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マクセル、裸眼で立体像を360度方向から観れる「Glasses-free 3D-Display」開発

 マクセルは、曲面スクリーン上に立体像を表示する「Glasses-free 3D-Display」(裸眼3Dディスプレイ)を開発。複数人が裸眼で、360度方向からそれぞれの視点に対応した立体像を観られるもので、試作機を、10月28日~11月5日に東京ビッグサイトで開催される「東京モーターショー 2017」の日立グループブースに参考出展する。なお、試作機の視野角は50度。

マクセル、裸眼で立体像を360度方向から観れる「Glasses-free 3D-Display」開発 「Glasses-free 3D-Display」試作機の表示イメージ左から、左斜め前から見た「視点A」、「視点B」(正面)、「視点C」(右斜め前)。視点の方向は、下記の原理イラストを参照のこと
「Glasses-free 3D-Display」試作機の表示イメージ左から、左斜め前から見た「視点A」、「視点B」(正面)、「視点C」(右斜め前)。視点の方向は、下記の原理イラストを参照のこと

 3D-Displayは、国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)ユニバーサルコミュニケーション研究所の「fVisiOn」を基に、マクセル独自の光学技術と映像技術を組み合わせることで浮遊感を向上させ、よりリアルな立体像表示を可能にしたという。

 人間は、物体表面で反射した光線群を両眼で観ることで、立体像を視覚している。3D-Displayは、光線群を光学的に作り出すことで、スクリーン内に立体像を再生するもの。独自開発の3D光学系によって生成した疑似反射光線群は、立体像から斜め上の視点方向に進み、立体像を取り囲む円周方向に立体像として映像を視認できる領域(視域)を形成。生成した光線群の密度が高いほど、それぞれの視点においてよりリアルな立体像を再現できる。

マクセル、裸眼で立体像を360度方向から観れる「Glasses-free 3D-Display」開発 「Glasses-free 3D-Display」の原理
「Glasses-free 3D-Display」の原理

 原理としては、複数プロジェクタを円錐状スクリーンの外周に、スクリーンを取り囲むように配列。多数のプロジェクタから映像を同期して重畳投写する。この光線群の密度を高めることで、得られる立体像の解像度と質感の向上を図る。なお、プロジェクタを円形に360度に拡張し、視域も360度に拡張できるが、試作機は50度の範囲のみプロジェクタを配置。視野角も50度となる。

 上から見下ろす角度と較べ、正面からの視点は浮遊感が高い。そこで、試作機では円錐状スクリーンを斜めにカットすることで、より浮遊感のあるリアルな立体像を正面からの視点で観られるようにしている。

 コンテンツ生成技術と組み合わせ、動画再生も可能。マクセルでは今後、3D-Displayの実現技術を、デジタルサイネージや車載映像表示システムなどの分野へ展開していくという。