU-XPD1」は、USB 3.0インターフェースの仕様で2.4Gbpsの転送速度だったが、AU-XPD3ではThunderbolt 3を使うことで、約4倍、最高10Gbpsを実現する。

 これにより、512GBのexpressP2カードでは、AVC-Intra4K422(4K/24p)で収録可能な約3時間のコンテンツを約7分間でオフロード可能。2台をデイジーチェーン接続して同時アクセスすれば、512GBのexpressP2カード 2枚に記録された6時間のコンテンツ(AVC-Intra4K422、4K/24p)を約8分間でオフロードできるという。

 P2カードやmicroP2カードアダプターにも対応。Thunderbolt 3ポートは2系統備えており、最大6台までのデイジーチェーン接続が可能。電源は付属のACアダプタを利用する。

屋外対応HDインテグレーテッドカメラ「AW-HR140」

 回転台一体型のHDインテグレーテッドカメラ新製品「AW-HR140」を6月に発売する。価格はオープンプライス。

屋外対応HDインテグレーテッドカメラ「AW-HR140」

 結婚式場やイベントホール、議場、大学、放送局など、さまざまなコンテンツ撮影の場で利用できるという。新製品では、屋外対応モデルのニーズに応えるため、放送・業務用としての高水準の映像品質を保ちながら、防水・防塵、耐重塩害仕様を備えたのが特徴。ハウジングに収納することなく屋外設置ができる。

 カメラ部には、1/2.86型フルHD 3MOSセンサーとDSPを搭載。高度な映像処理で高感度、高S/N比、高解像度を実現したという。

 筐体は、IP65の防水・防塵仕様やワイパーを標準搭載。耐重塩害塗装により、海岸や防波堤などにも設置できる。

 また、放送用カメラとしては業界で初めて、光学式の揺れ補正機能OIS(Optical Image Stabilizer)とPan/Tilt機構式振動補正機能を同時に機能させるD.I.S.S.(Dynamic Image Stabilizing System)を搭載。自然環境や設置環境によって生じるゆっくりとした大きな揺れ、速くて細かい揺れを同時に抑圧して、揺れの少ない撮影ができるとする。

 リモートカメラコントローラー「AW-RP120G/RP50」からHUBを経由し、最大100台の同カメラのIP制御や、最大5台のリモートカメラコントローラー「AW-RP120G/RP50」から同カメラ1台のIP制御も可能。LANケーブル経由での電源供給も可能。