ヤマハ、ハイブリッドピアノ「Avant Grand」2モデル

-アコースティックピアノと電子ピアノを融合


グランドピアノ型のAvant Grand 「N3」

5月15日より順次発売

標準価格:152万2,500円(N3)
       110万2,500円(N2)

 


 ヤマハ株式会社は15日、グランドピアノの伝統的なメカニズムと電子技術を融合させた新しい鍵盤楽器、ヤマハ ハイブリッドピアノ「Avant Grand」(アバングランド)を開発。ピアニストの仲道郁代氏を演奏者として招き、サントリーホールにて発表会を行なった。

アップライトピアノ型のAvant Grand 「N2」

 ラインナップとしては2モデルを用意。グランドピアノスタイルの「N3」を標準価格152万2,500円で5月15日より発売。アップライトピアノスタイルの「N2」は110万2,500円で7月15日より発売する。ともに高低自在イスが付属する。

 これまで同社では、アコースティックピアノ事業と電子楽器事業は異なる部門として事業展開してきたが、ピアノユーザーがアコースティックピアノと電子ピアノを明確に区別せず、ピアノと認識する傾向が強まっていることから、それぞれを強みを生かすための「トータルピアノプロジェクト」を策定。その第一弾として発表されたのが今回の「AvantGrand」。

 AvantGrandは、グランドピアノの演奏感を実現することを目指して開発が進められ、これまでの電子ピアノにはない、さまざまな工夫が施されている。

アコースティックピアノの構造と電子ピアノを融合させたグランドピアノアクション機構。画面は合成。

 アクション部分はグランドピアノと同じ構造をそのまま採用している。鍵盤とハンマーといった構造はアコースティックピアノそのものを搭載されているのだが、弦やフレームはないため直接音は出ない。その代わりに、ハンマーの動きを感知する非接触センサーが仕掛けられており、キータッチに影響を及ぼすことなく打鍵の強弱やタイミングなどのニュアンスを捉えることが可能になっている。またN3には専用のグランドピアノペダルを搭載しており、ハーフペダルを含むグランドピアノならではの微妙な感触の違いを忠実に再現したという。


N3の上面には4系統のスピーカーを持つ「スペーシャル・アコースティック・スピーカーシステム」が搭載されている

 音源部分にはヤマハのコンサートグランドである「CFIIIS」をサンプリングしたPCM音源が採用されている。ピアノ内部の左/右/センター/リアの4カ所でサンプリングを行なっており、それにあわせ、N3には4系統のスピーカーシステム、「スペーシャル・アコースティック・スピーカーシステム」が埋め込まれているため、グランドピアノ特有の奥行き感や音の広がりを再現できるとする。

 演奏の感覚を高めるために、ピアノを弾いたときの振動を体感できる「タクタイル・レスポンスシステム(TRS)」も搭載。アコースティックピアノを演奏すると、特に低音部においてボディー全体に伝わる振動が発生し、鍵盤やペダルを通じて手や足に響いてくる。TRSはそれを再現するための振動発生システムであり、振動レベルを3段階で調整可能。ヘッドフォン使用時でもTRSが使用可能で、これによってグランドピアノを演奏している感覚をリアルに体感できるという。

 演奏した仲道氏は「従来の電子ピアノとはまったく異なる楽器で、かなりグランドピアノに近い。スペース的にはグランドピアノと比較してかなり小さい面積で済むため、これまでグランドピアノをあきらめていた人に大きな選択肢ができた」と語っている。

発表会はピアニストの仲道郁代氏を演奏者として招いて開催され、ミニコンサートが行なわれた

 なお、最大発音数はN3、N2ともに256音で、1トラック約30,000音分の録音/再生機能も搭載。オーディオ入出力、MIDI入出力のほか、USBメモリなどと接続するためのUSB端子も搭載している。

 外形寸法はN3が1,481×1,195×1,734mm(幅×奥行き×高さ/屋根を開けた状態)で、重量は199kg。N2は1,471×531×1,181mm(幅×奥行き×高さ/譜面立てを立てた状態)で、重量は142kg。消費電力は80Wと72W。


(2009年 4月 15日)

[Reported by 藤本健 ]